日本消化器内視鏡学会雑誌
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36 巻, 6 号
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  • 安齋 保
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1175-1185
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     総胆管結石に対して,内視鏡的乳頭切開術(EST)に次いで内視鏡的切石術(EL)を施行した後,経鼻的胆道ドレナージ(NBD)を挿入することが炎症所見と胆汁うっ滞の改善にどのような役割を果すかを,炎症所見として体温(BT),末梢白血球数(WBC),CRPを,胆汁うっ滞所見としてT-Bil,AlP,LAPを,それぞれ検討項目として,経鼻胆道ドレナージ施行(N群)59例とNBD未施行(n群)27例とで比較した.その結果,(1)n群では術後体温の上昇をみた.(2)WBCはNBDの有無で有意差は認められなかった.(3)N群ではCRPは改善し,n群との間に有意差が認められた.(4)T-Bil,AlP,LAPのいずれも,N群で改善がみられ,n群との間にも有意差が認められた.従って,EST,EL後のNBDは術後早期に発生する炎症や胆汁うっ滞の改善に必須と考えられた.
  • 才川 義朗, 熊井 浩一郎, 松崎 Wilson信二郎, 小川 信二, 栗原 直人, 村山 良彦, 久保田 哲朗, 石引 久弥, 北島 政樹
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1186-1190
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回,1988年1月より1992年6月までに当院内視鏡室において胃癌と病理組織学的に確定診断された80歳以上の症例58例を対象として,高齢者胃癌の治療法選択に関し,QOLと予後の観点から,内視鏡的治療の有用性を検討した. 対象は男性45例,女性13例,平均年齢85.7歳,肉眼的進行胃癌35例,肉眼的早期胃癌23例で,治療法の内訳は内視鏡的治療群(21例),開腹手術群(21例),経過観察群(16例)であった.各治療法の遠隔成績の検討においては同期間での当施設の開腹胃切除症例のうち肉眼的進行胃癌327例,肉眼的早期胃癌172例を遠隔成績の比較対照群として用いた. 開腹手術群において21例中6例28.6%に術後合併症が認められた.遠隔成績の検討では,早期癌に対して内視鏡的治療法の妥当性が示され,進行癌に関しては開腹手術群が内視鏡的治療や経過観察群に比較してわずかに良好な成績が示された.
  • 川口 和夫, 奥脇 治郎, 高見 茂人
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1191-1198
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近,内視鏡的粘膜切除術により切除される深達度mの大腸癌が,以前の経験に比較して著しく増加した. 1991年以降当院で内視鏡的に切除した深達度mの大腸癌71病変(47症例)のうち10mm以下のものは53病変で,肉眼型はIIa17,IIc2,Ip19,Isp11,Is4病変であった.この深達度mの癌47症例の年齢分布は同じ期間に開腹術で切除した癌53症例(64病変)の年齢分布にくらべ,若年に偏位した分布をとり統計学的に有意の差を認めた. 内視鏡的に切除した深達度mの癌47例のうち同時及び異時多発癌は13例(27.6%)であり,これに対し,開腹術で切除した癌53例のうち同時及び異時多発癌は8例(15.0%)であった. この深達度mの癌47例のなかで,表面型だけからなる同時多発癌は3例で,うち2例では経過観察中に隆起型の異時多発癌を発見した.隆起型だけの同時多発癌は6例であり,表面型と隆起型の混合した同時多発癌は3例,異時多発癌が3例であった. また,隆起型だけからなる多発の深達度mの癌は横行結腸から直腸までの間に分布し,それ以外の同時及び異時多発癌は盲腸から直腸の間に分布していた.
  • 銭谷 明, 渡部 博之, 桑原 敏行, 大谷 節哉, 石岡 知憲, 正宗 研
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1199-1203_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例1;41歳,男性.主訴は吐血.内視鏡で食道入口部から上部食道左側に暗赤色の腫脹を認め,粘膜下血腫と診断.制酸剤により約1週間で治癒した.症例2;45歳,男性.主訴は吐血.内視鏡で食道入口部直下から胃噴門部まで,食道後壁に食道の約1/3周を占める暗赤色の腫脹を認め,粘膜下血腫と診断.制酸剤,H2-blockerを投与し,血腫を覆っていた粘膜が剥離し潰瘍を形成した後,約4週間で治癒した.
  • 榊原 年宏, 山田 明, 野村 直樹, 黒木 嘉人, 東山 考一, 清水 哲朗, 斉藤 光和, 坂本 隆, 藤巻 雅夫, 田中 三千雄
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1204-1208_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は44歳男性.他施設で,出血性食道潰瘍のため胸部食道切除,胸壁前経路で全胃による再建術を受けていた.内視鏡検査にて,胃角部にA1stageの潰瘍を認めた.この潰瘍は腺境界とは離れた部位に存在し,周辺に特異型腸上皮化生が認められた.H2受容体拮抗剤投与により,瘢痕化した.本症例では,再建胃の内容物停滞とアルコールの多飲が粘膜抵抗性,すなわち防御因子の減弱に関与し,潰瘍発生の要因ともなったと考えられた.
  • 楢原 啓之, 中西 孝至, 清原 達也, 坂村 泰久, 金山 周次, 奥野 優, 篠村 恭久, 松沢 佑次, 原 正浩, 森 俊雄
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1211-1216_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     べーチェット病として経過観察中に巨大な食道潰瘍が出現し,その進展様式と治癒過程を観察し得た1例を経験した.症例は19歳,男性.昭和61年よりべーチェット病として経過観察中,平成2年5月に嚥下痛・胸骨後部痛が出現.内視鏡検査にて食道中下部にしもふり状のびらんを認めた.6月の内視鏡検査ではキッシング状の潰瘍となり,7月には厚い白苔に覆われたほぼ全周性の潰瘍へと進展した.また食道潰瘍の増大とともに白血球増多等の炎症所見を認め,回盲部病変も出現した.プレドニゾロンの投与にても改善はみられなかったが,Total parenteral nutrition(TPN)療法を開始したところ回盲部病変は改善し,また食道潰瘍は徐々に縮小し炎症所見の改善とともに治癒した.べーチェット病に伴う食道潰瘍は円形で浅いものが多数報告されているが,広範囲にわたる巨大なものも重症の難治例に報告されている.本症例でみられた食道潰瘍は,経過中多彩な像を呈し,ほぼ全周性の巨大潰瘍へと進展した.本症例に合併した食道潰瘍は広範囲にわたる巨大な潰瘍であったが,TPN療法が有効であり治癒せしめることができた.
  • 佐藤 博之, 荒川 哲男, 中村 厚, 仲川 浩一郎, 福田 隆, 樋口 和秀, 小林 絢三
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1219-1223_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ヒータープローブを用い,内視鏡的に治療し得た胃あるいは十二指腸の限局性毛細血管拡張症を3例経験した.いずれの症例も吐下血を来たし,出血源の検索を目的とした上部消化管内視鏡検査によって鮮紅色の平坦な毛細血管拡張像が限局性に認められ,それが出血源と考えられた.ヒータープローブによる焼灼により毛細血管拡張像は消失し,以後の出血は認められなかった.ヒータープローブは露出血管を認める出血性潰瘍の止血に広く用いられているが,本症に対してもきわめて有用であると考えられた.
  • 矩 照幸, 山崎 時雄, 居出 健司, 小山 茂樹, 馬場 忠雄, 細田 四郎
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1224-1228_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は19歳女性で,嘔吐を主訴に受診した.上部消化管造影および上部内視鏡検査にて十二指腸下行脚に全周性の狭窄を認め,腹部超音波検査,腹部CT検査で十二指腸膜様狭窄症と診断した.患者は未婚の若年女性であり,美容上の問題から手術を拒否されたため,内視鏡的十二指腸膜様狭窄切開術を施行した.術後,特に合併症を認めず,症状は消失し,術後2年5カ月の現在においても狭窄は増悪していない.
  • 林 勝吉, 松本 恒司, 柏木 元実, 井口 幸三, 進藤 博章, 游 逸明, 平田 一郎, 大柴 三郎
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1229-1234_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は67歳・男性で下腹部不快感を主訴に来院した.注腸X線検査で盲腸に基部があり上行結腸にまでおよぶ,頭部径70×58mm,茎部径18mmの有茎性巨大ポリープを認めた.内視鏡検査で同腫瘤は,表面平滑で,黄白色調でありcushion sign陽性の粘膜下腫瘍であった.Gastrografin®注腸後のCTで,上行結腸内に境界明瞭で内部が均一で脂肪組織と同様のdensityを呈する腫瘤を認めた.MRIではT1及びT2強調像で同腫瘤は脂肪組織と同様のintensityを呈した.以上より大腸脂肪腫と診断した.ポリープ茎部を結紮する目的で内視鏡下にクリッピングを繰り返し行い,出血なくポリペクトミーしえた.摘出標本の大きさは50×35×35mmであり,組織学的にも脂肪腫であった.ポリペクトミー前に,その茎部にクリッピングを行う方法は,巨大ポリープに対する安全なポリペクトミーの方法になり得ると考えられる.
  • 岩部 千佳, 進藤 仁, 林 直諒, 風間 吉彦, 小松 達司, 長廻 紘
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1237-1243
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     骨盤腔内動静脈奇形を合併したCowden病の1例を経験したので報告した.症例は39歳男性で,胸部X線上心拡大を指摘されたため精査を希望して来院した.顔面,口腔粘膜,胸部及び四肢に多発性の丘疹を認め,腺腫様甲状腺腫摘出術の既往もあり,Cowden病と診断した.心エコー,心血管造影の結果,骨盤腔内に多数の動静脈奇形を認めた.上部消化管内視鏡検査では,食道上部から下部にかけて白色扁平隆起が全周性に多発し,胃は穹窿部から幽門部にかけて周囲粘膜と同色調の山田I-III型のポリープが多発し,十二指腸でも同様の所見が得られた.小腸造影では明かな病変を認めず,大腸では表面発赤した亜有茎性ポリープを一つ認めるのみであった.本邦報告39例の検討を行なったが,HLA typingの比較では5例中4例でA2抗原が陽性であった.
  • 中村 隆彦, 今村 諒道, 池村 隆弘, 藤平 和弘, 高田 俊之, 井上 徹
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1245-1249_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は21歳,男性.1986年より潰瘍性大腸炎の診断のもとに,外来通院治療をうけていた.1992年10月頃より上腹部痛に加えて,下血が出現し入院となった.大腸内視鏡検査にて直腸からS状結腸にかけてびらんが多発し易出血性であった.一方,胃内視鏡検査では胃体下部から胃角部にかけて大小多数の腫瘤様隆起を認め同部位からの生検所見は粘膜内に好酸球の浸潤がみられた.末梢血中好酸球が高値を示したことより潰瘍性大腸炎の増悪および好酸球性胃腸炎の合併と診断してステロイドの経口投与を開始したところ,臨床症状,内視鏡所見および末梢血好酸球増多の改善がみられた.われわれが検索した限りでは,潰瘍性大腸炎と好酸球性胃腸炎の合併例の報告は本邦ではみられず,興味ある症例と考え報告した.
  • 長尾 和宏, 姫野 誠一, 桐山 和雄, 長澤 豊, 楢原 啓之, 谷口 雅厚, 岩尾 憲人, 倉堀 知弘, 大川 淳, 亀頭 正樹, 廣田 ...
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1250-1254_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性,便秘の精査のため入院.精査の結果,上行結腸下部に進行癌と,その背側に鶏卵大の嚢胞を認めた.手術所見は潰瘍浸潤型の上行結腸癌(高分化型腺癌)に接して,単房性嚢胞が併存し,一部で癌が嚢胞内に穿破していた.嚢胞の内面は単層の細胞で覆われ,免疫組織学的検討では,ケラチン,ビメンチンが陽性,CEA,第Vm因子関連抗原が陰性であり中皮性嚢胞と判明した.大腸癌に中皮性嚢胞を併存した報告はなく,本例は腹腔内中皮性嚢胞の発生機作を検討する上で興味ある症例と考え報告した.
  • 川瀬 芳人, 本山 新, 竹村 俊哉, 井垣 直哉, 山崎 富生, 北村 英雄, 橋本 利彦, 松尾 秀樹
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1255-1260_1
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ポリウレタン製の極薄membraneを作成し,Gianturco type expandable metal stent(Z stent, COOK)を使用し,胆管の内瘻化に応用し好成績が認められた.ポリウレタンは特殊溶媒により溶解し,膜状にし症例に使用した.このcovered stentを2例の膵臓癌及び1例の胆嚢癌に対し経皮経肝的に,1例の胆嚢癌に対し経乳頭的に挿入した.術中,術後,特に問題なく,挿入後約5~7カ月経過するが,閉塞はない.膵臓癌の1例に対しては術後,PTCS及び,経口十二指腸鏡により観察したが,胆管上皮による内皮化はなかったものの,腫瘍浸潤や胆泥によるstentの閉塞は全く認められなかった.ポリウレタンは胆汁に対し被膜形成が少ない上,柔軟性があり胆道の内瘻化に適したmembraneと成り得ると考えられた.また,このcovered stentの胆管への応用は今後さらに拡がると思われた.
  • 福富 久之, 藤田 力也, 田中 雅夫, 戸松 成, 樋口 次男, 藤田 直孝, 松枝 啓, 八百 坂透, 安田 健治朗, 山川 達郎
    1994 年 36 巻 6 号 p. 1263-1273
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 36 巻 6 号 p. 1274-1283
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 36 巻 6 号 p. 1283-1297
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 36 巻 6 号 p. 1297-1324
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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