日本消化器内視鏡学会雑誌
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31 巻, 6 号
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  • 富樫 満
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1439-1449
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ラジアル走査式超音波内視鏡を用い,食道癌67例に対して癌の深達度診断を行った.そのうち食道切除が行われ病理組織所見との対比が可能であった34例36病変の深達度正診率は58%(21/36)であった.これを施行時期別にみると,前期22%(2/9),後期70%(19/27)であり,後期になって正診率は向上した. a0症例の正診率は42%(10/24)と低く,誤診例の検討から,その原因として深達度mm症例では癌巣が薄いために病変の認識が困難であったこと,深達度smやmp症例では粘膜下層や固有筋層に癌がmassiveに存在し,より深層を圧迫しているために深達度を深く判定したことがあげられた.一方,a1以深例の正診率は92%(11/12)と高く,超音波内視鏡はa0症例に比べ深達度診断に有用と考えられた.また,著者が考案した逆流防止バルーンを用いた脱気水充満法は高齢者にも安全に施行できると共に,病変をより肉眼形態に近い像として描出できるためa0症例において有用と考えられた.
  • 横山 聡
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1450-1463
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ピアス社製画像処理装置(LA500),朋栄社製カラーコレクタ(CCS-4360),オリンパス社製カラーエンハンサー2号機を用いRGB信号の輝度コントラスト強調処理を電子内視鏡で観察した各種疾患の画像を対象に行った.いずれの機器にても,赤いものはより赤く青いものはより青くなり,早期胃癌(IIb)の境界,胃十二指腸潰瘍の再生上皮模様,斑状発赤,食道静脈瘤,萎縮粘膜の血管透見像,粘膜の凹凸色むらを強調し明瞭化できた.朋栄社製カラーコレクタ(CCS-4360)及びオリンパス社製カラーエンハンサー2号機は,アナログ処理で動画像でも色彩強調処理ができ臨床応用可能となった.さらに処理画像のヒストグラムの検討からRGB信号ごとの輝度コントラスト強調によりなぜ色彩強調がかかるのか明らかになった.
  • 朝倉 均, 三浦 総一郎, 渡辺 憲明, 田中 伸, 渡辺 守, 岩男 泰, 浜田 慶城, 森田 證, 陶山 匡一郎, 土屋 雅春
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1464-1470
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍治癒過程における内因性プロスタグランディン(PG)の役割を検討するため,H2プロッカー単独投与群と胃粘膜内因性PGを増加させるsofalcone併用投与群で対比検討した.対象は胃体中下部や胃角部の胃潰瘍症例17例で,直視型上部消化管内視鏡下で胃潰瘍辺縁粘膜および瘢痕粘膜から鉗子生検し,直ちに液体N2下で凍結保存した。この粘膜からPGをインドメサシン存在下で抽出し,Bondミニカラムを用いて分離これをradioimmunoassay kitでPGE2およびI2の代謝産物6-keto PGF1αを測定した。胃潰瘍活動期群およびH、プロッカー単独投与群の胃粘膜内PGE2や6-ketoPGF、αの量は対照と有意の差はないが,sofalcone併用投与群では対照群やH2プロッカー単独投与群より有意に増加していた.単独投与群と併用投与群の胃潰瘍瘢痕粘膜中に占めるPAS染色陽性面積比率には有意差はないが,粘膜内PGE2量とは有意の相関があった.以上より,胃潰瘍治癒過程に粘膜中の内因性PGの関与が示唆された.
  • 大橋 信治, 中澤 三郎, 芳野 純治
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1471-1479
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    陥凹型早期胃癌73例のEUS像について深達度を検討した.病変部での各層の形状変化によりエコーパターンを検討した.エコー像の変化が,病理学的に癌が浸潤する胃壁層より深い層に及ぶ例は,癌巣内に潰瘍を合併し,これに伴う線維化巣を有していた.これらに特徴的なエコー像は,粘膜下層内の扇状を呈する線維化巣を反映したTypeII-1と,開放性潰瘍を合併し,線維化巣がこの部に限局してTypeII-2と認識される型と,第4層以深にまで変化を認め,良性潰瘍,多くはUl-IIIsあるいはUl-IVsとほぼ同様の線維化巣・筋層融合を反映したTypeULであった.一方,病変部の第3層において,変化を認めないTypeI,:扇状を呈さず全体として不明瞭な低エコー領域を認めるTypeII-3,境界明瞭な低エコー領域を認めるTypeIIIでは,潰瘍合併の有無によらず,層構造の変化を捉えることでほぼ正確に深達度診断できた.
  • ―特に深部大腸病変有症例も含めた腺腫・早期癌症例の拾い上げ能,および検査間隔について―
    矢作 和也, 荒井 泰道, 松本 純一
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1480-1493
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1)sigmoidofiberscopyを1次スクリーニングとして用いた場合における,腺腫・早期癌症例の拾い上げ能を知る目的で,当初より全大腸の検査を行うことによって発見された症例を対象として検討した.腺腫・早期癌の個々の病変の50.9%が深部大腸(下行結腸一盲腸)に存在した.しかし症例別にみると,腺腫・早期癌症例の約半数は病変多発例であり,多発例では下部大腸(直腸,S状結腸)と深部大腸とにまたがって病変を有した症例が最も多かったため,単発例も併せ,深部大腸のみに病変を有した症例は27.2%と少なかった.特に6mm以上の病変を有した症例では,6mm以上の病変自体が深部大腸に少ないのに加え,多発例が多く,かつその多発例においては,1例あたりの所有病変個数が多く,深部,下部大腸にまたがって病変を有した症例の占める割合もより高かった.そのため,6mm以上の病変を有した症例のうち深部大腸のみに病変を有した症例は14.3%に過ぎなかった.また腺腫・早期癌症例の55.9%は深部大腸に病変を有したが,そのうちの51.3%は下部大腸にも病変を有していた.従って,sigmoidofiberscopyを行い病変が認められた症例には,後日,全大腸の検査を行うことによって,深部大腸病変有症例も含め,腺腫・早期癌症例の多くは拾い上げ可能と思われた. 2)人間ドックにおいてsigmoidofiberscopyによる大腸癌検診を行い,対象の性,年齢構成等を考慮しても高い発見率が得られた. 3)検査間隔は,無所見者においても,1回の検査のみでは6mm以上の病変の見逃しも少なくないため,当初は2年連続の検査が望ましく,その後は病変の発育速度,発見率を考慮して2年毎の検査でよいと思われた.
  • 小林 正彦, 土居 利光, 金沢 雅弘, 足立 洋祐, 野村 勉, 岩下 悦郎, 川口 淳, 永尾 重昭, 宮原 透, 丹羽 寛文
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1494-1498_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    電子スコープの静止画像の記録に16mmフィルムを用いて,得られた画像が,フィルムについての検討に十分堪え得るものであるか否か検討した.このための指標として,フィルムについての解像力をとりあげ,その目安としてTVモニターの走査線の識別の状況を採用した.また,TV走査線数をもとにして,走査線の識別に必要とされる絵素数を計算した結果,16mmフィルムの絵素数はこれを十分満たすことがわかった.さらに市販の内視鏡用16mmフィルムのMTF特性と解像力からの検討でも,TV走査線はフィルム上で完全に区別できることがわかった.実際の症例について35mm並びに16mmフィルムを同時に用いて撮影し,走査線の相互の表れ,並びに画像の優劣を検討したが,16mmフィルムで特に劣る点は見られず十分実用に堪え得るものと判断された.16mmフィルムは,管理,検索が従来の内視鏡フィルム同様に出来ること,耐用度の高いカメラを使用できることなどから,35mmフィルムによる記録より,より有用であると思われた.
  • 加藤 忠, 浅井 俊夫, 岡村 正造, 山口 初宏, 濱島 英司, 山本 義樹, 木下 治
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1501-1509_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1983年1月より1987年9月までに経験した大腸sm癌30例35病変とpm癌26例27病変を対象に臨床病理学約検討を試みた.同期間の全大腸癌は324例342病変でsm癌,pm癌の全大腸癌に占める割合は各々10.2%,7.9%であった.平均年齢はsm癌が58.7歳,pm癌が60.9歳で,性別はsm癌の70%,pm癌の58%が男性であった.主訴はsm癌,pm癌とも血便が50%以上を占めたが,sm癌では無症状ないし不定愁訴例が47%あった.便潜血反応はsm癌の52%,pm癌の70%が陽性であった.病変部位はsm癌の77.1%,pm癌の88%が直腸,S状結腸にみられた.肉眼型はsm癌ではIp型13例,Is型9例,IIa型4例,IIa+IIc型7例,分類不能2例と多彩であったが,pm癌では27病変中Borr 1型の1例と特殊型の2例を除く24病変がBorr 2型であった.病変の大きさはsm癌が平均1.8cm,pm癌は平均3.7cmであった.病理学的にはsm癌のIp型では13病変中12病変,Is型では9病変中6病変,IIa及びIIa+IIc型では11病変中6病変とpm癌の27病変中10病変が高分化型腺癌であった.また,sm癌では腺腫部分を伴った例が67%(Ip型93%,Is型63%,IIa型25%,IIa+IIc型43%)あったが,pm癌では1例(3%)のみであった.
  • 春間 賢, 徳毛 健治, 森川 章彦, 鈴木 武彦, 木村 学, 松原 秀樹, 吉原 正治, 隅井 浩治, 梶山 梧朗, 日高 徹, 末永 ...
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1510-1515_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過去11年間に当施設で胃液検査を行った171例の胃腺窩上皮性過形成性ポリープ(以下腺窩上皮ポリープ)のうち,最高酸分泌量(MAO)が5mEq/h以上であった10例13病巣について検討した結果,10例中9例が女性で,7例が50歳以下と,通常の腺窩上皮ポリープと比較し女性に多く,若年傾向にあった.また,形態的に8例が単発で,胃体上部,特に噴門部に5例が発生していた.腺窩上皮ポリープでは高率に胃酸分泌の低下を認めるが,今回報告したような正酸のものもあり,それらには,女性で若年傾向,単発,噴門部に好発するなど,比較的共通する形態的な特徴が認められ,通常の腺窩上皮ポリープとは,発生要因に差異がある可能性が示唆された.
  • ―胃メラノーシス症例を含めて―
    村田 育夫, 牧山 和也, 横田 実, 田中 俊郎, 梅根 良彦, 西山 高志, 山下 豊, 岩永 整磨, 山崎 和文, 杉山 英一郎, 今 ...
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1516-1527
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    極めてまれとされている十二指腸メラノーシスの5例を経験し,過去の報告例と併せて,その臨床像,内視鏡所見,組織化学所見,電顕所見などについて検討を加えて報告した. 症例1は74歳,女性.十二指腸球部,下行部から空腸上部まで黒色の色素沈着を認めた.降圧剤の変更により色素は消失した.症例2は51歳,男性.十二指腸球部より空腸移行部まで色素沈着を認め,胃メラノーシスと大腸メラノーシスを合併していた.症例3は70歳,男性.十二指腸に色素沈着をみたが,鉄染色陽性でメラニン染色陰性であった.症例4は69歳の男性,症例5は46歳の男性であった.過去の報告例と併せると,色素のメラニン染色や鉄染色に対する反応はさまざまであるが,時期による変化の可能性が考えられた.高血圧や腎不全,上部消化管出血などの合併が多く,降圧剤や出血が色素の由来として想定された.今後,症例の増加が期待される.
  • 井戸 健一, 川本 智章, 大谷 雅彦, 人見 規文, 市山 雅彦, 木村 健
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1528-1532
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    リニア電子走査型超音波腹腔鏡画像誘導下の腫瘍穿刺法は,通常の腹腔鏡と超音波腹腔鏡を同時に腹腔内に挿入し,肝表面上の超音波腹腔鏡探触子とテレビモニターの両者を観ながら,経皮的に超音波画像に描出されている腫瘍の狙撃穿刺を行う方法である.本法は超音波腹腔鏡で腫瘤を描出可能であれば,径1cm以上の大きさの腫瘤を確実に穿刺可能である.また肉眼的に止血を確認できるばかりでなく,止血操作も確実に行えるため,より危険少なく太い生検針も使用可能である.超音波腹腔鏡画像誘導下の腫瘍穿刺法は腹腔鏡検査の診断能を飛躍的に向上させるばかりでなく,エタノール局注療法等の治療手技にも応用可能であるため,臨床的意義は極めて大きいと思われた.
  • 岡本 平次, 佐々木 哲二, 佐竹 儀治, 坪水 義夫, 藤田 力也
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1533-1537_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近6年間で16例,0.21%の虫垂部の病変を内視鏡的に見いだした.その内訳は虫垂翻転断端部10例,盲腸変形4例,クローン病疑診1例,重積症1例の計16例であった.虫垂翻転断端部を始めとして盲腸,虫垂領域に認められた病変は虫垂切除術に関連することが多く検査前に虫垂切除術の有無を聴取しておくことが診断上最も重要であった.虫垂重積症やクローン病疑診例などの稀な症例も経験した.虫垂部病変の頻度は低いが,大腸内視鏡検査に際しては盲腸まで挿入し,盲腸部病変の見逃しをなくすためにも虫垂開口部の確認を行わなければならない.
  • 井手 一敏, 冨松 久信, 古賀 俊彦
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1538-1542_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的硬化療法により食道静脈瘤が完全消失した後に,残存する胃静脈瘤の破裂をきたした症例を経験したので報告した.患者は肝硬変を有する73歳の女性で,1987年7月31日に吐血をきたした.内視鏡検査で食道にred color sign高度の静脈瘤を認め.胃噴門部にも1ヵ所に限局した発赤を有する静脈瘤を認めた.5%ethanolamine oleateの血管内注入による内視鏡的硬化療法にて食道の静脈瘤は完全消失したが,胃噴門部の静脈瘤は残存した.1987年12月14日に残存する胃噴門部静脈瘤の破裂による2回目の吐血をきたした.出血部位は初回吐血時より1カ所に限局してみられた発赤部位と一致しており,発赤所見は破裂の危険性を示す重要な所見と思われた.直接穿刺による5%ethanolamine oleateの血管内注入で,破裂した胃噴門部静脈瘤は止血され,さらに追加硬化療法によりほぼ完全に消失した.その後再吐血はみられないが,最近の内視鏡所見では噴門部静脈瘤の再発をみている.残存胃静脈瘤破裂を防ぐには,まず胃静脈瘤を残存させないことが大切である.また,血行動態面および組織学的構造面において胃静脈瘤は食道静脈瘤と大いに異なっており,残存胃静脈瘤も含めて胃静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法は,その長期効果および硬化剤の種類や注入量について今後の十分な検討が必要である.
  • 尾関 豊, 日野 晃紹, 久保 清景, 柴田 雅也, 林 勝知, 鬼束 惇義, 井上 明美, 鈴木 雅雄, 土井 偉誉, 下川 邦泰, 広瀬 ...
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1545-1549_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    広範囲の表層拡大型を呈した,いわゆる食道癌肉腫の若年女性例を報告した. 症例は36歳の女性で,嚥下困難をきたし当科へ紹介された.食道X線および内視鏡検査にて,Im左前壁に口側は表面平滑で肛門側は多結節状の4cm大のくびれを有する隆起性病変を認め,ほかに3カ所の不整な小結節状病変を認めた.さらに門歯より約22cmから食道胃接合部の約1cm口側までの粘膜面は,軽度発赤し粗〓で,この範囲はルゴール染色による不染域と一致した.胸腹部食道全摘出術を施行した.切除標本では術前診断に一致した4.0×1.7×1.3cm大の隆起性病変と,その口側3.5cm,肛門側6.0cmにおよぶ表層拡大進展を認めた.組織学的に隆起の大部分は肉腫様成分,その基部および表層拡大部はすべて高分化型扁平上皮癌からなり,最深部は多結筋状の隆起部で固有筋層までであった.表層拡大型のいわゆる食道癌肉腫で,mpn1(+)M0Pl0,stageIIであった.
  • 前田 和弘, 岡田 光男, 八尾 恒良, 田中 啓二, 加来 数馬
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1550-1555
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.近医での胃X線検査にて,胃体下部に隆起病変を指摘され来院した.胃内視鏡検査にて,胃体下部前壁に頂部に陥凹伴う粘膜下腫瘍を認めた.胃X線検査にても同部に表面滑な中心に不整形Ba斑を伴う隆起病変を認めた.これらの所見より胃カルチノイドを疑ったが,生検診断は毛細血管性血管腫であった.胃内視鏡検査,X線検査後下血をきたし,2カ月後の胃内視鏡検査,X線検査では,病変は消失していた.経過中消失した興味ある胃血管腫を報告した.
  • 東山 浩敬, 福家 博史, 佐藤 兵衛, 財田 至啓, 秋山 俊夫, 鈴木 司郎
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1556-1562_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の男性.昭和61年9月より下痢が続き62年3月に当院を受診,精査治療のため,入院した.胃X線,小腸X線,注腸X線検査で胃から直腸までにび慢性,連続性に多発ポリープを認め胃,大腸生検組織よりMultiple lymphomatous polyposis of the gastrointestinal tractと診断した.組織学的に悪性所見に乏しく消化管外に病変を認めないため,経過観察中,患者の自覚症状は消失した.5カ月後の大腸X線検査,内視鏡検査でポリープ数の明らかな減少を認めた.9カ月後の大腸X線検査で病変の再増悪を,認めないため,現在も無治療で経過観察中である.
  • 河口 剛, 瀧島 常雅, 西山 保比古, 大畠 敏保, 木村 泰三
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1565-1568_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸内腔に突出した,正常十二指腸壁より構成された紐状の組織を有する一症例を経験した.症例は74歳の男性で,1988年3月26日,右季肋痛発作で当院を受診,腹部超音波検査で胆嚢結石,胆嚢炎を指摘され,入院となった.入院後,内視鏡検査で十二指腸下行脚に基部を有する細長い紐状の隆起性病変を発見した.4月28日,胆嚢摘出に際し,十二指腸壁を切開し,外科的にこの隆起性病変を摘出した.肉眼的には,あたかも黛虫垂。が管腔内に突出したかのような外観を有し,周囲粘膜には,憩室等の異常を全く認めなかった.組織的には,正常な十二指腸粘膜で被われ,Brunner腺の増生した粘膜下組織を有し,同様な形態を呈することのある粘膜橋とも区別されるものであった.これは,最近提唱された,Intraluminal duodenal protrusion(IDP)という概念に相当するものであると考え,文献上,海外及び本邦を通じ2例目の症例として報告する.
  • 李 茂基, 藤田 直孝, 小林 剛, 木村 克巳, 渡邉 浩光, 望月 福治
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1569-1574_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の女性,心窩部痛を主訴に入院.入院時,血清および尿アミラーゼの高値を認め,臨床的に急性膵炎と診断した.臨床所見および検査成績が速やかに改善し,入院後1週目にERCPを施行した.Vater乳頭は発赤し,その近傍に,腫大したひだの集中所見と不整なびらん性変化が認められた.膵管像では細いWirsung管と同時にその走行部に帯状の異常腺房像が造影され,これに引き続き主膵管が造影された.さらに17日後のERCPでは,十二指腸病変,異常腺房像は消失し,細いWirsung管と下部で狭窄した胆管像が造影された.最終的に悪性病変も否定できず手術が施行された.病理組織学的には,Vater乳頭近傍から膵内に伸展した十二指腸憩室の炎症が,膵実質および十二指腸粘膜に波及したものと診断された.ERCPで認められた異常腺房像はこの炎症巣に一致すると推察され,さらに,本例ではWirsung管の形成不全が基礎に存在していたものと考えられた.
  • 松隈 則人, 松尾 義人, 鶴田 修, 池田 英雄, 井上 林太郎, 佐々木 英, 豊永 純, 谷川 久一, 清水 正彦, 大北 亮, 白水 ...
    1989 年 31 巻 6 号 p. 1577-1584_1
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    S状結腸に発生した腸管子宮内膜症の2例を経験したので本邦報告例78例の検討を加え報告する.症例1は右下腹部痛を主訴として入院した39歳の女性で,注腸造影と大腸内視鏡検査により大腸粘膜下腫瘍が考えられた.生検では確診は得られなかったが腸管子宮内膜症を疑い手術を施行し,組織学的検索によりS状結腸の固有筋層内に子宮内膜組織を認めた.症例2は月経時の血便を主訴として入院した34歳の女性で,注腸造影と大腸内視鏡検査によりS状結腸に頂部に発赤した陥凹を有する隆起性病変を認め,生検により粘膜内に子宮内膜症類似の腺管を認めた.術後の組織学的検索ではS状結腸粘膜内および固有筋層内に子宮内膜組織を認めた.本邦報告例78例を集計し年齢,症状,部位,大きさ,形態,診断および治療に関して検討した.生検により確診が得られたものは6例にしかすぎず,月経前期および月経時に生検を施行するべきだと考えられた.
  • 1989 年 31 巻 6 号 p. 1585-1706
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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