内視鏡治療の特徴である侵襲性の少ないこと,反復して行なえることなどは,患者にとって大きなメリットとなっている.胃癌ことに早期胃癌に対する外科的治療と内視鏡治療の現状を明らかにすることで,早期胃癌の治療における内視鏡治療の臨床像を浮き彫りにしたいと考えた. 第一に外科の立場から,われわれの施設で行なった,2,072例の胃癌の手術成績すなわち5年,10年遠隔成績をリンパ節転移の有無での違いなどについて検討する.高齢者早期胃癌に限っては,外科手術後の状況を,入院期間,食事摂取状況,術後のボケの問題,術前術後のperformance status,術後合併症の有無について検討した. 第二に外科病理の面から,われわれの施設で手術を行なった胃癌症例の検討を行なう.単発早期胃癌手術症例631例の切除標本の病理組織学的検討を行い,リンパ節転移の有無について病変の大きさ,深達度,病巣内の潰瘍(瘢痕を含む)の有無等について,すべて自験:例をもとに述べた. 内視鏡的治療で根治可能な病変はリンパ節転移の無い症例であるべきである.内視鏡的治療の立場から,絶対適応と考えられるものは,(1)病変の大きさ:1.0cmφ以下,(2)内視鏡分類の隆起型,陥凹型で潰瘍を伴わないものということになる.以上,内視鏡診断所見の正確さがもっとも重要と考えた. また,早期胃癌内視鏡治療の現況として全国アンケート調査から,治療を行なった動機,癌の告知,治療方法,合併症等についても報告を行なった.
抄録全体を表示