日本消化器内視鏡学会雑誌
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35 巻, 7 号
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  • 島川 武
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1531-1543
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者の施設は,約300例の食道胃静脈瘤症例に対して5%ethanolanime oleateを用いた内視鏡的硬化療法を施行し,良好な治療成績をえてきた.しかし止血困難な症例があり,新しい硬化剤としてCyanoacrylate系の組織接着剤であるHistoacrylの止血効果が期待されている.しかしその安全性に関しては不明である.そこで,Histoacrylを用いた硬化療法について,基礎的および臨床的に検討してみた. 基礎的検討より,Histoacrylは従来の硬化剤と異なり,血液と重合体を形成し,これが栓塞物となって優れた止血効果を生じることが判明した.また,Lipiodolと混合し,70-80%濃度で用いれば局所停滞性,X線造影効果とも良く安全と考えられた.臨床的検討では,本法を施行した11例全例に完全止血と静脈瘤の縮小がえられた.また,肝機能や出血凝固系機能の異常,他臓器塞栓などの副作用は認めなかった.以上より,Histoacrylを用いた硬化療法は,安全で有効な治療法であると考えられる.
  • 大滝 修司
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1545-1553
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Nitrosourea系制癌剤のNimustine HydrochlorideからHydrochlorideを除去したNimustine50mgとLipiodo110m1との懸濁液(N-L液)の癌局注療法における原発巣及びリンパ節転移に対しての抗腫瘍効果について検討した.【材料と方法】(1)C57Black/6 MouseにLewis Lung Cancerを移植,N-L液,MitomycinC, Adriamycin, Oil bleoをそれぞれ移植腫瘍内に局注して,その直接的抗腫瘍効果を比較検討した.(2)同様にN-L液局注後のDNA Histogramの変動をFlow cytometryを用い測定した.(3)ICR Mouseの足底部にSarcoma180を移植し,リンパ節転移に対するN-L液の抑制効果を検討した.【結果】(1)N-L液の直接的抗腫瘍効果が最も強かった.(2)DNA Histogramの変動は,局注前と比較し局注後G0-1期の比率が減少し,S期,G2-M期の比率が上昇した.(3)N-L液はリンパ節転移抑制効果を認めた.【結論】N-L液の局注療法は原発巣だけでなくリンパ節転移に対しても抗腫瘍効果が認められた.
  • 大滝 修司
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1554-1567
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Nitrosourea系制癌剤であるNimustine HydrochlorideからHydrochlorideを除去したNimustineとLipiodolとの懸濁液(N-L液)の胃癌に対する局注療法に関して検討を行った.【対象と方法】内視鏡下に胃癌22例に対して局注療法を施行し,その動態及び原発巣・リンパ節転移に対する抗腫瘍効果について解析した.【結果】1)N-L液のX線学的動態.(1)胃AM領域のLymphatic Drainageは主に左胃動脈経路と右胃大網動脈経路であり,局注後2日目にはリンパ節に達していた.(2)N-L液の腫瘍周囲局注により深達度診断が可能であった.2)組織学的検討.(1)N-L液は早期癌でN2群までのリンパ節の76.1±18.0%に移行が認められた.(2)腫瘍内に局注した10例中3例に組織学的に抗腫瘍効果を認めた.(3)リンパ節転移は12例あり,内1例のリンパ節に組織学的抗腫瘍効果を認めた.【結論】上記結果より,N-L液局注療法は今後改良を加えれば期待できる治療法であると考えられた.
  • 松本 克彦, 幕内 博康, 町村 貴郎, 宋 吉男, 田島 知郎, 三富 利夫, 内田 雄三
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1568-1573_1
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法施行症例122例に対し,食道局所の合併症とアンケート調査による硬化療法後の症状について検討を行なった.食道局所の合併症では,潰瘍形成(31.1%)が最も多く,巨大血腫形成あるいは食道狭窄を有する症例の多くは潰瘍形成を伴っていた.硬化療法後の症状では,つかえ感が最も多く(68.4%),胸やけ感は比較的少なかった(12.5%).穿刺回数(特に血管外注入回数)が多くなった症例では食道局所の合併症を有するものが多く,また症状が消失する時期が遅延する傾向がみられた.硬化療法施行にあたっては,より合併症の少ない手技の工夫が必要であると思われた.
  • 宮本 真樹, 春間 賢, 島本 丈裕, 吉原 正治, 畠 二郎, 藤堂 祐子, 藤村 二郎, 山中 秀彦, 田中 信治, 田利 晶, 隅井 ...
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1574-1578_1
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    polypectomyやstrip biopsyで摘除できた胃のinflarnmatory fibroid polypの6例を報告した.発生部位は,5例が前庭部で,1例のみが胃角部大弯であった.病変はいずれも粘膜深層か粘膜下層に限局していた.1例に超音波内視鏡を行ったが,病変が粘膜深層より発生した病変であることを確認し,安全にstrip biopsyを行うことができた.胃酸検査を施行した4例ではすべて低酸であった.inflammatory fibroid polypに関して胃液検査を施行した報告は未だ少なく,inflammatory fibroid polypと胃の萎縮性変化には何らかの関連があることが示唆された.
  • 加藤 元嗣, 浅香 正博, 加賀谷 英俊, 佐藤 泰男, 工藤 峰生, 穂刈 格, 大滝 敏裕, 目黒 高志, 木村 宗士, 長瀬 清, 宮 ...
