日本消化器内視鏡学会雑誌
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36 巻, 5 号
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  • 冨松 久信, 馬場 保昌, 加来 幸生, 竹腰 隆男, 丸山 雅一, 藤井 彰, 尾形 悦郎, 植田 守, 松原 敏樹, 西 満正, 加藤 ...
    1994 年 36 巻 5 号 p. 915-924_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     術前未治療の食道表在癌94例を対象とした.表在癌の内訳は粘膜癌22例(ep癌5例,mm癌17例),sm癌72例で,表在癌に占める粘膜癌の頻度は21.4%と低率であった.多発表在癌の頻度は18.1%,他臓器癌の合併頻度は23.4%で,胃癌との合併が高率であった.粘膜癌の90.9%は無症状で,72.7%は内視鏡検査で発見された.ep癌,mm1癌の肉眼型はすべて基本型を呈し,mm2~3癌の36.3%は0-IIc型との混合型であった.sm癌は0-II型が少なく,sm2~3癌は0-I型との混合型が多かった.リンパ節転移はep~mm3癌にはなく,sm癌では38.9%であった. 通常内視鏡による平坦,陥凹型粘膜癌の発見の目安は,小白苔の付着と淡赤色の色調変化で,病変の境界と表面の性状を加味してもmm3癌とsm1癌の深達度診断は困難であった.深達度診断の正診率は内視鏡検査69.7%,EUS検査67.9%であった.
  • ―小腸組織血流量計測も含めて―
    三富 弘之, 中 英男, 西山 保比古, 菅 知也, 西元寺 克禮
    1994 年 36 巻 5 号 p. 927-938_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     イヌ急性虚血小腸モデル(3,5,7,10時間群)で,その粘膜所見を経時的に内視鏡観察し,同時に生検組織採取と組織血流量測定を行い,虚血時間と組織障害の程度との関係について検討した.早期の虚血小腸の粘膜所見は,腸間膜付着反対側の縦走発赤とびらんで,虚血30分で出現した.組織学的には絨毛先端部の上皮の剥奪とうっ血であった.虚血3~5時間では粘膜全周性の変化となり,7時間以降は暗赤色調の粘膜で,高度のびらん,出血を伴い,組織学的には陰窩上皮深層に至る変性壊死と粘膜固有層内の好中球浸潤が特徴的であった.組織血流量回復率は7,10時間虚血再灌流群は3,5時間のそれに比し有意に低かった.再灌流後の粘膜所見は再灌流前に比し虚血性変化が増強した例が多く,虚血粘膜に対する再灌流障害を示唆した.以上の如く,虚血時間と組織障害の病理学的所見は,それぞれの条件に特有の所見を呈し,再灌流後の組織血流量の回復にも相違がみられた.
  • 稲土 修嗣, 田中 三千雄
    1994 年 36 巻 5 号 p. 939-948_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Strip biopsyによる胃病変の治療法においては,病変の完全切除率が必ずしも高くないことと,切除標本の口側・肛門側の決定が困難なことが今日も未解決の問題としてある. これらの問題解決を目的にstrip biopsyの方法を改良し,その有用性について検討した.改良点は胃病変周囲の粘膜4カ所に,新たに作製した巨大把持鉗子の2個の爪と色の異なる短いクリップ2個を固定することによって,スネア鉗子による病変の切除をそれら4カ所の外周から確実に出来るようにすることと,切除した病変組織をこの2個のクリップをつけたまま胃から回収することである.胃のm癌あるいは腺腫を有した臨床例(計101例)を対象に本改良法の有用性を検討したところ,従来のstrip biopsyの方法に比べて完全切除率は有意に高く,かつ切除標本の口側・肛門側のより正確な判定ができることが明らかになった.われわれはこの方法を"4点固定法:Four-point fixation method"と命名した.
  • 犬を用いた実験的検討を中心に
    永井 鑑, 河野 辰幸, 井上 晴洋, 三宅 智, 出江 洋介, 遠藤 光夫
    1994 年 36 巻 5 号 p. 949-957
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的食道粘膜切除術で切除可能な範囲(深度,広さ)を把握するため,臨床材料の病理組織学的検索と雑種成犬を用いた実験的検討を行った.切除深度については粘膜癌の食道腺導管内伸展を考慮し,食道腺に注目した. 粘膜下層内注入により食道腺は粘膜層とともに挙上され,固有筋層との間隔が広がった.粘膜下層内注入と吸引の後絞扼切除する方法では,一回切除でも分割切除でも粘膜下層の食道腺まで切除可能であった.人工潰瘍は各切除の中心部で深く,全体は平皿型となった.吸引を併用する場合,粘膜下層内注入を確実に行うことが肝要であり,これにより切除深度の安定性と安全性(穿孔回避)が確保された. 以上の結果から,深達度m3~sm1の癌も粘膜切除術で原発巣の完全切除が可能であることが示唆された.また,分割切除でも一回切除と同等の効果が期待される.
  • 成宮 徳親, 佐藤 博光, 常喜 真理, 小田切 理純, 岩崎 仁彦, 杉本 泉, 武内 力, 鎌倉 広俊, 渡辺 俊明, 田中 照二
    1994 年 36 巻 5 号 p. 958-963
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的粘膜切除術(EMR)によって粘膜下層の動脈がどのような影響を受けるかを動物実験により検討した.実験には成犬15頭を用い,胃バリウムゼラチン注入透徹標本を作製した.成績は以下の通りである.1)粘膜下層の動脈内径の平均値はC領域519.8±154.8μm,M領域466.4±128.7μm,A領域354.4±47.8μmであり,動脈内径はA領域に比べC領域,M領域で有意に太かった.2)粘膜下層の動脈を胃壁断面像で観察すると,筋層貫通後,細動脈の分枝を出しながら粘膜下層の中層を直線状もしくは粘膜の彎曲に沿って走行していた.3)動脈を平面像で観察すると,動脈は樹枝状に横走し細動脈の分枝を出し,末梢でネットワークを形成していた.4)EMR後残された切除部とくに粘膜下層動脈を観察すると,粘膜欠損部にほぼ正常の状態で粘膜下層動脈が残存している場合と,粘膜欠損部の辺縁に粘膜下層動脈の断端が露出している場合とがあった.
  • ―とくに胃・十二指腸潰瘍を中心に―
    阪口 正博, 芦田 潔, 三好 博文, 杉 和憲, 岡 成樹, 松本 章夫, 浅田 修二, 平田 一郎, 大柴 三郎
    1994 年 36 巻 5 号 p. 965-971_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    筆者らは,過去12年間に当科において施行された緊急内視鏡検査を対象に,上部消化管出血に対する内視鏡的止血術の有用性と限界について,胃・十二指腸潰瘍を中心に検討した.消化管出血を主訴に施行された緊急上部内視鏡は過去12年間で279例,378件であり,検査総数の約1%であった.検査総数は年次的に増加しているのに対して緊急内視鏡は1985年をピークに減少する傾向にあった.消化管出血例の疾患別内訳では,胃・十二指腸潰瘍が過半数を占めており,それらに対しては93.2%と高い内視鏡的止血率が得られていた.止血困難例を出血の重症度・合併疾患別に検討すると,全例,重症出血例であり,1例を除き多臓器不全や重症合併疾患を有する患者であった.純エタノール局注をはじめとする内視鏡的止血術は,胃・十二指腸潰瘍の出血に対して有用性の高い止血方法であったが,4回以上止血回数を増やしても止血率の向上は期待できず,手術可能例であれば3回をめどに手術を選択するべきであると考えられた.
  • 那須 龍介, 友田 純, 井上 裕史, 上江洲 篤郎, 宇野 弘二, 高山 二郎, 吉岡 正雄, 平井 通雄, 藤木 茂篤, 水野 元夫, ...
    1994 年 36 巻 5 号 p. 972-977_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは当科及び関連施設で10例の食道メラノーシスを経験したので報告する.症例は男性7例,女性3例で平均年齢は58.5歳.病変は全例中・下部食道に存在し,内視鏡的には褐色ないし黒色の点状,線状,帯状,類円形,不整斑状の平坦な色素斑として観察された.生検組織所見では,食道粘膜基底層に色素顆粒を持つ細胞が見られ,Masson-Fontanaなどの特殊染色あるいは電顕により,melanocyteであることが確認された.
  • 天野 和雄, 瀬古 章, 杉山 宏, 近藤 博人, 市橋 正嘉, 多羅尾 信, 後藤 明彦
    1994 年 36 巻 5 号 p. 978-985
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡にて検討された十二指腸カルチノイドは少なく,細径型超音波プローブでの検討例はない.今回,生検にて診断された十二指腸球部前壁の小カルチノイドに対し細径型超音波プローブにて観察しえた1症例を経験した.症例は68歳男性で主訴は悪心.細径型プローブの観察では壁の第2,3層に境界の鮮明な低エコーの病変として描出され,病変部は局所切除した.細径型超音波プローブは使用も簡便で診断上有用であった.
  • 石野 祐三子, 大田 由己子, 熊倉 泰久, 平沢 知介, 井岡 達也, 西福 幸二, 谷口 友志, 木平 健, 木村 健, 篠原 直宏
    1994 年 36 巻 5 号 p. 986-991_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    60歳男性.幽門輪口側前壁小彎側にIIa+IIc型早期胃癌を認め,ストリップバイオプシーを施行.病理組織学的所見は深達度mの中等度分化型腺癌であった.約5カ月後,同部位に,新たに山田III 型の隆起性病変を認め,完全生検による精査が必要と考え,ポリペクトミーを施行.病理組織学的所見では過形成性ポリープで,癌は陰性であった.本例は,過形成性ポリープの発生機序を考える上でも興味ある症例と思われ,報告した.
  • 奥脇 秀一郎, 増田 勝紀, 大政 良二, 藤崎 順子, 秋庭 宏紀, 宮本 兼吾, 蜂谷 公敏, 一ノ瀬 万紀子, 新井 弥生, 鈴木 博 ...
    1994 年 36 巻 5 号 p. 992-998_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    異所性胃粘膜下嚢腫は比較的稀な疾患で最近胃癌との併存が注目されている.しかし,従来術前診断は困難で切除標本による病理組織学的診断に頼っていた.われわれは最近,細径プローブ超音波内視鏡(20MHzソノプローブシステム)を用い多彩な凹凸不整粘膜下の第2層から3層にかけて大小不同の円形・連珠状の低エコー域を示した異所性胃粘膜下嚢腫の4例を経験した.組織学的には粘膜下層に拡張した腺管を有する2例と他の2例に早期胃癌の合併を認めた.超音波検査の精度の向上と精査のルチーン化に伴い,このような粘膜下病変に対し積極的に内視鏡下の超音波検査を行なうことは有用であり,手術適応・切除範囲の決定に有意義と思われた.
  • 坂東 正, 山田 明, 新井 英樹, 岸本 浩史, 霜田 光義, 山岸 文範, 榊原 年宏, 坂本 隆, 田沢 賢次, 藤巻 雅夫, 田中 ...
    1994 年 36 巻 5 号 p. 1001-1007
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は70歳男性.某院でERCP,血管造影,CT,MRI,腹部超音波検査などを施行されMirizzi症候群が疑われ,当院紹介となった.経皮経肝胆道造影では,胆管腫瘍が疑われた.超音波内視鏡検査を施行したところ,総胆管に潜り込むように存在する管外性の結石像を得ることができ,術前にMirizzi症候群と診断しえた.Mirizzi症候群においてもEUSは,有用な検査であると思われたので報告した.
  • 宇野 雄祐, 岩瀬 孝明, 上村 清, 荒川 良, 西浦 和男
    1994 年 36 巻 5 号 p. 1008-1011_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的に観察した蟯虫症の3例を経験した.3例とも,人間ドックのS状結腸内視鏡検査で発見された.うち1例は肛囲掻痒を自覚していたが,他2例は無症状だった.3例とも,観察できた範囲内の腸管粘膜に異常はなかった.蟯虫は腸管粘膜に影響を及ぼさないと言われているが,その実態は明らかにされていない.今後,大腸内視鏡検査の普及に伴い,内視鏡的に観察された蟯虫症の症例が増加し,腸管内での生態が明らかになると考えられる.
  • 佐藤 隆啓, 村島 義男, 須賀 俊博, 八百坂 透, 今村 哲理, 藤永 明, 小井戸 一光, 宮川 宏之, 栃原 正博, 東野 清, 夏 ...
    1994 年 36 巻 5 号 p. 1012-1014_1
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃静脈瘤の内視鏡的治療後の経過観察中,F0の形態をとった再発胃静脈瘤の2例を経験した.症例1は68歳,男性.内視鏡検査でF2,Lg-fの胃静脈瘤を認めた.内視鏡的静脈瘤結紮術+硬化療法後,胃静脈瘤は消失したが,3カ月後の内視鏡検査で穹窿部の潰瘍瘢痕の近傍にF0の形態を示すred veinが認められた.症例2は64歳,男性.F2,Lg-cfの胃静脈瘤を認め,内視鏡的静脈瘤結紮術+硬化療法を施行した.5カ月後の内視鏡検査で穹窿部の潰瘍瘢痕の近傍にF0のred veinを認めた.F0再発胃静脈瘤は食道のF0再発静脈瘤と類似しており,注意すべき所見と思われた.
  • 矩 照幸, 松本 啓一, 名生 諭史, 塩見 毅彦, 奥村 嘉章, 小山 茂樹, 藤山 佳秀, 馬場 忠雄, 細田 四郎, 高橋 利彰, 山 ...
    1994 年 36 巻 5 号 p. 1015-1025
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆道内瘻術は主に根治手術不能な悪性胆道閉塞に対する減黄維持療法として,患者の延命やquality of lifeの向上に大きく貢献してきた.しかし,従来から使用されているチューブ型ステントは,その材質の改良や大口径化にもかかわらず,閉塞や逸脱などの合併症はいまだ解消されていない.従来,われわれはチューブ型ステントの欠点を軽減する目的で,Gianturco Z stentやStrecker stentなどのexpandable metallic stent(EMS)を用いたbiliary endoprosthesis(EMBE)を施行してきた.今回われわれは,欧米ではすでに市販されているが,本邦では1993年5月より使用可能となったSelf-expandable型のmetallic stentであるWallstentRを用いて,6例の悪性胆道狭窄に対して胆管内プロテーゼを施行したので,その使用経験について報告する.
  • 1994 年 36 巻 5 号 p. 1026-1071
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 小越 和栄
    1994 年 36 巻 5 号 p. 1139-1146
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 関谷 千尋, 矢野 右人
    1994 年 36 巻 5 号 p. 1147-1151
    発行日: 1994/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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