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岡村 誠介, 和田 哲, 岡久 稔也, 矢野 充保, 伊東 進
1994 年 36 巻 9 号 p.
1673-1683
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤硬化療法(EIS)後の食道壁内血腫(IMH)の経過および成因について検討した.EIS施行症例113例中15例(13.3%)にIMHを認め,EISの合併症の中では稀れではないと考えられた.IMH形成群と非形成群の背景因子および出血・凝固能の比較ではIMH形成群が男性に多く認められた以外に有意な差は認めなかった.血腫の病理組織像は血栓化し拡張した血管を多く含む壊死物質が主体であり,静脈瘤が周辺組織を伴い一塊となって壊死・脱落したものであった.IMH形成群の硬化剤注入時のX線所見の検討では,上行型pooling像が比較的特徴的な像と考えられた.IMHの成因として,疎である粘膜下層に硬化剤が注入されると組織が剥離し,そこに静脈瘤内の血液が流入し上皮の圧迫により血腫が形成されると考えられた.IMHは平均8.1日で消失し,重篤な合併症および再発も認められなかった.したがって,IMHは静脈瘤の荒廃過程の一つであり,治療の面では有利に働くものと考えられた.
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外山 久太郎, 三輪 亘, 柳井 章孝, 横山 悦子, 本間 二郎, 渡辺 隆司, 野登 誠, 佐野 仁勇
1994 年 36 巻 9 号 p.
1684-1691_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道入口部の異所性胃粘膜200例を対象に臨床病理学的検討を行った.上部消化管内視鏡検査による発見頻度は8.8%で,それほど稀なものではなく,かつ40歳未満では70歳以上に比較してその頻度が有意に高い(P<0.005).大きさは70歳以上では,40歳未満に比較して小さいもの(4mm以下)の頻度が有意に多い(P<0.005).これは高齢者で食道異所性胃粘膜が縮小,消失する例のあることを示唆しているように思われる.臨床症状を呈する例は極めて少ない(12/200).病理組織所見で,有意な炎症所見を呈した例は少なかった(7/74).幽門腺類似粘膜は74例中34例と,胃底腺類似粘膜29例より多かった.これらの所見は,酸分泌に関連して出現するとされている食道異所性胃粘膜例の臨床症状が少なかったことをうらづけるものと思われる.
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長南 明道, 望月 福治, 結城 豊彦, 佐藤 自伸, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 松永 厚生, 安藤 正夫, 渡邊 ...
1994 年 36 巻 9 号 p.
1692-1701
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
根治を目指し,内視鏡治療を行った早期胃癌103例,110病巣を,三脚型把持鉗子を用いる以前の前期(1981年~1990年)と,同鉗子を用いた後期(1991年~1993年)に分けて,完全切除率,および治療後経過を比較検討し,以下の結論を得た.1)把持鉗子に三脚型を用い,切除手技を一定化することで,後期の完全切除率は77.4%と向上した.2)三脚型鉗子は作用点が3点であるため,把持が容易であると同時に病変挫滅が少なく,有用であった.3)さらに,改良型三脚型鉗子は,近接した状態で正確に病変把持が可能であり,有用であった.4)胃体部後壁の病変,11mm以上のIIa型では完全切除率が低く,内視鏡機器のさらなる改良が望まれた.5)術後経過をみると,完全切除例に遺残・再発はなかった.不完全切除例でも十分な追加治療を施行することで遺残・再発率は5.3%と低く抑えられた.
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大川 清孝, 渡辺 憲治, 大庭 宏子, 増市 秀雄, 森吉 靖子, 根引 浩子, 山田 英明, 針原 重義, 進藤 嘉一, 北野 厚生, ...
1994 年 36 巻 9 号 p.
1702-1710_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
虚血性大腸炎(IC)の一過性型96例を比較対照として狭窄型IC14例の臨床的検討を行った. 1.発症年齢は狭窄型ICが有意に高かった. 2.臨床症状では狭窄型ICは非典型的なものが多く,腹痛のない症例が有意に多かった. 3.一過性型ICに比し,狭窄型ICは血管側因子の保有率が有意に高かった.一方,腸管側因子の保有率は両型で有意の差は認められなかった.以上より,ICの成因として腸管側因子が本質的なものであり,血管側因子が強く関与した場合に狭窄型などの重症型になるものと推測された. 4.内視鏡像では3週目以降も全周性病変のある場合,5週目以降も縦走性病変がある場合は狭窄型になる可能性が強いと考えられた. 5.強い狭窄があっても長期経過で改善する症例があり,この場合症状がなければ手術は急ぐべきではないと考えられた.
