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佐上 俊和
1993 年 35 巻 9 号 p.
2079-2091
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
通常の乳頭より挿管可能な超細径ファイバースコープを用いた膵管内視鏡検査法の手技的検討を行ってきた.その結果,本法は膵疾患の診断に対して有用であるとの結論を得たので機種の開発,改良の過程とともに,臨床例での成績について報告する. 使用したスコープは,M&M社製,藤倉電線製造の,外径0.75mmイメージファイバー3,000本(MS-75L),および0.45mm,1,600本(MS-45L)の2種類である.システム(本体)はM&M社製FVS-1000とこれを改良したFVS-3000である.FVS-3000は,超細径ファイバースコープの捉えた像をリアルタイムに写真撮影することが可能となり,色調,鮮明度など内視鏡像の再現性の点で明らかな向上がみられた.目的部位への挿入観察率は90%以上で,視野の確保,スコープの耐久性等の点で今後さらに改良が必要と思われるが,本法は膵疾患の診断に有用な検査法である.
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大森 浩明, 須川 暢一
1993 年 35 巻 9 号 p.
2093-2097
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
上部消化管内視鏡検査が心,肺機能に与える影響を知る目的で,経皮的酸素飽和度測定器,自動血圧計を用いて404例に対し酸素飽和度(SaO
2),血圧を測定し臨床的に検討した.測定は検査前,内視鏡挿入時,操作中,検査終了後の4時点で行ったが,SaO
2の低下(90%未満)は挿入時の32例(8%)にみられ,最も頻度が高かった.高血圧および低血圧(収縮期圧≧200mmHg,<90mmHg)の頻度は少なく,検査中・後に治療を要した症例は認めなかった.心,肺疾患の既往を認めた111例は有しない症例と比較し検査中のSaO
2の低下が有意に高く,検査中・後に治療を要した12例中11例は心,肺疾患の既往を有する症例であった. 以上より,上部消化管内視鏡検査中の心,肺機能に与える影響は,とくに心,肺疾患の既往を有する症例では少なくなく,検査施行にあたっては細心の注意と心,肺機能のモニタリングが重要であると思われた.
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鈴木 邦夫, 加藤 卓次, 郡 大裕
1993 年 35 巻 9 号 p.
2098-2105
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡下胃生検組織材料を対象としてPCNA(proliferating cell nuclear antigen)免疫組織化学的染色を施行し,胃生検組織診断基準によるGroup分類所見と対比検討した.GroupIおよびII症例においてはPCNA陽性細胞は増殖細胞帯にほぼ一致して分布し,GroupIII病変では異型腺管巣部で比較的規則正しく帯状に分布しているのに対して,GroupIVおよびV病変では異型腺管巣全体に不規則に分布していた.一方,GroupIII,IV,V病変での異型腺管巣部におけるPCNA標識率に差異を認め,GroupIV病変はPCNA陽性細胞の分布状態と標識率においてもGroupV病変に類似していた.PCNA染色は簡便で,病理組織像との対比も明瞭であり,免疫組織化学的な増殖細胞マーカーの一つとして臨床応用が可能で,胃生検組織診断時の補助診断法となりうる可能性が示唆された.
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―外科切除例との対比―
冨松 久信, 馬場 保昌, 加来 幸生, 清水 宏, 武本 憲重, 小川 哲史, 竹腰 隆男, 丸山 雅一, 藤井 彰, 西 満正, 加藤 ...
1993 年 35 巻 9 号 p.
2106-2115
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最近10年間の当院における多発早期胃癌の頻度は,外科切除例の12.5%,内視鏡的切除例(ER例)の14.4%であった.ER例では,同時性多発胃癌例5.4%,異時性多発胃癌例9.0%であった.主・副病巣の肉眼型は,外科切除例,ER例ともに同肉眼型が,組織型では分化型癌が多く,男性の高齢者に多かった.外科切除例における病巣の背景粘膜は,主・副病巣ともに,約90%は幽門腺粘膜であった.主・副病巣の占居部位(CMA分類)は,外科切除例,ER例ともにM,A領域の同区域,および隣接区域に多かった.外科切除例における副病巣の病理発見率は,大きさ5mm以下では約90%,6mm~10mmでは約30%で,微小胃癌と小胃癌の発見が重要な課題と思われた.ER例の異時性病巣発見までの期間は,平均31カ月(最短4カ月,最長70カ月)であった.異時性病巣の約半数は2年以内の発見例で,見逃し例も含まれていると考えられた.
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―加齢による胃粘膜血流量の変化―
黒坂 判造, 青木 高仁, 広岡 達夫, 貞永 嘉久, 金子 庄之介, 鈴木 啓央, 小笹 潔, 大池 和祐, 石川 昌澄, 岩井 力, 黒 ...
1993 年 35 巻 9 号 p.
2116-2127
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃粘膜血流量測定には従来より種々の方法が試みられてきた.今回われわれは,経内視鏡的に容易に測定でき,かつ再現性の良いレーザードップラー血流量計を用いて,20歳代から70歳代までの健康な成人男女の,胃粘膜の小弯,大弯,前壁及び後壁の16点で,240名の加齢に伴う胃粘膜血流量の変化を測定した.その結果,加齢に伴って血流量は小弯側では前庭部から胃体中部にかけ減少していた.大弯,前壁及び後壁では全部位にわたって加齢に伴う変化は認められなかった.また,小弯の血流量と大弯の血流量との比較では,相対応する部位では明らかに小弯の血流量が大きかった.
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飯塚 政弘, 千葉 満郎, 堀江 泰夫, 石井 伸明, 村田 雅彦, 鈴木 俊夫, 正宗 研, 上坂 佳敬
1993 年 35 巻 9 号 p.
2128-2136_1
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
教室の発症後10年以上経過した潰瘍性大腸炎長期経過例10例(全大腸炎型2例,左側大腸炎型8例)を対象に,1987年~1992年9月の期間にのべ18回,total colonoscopyによるcancer surveillanceを行った.その結果,発症後22年経過した全大腸炎型症例のS状結腸と下行結腸に早期大腸癌を,発症後12年経過した左側大腸炎型症例の直腸にmild dysplasiaを認めた.前者の早期大腸癌合併例は,癌は2箇所に認められ,初回cancer surveillanceでdysplasia発見後約3年で癌化が認められた.cancer surveillanceにより発見された早期大腸癌は,本邦では本症例が3例目である.以前,教室でcancer surveillanceによらず潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌2症例を経験したが,いずれも進行癌であり,今回cancer surveillanceの有用性が示唆された.
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中江 遵義, 熊本 光孝, 尾崎 陽子, 広瀬 誠弥, 竹内 伸之, 北田 憲彦, 横山 彰介, 横手 裕子, 清水 達也, 土橋 重隆, ...
1993 年 35 巻 9 号 p.
2137-2143
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
色素法を併用したコロノスコピーを施行していると,渦巻き様の輪状形態(同心円徴候)を見出すことがある.この形態は大腸憩室と関係がある.この徴候に注目することにより,憩室とくに前憩室状態ともいえる微小な憩室の診断能を高めることができる.また憩室翻転と上皮性ポリープとの区別が可能なことから前者に対する危険な内視鏡的ポリペクトミーを避けることが出来る.さらに本徴候の発生機序についても考察を加えた.
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島田 直樹, 小倉 滋明, 藤田 淳, 金谷 晶子, 足立 智昭, 佐々木 香織, 若林 修, 鈴木 潤一, 川上 義和, 塚越 洋元, 細 ...
1993 年 35 巻 9 号 p.
2144-2150_1
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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正常大腸粘膜5例,大腸ポリープ97例(軽度異型腺腫17例,中等度異型腺腫43例,高度異型腺腫18例,腺腫内癌19例),さらに進行癌18例を用いてsilver stainを施行し,染色された核内Ag-NORsを観察した.その結果,大腸腺腫では異型度が増すほどAg-NORsは有意に増加していた.しかし高度異型腺腫,腺腫内癌,進行癌では核内Ag-NORs数に有意差はなかった.また,各異型度別ではポリープの大きさとAg-NORsに相関関係はなかったが,ポリープの大きさを一致させた検討では異型度が増すほど核内Ag-NORsは増加していた.以上のことより大腸腺腫は異型度が増すほど高い増殖能を示し,高度異型腺腫はすでに癌と同等の増殖能を持っていることが示唆された.またAg-NORsは腫瘍の大きさよりも異型度を反映していると思われた.
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川崎 恒雄, 丸山 祥司, 佐藤 栄吾, 出江 洋介, 青井 東呉, 野坂 俊壽, 上江田 芳明, 菊池 正教, 三宅 智, 河野 辰幸, ...
1993 年 35 巻 9 号 p.
2153-2158_1
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は76歳男性.3年半前に噴門部癌で噴切術を施行した.術後頑固な逆流性食道炎に悩まされ2回の上部消化管内視鏡検査を行い,吻合部より3~4cm口側の中部食道に逆流性食道炎が原因と思える乳頭腫が限局集簇して発生.O-IIa型集簇食道癌も否定できず,完全生検を目的に内視鏡的粘膜切除術を施行した.切除標本は25×22mmで,病理診断は生検と同じ良性扁平細胞乳頭腫であった.本症例のような顆粒集簇様乳頭腫の報告は皆無であった.
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菊池 学, 水田 正雄, 宇野 甲矢人, 横山 功, 横山 泰久, 近藤 建
1993 年 35 巻 9 号 p.
2159-2165_1
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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42歳男性.嚥下困難を主訴に来院.内視鏡にて食道中部以下の粘膜は赤色調を呈しており,この領域内に径7cmの隆起性,および径1.5cmのIIc病変がみられた.生検では隆起性病変部から扁平上皮癌及び高分化型腺癌,IIcから印環細胞癌の所見を得た.赤色調粘膜からは円柱上皮が採取された.Barrett食道に合併した食道癌と診断し手術した.病理所見は隆起性病変部が腺扁平上皮癌及び高分化型腺癌.IIC部は未分化型腺癌及び高分化型腺癌であった.
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中田 博也, 伊藤 秀一, 横矢 行弘, 河合 純, 川口 伸也, 山西 徹治, 原 猛, 中田 秀則, 坂辻 喜久一, 西岡 新吾
1993 年 35 巻 9 号 p.
2166-2171_1
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
再建胃管癌症例が散見されるが,早期胃癌例の報告は少ない.われわれは早期食道癌術後の早期再建胃管癌にStrip biopsyによる切除を行った1例を経験した.症例は65歳,女性.7年前に食道癌のために食道亜全摘術を受け経過観察の内視鏡検査にて再建胃管内にI型早期胃癌を認めた.入院後Strip biopsyにより切除した.再建胃管癌は再建胃管という特殊な構造を考え内視鏡による経過観察を行って早期発見すれば内視鏡的治療が治療可能である.
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服部 和伸, 渡辺 透, 神林 清作, 佐藤 博文, 小島 道久, 小池 厚雄, 大原 裕康, 徳田 政道, 松下 和彦
1993 年 35 巻 9 号 p.
2172-2179
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は40歳男性.黒色便を主訴として来院した.胃内視鏡所見では,胃体上部大彎後壁に表面平滑で蒼白色を呈する屈曲蛇行した限局性の隆起を認めた.腹部血管造影では短胃および後胃静脈の拡張を認めた.以上より限局性胃静脈瘤と診断し,脾臓摘出術と病変を含む胃体上部後壁の部分切除術を施行した.病理組織学的所見は粘膜下層に拡張した静脈の集簇を認め,さらに拡張した静脈に動脈様血管が直接吻合する箇所を認めたため,胃動静脈奇形と診断した.限局性胃静脈瘤の形態を呈した胃動静脈奇形の症例は本例が初めてと思われたため,稀な症例と考え報告した.
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相馬 光宏, 渡辺 晴司, 佐藤 剛利, 北川 朋子, 小池 裕二, 木村 泰昌, 目良 秀哉, 田中 俊英, 有里 智志, 加藤 法導, ...
1993 年 35 巻 9 号 p.
2180-2187
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は32歳の男性.主訴は血便.口唇・手指・足蹠に粟粒大の黒褐色色素班を認めた.胃全体に山田I ~III型の数mm大のポリープが散在しており,十二指腸球部と上行脚にもポリープを認めた.さらに,全大腸に有茎性から亜有茎性のポリープを多数認め,Peutz-Jeghers症候群と診断,経内視鏡的大腸ポリペクトミーを施行した.下行結腸の25×17mm大,山田IV 型過誤腫性ポリープの表層に約1mmの高分化腺癌の小病巣が認められ,その周囲には明らかな腺腫性病変は見られなかった.本症に大腸癌が合併したとする本邦報告は自験例を含め49例58病変見られている.自験例の大腸ポリープは腺腫組織を介さずに直接癌化した可能性が示唆された.
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前島 信也, 長谷部 修, 松田 至晃, 赤松 泰次, 武川 建二, 鈴木 章彦, 宮林 秀晴, 牛丸 博泰, 古田 精市
1993 年 35 巻 9 号 p.
2189-2195_1
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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内視鏡的治療を試み,術後3年間の経過観察が可能であった膵疾患3例について報告する.症例1は仮性嚢胞に対して内視鏡的cystogastrostomyを行った後,ステントを留置した.症例2は膵頭部主膵管内膵石による閉塞性慢性膵炎に対して,内視鏡的膵管口切開術・膵石除去術を施行した.症例3は膵管癒合不全による再発性急性膵炎に対して,内視鏡的副乳頭切開術・ステント留置を試みた.症例1,2は術後経過は良好であるが,症例3では長期成績に再検討が必要と思われた.
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笹川 剛, 喜多村 陽一, 山本 清孝, 山瀬 由美子, 井上 達夫, 高石 祐子, 鈴木 博孝, 鈴木 茂, 羽生 富士夫
1993 年 35 巻 9 号 p.
2196-2203
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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消化管狭窄に対しexpandable metallic stentを留置した2例を報告する.Billroth-II 法術後の輸出脚の狭窄例では,6カ月後も開存している.また胃全摘後の腹膜播種による空腸狭窄例では,約40日で閉塞した.同stentは腫瘍増殖によるstentの閉塞,外力に対する抗力,長期の開存性などの問題点があるが,改良と工夫により消化管狭窄にも有用な手段となり得ると考えられた.
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1993 年 35 巻 9 号 p.
2204-2258
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1993 年 35 巻 9 号 p.
2259-2290
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1993 年 35 巻 9 号 p.
2291-2302
発行日: 1993/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー