著者の施設は,約300例の食道胃静脈瘤症例に対して5%ethanolanime oleateを用いた内視鏡的硬化療法を施行し,良好な治療成績をえてきた.しかし止血困難な症例があり,新しい硬化剤としてCyanoacrylate系の組織接着剤であるHistoacrylの止血効果が期待されている.しかしその安全性に関しては不明である.そこで,Histoacrylを用いた硬化療法について,基礎的および臨床的に検討してみた. 基礎的検討より,Histoacrylは従来の硬化剤と異なり,血液と重合体を形成し,これが栓塞物となって優れた止血効果を生じることが判明した.また,Lipiodolと混合し,70-80%濃度で用いれば局所停滞性,X線造影効果とも良く安全と考えられた.臨床的検討では,本法を施行した11例全例に完全止血と静脈瘤の縮小がえられた.また,肝機能や出血凝固系機能の異常,他臓器塞栓などの副作用は認めなかった.以上より,Histoacrylを用いた硬化療法は,安全で有効な治療法であると考えられる.
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