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井上 雄志, 村田 洋子, 林 朋之, 鈴木 衛, 渡辺 和義, 吉田 勝俊, 亀山 健三郎, 高柳 泰宏, 長廻 紘, 鈴木 茂
1994 年 36 巻 9 号 p.
1711-1718_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
1990年4月から1993年8月までに教室で術前に経直腸的超音波内視鏡検査(以下EUS)を施行した直腸癌切除例は79例である.このうちEUSにて壁深達度PM'以浅およびリンパ節転移陰性と診断し,自律神経温存手術を選択した21例を対象として,癌の進展度診断に対するEUSの有用性を検討した.壁深達度診断は18例(86%)は正診できたが,3例は過小評価した.これら3例は一部でpm層より深く浸潤している症例であった.リンパ節転移では19例(91%)に正診可能であったが,false negativeの2例は1例が微小転移例,1例が腫瘍と離れた部位に転移が認められた症例であった.EUSによる直腸癌の進展度診断は大変高い評価が得られ,直腸癌の術式決定に有用な検査法であると考えられた.
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相沢 敏晴, 松田 昌和, 川村 典夫, 岩崎 有良, 荒川 泰行
1994 年 36 巻 9 号 p.
1719-1724_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
消化管における内視鏡下の粘膜切除術および粘膜下腫瘍描出術を総称して,著者らはEndoscopic Excisionと呼んでいるが,従来の直視型2チャンネルスコープでは,病変の発生部位により,Excision不能例や困難を覚える症例をしばしば経験してきた.こうした症例に対処すべく,著者らは45.斜視型の2チャンネル電子スコープを開発,試作機GIF-2TK200を完成した.本スコープは2.8mm径の鉗子孔を2チャンネル有し,左側鉗子孔に鉗子起上装置を有するのが特徴である.本スコープの使用により,直視型ではEndoscopic Excisionが不可能であった噴門直下の病変に対して,Excisionが可能となり,さらに従来非常に困難を覚えた前庭部小弯,胃角~体上部の小弯~後壁の病変に対して容易なExcisionが可能となった. 一方,Endoscopic Excisionを行う際には,強力な把持鉗子が必要であるが,本スコープの2.8mm鉗子孔に使用可能な細径W-W鉗子:TypeIIを開発した.この鉗子は既に開発した太径W-W鉗子:TypeIと同様,Jaw部分全体に横爪を有し,かつ先端部両側に縦爪を2個つつ有しており,opening widthは11mmと,TypeIと同じになる様設計されている.本鉗子はEndoscopic Excisionに際して,TypeIとほぼ同等の把持力を発揮し,有用であることを確認した.
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荻野 知己, 磨伊 正義, 伊藤 透, 出口 康, 大井 章史, 川島 篤弘, 見谷 巖
1994 年 36 巻 9 号 p.
1727-1733_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は74歳,男性,心窩部不快感にて,近医を受診,内視鏡検査にて門歯列より30cmに7~8mm大の粘膜下腫瘍様の小隆起病巣が見られ,これを食道抜去法で切除した.標本の肉眼所見は9×5mm大の隆起型(0-IIa型)病巣で,癌は一部で基底膜を破り粘膜固有層(1pm)内へ浸潤し,浸潤部では小型の基底膜細胞に類似する細胞が索状に配列する類基底-(扁平上皮)癌[Basaloid-(squamous)carcinoma]と診断された.これは同癌の初期像を示すと考えられたので報告する.
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小西 英幸, 高祖 均, 上平 博司, 若林 直樹, 渥美 正英, 川本 克久, 福田 新一郎, 児玉 正, 加嶋 敬
1994 年 36 巻 9 号 p.
1734-1739_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は20歳男性.全身倦怠感を主訴に来院し,高度の貧血を指摘され入院となった.皮膚・口腔粘膜に色素斑を認めず,消化管ポリープの家族歴はなかった.胃X線検査・内視鏡検査にて胃体中部大彎より胃角部にかけて球状に分葉した巨大隆起性病変を認め,この病変からの出血を疑い胃切開・ポリープ切除術を施行した.肉眼的に大きさは8.5×5.5×3.0cmで,表面は桑実状を呈していた.組織学的に粘膜面は腺窩上皮の過形成を,粘膜筋板は末梢まで樹枝状の分岐を呈しており,Peutz-Jeghers症候群のポリープと同様の所見であった.以上より家族歴を有しない単発性Peutz-Jeghers型胃ポリープと診断した.
