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―ゼリー注入法とバルーン法の比較―
山田 至人, 坂口 哲章, 木田 光広, 野登 誠, 石井 圭太, 田辺 聡, 小泉 和三郎, 大井田 正人, 西元寺 克禮
1994 年 36 巻 12 号 p.
2399-2405_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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細径超音波プローブによる十二指腸潰瘍の観察のために考案した,ゼリー注入法とバルーン法の描出能を比較検討した.1993年10月から1994年3月迄の6カ月間に,両者を同時におこなった十二指腸潰瘍は50例67病変であった.単発潰瘍における前壁潰瘍の描出率は,両方法とも90%であった.多発潰瘍における前壁潰瘍の描出率は,両法ともに83%であったが,後壁潰瘍の描出率は,ゼリー注入法が42%と不良であったのに比べ,バルーン法は79%と比較的良好であった.以上より,両方法の選択にあたっては,単発潰瘍であれば被検者の苦痛の少ないゼリー注入法が,多発潰瘍であれば描出が確実なバルーン法を選択するのが良いと思われた.また,十二指腸においても粘膜筋板が描出し得る可能性が示唆された.
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矢崎 康幸, 渡辺 晴司, 松本 昭範, 田中 俊英, 菅原 謙二, 吉田 行範, 水野 正己, 幸田 弘信, 関谷 千尋, 並木 正義
1994 年 36 巻 12 号 p.
2406-2415
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
Endoscopic variceal ligation (EVL)1回と5%ethanolamine oleate(5%EO)を用いたEndoscopic injection sclerotherapy (EIS)1回で治療を終了する短期療法をF
2でRC-sign陽性の未治療食道静脈瘤15例に施行した.一方,対照として同一期間内に内視鏡装着バルーンを用いて5%EOをX線透視下に血液供給路まで注入する方法(従来法)を10例に行い比較検討した.両群とも治療に伴う合併症はなかった.治療回数は短期療法群は2回で,従来法群では3回を要した.5%EOの総使用量は短期療法群は5.2±3.1mlと少量で済んだが,従来法群では27.3±8.1mlを必要とした.治療1カ月後の内視鏡所見では従来法では全例(100%)がF
0であり,その後も再発しにくかった.一方,短期療法群では1カ月後にRC-signや食道静脈瘤がまったくみられなかったのは8例(53%)のみであり,これらは全例が治療前のRC-signの程度が(+)であった.RC-sign(++)以上のものは治療効果が不十分であった.特に結紮部の肛門側に,食道静脈瘤のせき止め現象として高度のRC-signが出現するものは,その後の治療に抵抗したが,接触型Nd・YAGレーザーによる食道下部粘膜の焼灼療法で消失させた. 以上よりRC-signの程度が軽い症例では短期療法も有用であるが,RC-signが高度の例では最初から従来法を行うほうが有利と考える.
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岩井 力, 佐野 善章, 北洞 哲治, 小野 ひろみ, 鈴木 紘一, 仲村 洋, 小笹 潔, 石川 昌澄, 広岡 達夫, 鈴木 啓央, 勝田 ...
1994 年 36 巻 12 号 p.
2416-2421_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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内視鏡検査時にみられるKammrötungは表層性胃炎と考えられているが,臨床的には無症状のものから強い心窩部痛を認めるものまで様々である.今回著者らは,Kammrötungの見られた67例,内視鏡的正常粘膜41例を対象に,胃液pH値と胃粘膜組織内発生活性酸素量を測定し,その心窩部痛の程度と対比検討した.その結果,Kammrötung症例は健常対照者に比し,胃液pH値は有意に低値であり,胃粘膜組織内発生活性酸素量は有意に多量であった.またKammrötungにつき組織内発生活性酸素量と胃液pH値より心窩部痛の程度をみると,胃液pH低値の症例に心窩部痛を認めるものが多かった.しかし強い心窩部痛は胃液酸度よりもむしろ組織内発生活性酸素高値例に多い傾向にあった.以上の成績より心窩部痛を認めるKammrötungに対して胃液pHと組織内発生活性酸素の測定は,今後治療を考察する上で重要な視点になるものと考えられた.
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銭谷 明, 松本 秀一, 石岡 知憲, 桑原 敏行, 正宗 研, 北村 道彦, 阿保 七三郎, 上坂 佳敬
1994 年 36 巻 12 号 p.
2422-2430_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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63歳,男性.食道原発悪性黒色腫の1例.主訴;嚥下困難.病理標本で,中部食道に約4cm大,褐色調で一部白色調を示す隆起性病変(病巣1)の他,その口側および対側にそれぞれ白色調の小隆起性病変(病巣2),および黒色調を示す病変(病巣3)が,さらにこれらの病変の周囲粘膜の一部にmelanosisの所見が認められた.電顕上,病巣1,2からはmelanocyteの成熟過程でmelanin色素が少ないmelanosome IIが,一方病巣3からはmelanin色素を含有するmelanosome IVが証明された.
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松井 亮好, 岩野 正宏, 寺田 理恵, 瀧野 敏子, 水間 美宏, 小林 正夫, 武田 善樹
1994 年 36 巻 12 号 p.
2433-2437_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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IIa型早期胃癌を合併し,内視鏡的ポリペクトミーにて治療を行なった悪性貧血の1例を経験した.症例は65歳男性.全身倦怠感と労作時息切れを主訴に当科を受診した.血液検査にて赤血球数127万,Hb5.1g/dl,Ht15.7%,MCV123.6%,MCH40.2,MCHC32.5と高度の大球性貧血を認め当科入院となった.葉酸,血清鉄値は正常でVB
12は30pg/dlと低値を示した.血中の抗内因子抗体と抗胃壁細胞抗体はいずれも陽性であり悪性貧血と診断した.胃内視鏡検査では高度の萎縮性胃炎と前庭部前壁にイモ虫状の小隆起性病変を認め,生検の結果高分化型管状腺癌と診断された.胃液検査ではBAO;0.14mEq/L,MAOはガストリン法で0.1mEq/Lと真性無酸症を示した.VB
121日1,000mgの筋注により貧血はHb14.5g/dlまで改善した.胃のIIa様病変は内視鏡的にポリペクトミーの手技で切除したが,切除標本は全体に腺腫様病変であるものの表層の数箇所に高分化型管状腺癌の組織像が認められた.
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中島 誠, 小西 英幸, 野田 昌夫, 佐藤 仁美, 福井 康雄, 若林 直樹, 丸山 恭平, 福田 新一郎, 児玉 正, 加嶋 敬
1994 年 36 巻 12 号 p.
2438-2443_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は60歳男性.58歳時膵嚢胞腺癌にて手術後外来経過観察中,胃内視鏡検査にて体下部大弯に隆起性病変を指摘され,生検組織及び超音波内視鏡上カルチノイド腫瘍を疑われたため,平成5年7月入院.この間,下痢,顔面紅潮等は認めなかった.入院時検査では血中Gastrin値が854pg/mlと上昇,抗壁細胞抗体が陽性を示した.腫瘍は山田II型の発赤調隆起であり,超音波内視鏡上径11mmで粘膜固有層及び粘膜下層に限局しており諸検査にて転移を認めず内視鏡的切除を行った.腫瘍はChromogranin-A染色及びGrimelius染色共に陽性であった.また,本症例は抗壁細胞抗体陽性,Congo red散布を含めた内視鏡検査,胃生検組織診にてA型胃炎であると考えられ今後厳重な経過観察が必要であると考えられた.
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村上 雅彦, 清水 喜徳, 普光江 嘉広, 新井 一成, 草野 満夫, 李 雨元, 李 雅弘
1994 年 36 巻 12 号 p.
2444-2448_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は78歳女性.胃潰瘍に対しH
2受容体拮抗剤投与を開始したところ,約1カ月後に新たに中心部が厚い白苔に覆われた潰瘍をともなう隆起性病変が出現した.生検にてカンジダ菌が証明され,胃カンジダ症と診断した.H
2受容体拮抗剤を中止しナイスタチンの経口投与開始したところ,約4週後にはほぼ潰瘍は治癒し,7週後には完全に消失した.本症例はH
2受容体拮抗剤による胃内低酸状態がその発症に関与したことが推測され,長期投与例に対し充分な注意が必要と思われた.また胃カンジダ症にて,内視鏡的に本型のような隆起性病変が観察されるのは極めてまれで貴重な症例と考え報告した.
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平川 克哉, 渕上 忠彦, 市丸 壽彦, 平川 雅彦, 小田 秀也, 堺 勇二
1994 年 36 巻 12 号 p.
2451-2457_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は31歳,男性.主訴は腹部膨隆,水様性下痢,腹痛.胃・腸管壁の広範な肥厚と大量の腹水,末梢血と腹水の著明な好酸球増多,生検で胃前庭部・十二指腸・大腸の好酸球浸潤を証明し,好酸球性胃腸炎(predominant subserosal disease)と診断した.胃前庭部の超音波内視鏡検査にて,粘膜下層から筋層,漿膜下層に一致する全周性の均一な肥厚像を認めた.超音波内視鏡検査は,腸管壁層構造において好酸球浸潤の局在把握に有用と考えられた.
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石井 康裕, 権田 厚文, 藤井 佑二, 蘆田 浩
1994 年 36 巻 12 号 p.
2458-2462_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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門脈圧亢進症により腹腔内手術後の癒着部に生じるadhesion related mesenteric varicesと診断し,手術を施行した症例を経験した.症例は50歳男性,腹痛と下血を主訴に来院.既往歴としてイレウスにて空腸部分切除術を施行されている.また同時期より肝機能障害を指摘されていた.小腸造影,選択的上腸間膜動脈造影検査にて術前に吻合部に生じた空腸静脈瘤と診断し得た.また術中に行った内視鏡検査にて,吻合部に一致しびらんを伴った隆起性病変を認め出血源を確認し得た症例であった.
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富岡 秀夫, 早雲 孝信, 中島 正継, 安田 健治朗, 趙 栄済, 向井 秀一, 芦原 亨, 平野 誠一, 望月 直美, 田中 聖人, 宇 ...
1994 年 36 巻 12 号 p.
2463-2469_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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内視鏡的粘膜切除術(EMR)にて切除し得た十二指腸カルチノイドの2例を報告した. 症例1は56歳の男性で,人間ドックの上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に隆起性病変を認め,生検でカルチノイドと診断された.超音波内視鏡検査(EUS)にて腫瘍径が4mmで,深達度もsmであったためEMRを施行した. 症例2は62歳の女性で,胃腺腫治療後の経過観察中に内視鏡検査で十二指腸下行脚に隆起性病変を認め,生検でカルチノイドと診断された.EUSにて腫瘍径が5mmで,深達度もsmであったためEMRを施行した. 切除標本では2症例とも腫瘍は細胞異型度が低いいわゆる古典的カルチノイドで,脈管浸潤もなく,切除断端に腫瘍細胞を認めなかった. カルチノイドに対する治療は,従来より外科的切除が選択されてきたが,微小病変に対しては内視鏡的切除も可能と考えられた.
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林 繁和, 加納 潤一, 篠邊 泉, 加賀 克宏, 渡辺 吉博, 石黒 義浩, 水野 伸匡, 松島 俊裕
1994 年 36 巻 12 号 p.
2470-2473_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は61歳,女性,意識障害で入院,腎盂炎,腎膿瘍併発,CMZ5日,CEZ26日,LMOX10日,AZT14日投与後,1日十数回の下痢,37.7℃ の発熱あり,大腸内視鏡で直腸からS状結腸に黄白色半球状に隆起した偽膜を多発して認め,便培養で黄色ブドウ球菌(+++),C. difficile D1毒素(-)であった.VCMの投与で下痢は消失した.4カ月後再び尿路感染のためPIPC投与7日後下痢出現,大腸内視鏡にて全大腸に偽膜の再発を認めた.便のC.difficile D1毒素(-),培養で黄色ブ菌(+++),メチシリン耐性であった.MRSAを検出した偽膜性大腸炎の報告は本邦6例目である.
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折居 史佳, 大平 基之, 松本 昭範, 小路 悦郎, 大平 賀子, 村住 ゆかり, 村住 和彦, 鳥本 悦宏, 大田 人可, 関谷 千尋, ...
1994 年 36 巻 12 号 p.
2474-2481
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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38歳の女性.1989年6月,食道静脈瘤の治療目的で当科に入院.腹腔鏡およびCT上肝表面になだらかな起伏を認めたが肝萎縮や結節形成は認めなかった.肝の組織学的所見などからIPHと診断した.1992年10月,食道静脈瘤の再発で再入院.腹腔鏡所見で前回認めなかった肝右葉の萎縮および結節形成などの変化と,CTで肝右葉の著明な萎縮を証明し,明らかに病変の進展を認めた.このように腹腔鏡およびCTでIPHの進展の様相を確認しえた例は極めて少ないので報告した.
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野村 勉, 荒川 哲男, 伊藤 裕之, 田中 道代, 川合 弘毅, 中村 幹男, 中村 肇, 小林 絢三
1994 年 36 巻 12 号 p.
2482-2487_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は,70歳,女性.上腹部痛にて,入院.理学的には,上腹部に圧痛を認めるのみであった.入院時検査成績では,軽度の炎症反応と尿中アミラーゼ値の上昇を認めた.前医でCTにより総胆管の拡張を指摘されていたため内視鏡的逆行性胆管造影を行ったところ総胆管の拡張と内部に長い索状の透過像を認めた.腹部超音波で,総胆管の拡張と内部にechogenicな索状エコーを認めた.画像の特徴的所見より総胆管内回虫迷入症と診断し,駆虫療法を試みたが効果が得られず,経過中黄疸・急性胆嚢炎をきたしたため経皮経肝胆管ドレナージを施行した.症状軽快後,経皮経肝胆道鏡下に虫体を観察,摘出を行い,摘出標本から雌回虫と確診した. 総胆管回虫迷入症は,回虫罹患率の激減ともに稀な疾患となった.胆道鏡下で総胆管内の回虫を摘出し得た症例はきわめて稀であるため報告した.
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八木 真悟, 田中 松平, 龍沢 泰彦, 川上 卓久, 横山 浩一, 伴登 宏行, 山田 哲司, 北川 晋, 中川 正昭
1994 年 36 巻 12 号 p.
2488-2492_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は73歳の女性で,5年来の嚥下困難および内科的治療にて改善しない逆流性食道炎で来院した.上部消化管造影および内視鏡検査にて診断を確定したのち,1993年4月26日,腹腔鏡下にてNissen Fundoplicationを施行した.手術時間は4時間10分で,すべての操作を腹腔鏡下に行った.術後透視にても逆流所見はなく嚥下困難も消失し,術後19日で退院した.腹腔鏡下の手術は,術後疼痛,手術侵襲も少なく,深部操作の必要なNissen Fundoplication手術においては,有効な手術法であると確認した.
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伊藤 義幸, 北村 千都, 柴峠 光成, 清水 誠治, 多田 正大, 川井 啓市
1994 年 36 巻 12 号 p.
2493-2498_1
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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生検機構を有するゾンデ式小腸ファイバースコープ・SSIF-10(オリンパス光学K.K)の有用性について検討した.このスコープを用いて11症例に対し延べ12回の検査を行った.そのうち8回で病変部位に到達し,3症例については鉗子生検を行った.本器種によりゾンデ式小腸内視鏡検査においても病理組織学的診断が可能となったが,多くの場合,得られた組織が小さく挫滅しやすいなどの欠点もあった.しかしそれらの欠点は数多くの組織を採取すること,病変を正面視することで補いうるものであり,SSIF-10は小腸疾患の診断に有用であると考えられた.
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奥田 茂, 酒井 正彦, 岡崎 和一, 渡辺 豊, 古田 精市, 藤堂 彰男, 伊藤 誠, 高瀬 靖広, 大橋 計彦, 吉田 茂昭, 浅香 ...
1994 年 36 巻 12 号 p.
2501-2508
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1994 年 36 巻 12 号 p.
2509-2535
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1994 年 36 巻 12 号 p.
2536-2558
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1994 年 36 巻 12 号 p.
2559-2626
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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竜田 正晴, 郡 大裕, 奥田 順一, 吉田 操
1994 年 36 巻 12 号 p.
2634-2635
発行日: 1994/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー