日本消化器内視鏡学会雑誌
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33 巻, 11 号
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  • 荒川 正博, 鹿毛 政義, 角野 通弘, 高木 孝輔, 大久保 和典, 井上 林太郎, 豊永 純
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2375-2378
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     硬化療法後の再発機序を病理学的に考察するため,剖検例における静脈瘤内血栓形成の広がりの検索を行った.検索症例は5%EOにより硬化療法が施行され,2カ月以上生存した18剖検例である.方法は胃噴門部,すだれ様血管走行部,静脈瘤部からそれぞれ標本を作製し,粘膜固有層,粘膜下層に分けて静脈瘤内の血栓形成の状態を観察した.その結果,静脈瘤部の粘膜下層では満足のいく血栓形成がみられたものの粘膜固有層では少なく,むしろ拡張した静脈が認められた.すだれ様血管走行部でもこの傾向があり,硬化療法後に副血行路の改変が生じなかった例では粘膜固有層に血流が増し,その部に静脈瘤の再発が起こり易いことが推察された.
  • 佐藤 隆啓, 小井戸 一光, 信田 亜一郎, 長川 達哉, 及川 由美子, 渡辺 雅男, 夏井 清人, 栃原 正博, 宮川 宏之, 今村 哲 ...
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2379-2387
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的超音波カラードプラ法(以下ECDUS)により,食道壁内血流,壁外血流,左胃静脈,短胃静脈および奇静脈の観察を行った.その結果,F2以上の食道静脈瘤では全例,食道壁内血流が検出された.硬化療法後,静脈瘤の消失したものでは全例,ECDUSにより壁内血流は得られなかったが,F1R-C(-)となった例では壁内血流の消失した例と残存する例が認められ,ECDUSで壁内血流の残存するものは治療効果不十分と考えられた.また,左胃静脈および短胃静脈についても硬化療法後,血流の消失した例と変化しない例が認められた. 予後については壁内血流の消失かつ左胃静脈および短胃静脈の血流の消失したものが良好であった. 以上より,ECDUSは食道静脈瘤の血行動態の解析及び硬化療法の治療効果を判定するにあたり,有用な検査法となると考えられた.
  • 石塚 裕昭, 田尻 久雄, 山口 研成, 黒木 雅彦, 足立 洋祐, 小林 正彦, 金沢 雅弘, 日野 邦彦, 丹羽 寛文
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2388-2393
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     生後8週齢の雌性ゴールデンハムスター24匹を1群:BOP投与無治療群10匹,2群:BOP投与治療群10匹,3群:BOP非投与対照群4匹とに分け,1.2群にはBOPを生理食塩水にて溶解,10mg/kg体重濃度で週1回腰部に計8回皮下注射した.2群は,BOP投与19~20週後麻酔下に開腹し,Nd:YAGレーザーの出力を2Wでレーザープローブを膵腫瘍に穿刺して同部位より5mm離れた部位の温度を42~43℃にコントロ._ルしレーザー温熱療法を施行した.3群の4匹は正常膵に同様の方法によってレーザー温熱療法を施行した.1,2群のうちBOP投与後19~20週目に解剖した無治療群及び治療群の,すべてのハムスターにヒト膵の膵管癌に類似した組織型を示す膵癌の発生が認められた.2群のレーザー温熱療法施行1週間後の病理組織学的検討では,膵癌組織については凝固壊死,大多数の例において,腫瘍細胞の消失が認められた.一方,レーザー温熱療法周囲の非癌部膵組織では,同療法の影響は,軽微であった.
  • 伊吹 康良, 平佐 昌弘, 工藤 正俊, 織野 彬雄, 藤堂 彰男
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2394-2401
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当院でのESTの経験と共に文献的考察を加えてESTの早期合併症とその対策について検討した.EST施行例は142例で,うち6例にPrecutを行い,135例の切開に成功した.早期合併症は,出血7例,膵炎4例(1例手術),後腹膜気腫1例,総胆管穿孔1例(手術)で,死亡例はなかった.出血例は全例高齢者で,切開時に出血を認めなくともその後出血する例が多い(5/7例)こと,多くの場合Hb値は術後1~2週間後(平均8.5日)に最低となる事が特徴的で,術後のHb値のフォローは必須であると思われた.Precutは2例に膵炎を3例に高アミラーゼ血症を起こし,避けるべき手法であると考えられた.穿孔例では後腹膜へ漏れたガス像や造影剤を腹部写真やCT,超音波検査により早期診断することが重要で,その治療は,結石除去や十分な切開を行うことにより胆汁の十二指腸への流出を確保し,必要に応じ胆道ドレナージを行えば手術は回避できるとの報告が多い.
  • 長廻 紘, 田中 良基, 馬場 理加, 大原 昇, 屋代 庫人, 佐藤 秀一, 飯塚 文瑛, 林 朋之, 鈴木 茂
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2402-2406_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     表面型として発生し,早期に粘膜下層へ浸潤し,粘膜下層の癌量が大量になり,広基性という肉眼像をとるに至った5例のsm癌につき検討し,次のような結果を得た.表面平滑な広基性腫瘍であるが,2群に分けることができた.1つは丈が比較的高く,形が若干いびつなもの,他は丈が低く(扁平腫瘍よりは明らかに高いが,通常の広基性腫瘍より低い),いびつさのないもの,である.この差は粘膜下層への癌の浸潤様式の差によるものと思われた. 全例に内視鏡的ポリペクトミーが行われ,5例中2例に腸管の追加切除が行われた.腫瘍残存,リンパ節転移はなかった.
  • 星加 和徳, 武田 昌治, 佐藤 一樹, 村上 三枝, 木原 彊
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2407-2412_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は食道狭窄で拡張術治療中の74歳女性で,拡張術の10日後より軽い咽頭痛,その後嚥下障害が出現した.内視鏡検査で下咽頭に潰瘍形成があり,造影検査での大きさは2cm大であった.生検で悪性所見なく酵母を認め,培養でCandidaalbicansが検出された.フルコナゾール1日100mg投与で嚥下障害は消失し,投与後50日目の内視鏡検査で病変は著明に縮小した.本邦咽頭Candida症の最近50年間の報告は,自験例を含め39例であった.
  • 山田 暢夫, 渡辺 廉, 前原 巳知夫, 長沼 裕子, 工藤 康嗣
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2415-2419_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に切除しえた食道平滑筋腫上に共存した粘膜内癌を報告した.症例は81歳,男性.昭和63年7月より食道粘膜下腫瘍で経過観察中,平成元年4月の内視鏡検査で粘膜下腫瘍からの生検組織の一部に扁平上皮癌を認めた.内視鏡的腫瘍切除術の摘出標本は0.9×0.8×0.6cmの平滑筋腫で,その表面の粘膜内に限局した扁平上皮癌(0.7×0.4cm)であった.
  • 内田 英二, 恩田 昌彦, カーン ハヤト, 横山 正, 小林 匡, 水谷 崇, 山中 洋一郎, 相本 隆幸, 田代 真一, 松倉 則夫, ...
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2420-2424_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     噴出状の動脈性大量出血によりショック状態を呈したBorrmann3型胃癌に対して内視鏡的純エタノール局注による止血後,待期的に根治手術をしえた1例について報告する.胃癌では胃潰瘍に比べて,口径の大きい粘膜下層血管の露出を生ずることが少なく,大量吐血をきたすような胃癌症例はまれである.本症例のような噴出状の拍動性大量出血をきたした胃癌に対しては,各種内視鏡的止血法によって保存的に止血し,充分な検査の後,待期的に根治手術を施行するのが望ましいと思われた.
  • 中西 一夫, 越智 和夫, 由井 三郎, 永井 裕司, 田中 肇, 前川 仁, 金銅 康之, 曽和 融生, 梅山 馨
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2425-2433
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は55歳,男性.20年前に胃癌により胃亜全摘術を施行されている.反復する嘔吐と心窩部痛を主訴に来院.腹部は平坦軟,心窩部に疼痛・圧痛を認めたが,腫瘤は触知せず.胃内視鏡検査では,空腸が残胃内に嵌頓し,うっ血性変化に陥っていた.開腹所見では,空腸輸出脚がその吻合部より約20cmの部位から逆行性に嵌入し残胃内にまで達していた.空腸残胃重積症は,非常に希な疾患であり,若干の考察を加え報告した.
  • 林 繁和, 荒川 明, 加納 潤一, 加賀 克宏, 宮田 章弘, 渡辺 吉博, 塚本 純久, 小池 光正
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2434-2438_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は71歳,男性,海外渡航歴なし.1982年9月より粘血便出現,翌年1月潰瘍性大腸炎と診断され,保存的治療で症状軽快,1984年11月直腸びらん部の生検よりアメーバ原虫が検出された.メトロニダゾール投与で症状は完全に消失,内視鏡的にも治癒が確認された.以後1985年8月及び1986年4月の大腸内視鏡検査で異常なかったが,1990年7月再び粘血便出現,大腸内視鏡検査で直腸,S状結腸,横行結腸にびらん,小潰瘍を認め,生検でアメーバ原虫を検出,前回と同様メトロニダゾール投与で治癒した.内視鏡で治癒確認後のアメーバ赤痢の再発は極めてまれであるが再発機序としてアメーバ原虫の(1)腸管内潜伏(2)再感染が考えられた.
  • 尾関 豊, 松原 長樹, 雑賀 俊夫, 本間 光雄, 小山 明宏, 市川 智章, 青山 庄, 森 一郎
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2439-2444_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     粘液による胆嚢管の閉塞と胆嚢の腫大をきたした胆嚢癌症例を経験したので報告する. 症例は70歳,女.全身倦怠感を主訴に来院した.US,CTで胆嚢内に隆起性病変を認め,胆嚢癌と診断した.ERCPでは胆嚢管は途中で中断し,内部に透亮像を認めた.手術を施行した.胆嚢は粘液で充満し,胆嚢内には乳頭状突起からなる腫瘍を認め,粘液が付着していた.組織学的には乳頭状腺癌であった. 粘液産生胆嚢癌の文献的考察を行った.
  • 垣本 洋希, 河田 純男, 今井 康陽, 田村 信司, 稲田 正己, 乾 由明, 松田 幸彦, 伊藤 信之, 高石 健司, 福田 和人, 白 ...
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2445-2451
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は24歳,女性.会社健康診断で肝機能異常を指摘された.皮膚掻痒感や黄疸はみられなかった.当科初診時,GOT137U/L,GPT84U/L,ALP630U/L,T.Bil.0.6mg/dlで,抗ミトコンドリア抗体は陰性であった.腹腔鏡検査で肝表面にreddish patchが観察された.生検肝組織像にて慢性非化膿性破壊性胆管炎を認め,ScheuerII期の原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と診断した.本症例は24歳という若年で抗ミトコンドリア抗体陰性の極めてまれな症例であり,その診断において腹腔鏡下肝生検が有用であった.
  • 大井田 正人, 菊池 新, 近藤 一英, 今泉 弘, 石井 圭太, 芦原 毅, 田辺 総, 小泉 和三郎, 横山 靖, 西元寺 克禮
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2452-2455_1
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     複数の電子内視鏡画像を同時に画像ファイル装置に入力可能なマルチ入力ユニットと,入力中であっても出力が可能なリモート検索システムを組み合わせた新しい画像ファイリングシステムを開発した.これらのシステムに,カラービデオプリンターを付加したものは複数の電子内視鏡で,複数の内視鏡医が検査を行う教育機関では初心者の実技教育に加え,内視鏡診断も検査直後により詳細に行う事ができた.今後,さらにこれらのシステムの発展が望まれる.
  • ―レーザー内視鏡委員会集計報告―
    井田 和徳, 加藤 隆弘, 小黒 八七郎
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2456-2463
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1991 年 33 巻 11 号 p. 2464-2554
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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