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植山 敏彦, 川元 健二, 岩下 生久子, 増田 康治, 宇都宮 尚
1994 年 36 巻 9 号 p.
1740-1744_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃過形成性ポリープの癌化は稀であり,とくに癌化の経過を長期にわたり観察しえた例の報告は極めて少ない.今回われわれは13年間経過観察し得た胃過形成性ポリープの癌化例を経験したので報告する.症例は75歳,女性.昭和54年の上部消化管造影検査にて胃体下部大弯に有茎性ポリープを指摘され,以後1年毎に上部消化管造影検査で経過観察された.わずかな大きさの増減は認めるも形態の変化は認めず,生検では過形成性ポリープであった.平成4年1月の上部消化管造影検査でポリープの明らかな増大と頭部の分葉傾向を認め,同時期の生検にてGroup Vが得られたため,ポリペクトミーが施行された.組織学的にはポリープは茎部を除き癌化した胃被蓋上皮から構成されていた.本例の如く短期間(1年以内)に大きさおよび形態の変化を認めた場合はポリペクトミーの必要があると考えられた.
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牧野 邦比古, 戸塚 慎一, 坂本 直哉, 福間 淑子, 小林 史枝, 池田 隆明, 坂本 龍, 赤羽 久昌, 宮川 八平, 佐藤 千史
1994 年 36 巻 9 号 p.
1747-1752_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
頻回の嘔吐,下痢を主訴に著明な低アルブミン血症を呈した糞線虫症を経験した.上部消化管内視鏡検査で,幽門輪の消失,胃前庭部より十二指腸水平部にかけての粘膜の肥厚,硬化,不整潰瘍,偽ポリープが認められた.十二指腸粘膜生検で,虫体,虫卵を認め,糞線虫症と診断した.駆虫剤(thiabendazole,ivermectin)投与により,投与前糞便中に検出されていた虫体,虫卵は消失し,速やかに症状も改善した.
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緒方 伸一, 平野 正弘, 小山 孝則, 坂田 祐之, 大山 隆, 後藤 祐大, 田中 潤一, 岩切 龍一, 藤本 一眞
1994 年 36 巻 9 号 p.
1753-1758_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は59歳女性.感冒様症状にて近医受診.塩酸シプロフロキサシンを投与され3日後より腹痛,下痢,発熱,腹部膨満を認め,精査目的で当科入院.内視鏡所見で典型的な偽膜の所見を呈し,CD-check-D1陽性で,Cl.difficileによる偽膜性大腸炎と診断し,バンコマイシンの投与を開始した.開始後下痢及び炎症所見は改善したが漏出性低蛋白血症が持続したため,プレドニゾロン併用投与を行い,11週間後退院となった.本例は合成抗菌剤が誘因となり発症した稀な重症型偽膜性大腸炎の1例と考え報告した.
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植村 博之, 遠藤 徹, 草刈 幸次, 二階 亮, 渡辺 和美, 新井 哲郎, 佐野 文明, 小池 満, 石田 尚志, 溝口 昌子, 曽根 ...
1994 年 36 巻 9 号 p.
1759-1765
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は45歳男性,両性愛愛好者の後天性免疫不全症候群(AIDS)症例.全身倦怠感と食欲不振にて当院来院.心窩部痛および便潜血陽性あり,内視鏡検査を施行したところ咽頭部および胃体部,噴門部に多発する直径0.5~3cmの赤紫色粘膜下腫瘍様隆起と,その頂部に不整形の浅い潰瘍をみた.同部よりの生検像より消化管カポジ肉腫を診断した.AIDS合併消化管カポジ肉腫は本邦では極めて稀である.
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三並 敦, 中津 敏明, 内田 尚仁, 平林 修子, 福間 博基, 西岡 幹夫
1994 年 36 巻 9 号 p.
1766-1771
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
著明な胆嚢腫大を伴った胆嚢管閉塞例に内視鏡的経乳頭的胆嚢内挿管を施行し,濃縮した胆汁を多量に吸引した後,胆嚢二重造影を行った.これによって,他の画像診断では得られなかった胆嚢内情報が正確に得られた.また,胆汁吸引による腫大胆嚢の縮小効果もみられ,腹腔鏡下胆嚢摘出術を難渋することなく施行し得た.ETCGは胆石胆嚢炎に起因する胆嚢管閉塞例においても有用な診断ならびに,治療法の両面でその有用性が期待される.
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定本 貴明, 秋田 博彰, 羽鳥 知樹, 杉本 元信, 井形 智子, 野中 博子
1994 年 36 巻 9 号 p.
1772-1776_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は77歳,女性.主訴は全身倦怠感.黄疸,腹水,トランスアミナーゼの上昇がみられ入院した.肝炎ウィルスマーカー陰性,IgG3850mg/dl.LE細胞陽性のため,自己免疫性肝炎と診断し,ステロイド療法を開始.1カ月後黄疸と腹水は消失,肝機能も正常化した.発症3カ月後に腹腔鏡検査を施行.肝表面凹凸不整で,凸部は赤色斑紋ないし結節形成傾向を示し,溝状陥凹と赤色紋理が散見された.組織学的には重症急性肝炎の回復期の所見であった.高齢発症の自己免疫性肝炎例の腹腔鏡像を経験することは稀と考え報告した.
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―11症例の検討―
倉光 智之, 小松 眞史, 小野 剛, 船岡 正人, 加藤 純司, 星野 孝男, 石井 透, 正宗 研
1994 年 36 巻 9 号 p.
1777-1782_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
1992年10月より1994年1月まで11例の食道・胃静脈瘤の症例に内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic variceal ligation, EVL)を施行した.対象はすべて肝硬変を有し,Child分類では,A4例,B5例,C2例であった.静脈瘤初回治療例4例,治療後再発例7例であり,全例RC sign陽性であった.EVL施行の理由は,静脈瘤破裂に対する緊急止血(2例),内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(Endoscopic Injection Sclerotherapy, EIS)後のEVL併用(4例),肝不全(2例),EIS後細径静脈瘤再発(3例)であった.全例EVL後,静脈瘤はほぼ完全に消失し,RC signも陰性化した.治療終了後,観察期間中(平均217.5±79.8日)にRC signが再出現した症例はなかった.EVLは合併症が少なく手技も簡便であり,EISにて治療困難な症例に対し積極的に試みるべき治療法と考えられた.
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―3例の内視鏡所見を中心に―
吉岡 敏文, 森本 茂人, 牧野 泰裕, 山崎 弘子, 川口 憲二, 河野 宏, 水野 元夫, 友田 純, 浮田 實
1994 年 36 巻 9 号 p.
1785-1791_1
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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特発性食道破裂5例について検討した.平均年齢は53.2歳.全例男性で嘔吐後に発症.破裂部位は下部食道,左壁に多く,創部は平均2.8cmで全例手術を施行し4例を救命し得た.食道透視を3例,内視鏡を3例に施行したが,最終診断は食道透視にて2例,内視鏡にて2例,内視鏡とCTにて1例を行った.2例に緊急内視鏡を行い,発症後1,7時間と早期に診断し得た.発症早期の内視鏡では長軸方向に線上の裂創を認めた.周囲の発赤が比較的軽く,食道の広がりが不良であることが特徴であったが,Mallory-Weiss症候群と鑑別困難な症例もあった.時間の経過した症例では瘢痕化を伴う破裂口を認めた.内視鏡検査の合併症では皮下気腫を認めたが重篤なものはなく,緊急内視鏡は送気量に注意して施行すれば比較的安全で早期診断に有用と思われた.
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疋島 一徳, 森 明弘, 綱村 幸夫, 宮崎 誠示
1994 年 36 巻 9 号 p.
1792-1801
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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われわれは1991年4月より早期胃癌の内視鏡的粘膜切除後に発生する粘膜欠損部に対して,クリッピング閉鎖を行ってきた.対象は10例で,粘膜切除は病変より十分なsurgical margin(5~10mm)の部位をマークし,その点と点を針状の電気メスで連続させ類円状の切開を加え,スネアーワイヤーをかけ病変粘膜を十分広範囲に切除した.そして出血,穿孔,人工潰瘍形成を防止するために粘膜欠損部をクリップで閉鎖した.結果は術中,術後の出血は少なく9例は人工潰瘍の形成が回避され,穿孔も認められなかった.断端の病理組織学的検索では【最短の外科的断端距離:3~6mm平均4.5±1.0mm,正常腺管数17~36個,平均27.0±6.0個】で全例断端(―)であり完全切除であった.最長術後2年6カ月間内視鏡で経過観察したが全例癌再発も認めなかった.以上より本法は合併症の予防に有効であり,臨床及び病理組織学的に完全切除を満足させたと考えられた.
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1994 年 36 巻 9 号 p.
1802-1809
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1994 年 36 巻 9 号 p.
1810-1851
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1994 年 36 巻 9 号 p.
1852-1872
発行日: 1994/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー