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吉川 信夫, 笠貫 順二, 今泉 照恵, 渡辺 東也, 鈴木 康夫, 岸 幹夫, 吉田 尚
1990 年 32 巻 8 号 p.
1887-1892
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ステロイド治療中の患者に胃潰瘍が高率に発生することはよく知られている.ステロイド剤と胃潰瘍との関係を検討するために,昭和52年から63年までにステロイド治療中の388例の患者に対して上部消化管内視鏡検査を施行し,38例(9.8%)に胃潰瘍を認めた.さらに38例の胃潰瘍が見られたステロイド治療中の患者のうち26例(68.4%)で潰瘍は前庭部に存在し,この値は対照と比較して有意に高率であった.しかもこれらの前庭部潰瘍のうち16例(61.5%)は多発性潰瘍であった.また,ステロイド治療中の胃潰瘍の発症前の内視鏡所見が判明する19例のうち6例(31.6%)で潰瘍は瘢痕からの近傍再発であった.以上より内視鏡検査所見からステロイド治療中の胃潰瘍において(1)前庭部多発型,(2)再発型の2つの型が特徴的であった. 38例のステロイド治療中の胃潰瘍患者のうち14例(36.8%)で腹痛・タール便などの症状は認められなかったことから,ステロイド治療中は症状が無い場合でも内視鏡検査が必要であると思われた.
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向井 秀一, 中島 正継, 安田 健治朗, 趙 栄済, 水間 美宏, 早雲 孝信, 芦原 亨, 水野 成人, 村北 肇, 平野 誠一, 林 ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1893-1902
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡的超音波断層法(EUS)を肝外胆管癌23例(切除例12例)に施行し,その腫瘍描出能および進展度診断能を検討した.EUSにより肝外胆管領域(胆管壁三層構造,膵頭部,門脈)は鮮明に描出され,肝外胆管癌は23例中22例において明瞭に観察された.腫瘍描出能を各種画像診断法と比較しても,EUSはERCPとともに優れた診断能を有していた.また,癌の進展度診断(胆管壁深達度,膵臓浸潤,門脈浸潤)や膵頭部リンパ節転移診断においてもEUSの有用性が確認された.以上より,EUSは肝外胆管癌の進展度診断には必要不可欠な検査法として評価され,今後一層の発展が期待される.
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坂上 博, 水上 祐治, 山下 省吾, 細川 鎮史, 太田 康幸
1990 年 32 巻 8 号 p.
1903-1909
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
難治性胃鷆再生粘膜の細胞動態1こ関して,内磯下に採取し姓検纖を用いて
3H.thymidine auto-radiographyをおこなって検討した.購細胞数/胃糊莫上皮細胞数比より求めた標識率は,内視鏡stage:A
2,H
1,H
2,纖纐(Q):H
2,H
3tufty(+)期で易治例と同様に離を示し,S
2stage,H
3tufty(-)期で低値であった.また灘治例湯治例とで再生上皮の組織学的差違を認めなかった.ヒスタミンH2受容体拮抗鞭用の有無による標識率の変化については,内視stage:H
1,H
2,S
1のLaずれにおいても使用,非使用君間に差を認めなかった.以上の成総り,難治性潰瘍においても潰瘍辺縁では醗な細胞増殖がおこなわれており,潰瘍治化の要因として再生上皮の形態・機能上の変化は乏しく,他の要因を考すべきと思われた.また,H
2受容体拮抗剤は再生上皮の細胞動態を亢進させず,細胞動態を促進させて潰瘍治癒を図るならば本剤の効果には限界があると思われた.
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磯貝 圭輝, 藤巻 英二, 折居 正之, 斉藤 裕, 河田 孝彦, 加賀 誠司, 佐藤 邦夫, 佐藤 俊一, 狩野 敦, 菅井 有, 藤沢 ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1911-1917_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
自験の原発性十二指腸癌7例,乳頭部癌20例について両者の年齢・性,症状,内視鏡的形態,組織型,大きさ,予後について比較,検討を行った.内視鏡的形態では原発性十二指腸癌では限局潰瘍型が,乳頭部癌では腫瘤型が多く,潰瘍形成の有無で両者を比較すると有意差がみられた.また,年齢・性では差がなかったが,症状,大きさ,予後で有意ではないものの差がみられ,これは乳頭部癌では黄疸が出現しやすく,より早期に発見されるためと思われた.一方,組織型では両者とも高分化型腺癌が多かったが,その中でも原発性十二指腸癌では高分化型管状腺癌が,乳頭部癌では乳頭状腺癌が最も多く,これは両者の発生母地の違いを示唆している可能性も推定された.
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―腹腔鏡検査の有用性について―
佐藤 和一, 林 義峰, 佐藤 秀一, 小松 寛治
1990 年 32 巻 8 号 p.
1918-1925
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
下腹部痛を主訴とした症例に対し疼痛部位と疾患との関連について検討した.その結果,回盲部痛の四分の一は虫垂炎以外の疾患であった.また婦人科疾患に起因した下腹部痛の部位にはばらつきが見られた.下腹部痛症例32例に対し超音波検査を行ない,うち18例に腹腔鏡検査を併用する機会を得たのでおのおのの有効性について比較検討した.その結果,正診および正診,疑診,間接所見を合せた診断能をみると超音波検査では31%および62%であるのに対し腹腔鏡検査では78%および100%であり,腹腔鏡検査の方が診断率は高いと考えられた.また超音波検査で正診できず腹腔鏡検査で正診とした症例は12例あり腹腔鏡検査の有用性がうかがえる.下腹部痛の早期診断には理学的所見や通常の検査後画像診断の第一選択として超音波検査を行ない,確定診断に苦慮した場合は腹腔鏡検査の併用が非常に有効な方法と考えられる.
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趙 栄済, 池田 悦子, 林 誠, 平野 誠一, 村北 肇, 水野 成人, 芦原 亨, 松井 亮好, 早雲 孝信, 水間 美宏, 向井 秀一 ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1926-1933_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
新たに開発されたオリンパス社製大腸用超音波内視鏡(CF-UM3)を用いて,150例の大腸疾患に内視鏡的超音波断層法(EUS)を施行し,本スコープの挿入性と描出された超音波画像について検討した.大腸EUSの前処置としては,Brown変法あるいは腸管洗浄液法を用いた.150例中回盲部までの挿入を試みた79例では全例に目的が達成でき,回盲部までの平均到達時間は9.3分であった.直腸から回腸末端に至る腸管壁はいずれの部位でも5層構造として描出され,特に回盲弁は第3層(粘膜下層)が肥厚していた.大腸EUSでは隣接臓器も明瞭に描出され.直腸領域では男性で精嚢腺や前立腺が,女性で子宮や膣が容易に観察された.また,脾彎曲部では左腎また脾が,横行結腸左半では膵が,横行結腸右半では胆嚢または肝が.さらに肝彎曲部では右腎また肝が明瞭に描出された.今回の新しい大腸用超音波内視鏡は挿入性に優れ,従来の試作機に比較して耐久性が向上しており,大腸全域に対するEUSにきわめて有用な機種であると評価しえた.
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―内視鏡的治療を含めて―
渥美 正英, 福光 真二, 道中 智恵美, 寺前 直樹, 胡井 智, 伊勢谷 和史, 川本 克久, 藤野 博也, 辻 秀治, 布施 好信, ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1934-1940_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
14歳以下の小児における上部消化管出血50例につき検討した.吐下血の原因として胃潰瘍および十二指腸潰瘍が多く,前者は幼児期に,後者は学童後期の男児に多かった.胃潰瘍例の多くは前庭部急性多発性潰瘍で,精神的ストレスが誘因であった例が多く,十二指腸潰瘍例では,その他に重篤な基礎疾患を有する例も認められた.次いで食道静脈瘤からの出血が多く,また食道炎や出血性びらん性胃炎は,急性白血病や悪性リンパ腫の治療中に発症した例が多かった.食道静脈瘤硬化療法を含む各種内視鏡的止血術を5例に対して施行したが,全例偶発症もなく良好な結果が得られ,小児上部消化管出血例に対しても緊急内視鏡検査および内視鏡的止血術を積極的に試みるべきであると考えられた.
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―超音波内視鏡所見の文献的考察―
梶山 徹, 辻 康平, 松林 祐司, 高鍬 博, 小林 裕子, 山本 富一, 洲崎 剛, 羽白 清, 松末 智, 兼松 雄象
1990 年 32 巻 8 号 p.
1941-1953
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は60歳男性で,胃内視鏡検査にて胃角部大彎に粘膜下腫瘍を指摘され入院となった.超音波内視鏡(EUS)では,胃壁第4層に連続する径10mmの境界明瞭な低エコー腫瘤に隣接して,径28mmのやや高エコーで内部に嚢胞状病変を有する類円形腫瘤像がみられた.EUS上低エコーに描出された部分は平滑筋腫類似の紡錘形細胞がみられたが,やや高エコーに描出された壁外性腫瘤部は上皮細胞類似の類円形細胞により構成されており平滑筋芽細胞腫と診断した.自験例を加えた本邦報告125例の文献的検討でも,平滑筋芽細胞腫は固有筋層由来で,出血・壊死・嚢胞形成のいずれかを69%に認めており,74.2%に平滑筋腫様部分が併存していた. 従ってEUSにて描出される粘膜下腫瘍のうち,胃壁第4層由来で,低エコー部とやや高エコーの部分が併存し,内部に嚢胞状病変がみられる症例は,平滑筋腫瘍の中でも平滑筋芽細胞腫である可能性が高いと考える.
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一柳 明弘, 竹田 武彦, 佐野 薫, 吉田 淳, 顔 克明, 指方 輝正
1990 年 32 巻 8 号 p.
1954-1961
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は59歳,男性,吐血で入院し緊急内視鏡にて門歯列より33cmに1.5cm弱の表在陥凹型食道癌を認めた.輸血,止血剤,H2プロッカーで治療し2週間後内視鏡を再検したところ同部位に表在隆起型食道癌を認め,更に胃噴門部前壁に1.5×2.0cmのIIc型早期胃癌が存在していた.19.8Gy全食道術前照射後手術され,病理診断は食道癌については1.2×1.0cm, squamous cell carcinoma, mod. diff., sm, ie(-), 1y(-), v(-), LN meta(-),一方胃癌については1.5×2.0cm, tubular adenocarcinoma(tub1),INFα,sm,1yO,vO,intestinaltype,ow(-),aw(-),LNmeta(-)であった.病理標本では,食道癌病巣直下に著明な炎症細胞浸潤を認めた. 本例は吐血を契機に発見された早期食道癌(R一早期)で同時性早期胃癌を重複し,更に経過中食道癌が陥凹型から隆起型に変化した極めて稀な症例と考えられたので報告した.
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大島 郁也, 紅谷 明, 一瀬 雅典
1990 年 32 巻 8 号 p.
1962-1966
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は70歳,男性.主訴,吐血.外来来院時,緊急上部消化管内視鏡を施行した.この際の前処置は硫酸アトロピン1A筋注後,ジメチルポリシロキサンシロップ10m1服用し,4%リドカイン10mlにて咽頭麻酔を行った.このとき全身状態に異常を認めず,胃体部小彎後壁に出血性胃潰瘍を認めたため,エタノール局注0.5mlを4回行い止血を得た.2日後止血の確認の目的で前回と同様の前処置後再度上部消化管内視鏡検査を施行した.胃内観察中に間欠性の全身痙攣をおこし,意識消失したため検査を中止したが,その後呼吸停止し心停止に至った.これに対し,気管内挿管,心マッサージ,およびエピネフリン心腔内注入により心拍回復し,蘇生し得た.以上リドカイン中毒の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告した.
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赤松 泰次, 宮田 和信, 大和 理務, 松沢 賢治, 松田 至晃, 津金 永二, 長谷部 修, 牛丸 博泰, 古田 精市, 勝山 努
1990 年 32 巻 8 号 p.
1967-1974_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
術前に表層拡大型胃悪性リンパ腫と反応性リンパ腫の鑑別が問題となり,strip biopsyにて確診した胃悪性リンパ腫の3例を経験したので,本症におけるstrip biopsyの診断的有用性について報告する.3例はいずれも通常の鉗子生検では悪性リンパ腫の確診が得られず,strip biopsyを行って組織学的に悪性リンパ腫と確診し,胃切除術を行った.いずれも粘膜下層内にとどまる悪性リンパ腫で,明かなリンパ節への浸潤は認めなかった.Strip biopsyは鉗子生検に比較して単に大きな組織片が得られるだけでなく,(1)組織の挫滅の影響が少ない,(2)常に粘膜面と垂直方向の組織標本が作製でき,腺管構造の萎縮や粘膜深部に存在する異型リンパ球の観察が容易,(3)粘膜下層への浸潤の有無を観察できる,(4)必要に応じて免疫組織化学的な検討が可能,など手術標本に近い条件で組織学的な診断が可能であり,このような疾患の場合にはきわめて診断価値の高い検査法と考えられた.
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今津 純夫, 坂井 徹, 原 忠之, 高平 敏一, 芝田 行徳, 佐伯 英司, 佐藤 克明, 三上 肇, 内沢 政英, 山口 修史, 升田 ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1975-1985_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
早期胃癌と十二指腸球部早期癌の合併例を経験したので報告する. 症例は61歳,男性.検診で胃の隆起性病変を疑われ,近医で十二指腸球部の隆起性病変と胃潰瘍を指摘された.精査のため当院に入院した.両者とも生検でGroup Vの結果を得,胃亜全摘術十二指腸部分切除術を施行した.前者は表面平滑で浅い陥凹を伴ったIIa様の所見を呈し,高分化型管状腺癌,6×5mm,m,後者は高分化型管状腺癌,IIc ul+,7×6mm,mでリンパ節転移は認めなかった.患者は術後1年6カ月経過したが再発の徴候もなく,健在である. 十二指腸早期癌は比較的まれであり,本例は本邦報告例中94例目で,早期胃癌との重複例としては3例目ときわめてめずらしい.しかし,上部消化管内視鏡検査の普及にともない,今後報告例は増加すると思われ,上部消化管の内視鏡検査にあたっては,常に下行脚まで注意深く観察することが望ましい.
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岡山 安孝, 宮治 真, 早川 富博, 浜田 茂彰, 藤岡 俊久, 大西 勇人, 星野 信, 塚田 勝比古, 片桐 健二, 武内 俊彦, 原 ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1986-1993
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は37歳女性,主訴は腹部膨満感.1日5合以上の飲酒歴を有し,アルコール性肝炎にて通院中であった.入院時血液検査では膵酵素の上昇と軽度肝機能異常,CEA高値を認めた.腹部US,CTでは膵頭部の辺縁平滑な長円形の腫瘤があり,内部は不均一で,一部嚢胞状の部分も認めた.HDGでは腫瘤部に一致して,高度な不整狭窄を認めた.ERCPでは胆道系,主膵管に異常を認めなかったが,副膵管が描出されなかった.また,血管造影では明らかな異常を認めなかった.以上の所見より,腫瘤形成性膵炎による十二指腸狭窄を疑ったが,悪性も否定できず手術を施行した.病理組織学的には腫瘤部は高度の慢性膵炎の像であったが,その他の部位では軽度の線維化を示すのみであった.また,十二指腸粘膜下の大小多数の嚢胞,異所性膵管と固有筋層の著明な肥厚を認め,形成異常の存在が疑われた.本例はBeckerらのいうgroove pancreatitisの典型例に相当すると考えられた.
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渡辺 雅男, 佐藤 隆啓, 夏井 清人, 宮川 宏之, 小井戸 一光, 八百坂 透, 須賀 俊博, 村島 義男, 佐藤 利宏, 高杉 英郎, ...
1990 年 32 巻 8 号 p.
1995-2000_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
総胆管に憩室様拡張を合併した先天性肝内胆管拡張症(Calori病)の1症例を報告した.患者は57歳男性で,腹痛で受診の際,腹部超音波検査にて多発性嚢胞状病変を指摘され,CT,ERCP等にて左葉に優位の肝内胆管拡張と総胆管の憩室様突出像及び胆嚢内結石を認めた.患者の希望により一時退院したが後日横隔膜下膿瘍を併発し左葉外側区切除,胆嚢摘出術を施行した.切除標本では先天性肝線維症の像は認められず純型Calori病と考えられ,特に本例の様な総胆管の変化は本邦でも合併の報告例がなく極めて珍しい1症例と思われた.
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林 伸行, 小森 保生, 林 隆一, 遠藤 茂夫, 山口 丈夫, 森瀬 公友, 稲垣 貴史, 木村 昌之, 斉藤 祐一郎
1990 年 32 巻 8 号 p.
2001-2007
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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今回われわれは極めて稀な粘液産生胆嚢癌の1例を経験した.症例は78歳女性で右上腹部痛にて受診,USでは胆嚢内腔は低エコーの中に樹枝状の高エコーを示す異常エコーで占められ,一部隆起性病変を伴っていた.総胆管の拡張を認めPTCDを施行,総胆管内に粘液塊による透亮像を認めた.経皮経肝胆嚢穿刺により胆嚢内に粘液が充満しているのが証明され,造影にて十二指腸との間に瘻孔が認められた.内視鏡検査では上十二指腸曲近くに瘻孔部と考えられる粘液の付着した粘膜下腫瘤様隆起があり,ERCPでは乳頭開口部の開大が認められた.本邦における粘液産生胆嚢癌報告例4例を含めて,乳頭開口部の開大,胆嚢十二指腸瘻を合併した症例は本例が最初と思われる.
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―寛解までのERCP所見の変化を中心に―
田村 保明, 加藤 法導, 谷口 由輝, 田中 俊英, 菅原 謙二, 矢崎 康幸, 関谷 千尋, 並木 正義
1990 年 32 巻 8 号 p.
2009-2018_1
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
膵頭部腫瘤を形成し,胃・十二指腸および肺病変を伴った非ホジキンリンパ腫に対し,CHOP療法を施行し寛解を得ることのできた1例を経験した.症例は65歳の女性で,心窩部痛を主訴として当科入院.上部消化管X線・内視鏡検査で胃角部大彎にBridgingfoldを伴う結節状隆起,胃体部大彎の巨大皺襞および胃体部前後壁に多発する白色の平盤状隆起を認め,十二指腸下行脚にも白色隆起を認めた.病変部の生検で非ポジキンリンパ腫,びまん性・混合型と診断した.またUS,CT所見で膵頭部腫瘤および膵体尾部の腫大像を認め,ERCPで膵頭部主膵管は比較的長い範囲にわたりなめらかな狭窄像を示し,その部の膵管分枝は造影されなかった.腹部血管造影所見では膵頭部領域に細かな血管増生と腫瘍灘像を認めた.膵頭部腫瘤に対し,超音波講下皺的針生検を施行し,非ポジキンリンパ腫と診断した.CHOP療法を3クール施行し,画像診断上すべての病変は消失し,寛解と判断した.臨床経過をERCPを中心とした画像所見の変化を示しながら報告した.
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1990 年 32 巻 8 号 p.
2019-2027
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1990 年 32 巻 8 号 p.
2027-2055
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1990 年 32 巻 8 号 p.
2055-2075
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1990 年 32 巻 8 号 p.
2075-2089
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1990 年 32 巻 8 号 p.
2089-2142
発行日: 1990/08/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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