日本消化器内視鏡学会雑誌
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32 巻, 7 号
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  • ―Lp-TAI前後の内視鏡像の比較について―
    平沼 孝之, 島倉 秀也, 忠願寺 義通, 山口 高史, 松崎 靖司, 樫村 博正, 中原 朗, 田中 直見, 福富 久之, 大菅 俊明
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1615-1626_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌125例について,213回のリピオドール・MMC肝動脈動注療法(Lipiodol Transcatheter arterial infusion method:以下Lp-TAIと略)を施行したが,これらのうち治療前後に,内視鏡検査を施行し得た68例(125回)を対象として,内視鏡像の比較検討を行った.Lp-TAI後に新たに発生した胃十二指腸潰瘍は延べ15例で,その出現率は12.0%であった.びらん性胃炎や出血性胃炎は,延べ33例に認められ,その出現率は26.4%であった.全体でみると,Lp-TAI125回のうち48回に,何らかの胃十二指腸病変が発生し,その出現率は38.4%であった.Lp-TAI後に出現した潰瘍の形態的特徴は,不規則な辺縁を示す白苔と,その周囲に発赤と浮腫が強いことであった.また潰瘍は浅いものが多く,その多くは3カ月以内に瘢痕化し,難治性の潰瘍は経験しなかった.びらん性胃炎は,強い発赤に加えて出血を伴うことが多く,時に薄い白苔を伴う小びらんが散在して認められた.びらん性胃炎33例のうち24例,72.7%は限局性であった.術前の,患者の背景因子(肝機能障害の程度,門脈圧亢進症の程度)により,病変発生率を検討した. その結果,Lp-TAI後の胃十二指腸病変の発生率は,肝硬変の重症度とは相関せず,Lp-TAIの施行回数と相関していた. Lp-TAI後に発生する潰瘍の形態的特徴や病変発生率の統計的分析から,Lp-TAI後の潰瘍の発生には,リピオドール・MMC懸濁液の胃動脈への逆流が,重要な役割を果たしていると考えられた.従って,この合併症の予防には,できるだけ肝動脈の末梢まで選択的にカテーテルを挿入することが重要である.
  • 渥美 正英, 川本 克久, 道中 智恵美, 寺前 直樹, 福光 真二, 時田 和彦, 辻秀 治, 福田 新一郎, 布施 好信, 児玉 正, ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1629-1637_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     微小直腸カルチノイド2例を含むポリペクトミー施行6例,局所切除1例および直腸の全周性狭窄を来し肝転移および腹膜播種を認めた1例の自験8症例につき検討した.ポリペクトミー施行例は径5~14mmで深達度はすべて粘膜下層までであったが,局所切除を施行した径12mmの1例に筋層浸潤を認めた.ポリペクトミー施行6例中3例と局所切除1例は,断端陽性であったため追加手術を行ったが腫瘍の残存は認めなかった.治療後2~6年間経過観察を行っているが,再発は認めていない.これらの結果および文献的考察に基づき,直腸カルチノイド治療のガイドラインを示した.1)径10mm以下では内視鏡的ポリペクトミーを,径11~19mmでは局所切除を施行し,筋層浸潤例や断端陰性であっても組織型がD型や脈管侵襲の強い例では根治手術を追加するが,それ以外では慎重な経過観察を行う.2)ポリペクトミーにて断端陽性例については,径5mm以下ではレーザー照射や高周波焼灼などの追加のみでもほぼ十分であるが,それ以上では局所切除の追加にて腫瘍残存の有無と深達度を確認し,根治手術の適応を改めて決定する.3)径20mm以上や,小さくても表面に中心陥凹や潰瘍を伴う例のほか,直腸指診や経直腸的EUSで筋層以深への浸潤やリンパ節転移が疑われる例では一期的に根治手術を施行する.
  • 佐伯 啓三, 山筋 忠, 唐仁原 寛, 宇留島 一郎, 島崎 隆, 徳元 攻, 新山 徹美, 藤林 圭一, 尾辻 真人, 美園 俊明, 西俣 ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1638-1645
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵癌早期診断のための新たな生検法の開発を目的として,ESTを併用せずに膵管へ挿入可能な吸引生検器を試作した.さらに,主膵管狭窄例への臨床応用を行ってその安全性と有用性について検討したので,本法の概要と共に報告した.膵切除標本を用いた基礎的検討では,30~40cmHgの吸引圧で膵管組織を採取できた.臨床的検討では,ERCPにより主膵管狭窄がチェックされ,主膵管を含めた小病変が疑われた22例24病変に本法を行った.吸引生検器の病変部への到達率は22例中17例(77.3%),組織学的診断が可能な生検標本の採取率は19病変中16病変(84.2%)であり,全例が良性狭窄と診断された.吸引経路を利用した造影による安全な挿入,病変部からの正確な生検や人工的な挫滅の少ない良好な標本の採取が可能など,本法の有用性が示唆された.3例に術後膵炎と考えられる所見をみたが,重篤な合併症は認めなかった.今後さらに改良の必要があるが,本法は主膵管狭窄の質的診断や膵癌の早期診断に期待の持てる検査法と考えられる.
  • 関 寿人, 久保田 佳嗣, 国枝 恒治, 丸岡 正典, 中谷 正, 加納 東彦, 熊田 博行, 奥平 勝, 水野 孝子, 鮫島 美子
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1646-1655
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性胆道腫瘍による胆管狭窄の解除を目的として,マイクロ波治療(MT)を経皮経肝胆道鏡(PTCS)下に施行するため本法の基礎的検討を行い,安全性を確認後,臨床例に用いた.PTCS下でMTを行う場合,電極は常に生理的食塩水に水浸した状態にある.したがって基礎的検討では,水浸下でウシ摘出肝,ラット肝を対象に球状電極(直径1.8mm)を用い,肝組織マイクロ波凝固を行った.水浸下では設定条件が40W,10秒以上にならないと明らかな凝固は得られなかった.また肝凝固壊死巣の経時的観察では凝固直後に比べて数日後に壊死巣が拡大する傾向にあった.一方,ビーグル犬を用いた正常胆管のマイクロ波凝固では出力50W,20秒で,胆管の凝固が認められるが周囲臓器,脈管への影響はなかった.以上の基礎的検討を基に安全性を考慮し臨床に用いる1回の凝固条件を出力40~50W,通電時間10秒以下とした. 臨床例では,上部胆管癌,肝門部胆管癌の2症例に対し本法を行い,狭窄解除が得られた.臨床上問題となる合併症はなかった.上部胆管癌例ではtube-freeの状態で退院が可能であった. 本法は根治的治療法ではないが,装置は軽量,安価,また同軸ケーブルは柔軟であり,内視鏡下の操作性は良好であった.今後PTCS下の有用な治療法と考える.
  • 川浦 昭彦, 福田 能啓, 田村 和民, 谷田 憲俊, 平川 博之, 沢田 幸男, 沢田 健史, 天野 和代, 山村 誠, 姜 京富, 大野 ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1656-1662_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     43歳主婦,カルチノイド症候群を呈したにもかかわらず,転移を伴わない胃カルチノイド腫瘍例.右季肋部疝痛発作のために近医で腹部超音波検査と上部消化管X線検査を受け,胃前庭部に隆起性病変を発見されて当科を紹介された.外来通院中に顔面紅潮,頭痛,心悸亢進が発作的に出現するので尿中5HIAAを測定したところ,排泄増加が明らかになったのでカルチノイド腫瘍を疑い,精査加療を目的に入院した.上部消化管X線検査で胃前庭部大彎に扁平な広基性の隆起が発見され,内視鏡検査では表面平滑で発赤やびらんを伴わない直径約2.5cmの山田II型のポリープをみとめた.手術時の迅速標本でカルチノイドと診断され,胃亜全摘術が施行された.本例はカルチノイド症候群を呈し,尿中5HIAAの上昇をみたが,術前の胸部X線検査や腹部超音波検査,術中のリンパ節や肝の検索では転移がみとめられず,術後4年を経過しても尿中5HIAAの上昇を含む再発をみていない.尿中5HIAA上昇を伴いながら転移を伴わない非常に稀な症例として報告した.
  • 窪田 伸三, 上田 容生, 寺本 忠久, 岸本 美也子, 長尾 宗彦, 尤 芳才, 立岩 誠, 入江 一彦
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1663-1666_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     56歳,男性が口腔内の腫瘍を訴え来院した.Waldeyer's ringと胃に発生した悪性リンパ腫と診断された.化学療法を行い.Waldeyer's ringの腫瘍は速やかに消失した.胃の腫瘤は縮小し壊死を来たし潰瘍形成を認めた.その後瘢痕治癒した.その治癒過程で潰瘍部分にmucosal bridgeが形成された.本邦では胃のmucosal bridgeの報告は少なく,さらに本症例のように胃のmucosal bridgeの形成過程を観察し得たという報告は未だなく興味深いので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 北川 隆, 太田 知明, 相馬 光宏, 武藤 英二, 武田 章三, 御園生 潤, 神田 誠, 柴田 好, 岡村 毅與志, 並木 正義
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1669-1677_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Vater乳頭部にカルチノイドと腺癌が併存した1例を報告した.症例は47歳,女性.嘔気・食欲不振・黄疸を主訴に近医受診し,閉塞性黄疸の診断のもと当科に入院した.上部内視鏡検査でVater乳頭部に一致して,不整形の出血性潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.潰瘍辺縁部からの生検でGroup Vの所見を得たため,乳頭部癌として膵頭十二指腸切除を施行した.腫瘍は大きさ2.5×2.0×0.6cm,腫瘤潰瘍型で十二指腸粘膜下層から固有筋層にかけて結節状に発育していた.病理組織学的に腫瘍の表層部に高分化型腺癌を認め,これに接して円形ないし類円形の核を有する細胞が充実性胞巣状に増殖し,それが大部分を占めていた.後者はGrimelius染色陽性,さらに電顕で胞体内に顆粒を認めることからカルチノイドと診断した.組織発生上全く異なった腫瘍組織が同一部位に併存しためずらしい例である.
  • 斉藤 裕, 狩野 敦, 磯貝 圭輝, 中村 義明, 関野 亙, 田沢 秀樹, 中野 修, 佐々木 清寿, 近藤 公亮, 藤巻 英二, 折居 ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1678-1684_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.間欠的な黒色便を主訴とし,徐々に進行する貧血を繰り返した.1回目の上部内視鏡検査では病変を指摘できなかったが,2回目に十二指腸第II部後壁側から漏出性の出血を認め,同部位にほぼ円形の境界明瞭な5mm前後の強い発赤斑を認め,出血性vascular ectasiaと診断した.出血が続くためエタノール局注を行い止血を得,3カ月後には消失した.6カ月後の内視鏡検査でも再発は認めず,貧血も増強していない.報告例(出血例)をもとに内視鏡所見を以下の3型に分類した.(1)平坦で樹枝状に広がる毛細血管拡張,(2)平坦あるいはやや隆起した境界明瞭な円形,星状の発赤斑,(3)隆起の頂点に陥凹,発赤を有する粘膜下腫瘍,本例は(2)型に属し,最も多い型であった.また,十二指腸の本邦報告例は少なく,本例が4例目であった.本例は10年来の皮膚筋炎を伴っていたが,本症との関連は不明で,動脈硬化性変化に基ずくものではと考えた.また,本症に対する止血法としてエタノール局注は非常に有効と思われた. 高齢化社会が進むにつれ,本症が増加するものと考えられ,今後,消化管出血の原因検索の際には常に本症を念頭において行うことが必要と考えられた.
  • ―腹腔鏡所見および生検肝組織像について―
    木曽 真一, 柏原 赳, 藤森 永二郎, 大木 篤, 川上 房男, 多胡 基, 奥野 巍一, 木戸 良明, 松村 到
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1685-1691
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は24歳男性,頭部外傷のためphenobarbitalとsodium valproateを服用した.その後けいれん,腹痛が出現して本院に入院.皮膚異常所見なく,病的反射,知覚異常なし.尿はブドウ酒様色を呈した.肝機能はGOT,GPTほぼ正常。尿中ALA26.0mg/24hr,PBG5.9mg/24hr,UP1,296μg/24hr,CP7,290μg/24hr(I:III=1:15.5)高値.便中CPは1,490μg/gdwと著増,PP正常.赤血球中UP,CP,PP正常.以上からHepatic coproporphyria(HCP)と診断した.腹腔鏡所見では,肝表面はほぼ平滑だが,わずかに陥凹した暗紫青色区域と凸の赤味の残った赤褐色区域が肝全体に地図状に入り乱れていた.生検肝は紫外線照射にて赤色螢光を発した.H.E.染色でグリソン鞘にリンパ球浸潤と線維化を軽度みとめ,肝細胞の水腫様変性と褐色顆粒(一部鉄染色陽性)を認め,シュモール染色で肝細胞核の直径程度の長さの針状結晶を認めた.確定診断のついたHCPの腹腔鏡所見の報告は本邦ではわれわれの検索しえた限りでは見られず,極めてまれなので報告する.
  • ―自験例および本邦報告例の検討―
    胡井 智, 川本 克久, 光藤 章二, 道中 智恵美, 西田 博, 児玉 正, 加嶋 敬, 岡野 均, 上田 敬, 今西 仁, 土橋 康成, ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1692-1701_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵のsolid and cystic tumor(SCT)の1症例を経験したので,現在までの本邦報告例の検討を加えて報告した.症例は52歳,女性.腹部超音波,超音波内視鏡,腹部CTにて膵頭部に7cm大の石灰化を伴う充実性嚢胞性腫瘍を認め,逆行性膵管造影では同部のsmoothな狭窄,腹部血管造影では同部の圧排所見を認め,膵嚢胞性腫瘍の術前診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は9×9×8cmの大きさで線維性被膜を有し,充実性部分と出血壊死性部分とが混在していた.組織学的には均一多角形で豊富な明るい胞体を有する腫瘍細胞が充実性シート状あるいは偽乳頭状に増殖していたが,核の異型性はほとんど見られなかった.胞体内にはPAS陽性顆粒を認め,酵素抗体法でα1-antitrypsin陽性細胞が認められた.電顕的にはzymogen様顆粒が認められた.以上の所見より本腫瘍はacinar cellへの分化を示した膵SCTと診断した.本邦報告例の検討より,膵SCTは若年女性に好発し圧排性の増殖を示すlow grade malignantな腫瘍であり,適切な外科的処置が行われれば比較的良好な予後が期待される腫瘍であると考えられた.
  • 平井 克幸, 垂石 正樹, 池 薫, 高橋 篤, 関谷 千尋, 並木 正義, 鈴木 知勝
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1702-1708_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     画像診断では鑑別困難で,腹腔鏡直視下生検により確診し得た多包性肝エキノコックス症の1例を経験した.症例は49歳男性,背部痛を主訴として来院し,腹部超音波検査で肝左葉外側区域に高エコー領域を認め,精査のため入院した.血液の生化学的検査で,胆道系酵素の軽度上昇を示す以外は異常所見はみられなかった.腹部CT検査で肝左葉外側区域および右葉前上区域に2個の低吸収所見を認めた.腹部血管造影検査において左胃動脈造影の実質相で左葉外側区域にavascular areaを示した.腹腔鏡検査では肝左葉下面に,立ち上がり部が赤褐色を呈する黄白色調の半球状隆起が観察された.腹腔鏡直視下肝生検による病理組織所見で,本症特有のキチン膜を有する嚢胞を認め,また,この時点で行った免疫血清学的検査でもエキノコックス抗体陽性を示したので肝エキノコックス症と診断した.文献的考察を加え報告した.
  • 浜本 哲郎, 西向 栄治, 前田 直人, 広川 健, 細田 明秀, 吉村 禎二, 鳥羽 信行, 門原 三志男, 河村 学, 渡部 和彦, 川 ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1709-1717
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は36歳,女性.昭和48年にSLEと診断され,ステロイド剤の維持療法が行われていたが,昭和62年12月よりSLE腎症に対し,ステロイドのパルス療法ならびにcyclophosphamideが投与された.翌63年1月,突然,腹痛,嘔吐,下痢,発熱をきたし,2カ月半後,精査にて空腸起始部及びやや肛門側2カ所に管状狭窄性病変を認めた.手術が施行され,上記2病変以外に回腸にも狭窄が認められた.組織学的には非特異的潰瘍で,血管炎の所見等は無く,免疫組織学的検索でも免疫グロブリンの沈着は認められなかった.以上より,本例はSLEの治療中に,ステロイドパルス療法及びcyclophosphamideによる障害作用が加わって生じた多発性小腸潰瘍と考えられた.
  • 安武 晃一, 奥谷 俊夫, 今村 諒道, 穂積 俊樹, 加藤 順一, 松下 健次, 大家 学, 時末 充, 吉村 幸男, 中谷 正史
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1718-1722_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は45歳の男性で,主訴は肝腫瘤の精査目的.入院時臨床検査ではCEA値の軽度上昇を認める以外所見はみられなかった.腹部超音波検査では肝右葉後下区域辺縁より下方に突出する径約4.5cmの腫瘤状エコーを認めた.CT,腹部血管造影にて肝外性血管腫が疑われたため腹腔鏡を施行した.同検査にて肝右葉下縁やや外側より球状に突出した腫瘤を認め肝外発育性肝血管腫と診断されたが,悪性の可能性も否定できず手術を施行した.肝S6区域切除にて腫瘤が摘出された.腫瘤の大きさは4.2×4.0×3.0cmで組織学的には肝海綿状血管腫で悪性所見はみられなかった.
  • 成田 琢磨, 千葉 満郎, 児玉 光, 飯塚 政弘, 堀江 泰夫, 伊藤 良, 渡部 博之, 正宗 研
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1723-1726_1
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Campylobacter腸炎4例ここついて,本疾患に特徴的な回盲弁病変の内視鏡所見を中心に報告した.症例1;36歳男.主訴:臍周囲~下腹部痛,水様性下痢.大腸に散在性の発赤の他,回盲弁に著明な発赤を認めた(発症13病日髄).症例2;21歳,男.主訴:下腹音区痛,水様性下痢溌熱.回盲弁上唇に,周囲に発赤を伴った潰瘍を認めたが,回腸末端部汰腸に異常所見はなかった(発症11病日髄).症例3:54歳,女.主訴:発熱,上腹部不快感下痢.大腸は正常であったが,回盲弁に発赤を認めた(発症17病日髄).症例4;30歳,女.主訴:血液が混入した水様性下痢.S状結腸に散在性の発赤がみられたが,回盲弁に病変はなかった(発症、6病日検査).回盲弁病変の生検では,出血,細胞浸潤など非特異的炎症像がみられた.生検組織のCampylobacter培養結果は陰性であった.
  • 小沢 昭司, 井坂 勝利, 加藤 一雄, 倉井 亮, 染谷 守, 松岡 昭, 矢田 一, 竹腰 隆男, 高木 國夫
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1727-1735
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1979年から1987年の9年間に実地医家により発見され,3カ所の内視鏡研修会で検討された早期胃癌28例の内視鏡的切除を検討した.内視鏡的切除の施行された早期胃癌の肉眼分類はIおよびIIaの隆起型早期癌が12例で,IIcは16例で,近年IIcの症例が増加している.癌の大きさは直径2cm以上の症例では切除断端陽性率が高く,直径2cm以内のIIcでは,断端陽性率は低かった.組織型では,分化型腺癌の断端陽性率は低く,未分化型腺癌では,高かった.切除断端陽性例ならびにsm浸潤例には,胃切除が行われた.内視鏡的切除例の予後は,2年以内の他病死の1例を除き,5年以上の生存4例を含め,再発は無く,生存している.内視鏡的切除は安全で早期胃癌治療の根治性も高く,実地医家の早期胃癌診断能の向上により内視鏡的切除例は増加するであろう.
  • 三宅 健夫, 福富 久之, 酒井 正彦, 並木 正義, 石川 誠, 小黒 八七郎, 多賀須 幸男, 林 貴雄, 横山 泉, 三輪 剛, 小越 ...
    1990 年 32 巻 7 号 p. 1736-1743
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 32 巻 7 号 p. 1744-1798
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 32 巻 7 号 p. 1798-1852
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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