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渡辺 滋
1991 年 33 巻 6 号 p.
1097-1106
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患157例を対象にX線CTフィルムから肝・脾容積を測定し,腹腔鏡所見・組織像・病因・病期との関連性を検討した.腹腔鏡検査による肝表面分類では,肝容積はII型:不整肝・I型:平滑肝・III型:結節肝の順に大で,中でも細顆粒肝の肝容積(1,082±210cm
3/m
2)が最も大きかった.左葉腫大の程度と脾腫の有無は左葉容積・脾容積と相関したが,赤色紋理・白色紋理・斑紋は肝容積と相関しなかった.組織学的にはアルコール性肝線維症の肝容積(1,014±180cm
3/m
2)が最も大きく,肝硬変でもアルコール性がB型・非B型より大きく,アルコールの関与は肝容積を増大させる因子と考えられた.慢性肝炎と代償性肝硬変では肝容積に有意差がなかったが,非代償性肝硬変の肝容積は病因にかかわらず有意に小さかった.同一症例の検討でも病期の進展とともに肝容積は有意に縮小した.
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矢崎 康幸, 関谷 千尋, 川島 哲也, 山田 政孝, 村住 ゆかり, 吉田 行範, 鈴木 貴久, 富永 吉春, 並木 正義
1991 年 33 巻 6 号 p.
1107-1113
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Vasopressin投与中に各種亜硝酸製剤を併用するとVasopressinによる門脈圧低下がさらに増強され,また,Vasopressinの循環器系に対する悪影響が緩和されることが知られている.この点に着目し,55例,132回の食道静脈瘤内視鏡的硬化療法時にVasopressinとisosorbide dinitrateの併用を試みた.内視鏡装着バルーンで血流を停滞させた食道静脈瘤内にX線透視下に造影剤を混入した5%ethanolamine oleateを注入し,引き続きvasopressin0.4単位/分の点滴を開始し,さらにisosorbide dinitrate5mgを舌下投与した.この方法では1.静脈瘤から抜針後の穿刺孔出血が頻度,程度ともに減少し,極めて軽微であり,2.Vasopressinの循環器系への副作用が軽微であったこと,3.食道静脈瘤の完全消失率が91%と治療成績が非常に良好であったことから本法は今後食道静脈瘤の,新しい治療法として期待できる.
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菊池 孝, 舛本 俊一, 野中 卓, 土居 万昭, 道尭 浩二郎, 堀池 典生, 恩地 森一, 太田 康幸
1991 年 33 巻 6 号 p.
1114-1121
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
非A非B型慢性肝炎におけるインターフェロン(IFN)療法の有効性の予知について,腹腔鏡所見より検討した.対象は,腹腔鏡下肝生検により病理組織学的に診断し得た非A非B型慢性活動性肝炎16例である.対象症例をIFN投与終了後6カ月以内に血清GPTが正常化し正常値が6カ月以上持続した有効例8例と,それ以外の無効例8例にわけ,その肝表面所見を比較検討した.IFN有効例8例では,全例島田の番地分類の200番地を呈していたが,無効例では,8例中4例が300番地であり,200番地が有効例では無効例に較べ有意に多かった.組織学的には無効例4例に亜小葉性肝壊死を伴う慢性活動性肝炎(CAHCSN)を認めたが,有効例には1例もCAHCSNを認めず,無効例に多くCAHCSNを認めた.以上より,200番地までの症例で,組織学的にSNを伴わない症例においてIFNが有効であることが示唆された.
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柴田 好, 蘆田 知史, 綾部 時芳, 垂石 正樹, 奥山 修見, 村上 雅則, 斉藤 裕輔, 北守 茂, 小原 剛, 原田 一道, 岡村 ...
1991 年 33 巻 6 号 p.
1122-1127_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ラットの遠位大腸に,haptenである2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid(TNB)を注入することによって慢性炎症性変化を作成し,その変化を内視鏡的および病理組織学的に観察した.P.Morrisらの方法に準じ,TNB50mg/ml 50% ethanolを0.5ml経肛門的に注腸し,病変を作成した(TNB-ET群).対照として,50%ethanol単独投与群(ET群),TNB単独投与群(TNB群)を作成し観察した.内視鏡的観察はOlympus BF 3 C 20を用いて,自然肛門より7日毎に行った.TNB-ET群では,白苔を有し,深掘れ傾向のある潰瘍が生じ,4週以上にわたって持続する病変が形成された.組織学的には,粘膜下層を中心にリンパ球の反応が著明で,肉芽腫様病変の形成も認められ,内視鏡像,組織像ともヒトのCrohn病に類似する所見が認められた.ET群では軽度のびらん性の変化が形成されたが,2週間以内にほとんどが治癒した.TNB群では特に変化は生じなかった.これらの所見は,実体顕微鏡よりも内視鏡観察のほうが容易に把握できた.この実験大腸炎モデルは,作成が簡便であるだけでなく,内視鏡的に粘膜変化を観察できるので,炎症性腸疾患の病態解明に有用であると考える.
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芦原 毅, 三橋 利温, 安海 義曜, 西元寺 克禮, 岡部 治弥
1991 年 33 巻 6 号 p.
1128-1142
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
消化性潰瘍の全体的なかつ長期的な予後を探ることを目的とし,潰瘍の確認後3年以上の経過を追跡しえた592例の胃潰瘍について,その累積再発率を検討した.上記症例を初回治療にヒスタミンH
2受容体拮抗剤を使用した群(H
2-B群)とその他の薬剤を使用した群(従来法群)に分け,更にその2群について潰瘍治癒後にも通院しつづけたものを通院群とし,通院していないものにはアンケート調査を行いその返答の得たものをアンケート群とし,計4群に分類した.従来法通院群の累積再発率は,H
2-B通院群に比し明らかに高率であった.アンケート群の再発率は,従来法群,H
2-B群のいずれも通院群より非常に低率であった.通院群において通院様式別に検討すると従来法群でもH
2-B群でも,治療中断群に比較して治療継続群に累積再発率は低かった.H
2-B通院群の治癒後の経過中や治癒確認時にS
2stageであった症例では,累積再発率が低率であった.
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岩井 淳浩, 小山 洋, 岩下 悦郎, 松田 浩二, 笹木 淳司, 青野 茂昭, 徳永 徹二, 福島 義隆, 足立 洋祐, 石塚 裕昭, 小 ...
1991 年 33 巻 6 号 p.
1143-1148_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
色素撒布に代わるより簡便な色素投与法としての色素液注腸法に関しては,手技の煩雑さ及び深部大腸の染色が難しいなどのまだ多くの問題点が残されている.これらの問題点を解決するために今回われわれは色素液の経口的投与による色素内視鏡検査法を考案し検討を加えた.対象は当院第2内科にポリペクトミー目的にて入院させた20例,総計39個のポリープである.対象の選択は無作為に行った.前処置法は既報の簡略法と同様に行い,インジゴカルミン1A(20mg)は水コップ1杯で薄めて投与し,投与時間は午前8時の群と正午の群に分けて行い両群間で比較検討を行った.この方法により,色素法が通常内視鏡検査とほぼ同様に簡単に施行できそれより情報量が多く,一度に広い範囲の大腸を着色する事が可能となった.本法は,スクリーニング検査と精密検査の間に位置する色素法検査法として簡便かつ有効なものと考えられた.
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豊原 時秋, 望月 福治, 長南 明道, 矢野 明, 松永 厚生, 安藤 正夫, 解良 〓
1991 年 33 巻 6 号 p.
1151-1157_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
消化管に発生するGranular celltumor(GCT)は少なく,とくに胃は極めてまれである.われわれは,胃に発生したGCTの1例を経験したので報告する.症例は41歳,男性.主訴は特になし.胃X線検査で角上部後壁にbridging foldを伴う楕円形の粘膜下腫瘍を認め,胃内視鏡検査で同部位に表面が黄色調の山田II型の粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査で腫瘍は第3層に限局する腫瘤として認められた.胃生検のH-E,PAS-Alucian BlueおよびS-100染色でGCTと診断し,内視鏡的切除術を施行した.切除標本は,大きさ13×12×5mmで粘膜下層内に限局する黄白色の腫瘍であり,病理組織学的にGCTと診断された.
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伊東 裕幸, 平田 泰彦, 福永 充, 植木 祐司, 岡村 孝, 井上 孝利, 隅田 イク男, 花田 基典
1991 年 33 巻 6 号 p.
1158-1162_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
成人T細胞白血病(adult T cell leukemia以下ATL)において腫瘍細胞の消化管への浸潤は従来言われていたほど稀ではない.今回われわれはATL患者に胃内視鏡検査を施行し若干の知見を得たので報告する. 1984年1月より1989年12月までに当院内科でATLと診断された8例のうち7例に内視鏡検査を施行した.7例のうち5例がリンパ腫型,2例が急性型であった.リンパ腫型の3例に上部消化管へのATL細胞の浸潤を認め,うち2例では胃に潰瘍を伴う腫瘤を形成し,他の1例では胃の搬襲の腫大を認めた.またこれらの3例はATLへの化学療法にて胃病変も改善した.他の4例では非特異的病変のみでATL細胞の浸潤は認められなかった.以上のことよりATL患者では消化管の精査を行うことが重要であり,特に消化器症状,リンパ節腫脹を認めるものでは必須であると考えられた.
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江頭 由太郎, 芦田 潔, 田中 雅也, 大坂 直文, 鄭 鳳鉱, 平田 一郎, 大柴 三郎, 中島 立博, 谷村 雅一, 岡島 邦雄
1991 年 33 巻 6 号 p.
