日本消化器内視鏡学会雑誌
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33 巻, 12 号
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  • 大井田 正人, 菊池 新, 今泉 弘, 田辺 聡, 山田 至人, 小泉 和三郎, 横山 靖, 西元寺 克禮
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2573-2578_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Pharmacoendoscopy (epinephrine撒布)による胃潰瘍瘢痕の検討を行った.撒布後の瘢痕部の色調はP1(瘢痕全体が発赤を呈し残存するもの),P2(発赤が部分的に淡く残存するもの),P3(瘢痕部全体が全て白色化してしまうもの)に分類することができた.慢性潰瘍では通常観察にて発赤が強いものほど,epinephrine撒布後発赤が残存した.瘢痕の中心が白色化しているものでは全例P3となったが,同色のものではP1,P2,P3が混在してみられた.Strip off後の潰瘍は6カ月以内にP3となった.慢性潰瘍では6カ月,12カ月を経過しても約半数は発赤が残存し,急性潰瘍とは異なっていた.再発例の通常内視鏡像は発赤または同色であった.しかし,Pharmacoendo-scopy後は全て発赤を呈していた.本法は簡便に粘膜内血管の状態を知ることができ,潰瘍の治癒判定に応用できるものと考えられた.
  • 大石 孝, 江川 直人, 大川 博之, 門馬 久美子, 田島 強, 山中 昭良
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2581-2587_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過去3年間の大腸sm癌37例(ポリペクトミー16例,開腹切除21例)を対象に,内視鏡的,病理学的所見について検討した.大腸sm癌は,大きさは10~29mmが8割を占め,表面性状では凹凸と発赤は9割に,緊満感と硬さ及び光沢消失は6割に,中央陥凹と非対称性は4割に,脆弱性や易出血性は2~3割にみられた.sm癌を深達度別にsm1癌~sm3癌の3つに分けると,sm2癌とsm3癌を合わせたsm massive癌では,脈管侵襲の割合が高かった.結論として,(1)sm massive癌の内視鏡的治療は,安易に行うべきではない,(2)大腸sm癌は,大きさが1~2cm台で,表面が発赤し,凹凸及び緊満感と硬さがあり,光沢消失をみるものが内視鏡像の特徴である,(3)sm massive癌の診断には,明らかな光沢消失・中央陥凹・易出血性と著明な凹凸・緊満感と硬さの5つの表面性状が有用である,(4)表面性状のうち,光沢消失と中央陥凹を見たら,再発転移の高危険因子群を念頭に置くべきではないか,と考えた.
  • 足立 洋祐, 加藤 良郎, 川口 淳, 金沢 雅弘, 永尾 重昭, 小山 洋, 田尻 久雄, 宮原 透, 丹羽 寛文
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2588-2596_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     摘出標本においてEUS像と組織像を比較検討した結果,十二指腸壁も他の消化管壁と同様に5層構造に描出された.またBrunner腺は,第2層内に散在する点状高エコーとして描出された.臨床例として十二指腸潰瘍32例に対してEUSを行った.その結果,EUSにより十二指腸潰瘍の深さのみならず,瘢痕において第2層と第4層の収束所見を認めた.また,線状潰瘍のridge部では5層構造は破壊され,その内部構造は経過を追っても著明な変動を認めなかった.このことはridge上に十二指腸潰瘍が再発を来たしやすいことを示唆する所見と思われた.
  • 木田 実, 田中 孝, 服部 文雄, 近藤 清治, 高木 敦司, 小沢 睦, 原田 亘, 伊東 和樹, 松本 春樹, 小島 紘一, 松本 美 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2599-2605_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    当院にて過去5年間に手術または内視鏡的ポリペクトミーにより切除された大腸腺腫620病変・早期癌113病変より,表面が平坦で径が高さの2倍以上ある扁平型隆起51病変(腺腫28病変,早期癌23病変)を選別し検討を加えた.10mm以上の扁平型隆起はすべてが早期癌であり,9mm以下でも26.3%が早期癌であった.そして扁平型早期癌の大腸内分布は他型(Is型,Ip型)早期癌と比較して,進行癌の分布に最も近似していた.さらにその肉眼像から辺縁が急峻で表面が平坦なもの(1型),辺縁急峻で表面にびらんがあるもの(2型),辺縁がなだらかで表面が平坦なもの(3型),辺縁がなだらかで中心部に陥凹のあるもの(4型),表面が顆粒状のもの(5型)に形態分類し,その組織像との比較検討をおこなった.辺縁が粘膜面から急峻に立ちあがる病変,表面に不整を認める病変,表面に出血を伴う病変は早期癌である可能性が有意に高く,とくに表面の出血はsm癌を疑わせる重要な肉眼像と思われた.また扁平型早期癌は10mmを越えた時点で粘膜下層への浸潤がはじまるものが多いと推測され,形態的には1型→2型と変化してゆくものが主流と考えられた.
  • 大隈 健司, 今村 達也, 岡田 光男, 奥村 恂, 春田 淳, 田中 信之介, 村山 寛, 古賀 安彦
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2606-2613_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性.昭和62年2月,胃X線検査,内視鏡検査にて噴門部直上に長径0.7cm,および体上部後壁に長径1.7cmの2個の小粘膜下腫瘍を認めた.平成1年3月,上腹部痛のため,胃内視鏡検査を施行したところ,噴門部の腫瘍は約5cm大の立ち上がり急峻な半球状隆起となり,表面には1cm大の境界明瞭な深い潰瘍を2個認めた.なお体上部後壁の腫瘍は,ほとんど変化を認めなかった.超音波内視鏡検査では第4層,すなわち固有筋層由来の腫瘍と考えられた.術後病理組織診断の結果,前者は胃内型平滑筋肉腫,後者は胃内型平滑筋腫であった.胃平滑筋腫と胃平滑筋肉腫の共存例は本邦では本例が4例目であり,極めて稀な症例であった.また,胃平滑筋肉腫の形態をretrospectiveに観察した報告は少なく,本症例ではdoubling timeは3.2か月と短かった.他の報告例の経過も含めて,形態学的に一見平滑筋腫と思われる症例でも,短期間におけるfollow up studyが重要と考えられた.
  • 石川 巧, 東野 正幸, 大杉 治司, 井上 清俊, 前川 憲昭, 徳原 太豪, 谷村 慎哉, 福長 洋介, 綛野 進, 木下 博明, 橋本 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2614-2619_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.食物残渣の嘔吐に引き続く吐血により発症した.食道内視鏡検査と上部消化管造影で食道破裂と診断したが,縦隔気腫,膿胸が見られないため保存的に経過をみた.以後,第17病日に破裂部の閉鎖が観察されるまで内視鏡検査により治癒過程を詳細に観察することができ,また24時間食道内pH測定結果により胃食道逆流症の併存も確認しえた.本例は,縦隔内に限局した食道破裂が非観血的に治癒しうることを示唆する症例であると思われた.
  • 北島 美香, 吉松 俊治, 冨口 静二, 伊東 鋼士郎, 土亀 直俊, 高橋 睦正
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2620-2624_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡,胃生検,アルブミン負荷後99mTC-DTPA-HSAにて診断しえたMénétrier病の1例を経験した.患者は35歳男性で下腿浮腫を主訴に入院した.低蛋白血症,鉄欠乏性貧血があり,胃X線,内視鏡にて巨大皺襞を認め,生検組織では萎縮性胃炎の像であった.超音波内視鏡では粘膜層の肥厚を認め,99mTC-DTPA-HSAを用いたスキャンにより胃粘膜からの蛋白漏出が証明され,Ménétrier病と診断した.
  • 北野 善郎, 中本 安成, 種井 政信, 西村 浩一, 松下 栄紀, 卜部 健, 稲垣 豊, 金子 周一, 鵜浦 雅志, 小林 健一, 松井 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2625-2630_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    51歳男性.心疾患の精査加療中腹部超音波検査を施行.胆嚢体部に径2cm,内部に低エコー部を認める高エコー性隆起性病変を指摘されたが,病変の質的診断は困難であった.一方,超音波内視鏡検査では,病変は胆嚢体部壁の管腔構造による念珠状,嚢状の肥厚として認められ,さらに,この管腔構造の壁外への連続性および胆嚢頸部,肝門部の多房性管腔構造の存在から胆嚢静脈瘤と診断可能であり,超音波内視鏡の有用性が示された.
  • 今田 朗, 高士 ひとみ, 松永 勇人, 倉下 隆, 長谷川 義夫, 鈴木 孝, 木村 昌之, 森瀬 公友
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2633-2640_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は20歳の男性.各種画像診断で,肝内胆管が巨大嚢腫状に拡張した戸谷IVa型の先天性胆道拡張症と診断した.血管撮影で胆管拡張部内を走行する血管像を認め,経皮経肝胆道鏡(PTCS)でもこれと一致して拡張した胆管内を横断するmucosal tag様の索状構造物を認め極めて稀な所見と考えられた.胆嚢・総胆管・左右肝管摘出術後の病理組織学的検討の結果これは胆管上皮に被覆された動脈で,術前診断と一致した.本症例においてPTCSは胆管癌の合併の鑑別,肝内胆管の性状診断にきわめて有用であった.
  • 小畑 伸一郎, 久木田 英世, 藤岡 靖也, 松本 裕三郎, 木村 圭志, 前田 和弘, 真田 功, 佐藤 昌彦, 河野 文夫, 紫藤 忠博 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2641-2644_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は,63歳男性,Immunoblastic Lymphadenopathy(IBL)1ike T-cell Lymphomaの経過中に,上腹部痛,食欲不振のため上部消化管内視鏡検査が施行された.十二指腸球部に中心が白色調の隆起性病変を認めた.同部の生検では粘膜上皮細胞内に巨細胞封入体を認め,サイトメガロウィルス(CMV)抗体価の上昇などよりサイトメガロウィルスによる十二指腸炎と診断された.全身性巨細胞封入体症の剖検例の報告は多いが,生前内視鏡的に観察された症例は極めてまれであり,十二指腸病変の報告は本邦では見あたらない.ここに若干の文献的考察を加え報告した.
  • 重松 忠, 米田 充, 松本 高士, 山上 正仁, 玉垣 俊幸, 赤松 尚明, 加藤 一晴, 岡森 博史, 鳥居 幸雄, 小野 紀弘, 今西 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2647-2655_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     18例の外傷性十二指腸損傷(破裂10例,壁内血腫4例,挫傷2例,刺創2例)を経験した.男性14例,女性4例で,平均年齢は男性41.8歳,女性30.8歳であった.原因は交通外傷13例,労働災害3例,自殺未遂2例であった. 十二指腸破裂10例中2例は重篤な他臓器損傷により,1例の後腹膜破裂例は早期治療が出来ず救命出来なかった. 十二指腸壁内血腫の4例中2例は他臓器損傷により開腹しているが十二指腸壁内血腫自体は保存的に治療し良好な経過を得た. 1例の十二指腸壁内血腫は緊急内視鏡による十二指腸粘膜の観察,内視鏡下の消化管造影が診断及び治癒経過の評価に有用であった.1例の十二指腸破裂は初診時に破裂を疑う所見を認めず緊急内視鏡検査及び内視鏡下の水溶性造影剤による消化管造影により早期に診断治療することが出来た.従って,腹部鈍的外傷例において,緊急内視鏡検査及び内視鏡下の消化管造影は外傷性十二指腸損傷診断に極めて有用であり,積極的に導入されるべきであると考えられた.
