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林 延彦
1990 年 32 巻 4 号 p.
809-815
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤27症例を対象として,体腔内走査によるcolor Doppler echographyを用い,内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(endoscopic injection sclerothrapy;以下EISと略す)施行前後で静脈瘤の観察を行った.その結果,EIS施行前では,27症例全例において食道壁内に静脈瘤の血流を示すcolor表示を認めた.EIS施行後にcolor Doppler echographyを施行できた18症例の内視鏡所見は,F0症例が2例,F1症例が16例であった.Color Doppler echographyでは,F0の2例およびF1の16症例中12例(75%)において,食道壁内のcolor表示の消失を認め,静脈瘤に対する十分な治療効果が期待できた.しかし,F1の16症例中4例(25%)では,color表示が残存し,いずれの症例も発赤所見の再発を認めた. Color Doppler echographyは,EISの治療効果判定および治療後の静脈瘤再燃,再発予知において,簡便かつ有用な検査法になるものと考えられた.
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田辺 聡, 小泉 和三郎, 横山 靖, 西元寺 克禮, 岡部 治弥
1990 年 32 巻 4 号 p.
817-831
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
上部消化管出血に対するヒータープローブ法の臨床的な止血効果をエタノール局注法と比較検討するとともに,止血機序,安全性について基礎的実験を行い検討を加えた.ヒータープローブ法による止血率は,上部消化管出血89例中84例(94.4%)であり,エタノール局注法による止血率74例中64例(86.5%)と比較し高率であるが有意差は認めなかった.1回の止血操作による露出血管消失率はヒータープローブ法89例中60例(67.4%),エタノール局注法74例中36例(48.6%)とヒータープローブ法で有意に高率であった.短期再出血率はヒータープローブ法89例中13例(14.6%),エタノール局注法74例中14例(18.9%)であり,ヒータープローブ法でやや低率であったが有意差は無かった.また内視鏡操作上,出血血管に対して正面視しにくい症例にも有効であり,潰瘍の拡大,穿孔等の合併症は1例も認められなかった.一方,犬胃壁に対する本法の基礎的検討では,熱量の増加に従って組織の変性は,深度,幅とも増大したが,同一カ所に与える熱量としては60jでUlIIまたはUlIIIまでの変性にとどまり,さらに変性範囲も6mm前後で,臨床に応用しても安全な熱量の目安と考えられた.止血機序に関しては,胃壁小血管の攣縮により血管内腔の狭小化,さらに血管平滑筋及び内皮細胞の変性が生じ,血栓が形成され止血効果を発揮するものと考えられた.
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星 一, 丹羽 正之, 加藤 俊幸, 斎藤 征史, 小越 和栄
1990 年 32 巻 4 号 p.
832-841
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
膵癌221例の膵管像をI型(狭窄型),II型(先細り型),III型(断裂型),IV型(拡張型),V型(分類不能型)に分類し,これらの膵管像と生存率および組織像との関係を検討した.膵癌全体ではIV型の生存率が最も良く,ついでIII型,I型,II型の順で各々統計的有意差を認めた.膵頭部癌に限るとIII型,I型,II型の格差はさらに顕著となったが,体尾部癌では有意差はみられなかった.手術例ではIV型は腫瘍径が小さく膵外浸潤もほとんどないため切除率は高かったが,II型は全例T4で周囲組織に高度に浸潤した切除不能な進行癌であった.I型とIII型では切除率に差はなかった.また肝転移は全体で45%にみられ,膵管像別ではIV型が最少でIII型,I型,II型の順に多くなり,これは各々の生存率と一致していた.組織型との関係ではI型は大部分が管状腺癌で,肉眼像では腫瘤型が多かったが,割面では多くが浸潤型で,間質結合織は中間~硬性型,浸潤増殖様式ではINFβ~γを示したのに対し,III型では多くが腫瘤型,結節型,中間~髄様型,INFβ~αであり,IV型は乳頭状腺癌,結節型,髄様型,INFαが大部分を占めた.以上より各膵管像間の生存率の差は,発育進展形式の相違に関係していると考えられた.
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柳井 秀雄, 多田 正弘, 苅田 幹夫, 河内山 高史, 村上 敦司, 沖田 極, 竹本 忠良
1990 年 32 巻 4 号 p.
842-847_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最大100μm程度の分解能を持つと言われ,十二指腸粘膜微細観察における有用性が期待される電子内視鏡を用いて,十二指腸潰瘍症例における絨毛形態の観察を行った. その結果,0.2%インジゴカルミン色素撒布を併用した電子内視鏡による十二指腸球部近接観察は,すでに報告した拡大レベルでの十二指腸粘膜パターン(分離・接合・萎縮)や,十二指腸潰瘍辺縁の顆粒状再生絨毛の観察に有用であった. 顆粒状再生絨毛は,活動期の1部(33,3%),治癒期の全例(100.0%),赤色瘢痕期の多数(63.6%),そして白色瘢痕期では12.5%のみに観察されたことから,潰瘍治癒経過途上の所見であり,十二指腸潰瘍に崎田・三輪分類を用いる上で重要な所見であった. 十二指腸潰瘍活動期の症例では,その背景粘膜は,接合パターンが優位であり,随伴性十二指腸炎との関連が示唆された.
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松村 雅彦, 本田 泰啓, 小泉 雅紀, 小嶌 秀之, 北野 浩行, 森村 昌史, 長本 一成, 吉治 仁志, 喜多 公雄, 松本 昌美, ...
1990 年 32 巻 4 号 p.
848-854_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤に対するEISを施行した186例の予後検討より,胃静脈瘤出血に対する積極的な対策の必要性が示唆された.そこで今回,胃静脈瘤出血をきたした2例および食道静脈瘤に対するEIS後に胃静脈瘤出血が懸念された9例を対象とし,胃静脈瘤に対し直接穿刺法による造影下EISを試みた.出血例2例のうち1例は噴出性出血を呈しておりEIS施行にて完全止血が得られたが,他の1例は出血点が不明瞭で止血不能であった.EIS4週後の効果判定時には全例で胃静脈瘤の消失または縮小をみ,その後も最長20カ月後まで形態の増悪や出血は認められなかった.穿刺部出血は,われわれの考案した抜針テクニックを用いることによりいずれも軽微であった.その他重篤な合併症は1例も認められなかった.以上,われわれの行っている胃静脈瘤への直接穿刺による造影下EISは安全かつ有効であることが示唆された.
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播磨 健三, 相部 剛, 野口 隆義, 中田 和孝, 林 延彦, 足立 佳世子, 近藤 哲, 佐々木 敏行, 田中 慎也, 大村 良介, 秋 ...
1990 年 32 巻 4 号 p.
857-865_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最近われわれは腹部超音波検査(US),CT,ERCP,腹腔鏡下肝生検,超音波内視鏡(EUS)の諸検査および2年2カ月の経過観察で,原発性硬化性胆管炎(PSC)と考えている1症例とこれらの諸検査でもPSCとの鑑別が極めて困難であった壁在性に浸潤した胆管癌の1症例を経験した. PSC症例では,肥厚した胆管壁はEUSで高エコー,低エコー,高エコーからなる3層構造で描出され,特に第2層と第3層の肥厚像として描出された.また,ERCPでは変化のみられていない下部胆管もEUSでは壁肥厚として描出された. 一方,PSCと鑑別が困難であった壁在性の浸潤型胆管癌においては,胆管壁はEUSで第2層と第3層の著明な壁肥厚をともなった3層構造として描出され,腫瘍浸潤像は描出されず,胆管炎との鑑別が困難であった.また,本症例では,腹腔鏡下肝生検で従来特徴的とされてきたperiductal fibrosisが認められたことから,この組織像はPSCのみならず胆管癌に随伴した胆管炎でも生ずることが示唆された.
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―大きさ10mm前後の平坦,扁平隆起性病変の質的診断―
村上 大平, 望月 福治, 豊原 時秋, 安藤 正夫, 池田 卓, 藤田 直孝, 李 茂基, 長野 正裕, 長南 明道, 矢野 明, 小林 ...
1990 年 32 巻 4 号 p.
866-871
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
われわれは通常内視鏡にて質的診断が比較的困難といわれる大腸の10mm前後の平坦,扁平隆起性病変19例に対し色素散布を施行し,病変部と無名溝との関係からその病変部の組織像を類推できないかどうかを検討してつぎの結果をえた. 大腸の平坦,扁平隆起性病変の色素散布後の染色形態は次の3つに分類された.Type 1:無名溝が病変部で途切れるもの.Type 2:無名溝が病変部で途切れるが病変部内部に点状の染まりがみえるもの.Type 3:無名溝が病変部の一部内部まで描出されるものと3つに分類された. 組織学的には,Type 1として描出された病変は5例あり,3例は腺癌,2例は過形成性ポリープであった.Type 2として描出された病変は9例あり,2例は腺癌,5例は高度異型腺腫,2例は,過形成性ポリープであった.Type 3として描出された病変は5例あり,2例は中等度異型腺腫,3例は過形成性ポリープであった.この結果,Type 3からType 1になるにしたがい,病変部の異型が強くなる傾向が示唆され,本法は大腸の10mm前後の平坦,扁平隆起性病変の組織像を類推する一つの指標として有用と考えられた.
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三浦 義邦, 佐藤 雄三
1990 年 32 巻 4 号 p.
872-878_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は40歳の男性で,昭和62年より,十二指腸潰瘍として治療中であったが,平成元年1月初旬に,頻回の嘔吐をきたしたので内視鏡検査を施行したところ,H1stageの十二指腸潰瘍と共に,門歯列より約35cmの食道の前後方向に,色調に変化のない細い索状物を認めた.両端は固定されているようだったが,鉗子操作により一端は壁より剥離されmucosal tag様を呈した.食道X線造影では軽度の第2斜位において,中部食道に約5cmの紐状隆起として認められた.同時に施行した生検標本では,重層扁平上皮で構成された食道上皮で,悪性像や炎症所見は認められなかった.本症の成因に関しては,先天的なものと,健診時偶然発見されたものを加えた例が多く,次いで逆流性食道炎の治癒過程や,食道静脈瘤の内視鏡的硬化療法後に発生したものが多い.われわれの症例の場合は原因不明であるが,6カ月後のX線および内視鏡検査により,なお存続している.
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笠原 彰紀, 房本 英之, 林 紀夫, 柏尾 真司, 河野 通一, 金子 晃, 萩原 秀紀, 奥野 敦史, 荻原 達雄, 肱岡 泰三, 川野 ...
1990 年 32 巻 4 号 p.
881-885_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は44歳男性,腎移植1カ月後免疫抑制剤使用中に上腹部痛,悪心,嘔吐,便潜血陽性が出現,口腔内に円形白苔が認められた.食道内視鏡検査にて食道全域に全周性の地図状ないし斑状のビランの多発を認めた.生検組織所見,酵素抗体法により単純性ヘルペスによる食道炎と診断した.血清中の単純性ヘルペスの抗体価にも有意の上昇が認められた.本症例はアシクロビル投与にて内視鏡所見に著明な改善が認められた.今後,本邦においても,臓器移植の発展等によりimmunocompromised hdstに発症するヘルペス性食道炎が増加すると思われ,本症を常に念頭におく必要がある.
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笹川 哲哉, 植木 淳一, 成澤 林太郎, 上村 朝輝, 朝倉 均, 田宮 洋一, 黒崎 功, 渡辺 英伸
1990 年 32 巻 4 号 p.
886-891_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は51歳の男性.42歳時,胃平滑筋腫のため胃部分切除術を受け,以後当科外来に通院していたが,左上腹部不快感を訴えたため上部消化管内視鏡検査を施行.十二指腸水平部に2cm大の発赤した境界明瞭な陥凹性病変を認めた.内視鏡的に陥凹型の早期癌を疑い,生検にて腺癌の確診を得たため膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では主乳頭部の肛門側2.5cmに2.0×1.4cmの陥凹型の高分化型腺癌を認め,深達度はmでリンパ節転移はなかった.早期十二指腸癌は比較的稀な疾患であり,中でも水平部に発生し,陥凹型を呈した例の報告はない.
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小嶋 信博, 唐沢 洋一, 坂田 暉英
1990 年 32 巻 4 号 p.
892-899_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は51歳,女性.胃癌検診にて異常を指摘され受診した.腹部X-Pで本症に特徴的な"静脈石"を認め,内視鏡にて穹窿部にbridging foldをもつ比較的限局した隆起性病変の中に暗紫色の数珠玉状の突起が見られ,超音波内視鏡では不整形の低エコーの中に線状エコー,音響陰影を引く高エコーがみられた.これらの術前検査および術中所見から,胃血管腫と診断,穹窿部楔状切除を行った.切除標本の病理組織的検索では主として固有筋層,一部粘膜下層及び漿膜下層を占める海綿状血管腫で,太く肥厚した導出静脈と連結していた.消化管における血管性病変の頻度は低く中でも胃に発生する血管腫は稀であり,本邦では1988年までに90例が報告されているのみである.本症を生検により診断する事は出血の危険を伴い困難であるが,病歴,検査所見を総合すれば診断は可能であり,特に超音波内視鏡は腫瘤の性状・深達度を知るうえで有用な検査法であると思われた.
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林 伸行, 小森 保生, 林 隆一, 遠藤 茂夫, 山口 丈夫, 森瀬 公友, 稲垣 貴史, 木村 昌之, 斉藤 祐一郎
1990 年 32 巻 4 号 p.
900-904_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は83歳の女性で,1カ月前からの右上腹部痛にて受診し,US,CTにて膵頭部に直径8cmの単胞性嚢胞が発見されたため精査を行った.ERCPにて膵管との交通があり,また主膵管の軽度拡張,膵尾部膵管の限局性嚢状拡張を認めたため仮性嚢胞が疑われたが,エコー下ドレナージによって得られた嚢胞液がやや粘稠で,嚢胞液中腫瘍マーカーも高値であったため,瘻孔を漸次拡大した後,経皮的膵嚢胞鏡検査を施行した.内視鏡下生検により嚢胞腺腫と診断され,悪性所見を認めないため,嚢胞十二指腸吻合術を行った.経皮的膵嚢胞鏡検査は膵嚢胞の鑑別に有用な検査と考えられる.
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高畠 一郎, 森田 克哉, 岩上 榮, 小田 誠, 片田 正一, 品川 誠, 石田 一樹, 森 善裕, 山田 哲司, 北川 晋, 中川 正昭
1990 年 32 巻 4 号 p.
907-911_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は71歳男性.主訴は発熱.既往歴として5年前下部食道癌に対して左開胸開腹下部食道胃全摘,膵体尾部脾合併切除術(Double Tract再建),リンパ節廓清.3年前総胆管結石に対して胆嚢摘出,総胆管切開,Tチューブ挿入術を受けている.2週間前から発熱,食思不振を訴え来院.入院時閉塞性黄疸を認め,PTCDを行ったところ総胆管に径1.5cmの結石を2個認めた.手術high risk例であったため,胃全摘後ではあるが内視鏡的治療を試みた.挿入はJF-IT10を使用し,X線透視下に腸管の走行を確認しながら行い,順行性に十二指腸乳頭に到達した.EST施行後バスケットカテーテル,バルーンカテーテルを用いて結石摘出をおこなった.1回の治療では完全に摘出できず,計2回の治療で結石除去に成功した.胃全摘症例に対するERCP,ESTの報告はこれまで見られないが,適応のある症例には積極的に試みる意義があると思われた.
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小野 満, 石川 洋子, 小岡 文志, 鈴木 昇, 三浦 達也, 後藤 昌司
1990 年 32 巻 4 号 p.
912-916_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
55歳男性が嘔気と嘔吐を主訴として,岩手県立中央病院を受診した.上部消化管検査で,十二指腸下行脚に膜様狭窄を認めた.われわれは成人の十二指腸webと診断し,1989年1月23日手術を施行した.十二指腸の膜様物を切除し,組織学的検索では膜様物は正常の十二指腸粘膜で被われていた. 成人の十二指腸webは非常にまれな疾患で,今までに本邦では3例しか報告されていない.この疾患は基本的に外科的膜様切除である.
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永井 俊一, 中村 秀幸, 佐藤 満雄, 堀内 隆三
1990 年 32 巻 4 号 p.
917-921_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は82歳の男性.食欲不振,心窩部痛を主訴に上部消化管内視鏡検査を行ったところ,十二指腸下行脚,Vater乳頭近傍の後壁よりに,陥凹性で辺縁が不整な,白色調で易出血性の病変を認めた.同部位の生検で高分化型腺癌を認めたため,膵頭十二指腸切除術を施行した.手術標本上では,病変はVater乳頭近傍の後壁に位置し,1.4×1.2cmの辺縁不整な陥凹性病変で,Vater乳頭との連続性は認められなかった.病理組織学的には,深達度mの腺管形成性高分化型腺癌で,脈管浸潤及びリンパ節転移は認められなかった.これまで,本邦における早期十二指腸癌の報告は本症例も含め45例あるが,陥凹型の早期癌としては4例目にあたる.
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勝見 康平, 伊藤 誠, 小崎 哲資, 中沢 貴宏, 岩田 章裕, 藤岡 俊久, 竹島 彰彦, 坂 義満, 岸本 明比古, 加藤 實, 横山 ...
1990 年 32 巻 4 号 p.
922-926_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は60歳の女性で,粘血便を主訴に来院した.注腸法による逆行性小腸造影にてBauhin弁より約30cm口側の回腸に可動性に富み容易に重積をきたす,辺縁平滑な粘膜下腫瘍を認めた.大腸内視鏡検査では腫瘤は表面平滑で発赤調の粘膜に覆われ,一部にびらんの形成がみられた.また,CT検査にて腫瘍のCT値が-85.3HUと脂肪組織のそれに近似していたため,回腸脂肪腫と診断した.切除標本の肉眼所見では腫瘤は4.0×3.6×3.6cmで健常粘膜に覆われ,組織学的に脂肪腫と診断された.術前に質的診断の得られた小腸脂肪腫の報告は極めて少なく,本症の画像診断上の特徴とともに報告した.
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藤巻 英二, 狩野 敦, 折居 正之, 関野 亙, 中村 義明, 中野 修, 田沢 秀樹, 千葉 俊美, 大澤 一嘉, 菅原 光宏, 鈴木 ...
1990 年 32 巻 4 号 p.
929-935
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は65歳,男性.主訴は背部痛で手術歴はなく,1989年2月6日精査目的で当科に入院.腹部単純写真でイレウスの所見を認めたが,全身状態良好のためlong tubeを挿入し経過観察した.tubeからの回盲部造影で,回盲弁近傍に母指頭大の腫瘤を認め,内視鏡で回盲弁上唇上の有茎性嚢胞状腫瘤を確認した.リンパ管腫を最も疑い,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.大きさは18×10×20mmで,組織学的には小腸粘膜に覆われた海綿状リンパ管腫であった.著者らの検索範囲で回盲弁上の本腫瘍の報告は,本邦・欧米ともに1例ずつのみであり,本症例も含めた3例はいずれも,リンパ管腫としては例外的に有茎性であり,回盲弁という収縮運動の多い部位に存在したためと推定された.また,茎が比較的太かったものの術後にはイレウス等の合併症は出現せず,この部位は安全に内視鏡的ポリペクトミーが施行可能であると考えられた.
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加藤 忠, 浅井 俊夫, 岡村 正造, 山口 初宏, 濱島 英司, 横山 純夫
1990 年 32 巻 4 号 p.
936-940_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は31歳男性で,中国広東省へ出張中より腹痛,体重減少と粘血便を認め,近医での注腸X線検査にて,直腸より横行結腸まで中央にバリウム斑を伴う小透亮像をび慢性に認めたため当院へ紹介された.便潜血反応はグアヤック法・ラテックス法とも陽性であったが,一般血液検査では異常を認めず,便細菌培養では起炎菌は検出されなかった.大腸内視鏡検査にて,び慢性にアフタ様病変を認め,生検粘膜の病理学的所見は炎症所見のみであったが,細菌犠にてShigella flexneri 2aが同定され,細菌性赤痢と診断された.norfloxacin 600mg/日の経口投与にて自他覚所見とも速やかに改善し,治療開始後3週間目の注腸X線検査では,アフタ様病変もほぼ消失していた・細菌性赤痢のほとんどは便細菌検査により診断されるため,X線,内視鏡所見を呈示した症例報告は稀である.一般には,び慢性の発赤,浮腫,びらんなどの非特異的所見を呈すと報告されているが,本症例は,X線,内視鏡検査でアフタ様病変を認めた点,便細菌検査では診断されず大腸生検粘膜の細菌培養にて診断された点が特徴であり,診断学的に示唆に富む症例と考え報告した.
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鶴岡 政徳
1990 年 32 巻 4 号 p.
941-948_1
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸検査の前処置は種々考案されているが,未だ被検者および検者が共に満足するような方法は確立されていない.著者は185例の大腸検査実施例において,前日は普通食を摂取し,当日のみ絶食とし,日本茶350mlを6回,計2,100ml飲用させ,下剤として前日就寝前にsodium picosulfate 10ml,当日粉末クエンサンマグネシウム34gを投与する方法を考案した.この方法は,被検者の受容性が良く,簡便かつ安全であり,大腸内腔の洗浄度もほほ満足すべき結果を得た.固形便残存のため一部で観察不能例もあったが,大腸内視鏡の挿入に支障をきたす例はなかった.また少量残った残渣は送水,吸引により簡単に除去でき,粘膜面の観察は充分可能であった.注腸透視において,Brown変法およびGolytery法では,不充分になり易い右側結腸の造影も比較的容易に実施できた.
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日本消化器内視鏡学会
1990 年 32 巻 4 号 p.
949-958
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1990 年 32 巻 4 号 p.
958-976
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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日本消化器内視鏡学会
1990 年 32 巻 4 号 p.
976-995
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1990 年 32 巻 4 号 p.
995-1035
発行日: 1990/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 4 号 p.
1054
発行日: 1990年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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