-
広瀬 はるみ
1989 年31 巻3 号 p.
597-609
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝硬変症の胃粘膜攻撃因子の状態を知るために血清及び胃粘膜ペプシノーゲンIならびに胃液分泌能を測定した.また胃粘膜の内視鏡的観察を行い生検組織所見と対比検討した.肝硬変群では対照群に比べ血清・胃粘膜ペプシノーゲンI値及び胃液ペプシン活性は有意に低下し,胃液酸度も低下傾向を示した.内視鏡的胃粘膜萎縮型は肝硬変群において対照群に比し比較的軽度であった.また肝硬変群において内視鏡的に胃粘膜の斑状発赤や浮腫を多く認め,組織学的にも浮腫や細血管の拡張が目立ち,機能面への影響すなわち胃液分泌低下との関連が推測された.潰瘍合併肝硬変群では非合併肝硬変群と比較して血清ペプシノーゲンI値及び胃液分泌能は,胃潰瘍合併群では高値の傾向,十二指腸潰瘍合併群では有意に高値であり,肝硬変症においても消化性潰瘍の発生に攻撃因子が関与する可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
YEONG-SHAN JENG
1989 年31 巻3 号 p.
611-619
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
We conducted a prospective randomized trial to compare the efficacy of endoscopic injection sclerotherapy and oral propranolol in the prevention of recurrent variceal hemorrhage. All of 102 patients had recent variceal hemorrhage which had been proven by endoscopy at Taipei Municipal Jen-Ai hospital from Jan. 1986 to Apr. 1988. No selection was made with regards to the severity of the hepatic diseases. The two groups (54 sclerotherapy, 48 propranolol) were similar in demographic, clinical and laboratory data. Sclerotherapy was performed weekly using 2% sodium tetradecyl sulfate as the sclerosing agent until the varices were eradicated. Propranolol was given twice daily at a dose reducing the resting heart rate by 25% (60-280mg per day; mean±SD=138±60 mg per day). The cumulative percentages of patients free of recurrent variceal bleeding 1 and 2 years after inclusion were 80% and 66.5% in the sclerotherapy group and 69.2% and 41.7% in the propranolol group. The difference between the two groups were not significant in lyear, but was statistically significant in 2 years (P<0.01). In remarkable Red Color Sign (RCS) or Child's A and B patients, sclerotherapy was more effective than propranolol in preventing rebleeding, but in mild RCS or Child's C patients, sclerotherapy and propranolol was not significantly different. The cumulative percentages of surviving patients 1 and 2 years after inclusion were 85.2% and 70.2% in the sclerotherapy group, and 76.8% and 60% in the propranolol group ; both differences were not significant. Esophageal ulcer due to sclerotherapy was observed in 12 patients and esophageal stricture in 2. One hepatic encephalopathy and one cardiac failure occurred in the propranolol group. Other complications of sclerotherapy and side effects of propranolol were minor. All of the mortality cases were not associated with propranolol or sclerotherapy. Therefore, we conclude that sclerotherapy was more effective than propranolol in the prevention of variceal bleeding, especially in patients with compensated liver diseases and RCS on varices.
抄録全体を表示
-
長南 明道, 藤田 直孝, 池田 卓, 豊原 時秋, 李 茂基, 長野 正裕, 村上 大平, 佐藤 一弘, 矢野 明, 小林 剛, 安藤 正 ...
1989 年31 巻3 号 p.
620-633
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
10MHzラジアル走査式超音波内視鏡診断装置(以下EUS)を用い,切除胃において,正常胃壁の層構造および部位別の各層の厚さについて検討し,以下の結論を得た. 1)正常胃壁のEUS像は通常5層構造として描出され,第1層は境界エコー+粘膜固有層表層,第2層は粘膜固有層深層+粘膜筋板,第3層は粘膜下層,第4層は固有筋層,第5層は漿膜下層+漿膜+境界エコーに相当した. 2)第4層内高エコー層は噴門領域および小彎側C領域で高頻度に描出され,そのecho sourceは走行の異なる2層の筋層間の境界エコーまたは筋層間結合織であった. 3)ホルマリン固定後の正常胃壁のEUS像において,第1+2層および第3層は部位によっては実際の組織の厚さを反映していない可能性が示唆された.すなわち第1+2層では組織標本で有意に表れた部位別厚さの傾向はほとんど反映されずほぼ均一に描出される傾向があり,第3層では噴門領域は組織標本同様有意に厚く描出されていたが大彎側C,M,A領域は薄く,小彎側A領域は厚く描出される傾向にあった. 4)ホルマリン固定によって第3層は膨化し,第4層は収縮する傾向を認めた.すなわち,固定標本でEUS像の検討をする場合は第3層,第4層の厚さの変化を考慮しなければならないと考えられた. 5)以上より,病変の検討にあたっても部位による層の厚さを考慮することにより,より正しい判断が得られると思われる.
抄録全体を表示
-
川野 淳, 佐藤 信紘, 谷村 博久, 辻 晋吾, 辻井 正彦, 林 暢彦, 荻原 達雄, 佐久 良肇, 伊藤 敏文, 松永 隆, 鎌田 武 ...
1989 年31 巻3 号 p.
634-640
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
臓器反射スペクトル解析法を用いて18名の健常人において,喫煙の胃粘膜表層血行動態に及ぼす影響とこれに対するプロスタグランディンE1の誘導体(ミソプロストール),H2受容体拮抗剤(シメチジン)の効果を検討した.その結果,ミソプロストール投与群では喫煙による胃粘膜血液量及び粘膜ヘモグロビン酸素飽和度の低下を抑制した. 一方,シメチジン投与群では喫煙後の変化を抑制する傾向にあったがプラセボ投与群のそれと有意差は認められなかった.血清中のアドレナリン,ノルアドレナリン,ニコチンには喫煙前後において3群とも有意な変化は見られなかった.以上の成績よりプロスタグランディンE1誘導体(ミソプロストール)の前投与は喫煙による胃粘膜虚血及び低酸素状態を予防し,喫煙のヒト胃粘膜血流低下の機序としてプロスタグランディンの関与が示唆された.
抄録全体を表示
-
橋本 光代, 星原 芳雄, 吉田 行哉, 早川 和雄, 福地 創太郎
1989 年31 巻3 号 p.
641-651
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
電子内視鏡を用いて,strip生検後の潰瘍3例と,慢性胃潰瘍29病変(26症例)を観察し,潰瘍辺縁の再生上皮の発青過程を崎田・三輪のステージ分類にもとついて検討した.慢性胃潰瘍では,A2stageより周囲粘膜と白苔の間に,発赤した平坦無構造な膜様再生上皮が出現する.A2ないしHlstageの頃から膜様再生上皮の周辺に,紡錘状ないし棚状の再生上皮が出現し,H2ないしSlstageには,それらの周辺に敷石状再生上皮が認められ,S2stage近くになると瘢痕中心部まで敷石状再生上皮で被われる.膜様再生上皮を除くと紡錘状再生上皮が最も幼若な再生上皮であり,これらは棚状,ついで敷石状再生上皮に移行すると考えられた.しかし再発潰瘍では,A1ないしA2stageに潰瘍辺縁の一部にくさび状の発赤帯を認め,同部に限局して紡錘状,棚状,敷石状の再生上皮がみられることがあり,これは潰瘍再発に先立つ既存の潰瘍の再生上皮の遺残と考えられる.電子内視鏡はこの様な所見を容易に見いだすことが出来,再発潰瘍と初発潰瘍の鑑別にも有用であった.
抄録全体を表示
-
金沢 雅弘, 岩下 悦郎, 竹原 正信, 土居 利光, 渡辺 圭三, 野村 勉, 林 琢也, 力武 幹司, 小林 正彦, 川口 淳, 永尾 ...
1989 年31 巻3 号 p.
652-659
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
十二指腸球部にしばしばみられる血管透見像は,炎症の一表現であるともあるいはBrunner腺の菲薄化と関係があるとも言われている.その本態の解明をめぐって,今回ズーム式電子スコープを用いて拡大観察を行ない,その動的な面を含めて検討を加え,以下の結論を得た. 1)血管透見像は送入空気量のいかんで著明に変化し,空気量を大とし十二指腸壁を十分伸展させていくと血管透見像も樹枝状により明瞭に現われてきた. 2)血管透見部を拡大観察してみると,血管は絨毛と絨毛の間のすきま(絨毛間隙)に透見され,絨毛の先端部分では認められなかった. 3)空気を徐々に抜いていくと絨毛間隙も徐々に狭まり,やがてその部には血管が透見されにくくなった.また逆に徐々に空気量を増加させていくと絨毛間隙も徐々に開き,再び血管が透見されてくるようになった. 4)絨毛形態との関連では,指状絨毛では比較的透見されやすく,回旋状絨毛では透見されにくい傾向がみられた.葉状,尾根状絨毛では関連性が認められなかった. 5)十二指腸潰瘍(瘢痕,ridge上を含む),発赤・びらんを主体とする十二指腸炎における病変部ならびにその周辺では血管透見像は観察されなかった. 以上より,血管透見像は炎症の存在を示唆するものではなく,球部粘膜の伸展性,特に絨毛間隙の増大に大きく関係する正常所見の1つであると考えられた.
抄録全体を表示
-
木村 達, 森安 史典, 中村 武史, 川崎 俊彦, 山下 幸孝, 伴 信之, 玉田 尚, 小野 成樹, 西田 修, 酒井 正彦, 内野 治 ...
1989 年31 巻3 号 p.
661-668
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
上行性肝外短絡路の評価を目的に肝疾患患者27例および対照例10例に内視鏡的超音波断層法(Endo-scopic Ultrasonography:EUS)を施行した.得られた縦隔断層像で認められる奇静脈,傍食道静脈瘤,及びその頭側断層面で観察できる上奇静脈静脈(仮称)について,通常内視鏡にて観察できる食道静脈瘤と比較検討し以下の事を報告した.1)EUSにて奇静脈は全例に認められ,その断面積は対照群に比して肝硬変群及び肝細胞癌群で有意に大きかった.2)奇静脈断面の形態は多くの症例で長円形ないし楕円形であるが対照群に比して肝疾患群ではより円に近い傾向が認められた.3)食道静脈瘤と傍食道静脈瘤の発達の程度が著しく異なる症例が認められた.4)上奇静脈静脈の発達の程度と食道静脈瘤の内視鏡所見とは一定の傾向がなかった.以上,EUSにて奇静脈の血管径が測定出来ることは,門脈圧亢進症の上行性肝外短絡路の評価に有用と思われた.
抄録全体を表示
-
若林 博人, 新沢 陽英, 外田 博貴, 中村 東一郎, 鵜飼 克明, 奥山 芳見, 山田 伸夫, 冨樫 整, 胡 運彪, 高橋 恒男, 石 ...
1989 年31 巻3 号 p.
669-681
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Fluorescein(以下F)静注による肝表面蛍光像観察の診断的意義を探るため,各種肝疾患患者を対象に腹腔鏡下蛍光撮影を行った.非特異性反応性肝炎ではF静注後蛍光は初めに門脈域に出現し,しだいに小葉内を中心静脈へ向かって拡がった.肝表面に早期に出現する蛍光のパターンは門脈域の形態や分布様式を反映することが示唆された.蛍光撮影により細動脈の同定が可能であった.F静注後に白色紋様は強い蛍光域として,赤色紋理は無蛍光域として認められ,通常観察およびICG静注法よりもコントラストが良く明瞭に認められることが多かった.肝硬変では強い蛍光が増生したリンパ管に認められた.Fを肘静脈に注入後肝表面に蛍光が出現するまでの時間は,非特異性反応性肝炎と比べ慢性活動性肝炎では早く,肝硬変では遅れていた.F静注による肝表面蛍光像の観察は以上の点から有用な診断法であると考えられた.
抄録全体を表示
-
辻井 正彦, 川野 淳, 荻原 達雄, 辻 晋吾, 谷村 博久, 肱岡 泰三, 佐久良 肇, 伊藤 敏文, 林 暢彦, 江口 寛, 松永 隆 ...
1989 年31 巻3 号 p.
682-688_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
近年,Campylobacter pylori(CP)と消化管病変との関連が注目されているが,その詳細については不明な部分が多い.一方,粘膜防御因子の一つである粘膜ムチン層の変化は胃病変の発生と密接に関連すると考えられている.そこで前庭部,体部の胃粘膜生検組織を用い,粘膜内PAS-AB陽性物質をコンピュータ画像解析し,CP感染との関連について検討した.その結果,胃体部腺領域ではCP陽性例と陰性例の間では粘膜内PAS-AB陽性物質量には有意差を認めなかったが,胃幽門腺領域ではCP陽性例は陰性例に比し粘膜内PAS陽性物質量は有意に少なかった.以上の結果から,Campylobacter pylori感染による胃粘膜内PAS-AB陽性物質に対する影響は幽門腺領域と体部腺領域では異なり,CP感染は特に幽門腺領域の粘膜防御機構の低下を惹起することを示唆する結果を得た.
抄録全体を表示
-
山下 和良, 樋渡 信夫, 三浦 正明, 山崎 日出雄, 森元 富造, 豊田 隆謙
1989 年31 巻3 号 p.
689-697
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
クローン病の組織学的所見として,肉芽腫の存在は最も特徴的であり,診断上,さらに病因解明の上からもその存在は重要である.そこでクローン病の大腸生検における肉芽腫出現頻度を病期,内視鏡所見別に検討した.対象はクローン病57例で内視鏡直視下に生検を施行し,採取した標本から4μm厚の50枚の連続切片を作製し,H-E染色を行い,肉芽腫の有無を検討した.活動期主病変(敷石像,大潰瘍)では80%,活動期微小病変(小潰瘍,アフタ様潰瘍)では75%に肉芽腫を認めた.一方,緩解期主病変(偽ポリポーシス)では65%,微小病変(小瘢痕)では25%,内視鏡的正常結腸で63%,正常直腸では54%に肉芽腫を認めた.最終的には57例中48例84%に肉芽腫を認めた.活動期病変では肉芽腫の数が多く,特に主病変では粘膜下層にも肉芽腫を認めることが多かった.内視鏡的正常直腸における肉芽腫の存在は,肛門部病変の有無,腸管主病変の部位,臨床的病期とは相関がみられなかった.
本法により検索すれば,クローン病の活動期主病変,微小病変,緩解期主病変では65~80%に肉芽腫を認めた.また,内視鏡的に緩解期や正常粘膜を呈しても約半数に肉芽腫を認めることが明らかとなった.
抄録全体を表示
-
―YAGレーザー焼灼法とマイクロ波凝固法の比較,及びYAGレーザー温熱療法の検討―
平井 信二, 樫村 博正, 中原 朗, 松本 好正, 福富 久之, 大菅 俊明, 暗田 隆夫
1989 年31 巻3 号 p.
698-709_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
レーザー及びマイクロ波を用いて内視鏡的治療を施行した早期胃癌症例の経過観察を行い,その局所治癒率および再発率から両治療法の有用性を検討した.症例の内訳は,YAGレーザー焼灼法17例25病変とマイクロ波凝固法18例19病変である.この他,手術を施行した5例6病変においては病理組織学的な検討を加えた.レーザー焼灼法では,隆起型,大きさ1cm未満,分化型,m癌で,それぞれ良好な局所治癒成績が得られた.マイクロ波凝固法では,レーザー焼灼法で良好な局所治癒成績が得られた上記病変の中にも,再発が認められたが,陥凹型未分化型癌,1cm以上の大きな病変,sm癌にも有効な症例があり,この点でレーザー焼灼法との相違が認められた.病理組織学的検討では,レーザー焼灼法は病変の境界部に癌残存が認められることがあり,また,マイクロ波凝固法は境界部のみならず凝固治療面内にも癌残存が認められることがあった.この他,不十分な初回治療により,癌細胞が線維化した組織内に埋没し,以後の治療が困難となった症例があり,初回治療の重要性が示唆された.
さらに,胃癌患者11例11病変に非接触YAGレーザー照射法による内視鏡的温熱療法を施行した.その結果,レーザー温熱療法単独で生検陰性となった症例は2例認められただけで,早期胃癌の温熱感受性や病変内の温度制御等に,いくつかの課題を残した.しかし,レーザー温熱療法は,化学療法との併用による進行胃癌治療や,他の内視鏡的治療を行った早期胃癌症例の局所再発防止のための有効な併用治療手段となりうる可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
奥平 勝, 天羽 康雄, 仲野 俊成, 河島 祥彦, 北尾 優子, 中村 昌弘, 公手 修一, 平松 新, 水野 孝子, 鮫島 美子
1989 年31 巻3 号 p.
710-716
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
H
2プロッカーを含め,各種抗潰瘍剤に抵抗した難治性胃潰瘍についてその背景因子と治癒経過などを易治性胃潰瘍と比較検討し,また,難治性胃潰瘍に対するH
2プロッカーの有用性,悪影響についても検討した. まず,難治,易治性胃潰瘍における背景因子の比較では, 1)性別では,いずれも男性に多く,特に難治例における男女比は6:1であった. 2)年齢分布,潰瘍占居部位,内視鏡所見,潰瘍数,十二指腸潰瘍合併,合併症の有無については,有意な差はみられなかったが,難治例では胃角部,周堤を有するものが多く,また,合併症を有するものが多かった. つぎに難治性胃潰瘍に対する治癒経過に及ぼすH
2プロッカーの影響についてみたところ,H
2プロッカー非投与群に比べ,治癒経過そのものに大きな影響を与えなかったと考えられた.しかし,治療面からは,単一のH2プロッカーで治療を続けるより,種類を変更する方が有用であった. H
2プロッカーの悪影響として,H
2プロッカー投与症例,特に難治例にカンジダ検出率が高いことが示唆され,今後慎重に対処すべきと思われる.
抄録全体を表示
-
門澤 秀一, 神津 照雄, 有馬 美和子, 磯野 可一, 伊丹 純, 尾形 均, 有水 昇
1989 年31 巻3 号 p.
717-727
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
未治療非ポジキンリンパ腫8例,皮膚T細胞リンパ腫1例に超音波内視鏡を施行した.胃病変は3例にみられ,全例で胃病変を検出できた.胃病変は壁5層構造の破壊,消失を伴う無エコー域あるいは点状,顆粒状高エコーを伴う不均一な低エコー域に描出され,病変部胃壁はびまん性あるいは腫瘤状に厚さ8mm以上に肥厚していた.病変辺縁部では第3層の途絶が観察された.縦隔,上腹部リンパ節は6例で描出された.腫瘍の浸潤が明らかと判断された3例の検討では,リンパ節病変は内部低エコーで類円形型に描出されることが多く,長径5mm以上20mm未満のものが大部分をしめ,集簇してみられることが多かった.ただし,同様の所見を呈するリンパ節を認めた偽陽性例が1例みられた.化学療法によって病変部胃壁の肥厚の改善,層構造の再出現,リンパ節病変の縮小,減少,消失を経験し治療効果判定に本検査法が有用であることが示唆された.
抄録全体を表示
-
真船 健一, 小西 敏郎, 今西 宏明, 平田 泰, 平石 守, 出月 康夫
1989 年31 巻3 号 p.
728-733_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は,66歳,男性.15年前に胃潰瘍で幽門側胃切除の既往があった.昭和62年5月他院において貧血を精査した際に,食道癌が発見され,手術目的にて当科に入院した.内視鏡所見では,上門歯列より25~30cmに明瞭なルゴール不染帯を伴う表在隆起型の病変と,その口側・肛門側にやや淡く斑状のルゴール不染帯が存在した.多発性食道癌の術前診断で,昭和62年7月9日胸部食道全摘術を施行した.切除標本では,周囲に上皮内伸展を伴う表在隆起型の主病変と切除標本全域にわたって広範な粘膜不整が認められた.病理組織学的所見では,上皮内伸展を伴う粘膜下層(sm)に浸潤する高分化型扁平上皮癌と,一部にびらんを伴う広範な異型上皮巣中に散在する上皮内癌が認められた.本症例は,食道における異型上皮からの発癌を示唆しているが,胃切除後の食道炎による慢性刺激がこれに関与している可能性が考えられる.
抄録全体を表示
-
大井 成子, 金子 栄蔵, 渡辺 文利, 梶村 昌良, 山田 正美, 伊藤 剛, 本田 西男, 甲田 証, 宮原 透, 大久保 俊治
1989 年31 巻3 号 p.
734-740_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は35歳,女性.高ガストリン血症を伴う難治性潰瘍のため入院.胃液検査及びセクレチン負荷試験よりZollinger-Ellison症候群と診断.精査を行ったが,十二指腸下行脚に直径約1cmの粘膜下腫瘤様小隆起を認める以外は膵その他に異常を認めないため,十二指腸原発のガストリノーマを疑い内視鏡的ポリペクトミーを施行した.切除腫瘤はカルチノイドの組織像を呈し,グリメリウス染色で胞体内に好銀顆粒を認め,酵素抗体PAP法では抗ガストリン血清に反応する微細顆粒が証明された.切除翌日より血清ガストリン値は正常化し,以後潰瘍は出現していない.また,血清Ca,PTHが高値を示したが,左副甲状腺腫の摘出術後正常化した.下垂体についてはTSHの単独下垂体機能低下症を認めるが,現在症状はなく経過観察中である.家族の検索では母,兄が高Ca血症,高PTH血症を呈しており,本例は多発性内分泌腺腫症I型と考えられた.
抄録全体を表示
-
尹 彦詔, 三宅 直樹, 徐 以政, 高松 輝行, 山岨 道彦, 瀬古 修二, 井上 文彦, 中井 妙子, 水本 孝, 古川 裕夫
1989 年31 巻3 号 p.
741-746_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
77歳女性で,腹痛のため来院.血液生化学検査で,白血球とアミラーゼ著明高値のため精査.低緊張性十二指腸造影,内視鏡像にて,十二指腸second portion,Vater乳頭部領域に腫大した小結節分葉状隆起を認め,逆行性膵胆管造影にて主膵管の著明な拡張と,開口部付近起始部に陰影欠損像を認めた.術前生検は乳頭状腺腫像であったが,部分的な腫瘤形成型乳頭部癌の膵管への浸潤を疑ったため膵頭十二指腸切除術が施行された.切除標本の組織学的検索で,腫瘍の多くは癌腫で,癌腫の一部は膵管内への増殖を認めた.乳頭部に腺腫と癌腫の共存があり,腺腫の癌化を示唆する所見と考えられ,乳頭部腺腫は良悪性の境界領域病変としての意義づけが重要と考えられた.
抄録全体を表示
-
―肝表面像の検討―
井上 隆, 新沢 陽英, 若林 博人, 外田 博貴, 中村 東一郎, 奥山 芳見, 山田 伸夫, 鵜飼 克明, 武田 弘明, 冨樫 整, 高 ...
1989 年31 巻3 号 p.
749-754_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
放射線性肝炎の概念の提唱はあるが腹腔鏡による表面像についての見解は必ずしも一定していない.よって,われわれの経験した放射線性肝炎を検討した結果について述べる.患者は嚥下困難を主訴とした62歳男性で,下部食道から胃噴門部に浸潤する食道癌の症例である.放射線治療前の肝機能は正常で肝シンチグラフィーでも異常所見はなかった.1,400rad照射した後よりトランスアミナーゼ上昇が認められ,6,000radの放射線治療終了後の肝シンチグラフィーでは,照射野に一致してテクネフチン酸の取り込みの低下がみられた.腹腔鏡で観察すると,照射野に入っていない肝右葉は表面平滑で小葉紋理は保たれていた.しかし,照射野にあたる左葉は著明に萎縮し,被膜は高度に混濁しており,樹枝状の太い白色紋理様所見が観察された.また鎌状靱帯付近の萎縮性変化が強かった.肝生検組織所見では,右葉ではほぼ正常であったが,照射野にあたる左葉は肝細胞索の乱れがあり,細胞自体にも大小不同・変性がみられた.本症例は放射線性肝炎と考えられる1例であり,その腹腔鏡検査所見について文献的考察も加えて述べた.
抄録全体を表示
-
武井 学, 三浦 正澄, 中村 喜行, 清水 聡, 宮原 秀仁, 袖山 健清, 清沢 研道, 古田 精市
1989 年31 巻3 号 p.
755-759_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
腹腔鏡にて発見され,開腹肝生検で組織学的に診断しえたアルコール性肝硬変に伴う肝黄色腫の1例を報告した.症例は46歳男性.日本酒1日3合16年間の飲酒歴がある.全身倦怠感及び食思不振にて当科入院.黄疸,肝腫大を認め,生化学検査上GOT優位のトランスアミナーゼの上昇,γ-GTPの上昇ありアルコール性肝硬変と診断.腹腔鏡では結節肝であり,左葉表面に境界明瞭な直径3mm~5mmの黄白色の小結節を散在性に数個認めた.開腹肝生検による同部の組織所見で泡沫細胞の集簇を認めたことより黄色腫と診断した.本症例の黄色腫の成因としてはアルコール性肝障害による肝細胞の変性,壊死,胆汁うっ滞及び局所脂質代謝異常,あるいは偽小葉内の循環障害により肝内に脂肪滴が出現し,それを貪食した組織球が泡沫細胞となり,それらが集簇することにより黄色腫が形成されたと考えられた.
抄録全体を表示
-
水間 美宏, 水野 成人, 芦原 亨, 松井 亮好, 早雲 孝信, 西村 和彦, 趙 栄済, 安田 健治朗, 藤本 荘太郎, 中島 正継, ...
1989 年31 巻3 号 p.
760-767
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は74歳の女性で,貧血に伴う眩暈を主訴に来院した.上部消化管や小腸には出血の原因となる病変を認めず,注腸X線検査でも異常を認めなかった.大腸内視鏡検査にて肝彎曲部付近の横行結腸に拡張した血管の集簇を認め,そこから湧出性に出血している様子が観察できた.腹部血管造影でも中結腸動脈の末梢枝の拡張・蛇行と早期の静脈還流を認め,大腸動静脈奇形と診断した.入院後も貧血が進行したため,右半結腸切除術を施行したが,病理組織学的にも粘膜下層に著明に拡張した血管の集簇を認め,動静脈奇形と確診した.大腸の動静脈奇形は,比較的診断の困難な下部消化管の出血病変として認識されている.本邦では1978年以来自験例を含め41例が報告されているが,大腸内視鏡検査が施行されたのは33例で,内視鏡的に所見を得ることができたのは24例であった.本症の診断には腹部血管造影とともに,大腸内視鏡検査が有用であると評価しえた.
抄録全体を表示
-
大野 秀樹, 早川 哲夫, 近藤 孝晴, 柴田 時宗, 北川 元二, 酒井 雄三, 桐山 勢生
1989 年31 巻3 号 p.
768-771
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎と膵炎の合併例の経過を観察しえたので報告した.症例は51歳男性で,腹痛と血便を主訴に来院した.注腸造影・大腸内視鏡・大腸生検にて左結腸型潰瘍性大腸炎と診断した.また同時に血中膵酵素,とくにエラスターゼ1の上昇がみられ,ERPで膵体部主膵管の狭窄と分枝の不整像および尾側主膵管の広狭不整がみられた.サラゾピリンにより治療を開始したところ,潰瘍性大腸炎の寛解とともに血中膵酵素も徐々に低下し,正常化した.また約1年後に再検したERPでは,膵体部主膵管の狭窄が改善しており,尾側主膵管には異常がみられなかった.潰瘍性大腸炎に合併した膵炎の報告例はいくつかあるが,本症例のように潰瘍性大腸炎の寛解とともに血中膵酵素の正常化,膵管像の改善がみられた報告例は今までになく,興味ある症例と思われた.
抄録全体を表示
-
後藤 充男, 山田 暢夫, 大沢 佳之, 五十嵐 潔
1989 年31 巻3 号 p.
772-776_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は52歳,男性.転落事故による頭蓋底骨折の後遺症の頭痛のため8年前よりメフェナム酸1.5g/日を服用.昭和61年10月より腹痛,下痢,血便出現,秋田労災病院に入院した.下部内視鏡検査で直腸から横行結腸にかけてアフター様潰瘍,血管透見像消失などアフター性大腸炎を,回腸末端に出血を伴う多発性腸潰瘍を認めた.回腸からの生検ではリンパ濾胞の増生を伴う炎症性細胞浸潤がみられ非特異的炎症所見であった.メフェナム酸を中止し保存的治療を続けた結果,24病日には大腸炎は消失し,70病日には回腸の潰瘍は瘢痕化した.退院後,メフェナム酸の再投与で症状の再発,下部内視鏡検査でもアフター性大腸炎の再燃がみられ,メフェナム酸中止で症状が消失したことからムフェナム酸に起因した大腸炎と多発性小腸潰瘍と診断した.
抄録全体を表示
-
牧山 和也, 塚元 和弘, 山崎 和文, 岩永 整磨, 山下 豊, 梅根 良彦, 水田 陽平, 村田 育夫, 井上 健一郎, 今西 建夫, ...
1989 年31 巻3 号 p.
777-782_1
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
S状結腸に狭窄を起こしたクローン病患者に,バルーンカテーテルを用いて内視鏡下に拡張術を試みた.患者は29歳男性で,1973年16歳のとき回腸末端部にクローン病を発症した.1975年5月上行結腸回盲部切除・端々吻合術.1987年7月炎症の憎悪とS状結腸の閉塞症状のため入院.抗炎症療法とED療法で軽快した時期にバルーンカテーテルを用いてS状結腸の3カ所の狭窄部の拡張術を行った.X線検査上は目立った効果は認められなかったが,内視鏡による7カ月後の経過観察では,狭窄部は明らかに拡がり,スコープを容易に通過させることができるようになっていた.この下部消化管狭窄の拡張術は本邦においては初めて試みられ,また欧米の報告例も極めて少ない.したがってまだ長期間の有効性は明らかでないが,腸管の保存という観点から,手術療法を最後まで残しておく唯一の手段として,手術前に適応があれば本法を試みる価値は十分あると考えられた.使用した拡張器は,米国のMICROVASIVE社製,RIGIFLEXTTS大腸用バルーンカテーテルで,規格は拡張時外径18mm,長さが30mm,最大注入圧35PSIであった.
抄録全体を表示
-
―全国アンケート調査による―
西元寺 克禮, 岡崎 幸紀
1989 年31 巻3 号 p.
785-790
発行日: 1989/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
全国の内視鏡学会指導医にアンケート用紙を発送し,内視鏡検査後に発生したAGMLの実態を調査した.172施設より420例が報告されたが,詳細が判明した307例について解析した.なお発生頻度は0.02%であった.好発年齢は30~50歳代で最も多いのは40歳代であった.男女比は約7対3であった.主症状は心窩部痛,嘔気・嘔吐,出血であり,心窩部痛が90.3%を占めた.前回内視鏡より発症までの期間は平均5.8±2.9日であり,前回内視鏡では前庭部に病変を認めたものが多かったが,155例(51.3%)は全く所見を認めなかった.病変を急性潰瘍(あるいはulcero-erosion)型とびらん型に分けると243例は前者64例が後者であった.病変の部位では幽門前庭部に最も多く,前者の97.5%,後者の85.9%を占めていた.
抄録全体を表示