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大原 昇
1992 年 34 巻 11 号 p.
2527-2541
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
高周波数(20MHz)超音波プローブにおける大腸壁基本層構造を検討し,さらにそれに基ずく表面型腫瘍の深達度診断を試みた.機種は経内視鏡的超音波診断装置ソノプローブシステムSP-101(富士写真光機社製)を使用した.検討対象は水槽内実験で正常部5例,病変部27例を,臨床例で50病変を対象とした.基本層構造の検討により正常大腸壁は9層に分離された.第1-3層は粘膜層,第4層は粘膜筋板,第5層は粘膜下層,第6-8層は固有筋層,第9層は漿膜または外膜に相当した.この基本層構造より,m癌を第4層の粘膜筋板が保たれているもの,sm癌を第4層が破壊され第5層の一部または全層が破壊されているものとした.この診断基準により臨床例で表面型早期大腸癌14例(m癌12例,sm癌2例)の深達度を検討したところ全例正診できた.高周波超音波プローブは表面型腫瘍の描出および深達度診断に有用であった.
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村上 匡人, 國分 茂博, 山縣 さゆり, 白崎 敬二, 杉本 政直, 柴田 久雄, 西元寺 克禮, 外山 久太郎
1992 年 34 巻 11 号 p.
2543-2551
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
EVIS 230例中PPVAを確認し得た10例について検討を行った.PPVAの描出は現疾患の肝硬変の診断時期に相関はなかったが,予備能はchild分類でA2例,B6例,c2例と低下した例に多かった.また,血管造影及びEVISにおける血流方向は遠肝性がほとんどであった.PPVAが描出された静脈瘤はLmF
2RC(+)以上の高度な静脈瘤がほとんどであったが,再出血例3例を含めても,出血死はなく硬化療法でのコントロールが可能であった.PPVAの描出は全例下部食道の穿刺であり,しかも90%は9°~12°方向の穿刺であった.10例中4例に合併症を認めたが,2例は糖尿病合併例であった.またいずれも薬剤注入直後に脳血管系の合併症が出現しており,左心系へのシャントを裏付けた.
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―胃陥凹性病変の深達度診断へ向けての基礎的検討―
山口 研成, 田尻 久雄, 石塚 裕昭, 川口 淳, 金沢 雅弘, 永尾 重昭, 宮原 透, 日野 邦彦, 丹羽 寛文, 荒井 恒憲, 菊地 ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2552-2558
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
近年,早期胃癌に対する内視鏡的治療は目覚ましい進歩を示し,普及してきている.それにともない,胃陥凹性病変の深達度に関する正確な診断及び治療効果の評価の必要性が増大してきている.内視鏡的治療の効果は病理組織学的に診断されているが,安全に,迅速かつ正確に診断する方法が必要である.われわれはPulsed Photothermal Radiometry (PPTR)法を用い,胃壁各層の識別診断の基礎的検討を行った.われわれの開発したファイバー化PPTR法は励起光としてパルス化したアルゴンレーザー光を試料表面に照射し,試料表面より励起された赤外光はAs-Sグラスファイバーを通じて金ゲルマニウム検出器にて検出した.検出した信号はストレッジオシロスコープにて観察し,処理の簡便化を図るために1/e減衰時間を指標とした.このファイバーは外径2mmで2mの有効長を有する.家兎を麻酔下にて開腹し,胃に大彎沿いに約5cmの切開を加えPPTR法を施行した.この結果,胃壁各層の1/e減衰時間は,粘膜層119.06ms,粘膜下層32.50ms,固有筋層38.77ms,漿膜面33.98msであった.この結果,粘膜層はそれ以下の深層と識別可能であった. 臨床応用に行うに当たっては,粘液の影響,血流分布の差異,壁細胞の分布の差異をいかに評価するかなど問題点は残されるが,これらが解決されれば,このファイバー化PPTR法は陥凹性病変の診断及び内視鏡的治療効果の評価に有用であることが確認された.
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黒木 雅彦, 田尻 久雄, 山口 研成, 林 琢也, 金沢 雅弘, 永尾 重昭, 小山 洋, 宮原 透, 日野 邦彦, 中島 進, 竹村 健 ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2559-2564
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
新しい光感受性物質であるGa金属ポルフィリン誘導体(ATX-70)を用いて,QスイッチパルスNd:YAGレーザーの基本波による温熱治療に加えて二光子吸収および倍音による光線力学的治療の基礎実験として,ヌードマウス可移植性ヒト膵癌(マウス)とBOPゴールデンハムスター実験膵癌(ハムスター)の腫瘍集積性を検討した.マウスはATX-70を25mg/kg腹腔内投与(I.P.)し,6,12,24,48時間後に,ハムスターは10mg/kgI.P.と3mg/kg静脈内投与(I.V.)し24,48時間後に各臓器の濃度をHPLCを用い定量した.マウスでは腫瘍の24時間後に濃度のピークを認め(73.3±14.0mg/kg),皮膚と肺より高い集積を認めた.ハムスターのI.P.群の腫瘍の24時間後の濃度は,326±109mg/kgと,膵,腎,肺より高い集積を認めた.I.V.群でも同様の結果を得た.いずれの実験系においてもこれまでの光感受性物質と比べ高い腫瘍集積を示し,皮膚への集積も少なく有用性が期待される.
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―雑種犬を用いた基礎的検討―
平沼 孝之, 対馬 健祐, 島倉 秀也, 山口 高史, 斉藤 洋子, 樫村 博正, 中原 朗, 田中 直見, 福富 久之, 大菅 俊明
1992 年 34 巻 11 号 p.
2565-2575
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝動脈塞栓療法に伴って発生する急性胃粘膜病変の原因は,塞栓物質の胃動脈内への逆流によるところが大きいとされている.今回われわれは,塞栓物質の種類により,病変の発生率,形態,発生機序に差があるかどうかを明らかにすることを目的として,雑種犬を用いた基礎的検討を行った.雑種犬を5群に分け,それぞれ,セルジンガー法により,胃大網動脈にカテーテルを挿入し,塞栓物質を動注した.Lipiodol単独動注群では胃粘膜血流の低下は一過性であり,発赤病変が17%(1/6)に観察されたが,明らかな潰瘍性病変は発生しなかった.MMC単独動注群では,胃粘膜血流は低下しなかった.従って組織の虚血とは異なる機序で発赤病変(60%, 3/5)が出現したものと思われる.Lipiodol-MMc懸濁液動注群では,胃粘膜の虚血状態は長引き,潰瘍性病変の発生率(57%, 4/7)が高かった.この成因は懸濁液が,胃粘膜組織に長く停滞するための虚血作用と,MMCの組織傷害作用の相乗効果によるものと思われた.Gelfoam Powderでは,胃粘膜血流の低下は,Lipiodol-MMC懸濁液と同様に長引き,虚血作用によると思われる潰瘍性病変の発生率(100%, 6/6)が高かった.1mm角Gelfoam片では,Lipiodol単独の場合と同様に,胃粘膜血流の低下は,一過性であったが,びらん,発赤の出現(50%, 2/4)を認めた.PG-E
1誘導体を予防的に投与すると,胃粘膜血流が増加し(137.2%),コントロール群に比し,虚血性胃粘膜病変の発生率は低下した(100%→50%).
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―特に切除後の経過について―
大石 孝, 坂本 輝彦, 山田 義也, 江川 直人, 門馬 久美子, 田島 強, 岩崎 善毅
1992 年 34 巻 11 号 p.
2576-2582
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡的に切除された早期大腸癌の切除後の経過について検討した.対象は,6カ月以上内視鏡的に経過観察されたm癌182例とsm癌28例であった.それぞれ腺腫非併存単発癌群,腺腫併存単発癌群,多発癌群の3群に分け,新しく腫瘍性病変が診断される頻度やその時期を検討した.その結果,m癌では再発・転移はなく,遺残が6例にみられた.早期大腸癌全体で,55%に新しく腫瘍性病変が診断され,特に,男性例,m癌多発群もしくはsm癌症例では,その割合が高かった.また,癌新生率は6.2%であり,その時期は,m癌ではすべて3年未満であったが,sm癌では5年以上経過して診断された例があった.大腸早期癌の効果的なフォローアップのプログラムは,m癌単発群では1年目と3年目に,m癌多発群とsm癌では最初の3年間は毎年行い,sm癌のフォローは特に長期にわたり行う必要があると考えられた.併せて検討した早期大腸癌の他臓器重複癌の割合は,20%と高率であった.
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守谷 昭彦, 宮本 一行, 鈴木 浩之, 松丸 清, 関根 重員
1992 年 34 巻 11 号 p.
2583-2588_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は53歳,男性.食道癌及び左主気管支浸潤による無気肺及び閉塞性肺炎の診断にて放射線治療施行.さらに,再発による食道狭窄に対し食道ブジー挿管術施行したが,続いて食道気管支瘻を合併した.内視鏡下,アロンアルファーAの気管支側からの注入によって瘻孔閉鎖を行った.本治療後死亡までの約4カ月間,自宅にて,経口摂取が可能であり,末期癌患者のQuality of lifeの上からも試みるべき方法と思われた.
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菅 知也, 小泉 和三郎, 土橋 健, 田辺 聡, 大井田 正人, 西元寺 克禮, 瀬川 謙一, 中 英男
1992 年 34 巻 11 号 p.
2591-2596_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は,67歳男性.呼吸困難を主訴に来院した.理学所見では女性化乳房を伴い,上部消化管造影検査で胃角小彎にBorrmann 2型の腫瘍を認めた.生検組織検査では,hCG (human Chorionic Gonadotropin)染色陽性の合胞体性栄養細胞をみる絨毛癌で腺癌組織も混在していた.臨床的に他の臓器に原発巣はなく胃原発絨毛癌と診断し制癌剤が投与され,一時的に著明な改善がみられた.この間のhCGの推移も検索し病状の判定に有用であった.以上,長期間生存しえた胃原発絨毛癌の1例を報告する.
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岡 紳爾, 松崎 祐子, 木下 久美子, 木下 善二, 川嶋 正男, 前谷 昇, 小田原 満, 清水 道彦, 飯田 洋三
1992 年 34 巻 11 号 p.
2597-2602_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は32歳女性.腹部腫瘤精査のため当科を受診.膵頭部に腫瘍性嚢胞が疑われたため精査目的で入院.外来での内視鏡検査では著変なしであったが,入院経過中に貧血が進行.出血源がはっきりしないため出血シンチおよび再度内視鏡検査を行い十二指腸球部の潰瘍性病変からの出血と判明した.出血性潰瘍に準じて治療を行いながら手術を施行.手術標本により膵嚢胞腺腫が十二指腸に穿破したための出血と判明した.腫瘍性膵嚢胞の穿孔に起因する消化管出血はまれであり,貴重な症例と考えられた.
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寺井 毅, 近藤 健司, 渡辺 晴生, 岩崎 良三, 大蔵 隆一, 梁 承郁, 三輪 洋人, 碓井 芳樹, 荻原 達雄, 浜田 勉, 佐藤 ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2605-2609_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
微小陥凹型大腸sm癌の2例を経験したので報告する.症例1は41歳男性.直腸に小陥凹性病変を認め,経肛門的切除術にて摘出した結果,大きさ4mm,smに浸潤した陥凹型早期癌であった.症例2は56歳男性.S状結腸に陥凹性病変を認め,strip biopsyを施行し,大きさ5mm,smに浸潤した陥凹型早期癌であった.本症例は,陥凹部に明らかな癌が存在するde novo cancerであり,大腸癌が微小癌でもsm以下に深部浸潤していく可能性を示唆するものと考えられた.
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大川 清孝, 石黒 信吾, 青木 哲也, 渡辺 憲治, 酒井 泰彦, 池田 雄子, 森吉 靖子, 大谷 健二郎, 木岡 清英, 進藤 嘉一, ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2610-2614_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は48歳女性と70歳女性でいずれもポリープ観察目的の大腸内視鏡検査で,浅い縦走潰瘍を認め,生検組織所見を含めて急性期の虚血性大腸炎と診断した.いずれも前処置のための下剤による下痢以外には,腹痛や血便は認めずsubclinicalな虚血性大腸炎と診断した.本2症例は,subclinicalな虚血性大腸炎の存在を示したこと,虚血性大腸炎の発症に腸管側因子が深く関与していることを示した点で意義深いものと考えられた.
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橋本 光司, 柏原 赳, 小谷 光, 藤森 永二郎, 大木 篤, 川上 房男, 多胡 基, 奥野 巍一
1992 年 34 巻 11 号 p.
2615-2620_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は42歳,男性.1カ月前より味覚異常,指趾色素沈着,下痢で受診.その後まもなく脱毛を認めた.さらに2カ月後爪甲が萎縮し剥離した.低蛋白血症なし.胃,十二指腸,大腸にポリープを密に認め,生検組織像は嚢胞状拡張を伴う過形成性腺管で,間質の浮腫とリンパ球浸潤を認めCronkhite-Canada症候群(CCS)と診断した.投薬せず経過観察のみで症状改善し,ポリープも消失した.2年後も再発は認めない.CCSで自然軽快した興味ある症例を報告する.
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―慢性膵炎の成因について―
広岡 大司, 大地 宏昭, 西原 英樹, 片岡 伸一, 圓尾 隆典, 小林 晃, 上江洲 朝弘, 仲本 剛, 牧本 伸一郎, 松尾 吉郎, ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2623-2630
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ERP像で腹側・背側両膵管の分枝癒合と診断し,病理組織学的にもそれを証明し得た2例を経験し得たので報告した. 症例1は48歳,男性,アルコール飲用歴なし.ERP像で,腹側・背側両膵管の癒合は分枝癒合1型を示した.癒合部に膵石が嵌頓した再燃型の慢性膵炎と診断.症例2は67歳,男性,心窩部膨満感を主訴として来院,腹部超音波診断,PTCSにて胆管癌,ERPで分枝癒合3型と診断し,ともに膵頭十二指腸切除を施行した. これら2症例の切除材料についてまず肉眼的に分枝癒合を確認し,さらにPancreatic polypeptide細胞の分布より分枝癒合部が背側膵管の分枝からなることを証明した. 以上のごとくERP像の検討と膵管の肉眼的検索により分枝癒合1・3型を証明し得た.また2症例はともに背側膵に比べ腹側膵に強い膵病変を伴っており,分枝癒合では腹側膵に病変を併発し易いと考えられた.
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圓尾 隆典, 広岡 大司, 土細工 利夫, 豊永 高史, 小橋 良太郎, 濱田 孝明, 小林 晃, 片岡 伸一, 大地 宏昭, 松尾 吉郎, ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2631-2634_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸では稀な組織型である早期印環細胞癌を経験したので報告する. 症例は64歳男性で交代性便通異常を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で横行結腸にIIa+IIc様病変と直腸に有茎性ポリープを認め,両者に対し内視鏡的ポリペクトミーを施行した.病理組織学的に前者は印環細胞癌,後者は高分化型腺癌でいずれも粘膜内癌であった.早期印環細胞癌の本邦報告例は,著者らが検索し得た範囲内で自験例を含めて6例に過ぎなかった.部位は左半結腸が5例,形態は平坦・陥凹型が4例,内視鏡で発見されたものが5例であった.大腸印環細胞癌は平坦・陥凹型の形態を示し早期に粘膜下層へ浸潤するものと考えられた.
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土屋 十次, 森 茂, 加藤 禎洋, 梶間 敏彦, 星野 睦夫, 後藤 加寿美, 池田 庸子, 下川 邦泰
1992 年 34 巻 11 号 p.
2635-2641
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡的電気凝固術を行って止血し得た小児大腸海綿状血管腫の1例を報告した.症例は2歳9カ月の男児.平成3年5月より血便を来し,大腸内視鏡的にS状結腸より直腸肛門歯状線にまで及ぶ広範囲散在性の,数mmから5mmほどの粘膜下結節の形態をとる海綿状血管腫を観察し,これを前後3回に及ぶ全麻下内視鏡的電気凝固術により,合計15カ所の血管腫を凝固止血し得た.半年後の全大腸内視鏡観察で血管腫は全く認めなかった.
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世古口 健, 宮原 眞敏, 二神 康夫, 須川 正宏, 岡宗 眞一郎, 奥田 喜朗, 矢野 隆嗣, 高瀬 幸次郎, 中野 赳, 為田 靱彦, ...
1992 年 34 巻 11 号 p.
2642-2648_1
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
著者らはSacks-Vine法(以下S-V法),Introducer法(以下I法)により経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下PEG)を施行し,両法の臨床的安全性及び耐久性について比較検討した.対象は1989年3月より1990年10月までに経験した中枢神経障害に基づく経口摂取の不能な30例で平均年齢は76.2歳であった.そのうち19例にS-V法,11例に1法にてPEGを施行し,約2週間後に内視鏡的観察を行い胃粘膜の変化を検討した.術後合併症として緊急開腹手術を要するなどのmajor complicationはみられず,胃瘻周辺の胃炎及び胃潰瘍,十二指腸潰瘍などの合併症は延べ16件,9症例に認められたが,両法の比較ではバルーンの早期逸脱,バルーンによる十二指腸閉塞などの緊急処置を要する合併症は1法に多かった.術後胃粘膜病変の発症頻度は両法間に有意差はみられなかった.胃瘻チューブの耐久性を比較するとチューブ閉塞,バルーン破裂などは1法に高頻度にみられ,頻回のチューブ交換を要した.また造設時の簡便性を比較すると1法は内視鏡の挿入が一度で造設可能である点でやや優れていたが,安全性については両法間に差はみられなかった.以上より,PEGにおいては改良すべき点も存在するが,現時点ではS-V法が優れていると考えられた.
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平林 靖士, 森田 稔, 神野 健二, 兵頭 一之介, 和田 俊裕, 石光 鐵三郎, 小糸 光
1992 年 34 巻 11 号 p.
2649-2654
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
当院における最近12年間の外科切除早期胃癌555例の検討より,リンパ節転移のないm癌の条件はn
0,1y
0,腫瘍径が陥凹型で1cm以下,隆起型で5cm以下であった.この条件を満たすと判定した胃癌46例を内視鏡的に切除し,完全切除と判定した症例は41例(89.1%),不成功は5例(10.9%)であった.完全切除41例中1例(2.4%)は出血のため手術となり,2例(4.8%)は3カ月後に局所遺残を認め,2例(4.8%)は他病死したが,残り36例は1982年2月現在で2~42カ月(平均16カ月)の間健在である.なお,切除不成功5例の内訳は,sm癌1例,pm癌1例,切除部位の誤り2例,不完全切除1例であった.手技については,5mm以下の微小病変は,生食を局注せず切除する方が,粘膜把持が容易で病変部を見失わず,容易であった.また,その際には鰐口型把持鉗子が病変部を含め粘膜を広範に持ち上げることができ,最も便利であった.
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篠田 政幸, 五味 玲, 木下 貴之, 深瀬 達, 小島 正夫, 荻原 智信, 種ヶ島 和洋, 井端 由紀郎
1992 年 34 巻 11 号 p.
2655-2660
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃幽門側切除後の患者に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術を4例に施行した.残胃を穿刺する際には,腹側に位置する他臓器の損傷を避けるため,大腸造影および肝臓の超音波検査を行った.残胃の出口をイレウス管のバルーンを用いてふさいだ後に内視鏡から送気することで,より良好な拡張が得られた.試験穿刺経路を確保して安全な胃瘻造設経路とするために,ガイドワイヤーおよび改良した同軸穿刺針を使用した.穿刺は3例で経肝的となった.これらの手技により,残胃に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術をより安全に施行できた.
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2661-2676
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2677-2689
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2690-2699
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2700-2709
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2710-2720
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2721-2735
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2736-2740
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2741-2747
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2748-2754
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2755-2762
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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日本消化器内視鏡学会
1992 年 34 巻 11 号 p.
2763-2785
発行日: 1992/11/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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