  • 福嶋 龍二, 北野 厚生, 岡部 弘, 加島 和俊, 中村 志郎, 小畠 昭重, 押谷 伸英, 橋村 秀親, 日置 正人, 松本 誉之, 大 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2656-2661_1
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,痔痩,肛門周囲膿瘍を契機として診断し得た直腸型クローン病の2例について,その臨床的検討を行った.症例1は58歳男性.主訴は排便時疹痛と痔痩である.切開排膿および痔痩に対する手術を受けた後,内視鏡検査にて直腸に限局したcobblestone appearanceを認め,また生検にても非乾酪性肉芽腫が証明され,直腸型クローン病と診断した.症例2は31歳女性.主訴は肛門部痛と発熱である.多発性肛門周囲膿瘍の切開排膿および痔痩に対する手術を受け,その後の注腸造影,内視鏡検査にて直腸に限局して典型的なcobblestone appearanceを認め,直腸型クローン病と診断した.直腸型クローン病は,術前診断が容易でなく,手術が施行されることが多い.本邦における報告でも14例中13例が直腸切断術あるいは直腸切除術を受けている.今回検討した2症例は内視鏡的に診断し,かつ内科的治療にて良好な臨床経過をなお継続中である.直腸型クローン病の特異性について若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 前谷 容, 小川 聡, 星 一, 大橋 茂樹, 吉岡 秀樹, 西川 邦寿, 五十嵐 良典, 酒井 義浩
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2662-2667
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年内視鏡的乳頭切開術(endoscopic sphycterotomy, EST),経皮経肝胆道ドレナージ(percutaneous transhepatic cholangial drainage, PTCD)及びその応用による種々の内視鏡的治療が行われるようになった.機器の開発,手技の改良により,少なくなっているとはいえ,合併症は他の手技に比べると多く,かつ血管損傷を伴うことが多いことから,重大な合併症となることがしばしばである.著者らはこれまでEST,PTCDにより血管損傷が発生し出血を来した4例を経験したが,経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial emboliza-tion, TAE)などのinterventional radiology(IVR)を行い,いずれも完全止血しえた.止血後は1例の高度黄疸例も含め,経過は良好であり,肝予備能不良例であっても超選択的にTAEを行えば,安全に止血できると思われた. EST, PTCD等の侵襲的処置を行う際には,細心の注意を払い合併症を防止することが重要であるが,血管損傷をきたした場合, TAEを初めとするIVRを第一選択とすべきである.
  • 芦原 亨, 趙 栄済, 中島 正継, 安田 健治朗, 向井 秀一, 水間 美宏, 早雲 孝信, 水野 成人, 平野 誠一, 池田 悦子, 田 ...
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2668-2675
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     下部消化管疾患95病変に対してオリンパス社製超音波プローブ(XMP-01およびXUM-IW)を用いて内視鏡的超音波断層法(EUS)を施行し,その診断能についてオリンパス社製大腸用超音波内視鏡(CF-UM3)と対比検討した.正常大腸壁はいずれの方法においても5層構造として明瞭に描出された. 大腸癌症例のうち,両機種を併用して深達度判定が可能であった10病変についての癌深達度正診率は,超音波プローブが10病変中8病変(80%),CF-UM3が10病変中9病変(90%)であった.また,CF-UM3の挿入不可能な全周性狭窄を伴う進行癌に対しては,たとえ超音波プローブを挿入しえても超音波減衰のために層構造が不明瞭で,深達度判定は困難であった.リンパ節描出能における敏感度はCF-UM3が100%であるのに対し,超音波プローブでは33%と低かった.粘膜下腫瘍や壁外圧排に対しても超音波プローブの描出能は劣っていたが,炎症性疾患や小隆起性病変の描出は良好であった.解像力や超音波減衰などが改善されれば,超音波プローブを用いたEUSは簡便で有用な診断法になると考えられた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1991 年 33 巻 12 号 p. 2676-2810
    発行日: 1991/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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