日本消化器内視鏡学会雑誌
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37 巻, 9 号
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  • ―特に粘膜成熟度と再発について―
    今泉 弘, 大井田 正人, 西元寺 克禮
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1825-1837
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    エピネフリン(以下Epi)撒布によるpharmacoendoscopy(以下PE)を用いた胃潰瘍の内視鏡的治癒判定法の有用性について検討した,潰瘍瘢痕部におけるPE後の色調変化を発赤が残存するPRと蒼白化するPWに分類した.PE後の色調は粘膜血液量に相関していた.また,潰瘍の深さによりPW移行率は異なり,ulIIIの瘢痕24カ月後の累積PWの移行率は61%でulIVの22%に比し有意に高値であった.累積再発率の検討では,PWの再発率は赤色疲痕(以下S1),白色瘢痕(以下S2),PRと判定された瘢痕の再発率と比較し低値であった.さらに,Helicobacter pylori(以下Hp)陽性であってもPWと判定された瘢痕よりの同所再発は認められなかった.また,瘢痕部の組織学的検討からもPWを呈する瘢痕はPRに比し成熟した組織像を示していた.以上タりPEを施行することにより潰瘍瘢痕部の成熟度を粘膜内血管の収縮機能の面から評価することが可能であり,PWをもって潰瘍治癒と判定できるものと考えられた.
  • 杉山 幸一, 中山 裕一, 大原 秀一, 関根 仁, 森山 聰, 金原 孝行, 野口 哲也, 浅木 茂, 豊田 隆謙
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1838-1849
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道・胃静脈瘤の壁内外の血管構築像を描出し,治療法の選択におけるEUSの有用性を明らかにする目的で,治療前後の52例にEUSを施行し,1)壁内血管,2)壁外血管,3)貫通血管,4)発達血管局在部位の4項目につき検討した.壁内血管は内視鏡所見のF因子によく相関し,その血管径から4段階に分類できた.壁外血管も壁内血管と同様に4つに分類したところ,壁内外の血管の程度は58%の症例で一致した.貫通血管は89%において描出可能であった.発達血管局在部位では,中部食道から胃噴門部の壁内外での発達症例が75%を占めた.4項目のEUS所見より壁内外の血管構築像が得られ,それに基づく静脈瘤治療法の選択につき検討した.通常の血管構築像を示すtypical patternには原則的にEISを,それ以外のatypical patternにはEIS以外の治療法を考慮し,さらに貫通血管の径により種々の治療法を選択していくことが妥当と考えられた.
  • 橋本 洋, 斎藤 恵一, 笹田 晋司, 秋本 真寿美, 新見 晶子, 北村 容子, 大渕 美帆子, 安達 由美子, 石黒 久貴, 栗原 毅, ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1850-1857
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年診断される胃癌は典型的な胃癌型をとる症例は減少し,微細な褪色や発赤を生検し診断される症例が増加している.そこで微細な病変の色調差を強調し発見を容易にするための画像処理を試みた.今回は褪色,発赤と認識される病変と周辺の正常胃粘膜とのR成分の輝度の差に着目し,この輝度の差を強調するための画像処理ソフトウエアを作製した.まず画面全体の輝度平均値をもとめこれに各画素のR成分の割合をかけたR成分のみの画像に変換し,この画像に輝度ダイナミックレンジの拡大,2回の非線形輝度変換により輝度の差を強調した.これを微細な病変がはじめて認識される画像に応用し評価したところ各病変が明瞭となり特に経過観察例において見逃し時の画像に於て病変が明瞭となり内視鏡医の注意をひくことで診断が容易になった.内視鏡画像の特性をつかみ独自のアルゴリズムを開発することは画像処理の臨床応用へ重要と思われる.
  • 村上 匡人, 國分 茂博, 浅野 朗, 松田 摩也, 斎藤 俊司, 高田 雅博, 大井田 正人, 西元寺 克禮
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1859-1865_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的硬化療法前後の変化を粘膜下血管の描出に最も適している赤外光画像(IR)を用いて検討した.対象は硬化療法前後にIRによる観察が可能であった15例.男性10例,女性5例,平均57.1歳.全例肝硬変症であった.方法としてはIRはICG静注下に赤外光を用い,通常光画像と比較した.硬化療法は全例透視下(EVIS)に施行し,治療前後の左胃動脈造影(LGA)により血行動態を把握し対比検討した.血流のないF0静脈瘤や,RCsignとは異なる粘膜面上の発赤はIRでは描出されず,血流残存静脈瘤との鑑別が可能であった.Cardiac Venous Dilatationは8例で治療後の描出低下又は消失を認め,静脈相での噴門静脈叢(FP)の描出低下例の75%を占めた.IRで増強される胃前庭部の樹枝状血管は供血路描出例では治療後に描出低下を認めた.以上よりIRは硬化療法後の効果判定に有用であり,FPには壁内成分も含まれる事や,EVISでの硬化剤は壁内にまでも流入する事も明らかとなった.
  • 大川 清孝, 佐野 弘治, 濱崎 尚子, 大庭 宏子, 渡辺 憲治, 森吉 靖子, 木岡 清英, 根引 浩子, 宋 健二, 岡 博子, 山田 ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1866-1872_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近4年間に経験した大腸脂肪腫16例,17個の臨床的検討を行い,以下の結論を得た. 1.中高年者に多くみられ,女性にやや多い傾向がみられた. 2.横行結腸~盲腸の右側結腸に94%が存在した.2cm以下の小さいものが88%を占め,有症状例は12%のみであった.これらの結果は,これまでの本邦集計例の検討とは相違し,剖検での検討と近い結果であった. 3.従来の報告とは異なり,内視鏡による診断率は88%と高く,生検による診断率も70%と高かった. 4.ポリペクトミーで治療したもの7個,経過観察しているもの7個であったが,生検のみで消失したものも3個みられた. 5.最近の脂肪腫の増加は,内視鏡検査の増加,電子内視鏡などの内視鏡機器の進歩により,小さいもの,無症状例が多く発見されるようになったことが主要因と考えられた.
  • 長谷部 修, 武川 建二, 前島 信也, 古屋 直行, 越知 泰英, 赤松 泰次, 清沢 研道, 古田 精市, 松田 至晃
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1873-1882_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    自然消失が期待できず,臨床症状を有する膵仮性嚢胞9例に対し内視鏡的胃・十二指腸嚢胞ドレナージを試み,その治療成績から本手技の有用性と問題点を検討した.ドレナージルートは経胃的6例,経十二指腸的3例である.経胃的ドレナージ6例では全例に経鼻カテーテルを留置し外瘻としたが,嚢胞と膵管に明らかな交通性を認めた1例ではステントを留置し内瘻とした.6例中5例で嚢胞が完全に消失し,1例は著明に縮小した.現在まで嚢胞の再発は認めていない.経十二指腸的ドレナージ3例では全例1回の穿刺吸引のみ施行した.2例は嚢胞が完全に消失したが,1例は多房性のため無効であった.合併症として重篤な嚢胞感染を2例,穿刺に伴う動脈性出血を1例に認めた.内視鏡的膵嚢胞ドレナージは適応症例では十分な効果が期待できるが,嚢胞内に多量のdebrisが存在したり,胃切除後症例では嚢胞感染をきたすことがあり注意が必要である.
  • 金川 賢二, 村田 育夫, 成田 竜一, 中野 重一, 芳川 一郎, 鵜木 秀明, 大神 吉光, 大槻 眞
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1885-1889_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.1987年頃より十二指腸球部に直径約1cmのポリープを指摘されていたが,生検にて異型性に乏しく,ポリペクトミーを拒否したため,経過観察していた.1992年に生検で腺腫と診断され,ポリープの増大傾向を認めたため,1993年12月にポリペクトミーを施行した.病変は十二指腸球部後壁にあり,頭部が22×12×5mmの分葉状有茎性ポリープで,組織学的には局所的に腺腫様増殖を伴った過形成性ポリープであった.
  • ―管腔内超音波検査法の有用性を含めて―
    伊藤 彰浩, 塚本 純久, 内藤 靖夫, 廣岡 芳樹, 古川 剛, 金森 信一, 黒岩 正憲, 瀧 智行, 後藤 秀実, 早川 哲夫
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1890-1896_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.検診の胃透視にて十二指腸主乳頭部の腫大を指摘され,内視鏡検査で,主乳頭開口部隆起の腫大,発赤,顆粒状変化を認め,生検にて,乳頭部腺腫と診断した.管腔内超音波検査(IDUS)では,乳頭部胆膵管が明瞭に描出され,術前に管内進展のないことを確認した上で,内視鏡的に完全切除し得た.IDUSは腫瘍の進展度診断に有用であり,内視鏡的乳頭切除術の適否決定に際し必須の検査法と考えられた.
  • 斉藤 雅之, 綿引 元, 山本 英明, 河合 隆, 多々見 光仁, 百々 修司, 今西 幸市, 樋口 哲也, 嚴 光弘, 竹内 文康, 日置 ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1897-1905
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    下血と腸重積LVyより発見された空腸過誤腫の1例を報告した.術前,小腸造影にて腫瘍の形態を詳細に描出し,かつ内視鏡下生検にて過誤腫と診断し得た.切除標本の組織診断で一部に癌化を認め,Peutz-Jeghers症候群(PJS)のみではなく弧在性過誤腫においても癌化の可能性を示す貴重な症例と考えられた.また小腸腫瘍の診断契機として,重積により繰り返される腹痛の重要性を述べ,さらにPJSにおける内視鏡検査の意義について文献的に考察した.
  • 小土井 淳則, 田利 晶, 山本 昌弘, 古川 善也, 松本 能里, 山岡 義文, 佐々木 幸治, 田中 信治, 河口 弘行, 吉原 正治, ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1906-1910_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.20年来低蛋白血症と貧血を繰り返しており精査目的で当科受診.大腸内視鏡検査にて脾彎曲近傍に小腸との瘻孔を認め,この瘻孔による吸収障害が低蛋白血症の原因と考えられたため外科的手術を施行.開腹所見では多数の小腸憩室と憩室-大腸間の瘻孔を認め,小腸粘膜の一部に幽門腺を認めた.これらの事から小腸憩室の穿通により小腸-大腸瘻を形成したものと考えられた.これまでに憩室穿通による小腸-大腸瘻の報告は本邦では1例しかなく極めて稀と思われた.
  • 進藤 嘉一, 大川 清孝, 横山 慶一, 豊川 彰博, 村川 浩一, 鄭 庸桓, 志村 雅彦, 後藤 武, 堀口 哲雄, 西山 典利, 岩佐 ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1911-1915_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性で水疱性類天疱瘡にてステロイド治療中,下血を主訴に入院した.大腸内視鏡検査にてS状結腸に不整形潰瘍を認めたが診断がつかず,第111病日汎発性腹膜炎で緊急手術となり,小腸穿孔と判明した.その後の肺病変の出現,増悪により肺結核と,切除小腸の病理所見及び結核治療によりS状結腸の病変が治癒したことより小腸大腸結核と診断した.小腸結核穿孔は比較的稀であり文献的考察を加えて報告した.
  • 亀水 忠, 八木 真悟, 川口 雅彦, 長利 あゆみ, 宇野 雄祐, 土田 敬, 龍澤 泰彦, 伴登 宏行, 山田 哲司, 北川 晋, 中川 ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1916-1920_1
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性で嘔気を主訴に近医を受診した際,血清Carbohydrate antigen 19-9(CA 19-9)力雪477U/mlと高値を指摘され,精査入院となった.諸精査にて上部消化管,肝胆膵には異常を認めなかったが,大腸内視鏡検査にて,直腸に3分の1周性の発赤を伴う広基性隆起性病変を認め,直腸切除術を施行した.病理組織学的には,管状腺腫内の高分化型の管状腺癌と判明した.またCA19-9に対する免疫組織化学染色を施行したところ,癌部分が強く染色され,本腫瘍がCA19-9を産生していることが示唆された.術後CA19-9は徐々に正常化した.CA19-9は消化器癌を始めとする腫瘍マーカーとして有名であり,大腸癌でも上昇を示す例は多いが,本例の如く腺腫内癌で異常高値を示す例は現在まで報告されていない.
  • 柴山 淳, 中島 洋, 高須 政夫, 和田 修, 江渡 博之, 尾崎 眞人, 吉田 守, 斎藤 昌三
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1923-1929
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は27歳女性.非A非B非C型急性肝炎の診断にて1年9カ月に2回の入院歴があり今回,肝機能障害増悪にて3回目の入院となった.初回人院中の腹腔鏡検査で,胆嚢底部奨膜面に4×10mm大の異所性肝組織を認めた.第3回入院中,2回目の腹腔鏡検査では,前回認められた胆嚢奨膜面の異所性肝組織は菲薄化し,肝生検組織像は,慢性活動性肝炎へ進展していた.主肝病変の進展に伴い,異所性肝組織にも同様の変化が起こり肝細胞の脱落,菲薄化したものと考えられた.肝炎の病因については,既知のウイルスマーカーおよび自己抗体は陰性で,かつ現在の自己免疫性肝炎の診断基準にも一致しない.さらに飲酒歴,薬剤使用歴も認められず,病因については今後さらに検討が必要と考えられた.
  • 菅家 一成, 石田 基雄, 渡辺 秀考, 渡辺 喜人, 矢島 紀秋, 高橋 和彦, 斎藤 正弘, 鈴木 保永, 増山 仁徳, 平石 秀幸, ...
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1931-1937
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的食道静脈瘤結紮術(Endoscopic variceal ligation: EVL)を施行した50症例を対象とし治療効果と合併症について検討した..対象の内訳は,肝硬変症31例,肝細胞癌合併肝硬変症17例,特発性門脈圧亢進症1例,その他1例であり平均年齢は58.6歳であった.EVLの平均回数は1.8回であり静脈瘤縮小効果は全例に認められ,特に14例ではF0RC(-)の静脈瘤完全消失を認めた.緊急例での止血効果は88.9%に認められた.術後合併症はいずれも一過性であったが,1例に術後の血清トランスアミナーゼの上昇を認めた.術後再発は経過観察し得た静脈瘤完全消失例12例中9例に認められた.EVL単独で静脈瘤の完全消失を得るためにはF因子,RC-signが強いほど多くのO-ringによる結紮が必要であった.また,比較的早期から再発が認められており長期的効果持続にはEVL単独では限界があると考えられた.
  • 原田 昇, 神津 照雄, 有馬 美和子, 磯野 可一
    1995 年 37 巻 9 号 p. 1938-1944
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    新たに開発された試作超音波内視鏡プローブPR192 (東芝,東京,日本) および試作穿刺組織生検針を用いた, 超音波内視鏡下穿刺組織生検法の経験を報告する. 症例は,55歳,男性. 検診にて胃壁外圧排を指摘され, 精査にて胃後面, 膵尾部前面の嚢胞性病変と診断された. 鑑別診断を目的に超音波内視鏡下穿刺組織生検法を施行し,胃平滑筋性腫瘍の生検診断を得た.胃外型平滑筋肉腫を疑い,外科的切除を施行した. 病理組織学的に胃平滑筋肉腫の診断であった. 超音波内視鏡下穿刺組織生検法は, 消化管粘膜下腫瘍や, 膵疾患の鑑別診断に有用な手法となる可能性が示唆された. 本プローブと本生検針は, 超音波内視鏡下穿刺に際し, 良好な操作性を示した。
  • 1995 年 37 巻 9 号 p. 1945-1989
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 9 号 p. 1989-2018
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 9 号 p. 2019-2047
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 9 号 p. 2047-2085
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 小越 和栄
    1995 年 37 巻 9 号 p. 2086
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 9 号 p. 2153
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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