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清水 勇一, 塚越 洋元, 中里 友彦, 河原崎 暢, 崔 公賢, 及川 由美子, 目良 清美, 細川 正夫, 大原 正範, 藤田 昌宏
1995 年 37 巻 10 号 p.
2157-2165_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
食道表在癌45症例48病変に対し,20MHz細径超音波プローブによる深達度診断能に関する検討を行った.食道壁は条件が卿れば9層構造に描出された.この場合,4層の低エコー層が粘膜筋板と関連しているもの、と考え,深達度診断を行った.深達度はm1~m2,m3~sm1,およびsm2以深とに分け,検討を行った.全体の正診率は83.3%であった.誤診例の原因としては,層構造の描出不良に起因した例と,広範な病変に対し,一部で深く浸潤した部位を見逃した例が多く,他に微小浸潤,生検の影響等があった.また,一番の問題点として,第4層の描出率が十分ではなく,層構造の変化のみで粘膜癌の深達度を判定することが困難であった症例が少なくなかったことがあげられた.
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宇野 耕治, 中島 正継, 安田 健治朗, 趙 栄済, 向井 秀一, 早雲 孝信, 芦原 亨, 平野 誠一, 望月 直美, 田中 聖人, 東 ...
1995 年 37 巻 10 号 p.
2166-2175_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
市販のuncovered self-expanding metallic stmt(uncovered SEMS)を用いてポリウレタン膜被覆ステント(polyurethane-covered SEMS)を作製し,5例の悪性食道狭窄で食道内挿管術を行なった.試作のステントは滑らかで強靱な被膜を有しているために挿入が容易であり,全例で何等の合併症もなく目的とした位置への留置が可能であった.ステント留置後に鎮痛剤の投与を要する疼痛を認めたのは1例のみであり,食事の摂取が流動食から5分粥あるいは全粥までに改善された.この被覆ステントによる腫瘍の内腔への増殖防止効果は良好で,18~103日に及ぶ経過観察期間においても内腔の再閉塞は全く生じなかった.後期合併症としては,1例にステントの移動を,他の1例にステントロ側近傍に腫瘍の過剰増殖による狭窄を認めた.本器具はcovered SEMSとして極めて有用であり,悪性食道狭窄に対する挿管術の優れた方法として期待できる.
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板野 聡, 寺田 紀彦, 橋本 修, 松川 啓義, 白川 靖博
1995 年 37 巻 10 号 p.
2176-2184
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
上部消化管内視鏡検査(ES)後に発症した幽門前庭部の急性胃粘膜病変(AGML)症例について検討したので報告する.最近の3年間に経験したAGMLは36例で,同期間のES症例の0.429%に相当した.男女比は21:15で,平均年齢は男性43.3歳,女性48.5歳であった.直前ESが初回のものは22例・2回目のものが8例で,この両者で83.3%を占めた.施行医では,経験年数が少ないほど発生頻度が高い傾向にあった.直前ESからAGML発症までの期間は33例(91.7%)が8日以内であった.発症時の症状は,激烈な心窩部痛や嘔気・嘔吐で,ES所見では30例(83.3%)で出血性ビランがみられた.部位は,全例胃前庭部が中心で,体部や十二指腸球部におよぶものもあった.誘因にストレスや暴飲暴食があったが,不明のものもあった.慢性潰瘍に比して治癒までの期間は短く,ESで経過観察できた30例では,3~4日目には出血性ビランは消失し,83.3%の症例は遅くとも21日目には治癒していた.
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早雲 孝信, 中島 正継, 安田 健治朗, 趙 栄済, 向井 秀一, 芦原 亨, 平野 誠一, 望月 直美, 田中 聖人, 宇野 耕治, 東 ...
1995 年 37 巻 10 号 p.
2185-2192_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
市販のStrecker-stentをシリコン膜によって被覆したcovered Strecker-stentを考案し,切除不能悪性胆道狭窄15例に対して内視鏡的に留置した.このcovered stentの有用性について,uncovered Strecker-stemを用いた7例およびplasticstentを用いた60例との比較により検討した.Uncovered Strecker-stentとplastic stentの閉塞率はそれぞれ57%と77%であり,閉塞までの期間は84日と93日,平均減黄維持期間は99日と102日であり,ほぼ同等の成績であった.Plastic stentの主たる閉塞の原因は胆泥や食残によるものであったが,uncovered Strecker-stentではメッシュの隙間からの腫瘍のingrowthが閉塞の主な原因であった.一方,covered Strecker-stentでは腫瘍のingrowthはほとんど見られず,ステントの閉塞率も40%に低下し,閉塞までの期間は228日に,減黄維持期間も272日と有意に延長していた.以上より,covere dstentは長期の減黄維持が可能であり,悪性胆道閉塞に対する有用なstentと思われた.
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芦田 潔, 村瀬 雅美, 宮地 克彦, 間 浩史, 滝内 比呂也, 岡 成樹, 田中 雅也, 阪口 正博, 三好 博文, 勝 健一, 芦田 ...
1995 年 37 巻 10 号 p.
2193-2199_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は76歳の男性で,主訴は咳嗽であった.胸部上部食道癌に対し放射線およびlaser治療を行った後に食道気管瘻が発症した.激しい咳嗽がみられたため径2cm,長さ5cmのexpandable metallic stemを2連つなぎ,厚さ0.05mmのシリコン膜を巻いたステントを作成し,病巣部に留置した.留置直後より咳嗽は消失し,全粥の摂取も可能になり,QOLは著明に改善した.外科手術不能の食道気管瘻患者に本ステントは有用性が高いと考えられる.
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小市 勝之, 小川 滋彦, 中野 由美子, 池田 直樹, 若林 時夫, 川浦 幸光
1995 年 37 巻 10 号 p.
2201-2204_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は21歳,男性.主訴は吐血.自殺目的で塩酸濃度9.5%の洗浄剤を服用した.上部消化管内視鏡検査では,胃粘膜はいわゆる急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion,以下AGML)の所見であった.入院第4病日に施行した内視鏡所見では胃内に凝血塊はみられなかったが,初回内視鏡所見と同様に浮腫性変化が強く,拡張は不良で易出血性であった.また同時に施行した超音波内視鏡(endosaopic ultrasonography,以下EUS)所見は,幽門部を中心に全周性に第3層の著明な肥厚が認められ,エコーレベルは低下しており,内部エコーは不均一であった.しかし,第11病日にはこれらの所見は改善していた.これまで腐蝕性病変においてEUS所見の検討を行った報告はみられない.本症例のEUS像とこれまで報告されているAGMLのEUS所見とには類似が認められた.攻撃因子の増強という視点から腐蝕性病変をみた場合,AGMLの成因について示唆に富む症例と思われた.
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徳毛 宏則, 津田 公子, 三宅 弘明, 丸山 博文, 碓井 静照
1995 年 37 巻 10 号 p.
2205-2209_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は88歳女性.既往に胃切除術.乾燥剤の生石灰を誤食.約4時間後の上部消化管内視鏡検査では,下部食道から残胃の全体に生石灰末がびっしりと付着していた.翌日には生石灰はすでになく,食道は著明な潰瘍を形成していたが胃では軽度であった.この差異は胃液による中和が考えられた.生石灰による上部消化管傷害像の全経過を観察した報告はなく興味深い症例と思われ,腐蝕性上部消化管傷害という概念を提唱し考察を加え報告した.
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永川 千晶, 渡邊 光行, 村松 親, 白石 光一, 青木 純, 板倉 勝, 松崎 松平, 佐藤 慎吉
1995 年 37 巻 10 号 p.
2211-2215_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は90歳女性.著明な貧血と心不全のため入院となった.上部内視鏡検査で,胃体上部から幽門前庭部までの毛細血管拡張と同部からの出血が認められ,Diffuse antral vascular ectasia(DAVE)と診断した.輸血等の対症療法では著しい効果は認めず,エタノール局注およびボスミン生食局注にても止血困難であり,肺炎を合併し,死亡した.病理組織学的にも,DAVEに一致する所見を認めた、肝硬変や慢性腎不全等の合併症は認められなかった。
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井上 茂, 長南 明道, 結城 豊彦, 石田 一彦, 藤田 直孝, 野田 裕, 望月 福治
1995 年 37 巻 10 号 p.
2216-2221_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は67歳男性.内視鏡検査にて胃に隆起性病変を指摘され入院となった.胃X線および内視鏡検査では,胃体上部大弯に亜有茎性の柔らかい粘膜下腫瘍を認め,超音波内視鏡検査では第3層に主座をおく多房性無エコー域として描出された.単発性胃粘膜下異所腺の診断のもとに高周波ポリペクトミーを施行し,摘出標本の大きさは10×9×5mmであった.病理学的検索では粘膜下層に嚢胞状に拡張した胃底腺,幽門腺およびfoveolar epithelium類似の異所性腺管が認められたことから,胃粘膜下異所腺と診断した.超音波内視鏡所見は病理組織像をよく反映しており本症の診断に有用であった.
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前田 直人, 隠木 泉人, 安達 裕宣, 周防 武昭, 川崎 寛中
1995 年 37 巻 10 号 p.
2222-2227_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は50歳,男性.上腹部痛,腹部膨満感を訴え,近医より精査加療目的で紹介入院となった.上部消化管X線検査および上部消化管内視鏡検査により十二指腸球部に腫瘤性病変を認め外科的に切除した.切除標本の病理組織学的所見によりxanthomaと診断された.十二指腸球部に腫瘤形成性に発育したxanthomaはこれまでに報告例がなく,自験例は病因論的にも興味ある症例と考え若干の文献的考察を加えて報告した.
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木村 文昭, 寺澤 義充, 藤井 貴章, 原 一郎, 今井 昭人, 葛西 恭一, 上村 学, 新井 正弘, 八木 信明, 吉川 敏一, 杉野 ...
1995 年 37 巻 10 号 p.
2229-2233_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
急性腸炎様所見を呈した若年者大腸結核症の2症例を経験したので報告する.2症例ともに血便を主訴に来院し緊急大腸内視鏡検査施行し,左側大腸に限局したびらんを観察し,同部位よりの大腸洗浄液の抗酸菌染色にて抗酸菌を認めた.血便時の緊急大腸内視鏡検査および大腸洗浄液回収は腸結核の診断に有用であると考えた.
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蓮岡 英明, 竹内 義郎, 前田 忠士, 越智 浩二, 原田 英雄
1995 年 37 巻 10 号 p.
2234-2239
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸内視鏡にて観察した蟯虫症の2例を経験した.症例1は60歳女性,腹部膨満感の精査目的にて大腸内視鏡検査を施行した.盲腸にて白色の虫体を確認し,生検鉗子にて摘出しようとしたが逃げられ,ホットバイオプシー鉗子の通電により弱ったところを摘出し,形態より蟯虫症と診断した.症例2は37歳男性,大腸癌検診の精査目的にて,大腸内視鏡検査施行,下行結腸と虫垂入口部にそれぞれ1匹ずつ観察,同様の方法にて摘出し蟯虫症と診断した.蟯虫症の症状は肛門周囲の痒み程度であるが,未だ寄生率も高く,今後大腸癌検診の普及に伴って症例の増加も考えられ,虫体の発見は治療および感染予防に重要である.
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八子 章生, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 望月 福治
1995 年 37 巻 10 号 p.
2240-2246_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
2年6カ月間超音波内視鏡(EUS)で経過を観察した後に切除した分枝型粘液産生膵癌を経験したので報告する.症例は63歳,女性.肝硬変の経過観察中の腹部超音波検査にて膵鈎部の嚢胞性病変が指摘された.ERCP,EUSにて粘液産生膵腫瘍と診断したが,肝硬変が高度のため経過観察となった.しかし,1年後,2年6カ月後に施行した経過観察のEUSで嚢胞内の乳頭状隆起の増大を認めた.経口的膵管内視鏡で腫瘍が主膵管内へ進展していないことを確認し膵鈎部切除術にて切除した.病理組織学的には膵管分枝内に限局した腺腫内癌であった.本症の質的診断及び経過観察に対するEUS,術式の決定に対する膵管内視鏡の有用性について若干の文献的考察を加え述べた.
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鎌田 晶義, 鈴木 左知子, 斉藤 博哉, 桜井 康雄, 山野 三紀, 高橋 邦幸, 澤口 裕二, 近藤 信夫, 真口 宏介
1995 年 37 巻 10 号 p.
2247-2255_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は51歳,女性.全身倦怠感を主訴に受診し,閉塞性黄疸のため入院となった.ERCPにて膵・胆管合流異常および先天性胆道拡張症(Alonso-Lej I型)を認め,胆管拡張部に隆起性病変を認めた.経皮経肝胆道ドレナージに引き続き経皮経肝胆道鏡を施行し,拡張した胆管内にIp型で乳頭状の腫瘍を認めた.また病巣周囲には丈の低いIIa様隆起が連続して存在し,いずれも生検にて乳頭腺癌と診断された.超音波内視鏡検査では,最外層の高エコー層が保たれていた.各種の画像診断から早期胆管癌を疑い,膵頭十二指腸切除術を施行した,切除標本の病理組織検査ではわずかにfmへの浸潤を伴うm主体の乳頭腺癌であった.
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石井 透, 小松 眞史, 小野 剛, 船岡 正人, 加藤 純司, 星野 孝男, 倉光 智之, 正宗 研
1995 年 37 巻 10 号 p.
2257-2261_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
13歳男性.肝ペリオーシスを併存したIPHの1例.肝機能障害,脾腫の精査のため入院.貧血,血小板減少,著明な脾腫のほか門脈圧の中等度亢進が認められた.肝組織像では軽度の膠原線維の増生,線維性隔壁,門脈枝の拡張の他,主に門脈域周囲の小葉実質に種々の形態の血液貯留腔が認められた.この組織像を反映して,腹腔鏡では,暗紫青色の小斑点を伴う顆粒状変化など,極めて特異な肝表面像を示した.
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片岡 孝一, 鈴木 雅子, 高田 淳子, 遠藤 逸朗, 日下 至弘, 青木 秀俊, 矢野 充保, 高野 尚之
1995 年 37 巻 10 号 p.
2262-2266_1
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
最近,5年間に急性出血性直腸潰瘍7例を経験し,その臨床像,内視鏡像,治療法について検討した.臨床像,内視鏡像では従来の報告とほぼ一致していたが,その成因には複数の要因が関わっていると考えられた.治療法では,内視鏡的薬剤局注止血法の効果が十分でなかった4例に手指圧迫止血法の併用を考案し非常に有効であったので報告した.
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1995 年 37 巻 10 号 p.
2267-2316
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1995 年 37 巻 10 号 p.
2317-2333
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1995 年 37 巻 10 号 p.
2334-2343
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
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1995 年 37 巻 10 号 p.
2344-2366
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1995 年 37 巻 10 号 p.
2386
発行日: 1995年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー