日本消化器内視鏡学会雑誌
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35 巻, 12 号
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  • ―ことにジアゼパム検査前静脈内投与,および,H2-blocker検査後内服投与の予防的効果について―
    柏原 光介, 中村 博幸, 下屋 正則, 西川 博
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2865-2872
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃内視鏡検査後に発症した急性胃粘膜病変(Post-Endoscopic Acute Gastric Mucosal Lesions: PE-AGML)37例について臨床的に検討した(7,574例中0.48%).発症までの期間は胃内視鏡検査施行後平均7.3±1.5日であり,前庭部を中心としたAGML(92%)が多かった.PE-AGML患者の年齢,胃内視鏡検査経験回数,組織生検の有無,検査の時期,また,胃内視鏡施行医の技術に関して発症頻度に有意差は認められなかった.さらに,PE-AGMLの予防的処置と思われたジアゼパム検査前静脈内投与,および,H2-blocker検査後投与に関して比較検討したが,コントロール群と比較して有意差は認められなかった.一方,PE-AGMLの発症頻度は,同一の内視鏡機器が使用された場合,遅い順番で検査が施行された被検者ほど高い傾向が認められた.PE-AGMLの予防的処置としては,ジアゼパム検査前静脈内投与およびH2-blocker検査後投与より胃内椀鏡機器の殺菌消毒の重要性が示唆された.
  • ―効果不良例及び再発例の検討を中心に―
    鳥羽 昌仁, 谷合 信彦, 西久保 秀紀, 真々田 裕宏, 吉田 寛, 梅原 松臣, 足立 幹夫, 鄭 淳, 金 徳栄, 山下 精彦, 田尻 ...
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2873-2882_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道胃静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法(EIS)を施行した66例を対象に血管塞栓療法との併用の有用性について効果不良例および再発例を中心に検討した.EISを単独で行った(EIS単独群)34例とEISに血管塞栓療法を併施した(Emb併施群)32例を比較すると累積再発率において有意(P<0.05)にEmb併施群が低率で,初回治療より追加治療までの期間はEIS単独群の約2倍と有意(P<0.05)に延長した.とくにchildc症例では有意にEmb併施群が良好な成績を示した.著効・有効例における再発例はChild CでEIS単独群に多く1年以内に再発あるいは出血を来した.また効果不良例においてもchildcでかつchild分類2項目以上を占めるものが83.3%と大半で約67%がEIS単独治療例であった.以上より食道胃静脈瘤治療においては効果の確実性と永続性が重要でありその点で硬化療法に血管塞栓療法を併用することは極めて有用と思われる.
  • 早田 邦康, 山中 桓夫, 吉田 行雄, 紫藤 和久, 宮田 道夫, 柏井 昭良
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2883-2891
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     筆者らが開発・改良してきた細径膵胆管内視鏡を胆管内病変の診断に応用し,その有用性を報告した.スコープの外径は2.09mmで,内部には鉗子孔と送光用および観察用ファイバーを有する.操作は親子スコープ方式で行う.胆管内病変を疑われた7名に対し検査を施行した.スコープはファーター乳頭への付加処置を加えることなく全例挿入可能で,胆管拡張の全くない胆管内への挿入も可能であった.内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)では確認が困難な総胆管内の微小結石の存在確認や,直視下での観察による結石の種類の判定が可能であった.胆管内の隆起性病変の場合においても,表面性状の詳細な観察が可能であり,診断の一助となった.乳頭を切開することなく施行可能な細径スコープを用いた胆管内視鏡検査は,乳頭の機能温存が必要な若年者における胆管内病変の診断法として,極めて有用であると思われた.
  • 印牧 直人, 中澤 三郎, 山雄 健次, 芳野 純治, 乾 和郎, 山近 仁, 藤本 正夫, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 三好 広尚, 滝 ...
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2892-2898_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     新型SMAカテーテルの超細径ファイバースコープを用いた経口的膵胆管内視鏡における有用性について報告した.新型カテーテルは従来型カテーテルに比べて外径が2mmと細径化され,かつ先端部に硬質チップが装備されたため乳頭への挿入が容易となり,正常乳頭例での使用が可能となった.しかしながら彎曲方向は1方向に制限された.胆管および膵管への挿入については膵,胆道疾患10例を対象に胆管2例,膵管9例に深部への挿入が可能であったが,うち7例は開口部の開大を示さない正常乳頭であった.内視鏡的観察については胆管1例,膵管9例に行い,カテーテルあるいはミニスコープの破損した2例を除く8例に明瞭な観察を行うことができた.本カテーテルは乳頭切開を行わずとも乳頭への挿入が可能なことから,超細径ファイバースコープの胆管や膵管のみならず,胆嚢内への挿入と観察能の向上に寄与できるものと考えられた.
  • 帆足 俊男, 田中 啓一, 王 恒治, 大蔵 元, 前川 宗一郎, 朔 元規, 増田 雄一, 八尾 恒良
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2899-2903_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳,男性.嚥下困難及び体重減少を主訴に当院入院.食道透視にて中部食道より下部食道にかけて巨大な表面結節状隆起性病変を認めた.内視鏡では発赤調で表面に残査及び壊死物質の付着した腫瘍を認めた.生検により癌肉腫を疑い食導亜全摘術を施行した.病理組織学的及び免疫組織化学反応にていわゆる癌肉腫と診断した.21.7×7.0cmと本邦最大の腫瘍であるだめ貴重な症例と考え報告した.
  • 芦沢 信雄, 平川 和也, 有馬 範行, 足立 経一, 池田 敏, 渡辺 誠, 福本 四郎
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2904-2909
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例はアルコール性肝硬変の58歳男性で,鉄欠乏性貧血をきたしており,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,十二指腸球部に血餅が付着しており,翌日の検査で同部にVascular ectasia (VE)を認め,同部への無水エタノール局注を行い,病変は消失し,以後貧血の亢進は認められていない.VEは粘膜下層に壁の薄い拡張した静脈が存在するので,出血例では内視鏡的に粘膜下層まで十分に凝固または固定しておくべきである.
  • 安田 俊一, 増永 高晴, 竹田 康男, 竹田 亮祐, 藤村 隆, 米村 豊, 宮崎 逸夫, 野々村 昭孝
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2910-2915_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は36歳男性.主訴は嘔気.内視鏡にて胃体下部から幽門部後壁にかけて凹凸,発赤,褪色が不規則な領域を認めた.同部の組織はRLHと考えられたが,一部の細胞には軽い異型があり,腺管上皮層に浸潤してlymphoepitherial lesionを形成しmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)由来の悪性リンパ腫と考えられた.約1カ月後,術前の内視鏡で病巣は浅い不整型の潰瘍像を呈していた.本例はMALTリンパ腫の初期例と考えられ,胃原発悪性リンパ腫の成因を考える上で興味ある症例と考えられ報告した.
  • 辻口 比登美, 天津 孝, 正木 秀博, 安藤 三男, 米原 亨, 前田 勝平, 松宮 禎介, 小山 茂智, 田橋 賢久, 田中 雅也, 平 ...
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2916-2921
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は47歳,女性.心窩部不快感を主訴に来院した.上部消化管内視鏡検査を行ったところ胃角直上小弯にびらんを伴った低隆起を認めた.経過観察したところ,約半年で急速に増大し強い赤色調を呈する結節性隆起となった.生検でpyogenic granuloma(血管拡張性肉芽腫)と診断され,超音波内視鏡にて病変は粘膜内に限局していたため内視鏡的に切除した.Pyogenic granulomaは皮膚や粘膜に好発するポリープ状の無痛性易出血性腫瘤で,消化管としては口腔粘膜,舌に比較的多いが,胃粘膜での発生は自験例が最初であると考えられたため報告した.
  • 板倉 滋, 浅田 備之, 五石 宏和, 井上 和彦, 坂之上 一史, 三重 野寛, 香川 幸司, 板垣 哲朗, 石田 尚志, 三原 修, 枡 ...
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2922-2926_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例79歳,女性.64歳時脳梗塞,78歳時大腸癌にて右半結腸切除術の既往がある.平成4年4月29日腹痛にて当科入院.5月7日の下部消化管内視鏡検査で,大腸小腸吻合部より口側小腸に全周性のびらん,浮腫状粘膜と管腔狭小化を認めた.5月8日の注腸X線検査では,大腸小腸吻合部より口側小腸の約40cmにわたり管状狭窄,Kerckring皺壁の消失を認めた.5月25日の下部消化管内視鏡検査で全周性の潰瘍を認め,狭窄が強度となっていたので,6月3日手術を施行した.切除標本の肉眼及び組織所見より虚血性小腸炎と診断した.
  • 渡辺 憲治, 大川 清孝, 青木 哲哉, 酒井 泰彦, 森吉 靖子, 進藤 嘉一, 山田 英明, 針原 重義, 北野 厚生, 小林 絢三
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2927-2933_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腎不全に合併した偽膜性腸炎(PMC)の2例を報告した.症例1では内視鏡的バンコマイシン(VCM)散布療法を行った.PMCに対する内視鏡的VCM散布の報告例は無く,診断と治療を連続して行い得る有効な手段と考えられた.症例2はPMCに中毒性巨大結腸を合併した本邦3例目の報告であり,内科的治療にて治癒した.2症例ともセフェム系抗生剤が関与し,腎不全を合併しており,発症の背景因子として重要と考えられた.
  • 加治 正英, 小西 孝司, 横山 義信, 仲井 培雄, 角谷 直孝, 藪下 和久, 黒田 吉隆, 辻 政彦, 小栗 光, 中川 彦人, 出町 ...
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2934-2938_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は68歳の男性で全身倦怠感を主訴に来院した.上部消化管および注腸検査で所見は認められなかった.大腸内視鏡検査で初めて上行結腸下部に発赤した無茎性隆起性病変を認めたため,生検したところ拍動性の出血をみた.腹部血管造影では末梢血管の濃染像と動脈相早期から静脈の還流像と動静脈の併走を認め大腸動静脈奇形と診断し手術を施行した.内視鏡にて発赤した低い隆起性病変を認め晃場合,本症を念頭におく必要がある.
  • 上岡 卓也, 北内 信太郎, 阪口 昭, 西 彰平, 黒田 留未, 伊藤 秀一, 西岡 新吾
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2939-2945
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     再発を来した虚血性大腸炎の1例を経験したので報告する.症例は72歳,女性,3回の腹部手術と出血性腸炎の既往あり.平成2年10月,一過性型虚血性大腸炎発症,保存的治療で治癒したが,1年5カ月後に再発を来した.下腸間膜動脈造影で左結腸動脈の狭細化が認められ,また患者は生来便秘傾向にあり,乏血準備状態であった上に腸管内圧の上昇が加わって発症したと考えられる.本邦における再発性虚血性大腸炎の報告は少なく,病因については不明な点が多い.本例はその発生機序を推測する上で興味ある症例と思われる.
  • 福家 博史, 藤田 尚己, 和気 一兆, 堤 清助, 東山 浩敬, 佐藤 兵衞, 財田 至啓
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2946-2951_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸粘液癌術後4年目に発見され,興味ある組織像を示した大腸腺腫症を伴ったIIa+IIc早期大腸癌の1例を経験した.症例は32歳男性.28歳時上行結腸Borrman III型粘液癌で手術,術後6カ月に大腸腺腫症と診断.32歳時横行結腸肝弯曲にIIa+IIc,smの早期大腸癌を発見.組織学的には,IIa部が中分化~高分化腺癌,IIc部は印環細胞癌であり,腺腫症を伴った印環細胞癌は本邦初である.腺腫症の癌化発生過程上興味ある例と考えられた.
  • 岩下 敬正, 鄭 鳳鉉, 馬嶋 和雄, 大柴 三郎
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2952-2959
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回われわれは大腸腺扁平上皮癌の1例を経験した.症例は42歳の女性で,主訴は下腹部痛.大腸内視鏡検査にて上行結腸に2型進行癌を認めた.組織型は中分化扁平上皮癌で,一部未分化癌様成分を認めた.高分子および低分子ケラチンを染色したところ扁平上皮癌部に混在して,未分化癌様の細胞に腺癌様分化が認められたため,最終診断は腺扁平上皮癌とした.
  • 雨森 正記, 古谷 慎一, 児玉 正
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2961-2965_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     67歳,男性.タール便にて来院.上部内視鏡にて幽門の小弯側に深い潰瘍を認めた.2カ月後に正常な幽門の小弯側に十二指腸球部との交通部を認め,胃潰瘍の穿孔による後天性のDouble Pylorusと考えた.形成5年後に中隔部が切断されて幽門と偽幽門は融合した.切断1年半後中隔部の瘢痕隆起は平坦化した. 形成から融合まで経過を観察し得たDouble Pylorusの症例は少なく,形成過程や予後を検討するためには貴重な症例と考えられた.
  • 鈴木 保永, 嶋津 達, 上白土 啓嗣, 上野 尚之, 山口 典久, 海老原 哲郎, 石田 基雄, 加藤 善久, 原田 尚
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2966-2971
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は70歳の女性.人間ドック検診を契機とし,大腸精査目的に当科を受診した.6年前より時々普通便排便の数時間後に水様性下痢が起こることがあった.注腸造影および大腸内視鏡検査にて虫垂付着部とS状結腸に瘻孔形成を認め,虫垂S状結腸瘻と診断した.虫垂腸管瘻の報告は少なく,さらに6年の長期にわたり非持続性の下痢症状を呈した虫垂S状結腸瘻は稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 森本 日出雄, 岡部 外志彦, 大野 秀彰, 若林 時夫, 鈴木 邦彦, 田辺 釧, 杉岡 五郎
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2973-2978_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     多彩な内視鏡所見を呈した分類困難な多発性直腸潰瘍の1例を報告する.症例は65歳,男性.下血を主訴に来院した.陰嚢・肛門周囲が著しく浮腫状であり,直腸には著明な浮腫と出血を伴う大小様々な潰瘍が全周性に認められ,さらに肛門から15cmの部位に大きな潰瘍がみられるなど,多彩な所見が認められた.10日後の内視鏡では粘膜脱落はさらに著明で広範となり,一部に粘膜橋も認められた.しかし,16カ月にわたる保存的経過観察の間に潰瘍性病変は徐々に改善し,陥凹や粘膜橋などは残したが,粘膜面は再生上皮に覆われ軽快した.この間施行した7回の内視鏡における延べ39カ所の生検では,非特異的炎症所見がえられたにすぎなかった.以上,本例の病像について報告すると同時に,既知の種々の疾患と異なる点について考察を加えた.
  • 神谷 武, 長尾 俊宗, 安藤 高司, 三木 尚子, 小林 由佳, 塚田 勝比古
    1993 年 35 巻 12 号 p. 2979-2987_1
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     若年者に発症した原発性硬化性胆管炎(以下PSC)の2例を報告する.症例は19歳男性と16歳男性.主訴はともに肝機能異常.2例ともトランスアミナーゼ,胆道系酵素の中等度上昇がみられ,ERCPで肝内外胆管の壁硬化像,数珠状変化,枯れ枝状変化を認めた.本邦における20歳未満の若年者のPSCは自験例を含め18例ときわめて稀で,成人例と比較し,1)黄疸の出現が少ない.2)肝内型が多い.3)潰瘍性大腸炎の合併が多い.という特徴を認めた.
  • 1993 年 35 巻 12 号 p. 2988-3054
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 35 巻 12 号 p. 3055-3116
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • ―経口的膵・胆管鏡を含む―
    大井 至, 丹羽 正之
    1993 年 35 巻 12 号 p. 3117-3119
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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