日本消化器内視鏡学会雑誌
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32 巻, 12 号
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  • 井上 晴洋, 中村 宏, 下重 勝雄, 村瀬 尚哉, 河野 辰幸, 五関 謹秀, 竹下 公矢, 遠藤 光夫
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2813-2819
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     血管内注入法による食道静脈瘤硬化療法(EIS)を施行時の,壁内および壁外血行路の変化について,超音波内視鏡による検討をおこなった.その結果,EISにより,食道および胃上部の壁内血行路はほとんどが栓塞され,壁外血行路は旁食道では大きな変化を見ず,むしろ一部に増加する症例も認められた.また腎上部の壁外血行路は全例で有意に減少した.したがってEIS(血管内注入法)は「食道および胃の壁内血行路の大部分を遮断し,また胃上部の壁外血行路の一部を栓塞するもの」であり,基本的に「壁内血行路の遮断を主体とした治療法である」と考えられた.
  • 金沢 雅弘, 佐野 順次郎, 川口 淳, 岩田 雅史, 小林 正彦, 足立 洋祐, 永尾 重昭, 田尻 久雄, 宮原 透, 丹羽 寛文
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2820-2825
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に十二指腸球部幽門輪直下にしばしば観察される潰瘍瘢痕様の所見が,病理組織学的に瘢痕であるのか否かを切除標本を用いて検討した.内視鏡で瘢痕と考えられた部位は病理組織学的にも筋層におよぶ線維化ならびに粘膜筋板の断裂,乱れ,ブルンネル腺の萎縮,消失などの所見が認められ,潰瘍瘢痕であると診断できた.また幽門輪直下を特に注意して内視鏡検査を行い,瘢痕所見の出現頻度を検討してみたところ,無作為に検査を行った154症例のうちの75%にこの種の所見が認められた.
  • 宮本 正喜, 森本 真輔, 山田 浩幸, 中島 卓利, 大本 明義, 岡野 裕行, 王 東明, 高田 彰彦, 青山 伸郎, 尹 聖哲, 川井 ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2826-2837
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     電子内視鏡において,画像間の処理を行うRGBサブトラクション画像処理装置を開発した.この装置を従来の電子内視鏡に組み込み,各種の胃病変に対し,メチレンブルー散布前後において,RGBサブトラクション処理をおこなった.基礎検討として,メチレンブルーを散布した正常胃粘膜の反射率特性を測定し,その平均ピーク波長を求めた.さらにRGBサブトラクション処理で得られた画像の検討を行うとともに,装置の設定パラメータであるサブトラクションレート,ゲインナンバーの値についても検討を行った.基礎検討よりメチレンブルー散布を行った場合,反射率特性の平均ピークでの波長は452nmであり,ブルー帯域に入っていた.オリジナル画像に対するRGBサブトラクション処理では,R-GとR-B,G-BとB-G,G-RとB-Rの像が類似しており,メチレンブルー散布を行った上でのRGBサブトラクション像により病変部と正常部の境界および表面の変化や構造も明瞭化された.さらにメチレンブルーRGBサブトラクション像より得られた内視鏡像上の正常病変境界は,病理組織上の境界とほぼ一致していた.以上より,本法は種々の胃病変をより明瞭化し,粘膜上での広がりをより正確に評価でき,今後早期胃癌の内視鏡的治療を行う際に応用し得ると考えられる.
  • 胡井 智, 川本 克久, 寺前 直樹, 福光 真二, 道中 智恵美, 古谷 慎一, 高升 正彦, 西田 博, 佐藤 達之, 布施 好信, 児 ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2839-2845_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過去10年間に当科および関連施設にて経験した虚血性大腸炎(以下IC)51症例につき検討した.発症年齢は平均62.5歳で,女性(64.7%)に多く,40歳未満の若年者ではさらに女性優位(75.0%)であった.主訴では腹痛(78.4%),血便(84.3%),下痢(31.4%)が多かった.基礎疾患では血管側因子として高血圧(25.5%),心疾患(15.7%),脳卒中(7.8%)などが多くみられたが,便秘や浣腸が誘因となった例も5例(9.8%)あり,また,腹部手術後が8例(15.7%)にみられたことから,腸管側因子もICの発症誘因として関与する可能性が示唆された.病変部位は下行結腸(38.9%),S状結腸(27.4%),横行結腸(17.9%)の順に,病型分類では一過性型(80.4%),狭窄型(11.8%),壊死型(3.9%)の順に多かった.狭窄型と一過性型との比較では,病悩期間および発病初期の白血球数が両者の鑑別に有用である可能性が示唆された.
  • ―特に腺腫と癌の関連について―
    岡本 平次
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2846-2855_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     筆者は1985年に5mm以下の大腸癌9例の形態学的,臨床的特徴を報告し,5mm以下の大腸癌を「微小癌」と定義することを提唱した.その後症例を重ね,微小癌39例(m癌38,sm癌1)を経験した.微小癌の実態を明らかにし,癌の発生母地を解明するために内視鏡学的,組織学的に検討し,次の結果を得た.1)微小大腸癌は稀な病変ではない(全早期癌中10.1%).しかし微小病変の中で占める頻度は低い(1.1%).2)多くは隆起性病変であったが,少数ながら隆起の目立たない病変や陥凹を呈する病変もあった.3)内視鏡的「硬さ」,緊満感,陥凹等が手掛かりとなって,1/3は切除前に診断可能であった.4)他の大腸部位に腺腫や早期癌を随伴する多発例が多い(63.2%).腺腫多発随伴例は13例(35.1%),早期癌多発例は10例(26.3%)であった.5)癌組織だけで成り立つ病変は15例,38.5%であった.残りの病変は腺腫を伴っており,癌との境界は明瞭でなく(91.7%),かつ癌より腺腫の方が優勢であった.6)対象を5mm以下の微小癌に絞っても,デノボ発生する癌と腺腫を母地として発生する癌の2通りがあり,その比率は4:6である.
  • 磯 彰格, 大塚 弘友, 清水 誠治, 青木 美博, 岡村 雅子, 佐藤 敬美, 中沢 敦子, 多田 正大, 杉本 鋪正, 川本 一祚, 川 ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2856-2863
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ズーム機構を有するvideoimage endoscope・CF-V10ZIを用いて,大腸隆起性病変(化生性ポリープ,腺管腺腫,早期癌,進行癌)を観察し,その表面微細構造のパターン抽出を行った.パターン抽出像をもとに「幅」,「面積」,「伸長度」,「不整度」,「拡張度」の各要素について画像解析を試みた.その結果,「面積」,「不整度」,「拡張度」による解析では化生性ポリープ,腺管腺腫,進行癌の内視鏡的鑑別診断の可能性が示唆されたが,「幅」,「伸長度」による解析では4疾患の鑑別は困難であった.今後ハレーション,粘液等のノイズを除去することで,さらに安定した画像がえられ,内視鏡診断の客観化,自動化への糸口となるものと期待された.
  • 白浜 龍興, 武井 一雄, 野村 勉, 古川 一雄, 加藤 雅士, 箱崎 幸也, 真方 良彦, 大庭 健一, 山田 省一, 中川 克也, 佐 ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2865-2875
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1978年から1989年までの12年間のレンジャー訓練生593名のうち47例(7.9%)の急性胃潰瘍(6例は十二指腸潰瘍と併存)を認め,これらのうち治癒の遷延化,再発などにより1年以上の内視鏡的経過観察を行った症例は6例(12.8%)であった. 6例中2例は訓練前内視鏡検査で潰瘍瘢痕を認めた症例であるが,4例は初発の潰瘍で4例とも治癒に5週以上を要した症例(治癒に比較的長期間を要した症例)で,4例とも訓練を契機に再発した.呈示した症例2は胃角部から胃体部中部にかけての巨大な帯状潰瘍であったが,他は胃角部を中心に認められた潰瘍で,いずれにしても胃角部中心に発生した急性潰瘍で,再発した潰瘍も同部位であった.強いストレスが持続すれば,また再度の強度のストレスに遭遇すれば,急性潰瘍も治癒が遷延化し,慢性化し,再発することが強く示唆された.
  • 押谷 伸英, 北野 厚生, 田端 晃博, 緒林 誠, 加島 和俊, 福嶋 龍二, 岡部 弘, 中村 志郎, 小畠 昭重, 松本 誉之, 小林 ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2877-2882_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     潰瘍性大腸炎5例についてステロイドパルス療法の有効性を検討した.全例男性で,全大腸炎型1例,左側大腸炎型4例である.全例中等症で4例は再燃緩解型再燃時であり,1例は再燃緩解型であったが,1983年以降内視鏡的にも潰瘍が持続する慢性型へと移行した症例である.全例再燃前の薬剤は続行し,hydrocortisonesodium succinateを500~1,000mg1日1回点滴静注し,3日間を1クールとし,原則として3クール行った.その結果臨床的には4例において排便回数はすみやかに減少し,うち3例においては内視鏡的にも著明な改善がみられた.本療法はステロイドホルモンの漸減を必要としないという点において有用性があり,潰瘍性大腸炎におけるステロイドホルモン療法としてその可能性が期待される.
  • 坂田 泰志, 山岡 宏太郎, 木須 達郎, 内田 康文, 森 久男, 坂田 祐之, 赤坂 精隆, 藤崎 純士, 平野 正弘, 田中 潤一, ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2883-2887_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃結核はまれな疾患であり,本邦において内視鏡下生検で診断した報告は16例に過ぎない.著者らは内視鏡下生検組織の培養で結核菌を証明し,潰瘍型の孤立性胃結核と診断した症例を経験した. 患者は脊椎管狭窄症で当院整形外科に入院していた74歳の男性で,嘔気,嘔吐,心窩部痛が生じたため内視鏡検査を施行した.胃体下部から胃角部前後壁に不整形の潰瘍が多発しており,内視鏡下生検組織像では類上皮肉芽腫,乾酪壊死および結核菌は証明できなかったが,採取した生検組織の培養により結核菌を同定し胃結核と診断した.抗結核剤投与により,内視鏡的に6週間後,潰瘍の改善を認めた. 胃結核で内視鏡検査にて直接結核菌を証明した報告は,今までに本邦で1例のみであり,また,検索しえた範囲では内視鏡下生検組織の培養を行い,胃結核と診断しえた報告は認めず,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 井上 和彦, 徳毛 健治, 鈴木 武彦, 豊島 仁, 吉原 正治, 春間 賢, 隅井 浩治, 梶山 梧朗, 難波 紘二
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2888-2895
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     化学療法が著効した食道悪性リンパ腫を経験した.症例は69歳女性,軽度嚥下障害を主訴に来院,上部X線検査では食道の拡張と静脈瘤様の皺壁腫大,内視鏡検査では柔らかな縦軸方向の皺壁腫大を認めたが食道粘膜に潰瘍やびらんはなかった.CT検査では食道壁の著明な肥厚を認めた.MRIでは食道の走行に一致して均一な高吸収域を認めた.内視鏡下に大型鉗子を用いて生検することで初めて病理診断可能であり,悪性リンパ腫(smallcell, diffuse type)であった.化学療法(VEPA療法)でX線所見,内視鏡所見ともに改善し,CT検査にても肥厚していた食道壁は28mmから5mmへと改善した. 食道原発の悪性リンパ腫は稀であり,本邦報告例は15例である.また,その形態も潰瘍形成を伴った腫瘤型がほとんどであり,静脈瘤様形態を呈するものは稀である.静脈瘤様形態を呈し,化学療法が著効した食道原発の悪性リンパ腫を経験し,文献的考察を加え報告した.
  • 古川 善也, 大徳 邦彦, 平田 康彦, 山岡 義文, 平田 克己, 楠部 滋, 藤原 恵, 山本 昌弘, 井上 省三, 玉田 隆一郎
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2896-2902_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は44歳,男性.健康診断で偶然,十二指腸下行脚に隆起性病変を指摘された.内視鏡検査でbridgingfoldを伴う腫瘍を認め,その表面のびらんを生検したところcarcinoidを認めた.ERCPでは腫瘤の中央部に副膵管が開口しており,十二指腸副乳頭部のcarcinoidと術前診断した.血中serotoninやホルモンは正常であった.手術は膵頭十二指腸切除術(PD)を施行した.摘出した腫瘍は1.8cm大であったが,膵臓に直接浸潤しており,リンパ節に転移を認めた.病理組織学的には腺管形成と砂粒体を認め,免疫組織学的にsomatostatin抗体に陽性を示す稀な型のcarcinoidであった.十二指腸下行部の粘膜下腫瘍を認めた時には,副乳頭部のcarcinoidの可能性も考慮にいれて検査を進める必要があり,さらに副乳頭部のcarcinoidの治療には,PDと共に徹底したリンパ節郭清が必要であると考えられた.
  • 上杉 秀永, 勝又 伴栄, 山本 佳正, 三富 弘之, 小林 清典, 五十嵐 正広, 西元寺 克禮, 鈴木 裕, 工藤 康生, 大谷 剛正, ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2903-2911
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     術前に診断し得た回盲部悪性リンパ腫による成人腸重積症3例を報告する.3症例ともに間欠的腹痛のため来院.注腸造影にて巨大腫瘤陰影,カニの爪様所見,Coiled spring sign等を認め,腫瘤を先進部とした腸重積症と診断した.大腸内視鏡では,管腔内をほぼ占拠する球形腫瘤を認め,表面は軽い凹凸を呈するが,大きさのわりには光沢は保持されており,易出血性に乏しく,通常の上皮性悪性腫瘍とは異なる所見を有していた.このため非上皮性腫瘍,とくに悪性リンパ腫を疑い,生検組織学的にも確認し得た.外科的切除を施行した結果それぞれの原発巣は,終末回腸,回盲弁,盲腸であった.終末回腸よりも肛門側に発生し,重積を来したものは極めて稀であり,今回捉えた大腸内視鏡像も特異的であると考え,報告した.
  • 森近 茂, 貴志 文俊, 山田 隆年, 古城 研二, 平田 健, 柴田 和成, 丸山 睦郎, 大崎 俊英, 金 仁洙, 成末 允勇, 有正 ...
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2913-2916_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     切除可能であった直腸原発悪性リンパ腫の3症例を経験した.2例は長期無再発生存中である.症例1は57歳の女性で便秘にて受診.直腸に結節性病変を2個もっていた.1個は粘膜下腫瘍様で平滑な表面を呈し,他の1個は中心部に陥凹を有した分葉状の表面を呈した.45カ月,無再発生存中.症例2は54歳女性で血便にて受診.直腸に1個の結節性病変を有し,表面に小さな潰瘍を呈していた.54カ月,無再発生存中.症例3は74歳の女性で血便にて受診.直腸に大きな潰瘍性病変を呈した.手術後4カ月後に脳卒中で死亡した.これら3症例の病変は直腸壁内に限局されており,直腸原発の悪性リンパ腫と診断された.
  • 宮原 秀仁, 赤松 泰次, 大和 理務, 津金 永二, 松田 至晃, 長谷部 修, 松沢 賢治, 牛丸 博泰, 古田 精市
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2917-2922_1
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は,14歳・男性.下痢・腹痛・体重減少を主訴として来院.初診時37.3℃の微熱と心窩部の圧痛を認め,血沈値22mm/1hr・CRP0.9mg/dlと軽度の炎症反応を認めた.初回注腸X線検査及び大腸内視鏡検査において全大腸にわたりアフタ様潰瘍を認めたが,縦走潰瘍や敷石状外観は見られなかった.アフタ様潰瘍からの生検で非乾酪性肉芽腫を認め大腸クローン病を疑った.サラゾピリン・栄養療法による治療を行ったところ,症状軽快しESR・CRPも正常化した.3カ月後の大腸内視鏡検査ではアフタ様潰瘍は改善していたが,回腸末端部に新たに縦走潰瘍がみられ,またその後痔瘻も出現したことからクローン病と確診した.縦走潰瘍や敷石状外観などの特徴的な所見を欠き,アフタ様潰瘍のみで発症したクローン病の報告はほとんどなく,本邦での報告例4例を含め若干の文献的考察を加え報告する.
  • 木曽 真一, 柏原 赳, 伊藤 俊雄, 橋本 光司, 藤森 永二郎, 大木 篤, 福田 熙, 川上 房男, 多胡 基, 奥野 巍一
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2923-2931
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     伝染性単核症様症候群の2例についてその腹腔鏡所見について報告する. 症例1.20歳,男性.主訴は,発熱,咽頭痛.全身のリンパ節腫脹,肝脾腫を認め異型リンパ球増多,ポールバンネル反応陽性.GOT 105IU/L, GPT 114IU/L, LDHは1,024IU/Lと増加していた. 症例2.32歳男性.主訴は発熱.頸部リンパ節腫脹,肝脾腫を認め異型リンパ球増多,GOT 103IU/L, GPT 129IU/L, LDHは1,101IU/Lと増加. 腹腔鏡所見では,2症例ともに脾腫を認め,肝は軽度腫大し表面平滑,近接で門脈域に一致する白色紋理の増強がみられ,ICG注射後白色紋理はより明瞭となった.症例1では,腸間膜リンパ節の腫大が観察された.生検肝組織標本では門脈域は軽度拡大し小円形細胞浸潤が高度にみられた.また,小葉内でも小円形細胞が類洞内に連珠状に浸潤していた.線維化はほとんど認めなかった.
  • 山川 治, 加登 康洋, 米島 学
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2932-2937
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵管非癒合例において,反復する急性膵炎発作の前後での膵管像の変化をERCPによって観察し得たので報告する.症例は30歳男性.日本酒3~5合/日,10年間の飲酒歴がある.大量飲酒後の左季肋部痛を主訴に来院.白血球数,血清アミラーゼ値の上昇,CTにて著明な膵腫大を認め,中等症急性膵炎と診断し加療した.ERCPにて主乳頭より短小膵管,副乳頭より背側膵管像が得られ膵管非癒合の所見であったが,両膵管像に異常所見を認めなかった.退院後も大量飲酒による急性膵炎発作を繰り返し,9カ月後再入院.ERCPにて短小膵管には異常を認めなかったが,背側膵管は膵頭部で長さ2cmにわたって狭窄しており,体部の膵管は直径6mmの不整拡張を認め,背側膵の中等度慢性膵炎の像であった. 膵管非癒合例においてほぼ正常状態からの膵管像の変化を観察し得たことは稀であるが,本例における膵管像の変化は,膵炎の発症ならびに進展における副乳頭の関与をを示唆しており,不明の点が多い膵管非癒合と膵炎との関係を考えるうえで貴重な症例と考えられた.
  • 石後岡 正弘, 平尾 雅紀, 高桑 良平, 山崎 左雪, 杉原 保, 内沢 政英, 今津 純夫, 升田 和比古
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2938-2945
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道腫瘍7例に対してHSE局注を併用した内視鏡的粘膜切除(ERHSE)を施行した.本法の特徴は出血性胃潰瘍に対する内視鏡的止血法のために独自に開発し,さらに早期胃癌の内視鏡的切除に応用してきたHSE液を使用することにより,腫瘍を安全にしかも確実に切除できる点である.その方法は,(1)切除予定線を高周波メスにてマーキングする.(2)HSE液を粘膜下層に局注し病巣部を膨隆させる.(3)切除予定線を高周波メスにて切開する.(4)把持鉗子にて切除予定組織を十分挙上する.(5)スネアをかけて絞扼し通電させて切離する.(6)切除組織の回収及び確認をするというものである.全例完全に切除することができ,病理組織学的検索をなし得た.その内訳は平滑筋腫4例,顆粒細胞腫2例,扁平上皮乳頭腫1例である.また本法による出血や穿孔などの合併症はなく,経過も良好であった.以上より本法は食道腫瘍の治療に優れており,従来施行困難であった平坦あるいは陥凹性病変,とりわけep癌や異形成病変などにも適応でき,内視鏡的治療および診断に広く応用できる.
  • First Bulletin-1988- (Part III)
    日本消化器内視鏡学会
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2947-2957
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1990 年 32 巻 12 号 p. 2958-3112
    発行日: 1990/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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