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1581-1587_1
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ラットにおけるエタノール胃粘膜障害の形成から治癒に至る過程を電子スコープを用いて詳細に観察した.経時的観察では,粘膜のうっ血と点状出血がエタノール投与直後より認められ,1分後には一過性の浮腫が出現し,浮腫の消退とともに白色調を呈した剥離上皮が網目模様を形成するのが観察された.粘膜障害が強い場合には,剥離後の粘膜はびらんとして観察されたが,びらんは大弯側の襞に沿って縦走する傾向が認められ,エタノール投与後10分で粘膜障害のピークに達した.その後は再生粘膜により縦走びらんが治癒し,約2週間で病変の消失が観察された.また,胃粘膜障害の指標として用いるため,ラット実験潰瘍における内視鏡分類を作成し,経時的変化の検討をしたところ非常に有用であった.以上より電子内視鏡システムを用いることにより,病態生理に迫る微細な病変が捉えられ,ラット実験潰瘍への応用の有用性が強く示唆された.
  • 杉山 茂樹, 長廻 紘, 河南 智晴, 田中 良基, 馬場 理加, 大原 昇, 佐藤 秀一, 屋代 庫人, 飯塚 文瑛, 鈴木 茂
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1588-1592_1
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     有茎性大腸sm癌は粘膜下層で増えていく過程でどのような形態変化を示すのか,頭部の形と癌浸潤量の関係を検討した.ポリペクトミーした有茎性大腸sm癌37症例38病変を対象とし,その頭部割面ルーペ像を検討した.頭部最大面積部の形を,球状・陥凹・水平に分類(1)癌/頭部面積比,(2)頸部/頭部幅の比,(3)深達部位,(4)ポリープ崩壊前の推定形状に対する現実残存率を求め,それぞれ頭部割面の性状別に比較した. 深く浸潤し,癌量が増え茎部が太まると,ポリープ頭部の欠損率は増えるという結果が得られた.なお有茎性m癌は頭部は球状であるが,有茎性大腸sm癌になると,癌浸潤量の増加とともに,頭部割面の形状が球状→陥凹→水平に変化していくことが確かめられた.
  • 伊藤 秀幸, 渡部 博之, 長沼 敏雄, 石岡 知憲, 正宗 研, 丸屋 文明
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1595-1601
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝転移を伴わず血清α-fetoprotein(AFP)が著明高値を示したI型早期胃癌の1切除例を報告する.78歳女性,黒色便を主訴に当科入院.入院時軽度貧血あり,血清AFP10,715ng/mlと著明に高値であった.胃前庭部に亜有茎性の腫瘤あり,病理組織学的検索で低分化型腺癌・髄様型であった.胃亜全摘の結果,病変はI型のsm癌であった.術後,AFPが急速に低下し,手術標本の免疫染色で胃癌細胞内にAFPの局在が証明されたことからAFP産生I型早期胃癌であった.
  • 富田 浩, 岩間 毅夫, 吉永 圭吾, 岡 早百合, 川合 重夫, 嘉和知 靖之, 三島 好雄, 熊谷 二朗, 神山 隆一
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1602-1607_1
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    家族性大腸腺腫症(FAP)の46歳女性.大腸亜全摘後の上行結腸ストーマのポリープの癌化と,十二指腸乳頭部腺腫と診断され,上行結腸回腸切除・イレオストミー造設術に加えて,十二指腸乳頭部局所切除術を施行.乳頭部は粘膜内高分化型腺癌であった.FAP乳頭部癌の本邦報告は22例あり,61%が進行癌であった.FAPの十二指腸乳頭部癌を早期に発見し治療するためには,内視鏡にて乳頭部を重点的に観察し,生検で高度異型性を認める場合は乳頭部切除術による診断と治療が有用である.
  • 斎藤 徳彦, 篠原 聡, 半田 豊, 森田 重文, 大野 博之, 吉田 肇, 高瀬 雅久, 瀧澤 千晶, 三坂 亮一, 川口 実, 斎藤 利 ...
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1608-1615
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.自覚症状なし.会社健診にて施行した上部消化管X線検査にて胃幽門前庭部大彎の辺縁不整を指摘され精査のため当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査では胃には異常を認めなかったが,十二指腸下行部外壁のVater乳頭の高さよりやや肛門側に,大きさ約6mmの発赤した陥凹性病変を認め,辺縁は褪色しやや隆起を呈していた.生検組織診断では高分化型腺癌と診断した.低緊張性十二指腸造影及び内視鏡所見により陥凹型早期癌で粘膜内癌と診断し内視鏡的粘膜切除を行った.切除標本では陥凹主体のIIc様病変で組織学的には高分化型腺癌であった.深達度m,切除断端陰性であった.2カ月後の同部位は潰瘍瘢痕像を呈し癌の再発は認めていない.本症例はルーチン検査で十二指腸下行部まで観察したため発見された陥凹型早期十二指腸癌であり,かつ内視鏡的粘膜切除にて治癒し得た本邦第1例目の症例であり若干の文献的考察を加え報告する.
  • 三枝 咲美, 菅谷 仁, 小林 多鶴子, 柳澤 伸嘉, 堀中 真子, 手塚 勇人, 室久 俊光, 菅谷 洋子, 吉川 守也, 大江 毅, 前 ...
    1993 年 35 巻 7 号 p. 1616-1622_1
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    高シトルリン血症は本邦では約60例,欧米では約30例の報告があるが,その腹腔鏡所見についての報告は極めて少ない.当教室における2例の,共通する腹腔鏡所見は肝の腫大辺縁の鈍化,黄色調の肝表面であった.高シトルリン血症の腹腔鏡像は基本的には脂肪肝の所見であり,脂肪沈着の分布,様式,線維化の程度等によりその程度が様々であると考えられる.
  • 1993 年 35 巻 7 号 p. 1623-1700
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 35 巻 7 号 p. 1701-1740
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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