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崎田 隆夫
1990 年 32 巻 1 号 p.
1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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城所 仂
1990 年 32 巻 1 号 p.
2
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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― hyperplastic polypおよびポリープの芽との関連について―
丸山 道生
1990 年 32 巻 1 号 p.
3-10
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
切除胃55例を対象に実体顕微鏡的拡大粘膜面観察を行い,ヘマトキシリンに濃染する,肉眼的に判別困難な微小隆起性病変,"微小隆起"を検索した."微小隆起"は17例,計53個認められ,多発傾向があり,主として,胃底腺領域・中間帯に存在した.形態は,腫大した窩間部の集簇で構成された,広基性の限局性隆起性病変で,Microphi1血管内注入による検討では,腫大した窩間部に迂曲拡張を示す多数の毛細血管が増生し,いわゆる胃のhyperplastic polypの表面微細構造,微細血管構築と類似した所見を示した.組織学的にも,隆起の長径が大きくなるにつれ,hyperplastic polypに類似した所見を示した.BrdUによる細胞動態の検索では,増殖帯の拡大,小血管のS期の内皮細胞が観察された.以上より"微小隆起"はhyperplastic polypの初期像であり,内視鏡的にいう"ポリープの芽"に相当するものと考えられた.
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―内視鏡下生検材料を用いて―
中村 昌弘
1990 年 32 巻 1 号 p.
11-19
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ヒト胃癌52例(早期癌30例,進行癌22例),異型上皮8例,腸上皮化生11例について内視鏡下生検材料を用い,flow cytometryにより細胞核DNA量を測定した.同時に健常部粘膜および末梢血リンパ球の核DNAも測定し,DNA indexを算出した.また,手術を行った症例では摘出標本からも採取し比較検討した.病変部組織では核DNA量が有意に増加しており,Index A(健常組織/リンパ球)とIndex B(病変部組織/リンパ球)の間には有意な差を認めた.胃癌症例で73%,ATPで50%,腸上皮化生では55%にaneuploidyを認め,このaneuploidyの出現率は,早期胃癌に比べ進行胃癌で,組織型では高分化型腺癌で高かった.手術症例についてみると,病期の進行と相関がみられた.以上のことより生検材料を用い,核DNA量を測定することによりprospectiveに癌細胞の生物学的特性を知ることができると考えられた.
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―胃癌発生のhigh risk groupの可能性について―
春間 賢, 隅井 浩治, 小笠原 秀和, 木村 学, 森川 章彦, 吉原 正治, 今西 幸市, 梶山 梧朗, 田原 榮一, 藤堂 祐子, 日 ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
20-28_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃酸分泌,血清ガストリン値及び血清ペプシノーゲンI(以下PGI)値から胃腺腫の背景粘膜を検討し,同年代の健常人と比較して,胃腺腫は高度の萎縮性胃炎を伴っていることを機能面から明らかにした.また,61例の胃腺腫を内視鏡検査で経過観察した結果,8例の胃癌と1例の胃腺腫を他部位に発見し,これらの成績から,胃腺腫は胃癌発生のhigh risk groupと考えられた.さらに,胃癌と胃腺腫を合併した9例のうち8例についても血清PGI値を測定したが,7例(87.5%)が著しい低値を示したことより,血清PGI値は,萎縮性胃炎の診断とともに,これを基盤に発生する胃癌のhigh risk groupをスクリーニングする簡易なマーカーとなりうることを明らかにした.
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胡井 智, 川本 克久, 光藤 章二, 辰巳 嘉英, 渥美 正英, 高顕 純平, 児玉 正, 西田 博
1990 年 32 巻 1 号 p.
29-34_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
過去3年間に当教室で超音波内視鏡により精査した膵嚢胞性病変16例のうち手術を施行した7例(仮性嚢胞2例,真性嚢胞5例)について,超音波内視鏡と腹部超音波の描出能を比較検討した.超音波内視鏡は腹部超音波に比べ,嚢胞隔壁,嚢胞壁の性状,嚢胞内部エコー,嚢胞と膵管や膵実質との関係がより明瞭に描出され,病理組織ともよく対応していた.即ち,高・低エコーの混在部が海綿状組織の部分に,乳頭状内腔突出像が腫瘍実質部に,微細顆粒状エコーが粘稠な内容物に対応すると考えられた.
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井上 晴洋, 遠藤 光夫, 竹下 公矢, 河野 辰幸, 吉野 邦英, 滝口 透, 山崎 繁, 丸山 道生, 下重 勝雄, 鈴木 知行, 伊藤 ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
37-42_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道粘膜病変の診断および治療を目的として,内視鏡的食道粘膜切除術(Endoscopic esophageal mucosalresection using a transparent tube: EMRT)を開発した.犬による動物実験では,EMRTにより切除された標本の長径を10mm以下に限定すれぼ,いずれも粘膜下層までの切除であり固有筋層に達するものは無く,もっとも注意すべき合併症である食道穿孔の危険なく食道粘膜の採取が可能であった.臨床例は2症例のルゴール不染,淡染部に対してEMRTを試み,平均7×8mmの標本を採取し,診断を目的としたEMRTの有用性を確認した.さらに犬においてEMRTを反復することにより,広範囲の食道粘膜の切除が,病変の部位や方向に関係なく可能となった(食道粘膜広範囲切除術extensiveEMRT).したがってEMRTは食道粘膜癌に対する内視鏡的治療法の1つとしても今後期待しうると考えている.
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井上 晴洋, 中村 宏, 河野 辰幸, 村瀬 尚哉, 五関 謹秀, 竹下 公矢, 遠藤 光夫
1990 年 32 巻 1 号 p.
43-51
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
細い静脈瘤に対しても確実な血管内注入法による硬化療法を施行する目的で,われわれは従来の透明チューブ(Olympus ST-E1)を用いた陰圧下穿刺法を考案し施行してきた. 今回,より簡便かつ侵襲の少ない硬化療法を施行するために外径16mmの「細径の陰圧下穿刺法チューブ」を作成した.このチューブを使用することにより,陰圧下穿刺法に際しファイバースコープ本体に内視鏡バルーンを装着する煩わしさを排し,また従来の透明チューブを用いる場合の共通の問題点であったチューブ挿入時の咽頭痛の問題をほぼ解決した.さらにスリットの大きさを従来のものより小さくすることにより,血管内注入率を77%に向上させることができた.以上より『細径の陰圧下穿刺法チューブ』を用いた硬化療法は血管内注入法による硬化療法を施行する際に非常に有力であると考えられた.
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横田 敏弘, 光島 徹, 中元 和也, 横内 敬二, 阿部 陽介, 永谷 京平, 有馬 信之, 南原 好和, 井熊 仁, 津田 純朗, 大橋 ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
52-59_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
様々の理由で開腹手術が不適当と考えられた胆嚢及び胆管結石症患者38症例に対して,経皮経肝胆道鏡による結石除去術を施行した.結果は26例(68.4%)において,内視鏡のみにてすべての結石を除去することができた.6例(15.8%)は内視鏡にて総胆管結石及び肝内結石を除去した後,胆嚢剔出術を施行した.内視鏡による結石除去術が結局不成功に終わったのは,内視鏡のみにては結石除去不可能と判断し手術した2例(5.3%),最終的に結石を取りきれず経過観察とした3例(7.9%),腹壁胆道外瘻が破壊されたため緊急手術を施行した1例(2.6%)等であった.以上のように,少なからざる不成功例の存在という問題点はあるものの,経皮経肝胆道内視鏡による結石除去術は,全身状態不良で開腹手術に対して危険因子を有する胆道結石症患者にとって,安全かつ有効な治療法であることが確認された.
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―特に虚血性大腸炎と急性出血性大腸炎における比較を中心に―
前谷 容, 秋谷 正彦, 大橋 茂樹, 渡辺 七六, 吉岡 秀樹, 西川 邦寿, 高田 洋孝, 五十嵐 良典, 剛崎 寛徳, 伊部 晃裕, ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
60-66
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸内視鏡にて診断した大腸炎のうち線状潰瘍・発赤を伴う例について検討し,特に虚血性大腸炎と急性出血性大腸炎とを比較した.急性出血性腸炎は薬剤の関与の明らかなD+群および薬剤の関与はないが臨床像の類似したD-群とに分けて検討した. その結果いずれの腸炎も罹患部位やその拡がりに差はなかった.またIC群では潰瘍を合併するものが多かったが,その内視鏡像は類似していた.また発症3日以内にとられた生検標本を比較検討し,急性出血性腸炎の中にも虚血性腸炎として矛盾しない所見を呈する症例があり,鑑別は困難であった.D-群はD+群と近似したが,その所見はやや軽微な傾向を示した.急性出血性腸炎には軽微ながら虚血性病変が関与していることが示唆された.
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―特に内視鏡的ポリペクトミーの有用性について―
小林 清典, 勝又 伴栄, 菊池 芳春, 三富 弘之, 鈴木 裕, 山本 佳正, 五十嵐 正広, 西元寺 克禮, 大谷 剛正, 瀬川 謙一, ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
67-73_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
直腸カルチノイド12例の臨床病理学的検討を行い,内視鏡的ポリペクトミーの有用性および適応につき文献例を加え検討した.対象の平均年齢は46.8歳.腫瘍の肉眼型は無茎性が9例(75%)と多く,表面平滑,黄色調が特徴であった.腫瘍径は10mm以下が9例(75%)であった.深達度は2例(17%)で筋層浸潤をみた他は,粘膜下層までであった.腫瘍径10mm以下で筋層以下への浸潤,遠隔転移は認めなかった.治療は内視鏡的ポリペクトミー4例,局所切除7例,根治的腸切除1例であった.文献例を加えたポリペクトミー39例中31例(79%)の腫瘍径は10mm以下であり,切除断端陽性は16/26例であったが,経過観察中に腫瘍組織の遺残を確認し得たのは大きさが15mmの1例のみであった.以上より腫瘍径10mm以下の直腸カルチノイドにおいては,内視鏡的ポリペクトミーが以後の治療方針を決めるうえで有用であると思われた.
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岡本 美穂, 柴田 好, 黒川 洋, 奥山 修兒, 竹村 清一, 原 久人, 奥村 利勝, 小原 剛, 岡村 毅與志, 並木 正義, 伊藤 ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
74-81
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は63歳の男性で嚥下困難を主訴に来院した.食道には門歯より33cmから40cmに全周性の陥凹性病変,胃には胃角部後壁を主体にボルマンII型の腫瘍,大腸には肝彎曲部に扁平な発赤した隆起が存在した.内視鏡的生検で食道は扁平上皮癌,胃と大腸は腺癌と組織学的に診断した. 食道・胃・大腸の消化管だけに発生した三重複癌と診断し,一期的に手術した.患者は術後60日目に不幸な転帰をとった. 最近,重複癌は増加の傾向にあり,日常診療に際して留意する必要がある.本症例は3癌とも消化管に発生した点で稀であると考え報告した.
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―本邦報告例の集計と考察―
埜村 智之, 近藤 芳正, 籠橋 厚樹, 松下 豊顕, 日栄 康樹, 伊藤 朋文, 船戸 善彦, 堀田 哲夫, 大杉 百合夫, 渡辺 英伸
1990 年 32 巻 1 号 p.
82-92_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
高ガストリン血症を伴った抗胃壁細胞抗体陽性のA型胃炎に,極めてまれな有茎性カルチノイド1個と多発性微小カルチノイド,および多数の内分泌細胞微小胞巣を合併した1例を報告した. 症例は52歳女性.胃集検にて異常を指摘され,精査目的にて入院.胃体中部より幽門輪に嵌頓した有茎性ポリープを内視鏡的に切除したところカルチノイドであり,他にも複数のカルチノイドを認めたため,胃全摘術を施行した.抗胃壁細胞抗体陽性,無酸症,高ガストリン血症を伴っており,術中採血により幽門領域から高濃度のガストリン分泌を認めた.病理組織学的には幽門腺領域のG細胞は増生し,胃底腺領域では粘膜は萎縮し,粘膜内に内分泌細胞過形成と内分泌細胞微小胞巣の増生,及び多数の微小カルチノイドを認めた.これらより本症例はカルチノイドの発生に示唆を与える症例と考えた.また,本邦における多発性胃カルチノイドを文献的に考察した.
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(Gastric Antral vascular Ectasia=GAVE)の1例
貝瀬 満, 田中 重之, 鈴木 昭文, 小林 義隆, 西村 誠, 領家 俊雄, 村岡 威士
1990 年 32 巻 1 号 p.
93-99
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
悪性貧血を伴うGastric Antral Vascular Ectasia (=GAVE)の1例を経験したので報告する.症例は82歳女性.高血圧・大動脈弁狭窄・慢性肝障害を合併.高度の大球性貧血を指摘され当科入院.著明な高ガストリン血症を呈する悪性貧血及び胃前庭部にびまん性のvascular ectasia(=VE)を呈するGAVEと診断した.highriskであり手術を見送り,保存的な治療を試みたが長期間に渡り大量の輸血を必要とし,多臓器不全により死亡した.本邦報告例2例を含む50例のGAVEを検討した.GAVEは高齢の女性に多い傾向を示し,内視鏡的にwatermelon stomachとdiffuse antral vascular ectasiaの2つのタイプに分類出来た.VEを生じうる肝硬変・大動脈弁狭窄・強皮症・慢性腎不全などを合併する症例を認め,GAVEの成因との関連が推測された.また,GAVEには高率に無酸症を合併し,無酸症に伴う高ガストリン血症とGAVEの関係について検討を加えた.
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坂上 博, 三木 茂敬, 水上 祐治, 細川 鎮史, 山下 省吾, 佐々木 達郎, 太田 康幸
1990 年 32 巻 1 号 p.
100-104_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
消化管粘膜線溶活性の亢進が認められ,抗線溶療法が奏効したCronkhite-Canada症候群の1例を経験した.症例は59歳,男性.下痢を主訴として来院.胃および大腸のポリポーシス,皮膚色素沈着,頭髪の脱毛,爪甲の萎縮,高度の低蛋白血症を認めた.Fibrin平板を用いて内視鏡下に採取した生検組織の局所線溶を測定したところ,胃,大腸粘膜のいずれにおいても顕著な線溶活性の亢進が認められた.栄養補給に加えて,Camost atmesilate1日600mg経口,Tranexamic acid1日500mg経静脈投与を併用し,約3カ月間で自他覚症状,低蛋白血症が改善し,4~6カ月間で胃,大腸ポリポーシスが消失した.線溶活性は臨床症状の改善とともに低下してゆき,臨床経過に並行した変化を示した. これまでの本邦報告例を検索すると,本症候群の12例に対して抗線溶療法が行われており,8例が軽快,治癒し,4例が無効であった.消化管粘膜線溶活性の検討はほとんどなされておらず,本例は,本症候群における消化管内蛋白漏出機序および治療を考える上で示唆に富む症例と思われた.
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太田 博郷, 中條 千幸, 山中 敏広, 遠藤 宏, 佐々木 達夫
1990 年 32 巻 1 号 p.
105-108_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は77歳の男性である.神経痛治療のため消炎鎮痛剤を内服して10日後に吐血したため当院を受診した.内視鏡検査にて胃体部に多発性の潰瘍がみられたが,前庭部前壁に皺襞様の隆起した発赤部を認めた.急性多発性胃潰瘍と診断して抗潰瘍剤にて治療した.2週後に潰瘍はいずれも縮小し退院した.退院後3週目には胃体部の潰瘍はいずれも消失していたが,前庭部前壁の隆起は陥凹を伴って増大しておりIIa+IIc型早期胃癌を疑い再入院した.さらに3週後の検査では病変は凹凸が著明となりBorrmann2型の進行癌との鑑別が問題になる程であった.胃切除術が施行され,病変は深達度smのIIa+IIc型早期胃癌(中分化型腺癌)と診断された.病変部粘膜内には多発性の小嚢胞がみられた. 多発性壁内嚢胞を伴い急速な形態的変化を示したIIa+IIc型早期胃癌を内視鏡的にとらえられた本例は,胃癌の発育を考える上で多くの示唆を与えると思われる.
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落合 秀宣, 清水 敏朗, 浜田 英治, 山本 佳洋, 瀬在 秀一, 吉野 克正, 宇藤 浩, 森田 敏和, 平野 正憲, 岩瀬 透, 右田 ...
1990 年 32 巻 1 号 p.
109-114_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
65歳男性.秋田県在住,農業・養鶏業自営.鶏肝の生食を好む.食欲不振・全身倦怠感・微熱を主訴として発症.入院時現症では,体温36.9℃,肝1横指触知.血液検査所見では,WBC22,400/mm
3(Eosino.70.5%)と好酸球増多あり,γ-globulin(IgE7,500u/ml)の増加,軽度肝障害と血沈・CRPの上昇を認めた.CT・エコー検査では特に所見は無いが,肝シンチ上,多数の欠損像を認めた.腹腔鏡検査では,肝表面凹凸不整で,黄白色結節が散在していた.同結節の狙撃生検により,好酸球高度浸潤を伴った肉芽腫性炎症像,さらに一部中心性壊死を認める肝組織を得た.血清免疫反応により猫蛔虫抗原との強い反応があり,猫蛔虫症と診断した.Thiabend-azole1,500mg3日間投与を数回行った結果,好酸球増多と自覚症状は改善.軽快後のシンチでは欠損像は消失し,肝生検像で好酸球浸潤と肉芽腫性変化は軽減し,グ鞘の線維化を認めた.本例は,本邦6例目のヒト猫蛔虫症例である.
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内田 潔, 伊藤 真吾, 山本 均, 小長谷 敏浩, 桜井 浩二, 西尾 雄司, 山瀬 博史, 長谷川 洋, 森瀬 公史, 加藤 洋
1990 年 32 巻 1 号 p.
115-124_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
下血を主訴として来院した膵多形細胞癌の1例を報告する.症例は72歳の男性で内視鏡検査で十二指腸下降脚に憩室がみられ,憩室内にoozingを伴う出血性びらんを認めた.腹部超音波およびCT検査にて,膵頭部に直径約4cmの不均一な腫瘤を認め,逆行性膵管造影では主膵管に著明な狭窄を認めた.血管i撮影では前上膵十二指腸動脈の偏位と軽度のencasementを認め静脈相で腫瘍濃染像を認めた.びらんからの生検にて紡錘型肉腫様細胞を認め,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は被膜を伴い,出血壊死傾向が強く膨張性に発育していた.組織学的には紡錘型細胞主体の部分,多核巨細胞と組織球を主体とする部分が混在し,さらに腺癌の部分もみられ一部にこれらの移行像が認められた.また腫瘍内に骨形成が認められた.膵多形細胞癌の本邦報告例は15例と少なく,憩室内出血にて発症した例は著者らが調べた限り見あたらずまれと考えられた.
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坂 充, 小野 重明, 平原 美孝, 黒沢 正喜, 飯塚 美伸
1990 年 32 巻 1 号 p.
125-130_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は73歳の男性で,右下腹部違和感と便潜血陽性を主訴に来院.大腸内視鏡検査で横行結腸に隆起性病変と,回盲部に鮮血が認められたが出血部位は同定できなかった.腹部血管造影検査で回結腸動脈領域に拡張,蛇行した異常血管を認め,再度の大腸内視鏡検査により,回盲部に5個の赤色で境界明瞭なわずかに隆起した病変を認め,大腸angiodysplasiaと診断した.本症は欧米ではひとつの疾患単位とされている.本邦においても報告例が増えつつある.本症が高齢者に好発し,心肺疾患の合併がしばしぼみられることから,非侵襲的な内視鏡的治療法の開発が重要であると思われた.
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―大腸癌の発育・進展に関する一考察―
吉田 司, 富田 志郎, 柿崎 善明, 伊藤 誠司, 加納 正史, 五十嵐 潔, 佐藤 家隆
1990 年 32 巻 1 号 p.
133-141
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
微小癌1例を含む3例のIIc型早期大腸癌を報告した.内視鏡所見は,症例1:中心部が陥凹したほぼ平坦な発赤斑(S状結腸),症例2:中心陥凹傾向のある褪色した平坦隆起(直腸),症例3:中心部が陥凹した赤味のある平坦隆起(S状結腸),として観察されたが,切除標本ではいずれも隆起の要素のない陥凹性病変であった.大きさは各々,6×2mm,3×1mm,9×7mmであった.組織学的には,いずれも陥凹部に一致して高分化腺癌が認められ,深達度は各々sm,m,mであった.3症例とも臨床的にde novo癌と考えられた。 大腸内視鏡検査の診断能の向上と検査数の増加に伴い陥凹型早期癌症例が増加しているが,その存在を意識して内視鏡検査を行うことにより今後さらに増加することが予想される.平坦隆起ないし陥凹型すなわち非ポリープ型早期癌の大腸癌の初期型としての位置づけが,従来考えられていたより大きいことが推察された.
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北原 健二, 今村 健三郎, 前田 和弘, 岡田 光男, 八尾 恒良
1990 年 32 巻 1 号 p.
142-147
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肛門痛,下痢にて発症した肛門出血がみられなかった急性出血性直腸潰瘍の1例を経験した.大腸内視鏡所見では歯状縁に接した下部直腸に限局する浅い不整形,地図状の潰瘍と,それに近接して類円形の潰瘍が散在して認められた.生検組織所見は非特異的な潰瘍の所見であった.1カ月後には潰瘍はほぼ治癒した.潰瘍の部位,形,潰瘍の治癒経過から本例は河野.広岡の提唱した急性出血性直腸潰瘍に極めて類似していたが,必発症状である大量新鮮血便を本例では欠いていた.
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安武 晃一, 吉村 幸男, 今村 諒道, 大家 学, 松下 健次, 時末 充, 奥谷 俊夫, 大野 繁一
1990 年 32 巻 1 号 p.
149-153_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ズーム式電子内視鏡GIF-V10Zの仕様,性能における最大の特徴は対物レンズとCCDの間に変倍レンズを装着し,倍率を連続的に変化させることが出来るズーム式となっている点である.今回,われわれは本機を47例に用いたが,1例は挿入できなかった.これは,先端軟性部が若干長いためと考えられた.なお,46例における観察病変は食道2病変,胃が48病変,十二指腸が8病変の58病変であった.本機は従来の拡大内視鏡に比較して倍率が低いが,解像力のよい画像が得られ画像解析の際に有効と思われる.また,直視鏡の欠点も有しているが,拡大観察においてズーム式が理想である点で本機はその理想に一歩近づいたと考えられる.今後の改良点は1)移動レンズの距離を現在の機種より短くしつつ.ズーム比をより高倍率にする.2)観察方式を側視から直視へ連続的に変化させうる.これらが実用化すれば本機は真の意味での拡大内視鏡となりうると考えられる.
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林 俊之, 鈴木 茂, 高崎 健, 中川 昌之, 桂 浩二, 羽生 富士夫, 小林 誠一郎
1990 年 32 巻 1 号 p.
154-158_1
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
今年の画像診断の発達により,下大静脈腫瘍栓の術前診断は,容易になった.しかし,腫瘍栓そのものを,直接,観察しようという試みはまだない. 最近われわれは,先端にバルーンを装着した内視鏡(CHFP-10)を,下大静脈内に挿入し,腫瘍栓を自らの目で観察しようと試みた. 3例の内2例(腎細胞癌及び肝細胞癌)においては,腫瘍栓が腎静脈もしくは肝静脈から伸びだし,下大静脈内を浮遊している像が,はっきりと認められた. もう1例では,腫瘍栓は既に消失していたが,左側下大静脈の奇形と,その内部の隔壁が認められた.
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1990 年 32 巻 1 号 p.
161-202
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 1 号 p.
202-220
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 1 号 p.
220-240
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 1 号 p.
240-246
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 1 号 p.
246-255
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 1 号 p.
256-289
発行日: 1990/01/20
公開日: 2011/05/09
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