1165-1170_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は72歳,男性で,昭和61年1月より噴門部後壁の潰瘍のため当科で治療を受け内視鏡的経過観察がなされていたが,悪性を示唆する所見は得られなかった.しかし,昭和63年1月に,潰瘍部に一致して粘膜下腫瘍様隆起がみられ,さらに平成元年2月には隆起表面に不整形のびらんが認められた.このびらんからの生検ではじめて胃癌と診断された.EUSではこの隆起性病変部に第4層まで達する腫瘤がみられ進行胃癌と術前診断した.一方,胃体部粘膜には大きさ5~10mmの多発性胃粘膜下嚢腫が認められた.切除標本では隆起部のulcerationは拡大し,肉眼形態はBorrmann2型様であった.腫瘍はlymphoid stromaを伴い,medullaryに増殖する未分化型癌で,深達度はssであった.また,病巣近傍及び胃体部粘膜に嚢胞状に拡張した異所腺を多発性に認めた.自験例は多発性胃粘膜下嚢腫に胃癌が合併し,さらに特殊な発育進展を呈した極めて稀な症例であり,ここに報告した.
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金谷 晶子, 藤田 淳, 土肥 勇, 高井 重紀, 鈴木 潤一, 川上 義和, 近藤 征文, 加藤 紘之, 安田 慶秀, 野島 孝之, 井上 ...
1991 年 33 巻 6 号 p.
1173-1179,1189
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
血清AFP高値の原発性十二指腸癌2例を経験した.症例1は65歳男性,血清AFP151.5ng/ml,症例2は75歳男性,血清AFP4,467.5ng/ml,ともに十二指腸にボルマン2型様隆起性病変を認め,AFP染色は2例とも陽性であった.症例1は組織学的に肝細胞癌様部が存在することより,症例2は腫瘍が大きく切除不能で詳細な組織学的観察は行わなかったが,血清AFPのレクチン結合性が肝細胞由来であることより,ともに肝様腺癌であると思われる.
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浦野 文博, 井本 正巳, 福田 吉秀, 小山 泰生, 中野 功, 服部 正美, 神田 信之, 磯部 和男
1991 年 33 巻 6 号 p.
1180-1184_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は53歳,女性.輸血歴あり.飲酒歴なし.検診時に肝機能異常に加えて,腹部超音波検査にて肝内に径5~10mm程度の多発性高エコー腫瘤像を指摘された.患者は軽度の肥満を示し,HCV抗体陽性,トランスアミナーゼの軽度上昇を認めたが,高脂血症は認めなかった.腹腔鏡検査では一部に脂肪沈着を伴った肝硬変の所見であった.確診のために超音波誘導下に生検を施行した.組織学的には,肝硬変の所見であり,高エコー腫瘤像に該当する部位は脂肪沈着の著しい偽小葉の集団より成っていた.一方,非腫瘤部の偽小葉にはほとんど脂肪沈着を認めなかった.これらより,本症例は,肝硬変症に多発性の結節状脂肪沈着を合併したものと診断した.非アルコール性肝硬変症に多発性の結節状脂肪沈着を合併した例はなく,その機序について文献的考察を加えて報告した.
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井上 晴洋, 竹下 公矢, 河野 辰幸, 長浜 雄二, 滝口 透, 吉野 邦英, 遠藤 光夫
1991 年 33 巻 6 号 p.
1185-1188_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
透明チューブを用いた内視鏡的食道粘膜切除術(EMRT)を21例(早期食道癌6例を含む)に施行してきた.原法に残された問題点として,(1)把持鉗子で粘膜を挙上する際に,粘膜が小さく引きちぎられることがある,(2)スネヤーによって絞扼切除する際に,粘膜下層への薬液の注入が必要か否か,があった.把持鉗子については,新しくW字型把持鉗子(FG-4L改良型,Olympus)を作成することにより,強い牽引によっても組織がちぎれることがなくなった.さらにEMRTチューブの回転により,内視鏡治療における新しい手技として「剥離操作」が可能となった.一方,粘膜下層への薬液の注入は,粘膜の挙上をさらに容易とし,また色素の混入により注入範囲の確認と切除範囲のマーキングとしての効果がみとめられた.
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武川 建二, 松田 至晃, 牛丸 博泰, 赤松 泰次, 松沢 賢治, 大和 理務, 上条 寿一, 藤森 芳史, 古田 精市, 嶋倉 勝秀, ...
1991 年 33 巻 6 号 p.
1191-1198_1
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
切除不能と診断された膵癌4例,胆管癌1例の計5例を対象にballoon-expandable metal stent(Mi-crovasive社製,Strecker-stent)による内視鏡的胆道ドレナージを試み全例に成功した.挿入留置に際し,狭窄部拡張時に一時的な腹痛が見られた他は,特に合併症を認めなかった.初期減黄効果は良好で1カ月以上経過観察した2症例ではstent径の変化を認めなかった.膵癌の1例では2カ月後に胆道系酵素の上昇が認められたため,経口胆道鏡を施行したところ,stentは胆管上皮に被覆されて確認できず,本来狭窄のあった部位で,腫瘍の内腔への発育によると思われる全周性の狭窄を認めた.expandable stentは従来のstentに比べ,はるかに広い内腔を得ることが可能で,長期の有効性が期待されるが,腫瘍の内腔への発育による再閉塞が問題と思われる.今後閉塞の機序や維持期間,後期合併症について検討を加えると共にstentの改良も必要と考えられた.
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1200-1213
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1214-1224
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1225-1236
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1237-1254
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1255-1268
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1269-1282
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1283-1293
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1294-1323
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1991 年 33 巻 6 号 p.
1324-1326
発行日: 1991/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー