日本消化器内視鏡学会雑誌
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37 巻, 8 号
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  • 澤井 照光, 田川 泰, 中越 享, 安武 亨, 内川 徹也, 七島 篤志, 森永 真史, 山口 広之, 草野 裕幸, 綾部 公懿, 富田 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1593-1599
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡下生検材料を用いて染色体特異的DNAプローブによるfluorescence in situ hybridizationを行い,大腸癌における11番・17番染色体の数的異常を癌細胞を培養することなしに検出した.対象は外科的切除を目的に入院した大腸癌患者22例である (平均年齢67.6歳, 男女比15 : 7) .結果として認められた異常はmonosomy11 : 3例,trisomy11 : 7例,monosomy17 : 1例,trisomy17 : 10例,tetrasomy17:4例であった.染色体数的異常を示す核の割合と大腸癌の臨床病理学的諸因子との関連性をみると,11番染色体については明らかな関連性はみられなかったものの,17番染色体についてはリンパ節転移を有する例で有意に数的異常を示す核の割合が高かった (34.0±8.2%VS42.0±10.3%,p< 0.05) . 以上より,17番染色体の数的不安定性と大腸癌のリンパ節転移との間に関連性があることが示唆されるとともに,こうした異常を術前に容易に判定できることが明らかにされた.
  • 瓜田 純久, 成木 行彦, 西野 執, 神田 映子, 小山 博, 栗田 俊夫, 宮藤 康則, 笹島 雅彦, 有木 寿史, 北條 裕, 三浦 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1600-1607
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     噴門を含む胃大弯側の4点(前庭部,体下部,体上部,噴門)から生検し,培養法を用いてHelicobacter pylori(Hp)の胃内分布について検討した.4点ともHp陽性例は40歳代で最も多く,加齢とともにHp胃内分布は不均一となった.Hpが胃内で不均一に分布する場合,胃底腺領域でHp陽性となる傾向がみられた.前庭部から体部へと連続した領域でHp陽性となる例,逆に噴門から体部へと連続した領域でHp陽性となる例はほぼ同数であった.一方,不連続にHpが陽性であった例を検討すると,胃底腺領域でHp陽性となっている例が多かったが,前庭部および噴門の陽性例が5例存在し,Hp初感染が前庭部だけではなく,噴門部にも起こる可能性が示唆された.疾患別では,十二指腸潰瘍は4点すべてHp陽性例が多く,胃潰瘍は胃底腺領域の陽性率が高かった.血清抗HplgG抗体陽性率および抗体価とHp胃内分布に相関はみられなかった.
  • ―細径プローブ・検体間の距離・角度と超音波像―
    野田 裕, 藤田 直孝, 小林 剛, 木村 克巳, 八子 章生, 長南 明道, 結城 豊彦, 松永 厚生, 安藤 正夫, 富永 現, 野村 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1608-1620
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     4例において細径プローブによる経乳頭的胆管内超音波検査 (TPBS) に引き続いて経乳頭的胆嚢内超音波検査 (TPCCS) を行った.TPCCSにより, 胆嚢壁は内腔側から低高の2層, または高低高の3層に描出された. TPCCSの実用性の有無を調べるために12例の胆嚢新鮮手術標本を用い, 検体と細径プローブとの間の距離・角度の許容範囲を検討し以下の結論を得た. 1. 細径プローブにより切除標本の胆嚢壁は原則として内腔側より,低・高の2層または高低高の3層に描出された. 2. 胆嚢の層構造の描出には,細径プローブを胆嚢表面に対して2.5~5mmで20度以下に保持するのが望ましいが,10mm,40度までは許容範囲であった. 3. この距離・角度は臨床例でも可能な範囲にありTPCCSは胆嚢病変の診断に利用可能と考えられた.
  • 秋山 哲司, 良沢 昭銘, 沖田 聡, 池田 美雪, 藪下 芳子, 古井 俊文, 近藤 哲, 野口 隆義, 沖田 極, 播磨 健三
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1621-1629
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     手術不能悪性胆道狭窄に対してmetallic stent(以下MS)を用いて胆道内瘻術を施行した32症例において,自験のERBD105症例,進行膵癌手術23症例を対照として,その長期経過やplastic stent(以下PS)との開存性の比較,さらに手術症例との予後の比較等について検討した.内瘻術に際しての合併症は経験しなかった.後期合併症として,cloggingによる胆管炎を9例(28%)に,十二指腸への瘻孔形成による出血死を1例に認めた.cloggingせずに死亡した症例は32例中18例(56%,平均162日)で,4例(16%,平均168日)が生存中である.自験のPS症例(n=23,平均68日)と比較して,MS症例(n=21,平均157日)は有意に長い開存期間を示した.また,自験の進行膵癌の手術症例でPD群12例(stage III6,stage IV6)とbypass術群11例(stageIV11)および総合画像診断でstage IVと診断したMS群11例の生存曲線を比較すると,PD群,MS群,bypass術群の順に予後がよい傾向を示したが,各群間に有意差は認めなかった.
  • 古川 剛, 内藤 靖夫, 塚本 純久, 廣岡 芳樹, 金森 信一, 黒岩 正憲, 伊藤 彰浩, 瀧 智行, 早川 哲夫
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1630-1640_1
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵管内超音波検査法 (IDUS) による主膵管, 膵周囲管腔臓器,嚢胞1生, 充実性病変の描出能,部位別の描出範囲を明らかにすることを目的とした,使用周波数は20,30MHzで, 対象は膵疾患28例 (膵癌2例, 粘液産生膵腫瘍13例, 膵島細胞腫1例, 慢性膵炎8例, 限局性膵炎2例, 膵石症2例) である. 30MHzのIDUSは主膵管そのもの, 腫瘍径10mm以下の主膵管内腫瘍, 限局性膵炎の主膵管近傍の膵炎実質の描出に優れた. 20MHzのIDUSは腫瘍径10mm以上の主膵管内腫瘍の描出, 膵周囲の脈管 (門脈系, 胆管, 下大静脈) の描出, 腫瘍径が30mm以下の嚢胞性腫瘍の描出, 腫瘍径20mm以下の充実性病変の描出に優れ, 部位別では膵頭部, 鈎部および主膵管の拡張を伴う膵尾部の主膵管から離れた部位には20MHz以下が適当である. 以上の結果を基にIDUSによる膵疾患と診断すべきである.
  • 矩 照幸, 高橋 利彰, 東田 元, 鈴木 智恵, 山崎 時雄, 金崎 周造, 松本 啓一, 小山 茂樹, 藤山 佳秀, 馬場 忠雄, 細田 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1643-1647_1
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳,男性.糖尿病と総胆管結石砕石後外来経過観察中に上部消化管内視鏡検査で異常を指摘された.上部消化管内視鏡検査では,胸部下部食道にわずかな発赤があり,ルゴール散布では不染帯を認め0-IIbと診断した.また,胃体上部小彎に扁平な小顆粒状の隆起性病変を認めIIaと診断した.食道病変に対してEEMR-tube法で,胃病変にはstrip-biopsyを施行した.食道病変の大きさは22mm×18mm,胃病変は10mm×8mmであった.組織診断は,食道癌,癌深達度;mm,ie(+),1y0,v0,切除断端(-),ならびに胃癌,IIa type,tub1,癌深達度;m,ly0,v0,切除断端(-)であった.同時性食道胃重複粘膜癌の報告は自験例を含め13例で食道癌16病変,胃癌21病変であり,臨床病理学的に検討した.
  • 岡田 千津子, 永尾 重昭, 徳永 徹二, 笹木 淳司, 青野 茂昭, 福島 義隆, 東納 重隆, 川口 淳, 小山 洋, 田尻 久雄, 宮 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1648-1653_1
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は67歳の女性.左大腿部の疼痛により来院.骨X線検査にて転移性骨腫瘍の診断を受け, 上部消化管内視鏡検査にて胃体部大彎を中心に中心陥凹を伴う多発性の粘膜下腫瘍を認め,転移性胃腫瘍と診断した. 入院後4カ月の経過で全身状態の悪化により死亡した.剖検にて悪性線維性組織球腫と診断された. 原発部位は左大腿部と推定された. 悪性線維性組織球腫は他臓器への転移はきわめて稀であり, 若干の文献的考察を加え報告した.
  • 吉田 昌弘, 丹羽 康正, 後藤 秀実, 長谷 智, 有沢 富康, 宮田 章弘, 大岩 哲哉, 広瀬 善道, 西村 賢司, 渡辺 武人, 城 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1654-1657_1
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は46歳女性,人間ドックで便潜血陽性を指摘された.注腸X線,大腸内視鏡検査で直腸前壁に,均一な白苔を有する類円形の潰瘍性病変を認めた.生検で腺管の過形成と間質内に線維筋症を認め,粘膜脱症候群と診断した.超音波内視鏡像では腫瘤形成を認めないUl-IIの潰瘍として描出され,粘膜下層の肥厚を認めた.4カ月後に瘢痕化し,超音波内視鏡像では粘膜下層に低エコー領域の残存が観察された.直腸の腫瘍と粘膜脱症候群との鑑別において,超音波内視鏡は有用と考えられた.
  • 秋山 昌希, 下山 克, 山形 和史, 宇野 良治, 中嶋 均, 斉藤 博, 須藤 俊之, 棟方 昭博, 吉田 豊, 瓜田 純久
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1658-1663
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は68歳の男性,肛門部不快感を主訴として大腸内視鏡検査を施行したところ直腸からS状結腸にかけて地図状の黄色斑を認め,生検したところ多数の日本住血吸虫卵を認め日本住血吸虫症と診断された.さらに黄色斑部の粘膜下にメチレンブルー溶液を注入したところ,黄色斑はより明瞭な黄色調の大小,顆粒状斑点の集合としてとらえることが出来,粘膜下色素注入は本症のより適確な内視鏡像を得るために有効であると考えられた.
  • 土田 研司, 後藤 和夫, 白木 茂博, 岡山 安孝, 浜田 茂彰, 飯田 昌幸, 安藤 白二, 佐野 仁, 伊藤 信孝, 横山 善文, 岡 ...
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1664-1668_1
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は68歳男性,無症状.大腸ポリープ切除後の経過観察のため行った大腸内視鏡検査で回盲弁口から逸脱した回腸腫瘍を認め,生検で高分化腺癌と診断された.切除標本上腫瘍は亜有茎性で,大きさは28×23×高さ16mm,病理組織学的に高分化腺癌で,深達度はsmであった.早期回腸癌は海外も含めて現在まで6例の報告があるにすぎず,貴重な症例と考えられた.本例はその内視鏡的深達度診断に隆起型早期大腸癌の診断基準が有用であった.
  • 松村 修志, 斎藤 征史, 船越 和博, 秋山 修宏, 加藤 俊幸, 小越 和栄, 楠山 明, 梨本 篤
    1995 年 37 巻 8 号 p. 1669-1674_1
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は29歳, 男性. 主訴は黒色便. 上部消化管内視鏡検査で出血を伴う腫大した十二指腸主乳頭を認め, 腹部CT,血管造影検査等から多発性肝転移を伴った膵頭部癌と診断した. 開腹しバイパス術を行い, 組織学的に膵島細胞腫瘍と確診した. 治療としてストレプトゾシン1.0g/週, 総量29.0g投与したところ, 膵原発巣並びに肝転移巣は消失した. 進行した悪性膵島細胞腫瘍に対して, ストレプトゾシンの積極的な投与を試みるべきと考えられた.
  • 1995 年 37 巻 8 号 p. 1677-1771
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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