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―胃粘膜血流量,胃粘膜内ヘキソサミン量測定による検討―
安部 千晶
1996 年 38 巻 2 号 p.
271-278
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
成人病の一代表疾患である糖尿病(DM),特に経口血糖降下剤(Oral hypoglycemic agents; OHA)服用者の胃粘膜病変を検討するため,DM85例に対し内視鏡検査と共に胃粘膜血流量を測定した.DM者ではOHA服用群49例でより高頻度に胃潰瘍を認めた.胃粘膜血流量はDM者では対象の健常者群49例と比して測定3点中1点で有意に低値であった.OHA服用群は非服用群と比較して有意差はなかったが全点で血流の低下傾向を認め,OHAによる血流障害の可能性も考えられた.OHAを服用し,さらにDM性合併症を持つ16例では全測定群中最も著明な血流の低下を示した.最後にOHA服用者の胃粘膜病変に対する予防効果を検討するため10例にテプレノン150rngを2カ月間投与し胃粘膜内ヘキソサミン定量,胃粘膜血流量を測定し,ヘキソサミン量の増加及び全部位での血流の増加傾向を得,その有用性を示唆した.
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松永 厚生, 望月 福治, 藤田 直孝, 安藤 正夫, 富永 現, 野村 美樹子, 野田 裕, 小林 剛, 長南 明道, 木村 克巳, 結城 ...
1996 年 38 巻 2 号 p.
279-287
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
早期大腸癌85例を対象とし,超音波内視鏡検査(EUS)の病変描出能と深達度正診能を検討した.早期癌全体の病変描出率は82.4%(70/80)であったが,形態別病変描出率はI型68.1%(32/47)で,II型100%(33/33)や結節集簇様病変100%(5/5)に比べ低く描出が困難であった.病変描出例での深達度正診率は早期癌全体で85.7%(60/70),1型87.5%(28/32),II型84.8%(28/33),結節集簇様病変80%(4/5)であった.病変描出例での深達度別の正診率はsm1癌では0%(0/5)と正診が困難で,m癌と浅く診断される傾向にあったが,m癌では97.1%(34/35),sm2,3癌では86.7%(26/30)と良好な正診率であり,内視鏡切除術の適応判定にEUSは有用と考えられた.また,腫瘍高別の病変描出率,深達度正診率は腫瘍高が低いII型では良好であったが,腫瘍高が16mm以上では超音波の減衰のため低下した.EUSの病変描出能,深達度診断能の向上には腫瘍高の克服とsm1癌の診断が重要と考えられた.
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松崎 浩司, 栗田 俊夫, 米谷 隆, 近藤 栄作, 松崎 一江, 蜂矢 朗彦, 成木 行彦, 大塚 幸雄
1996 年 38 巻 2 号 p.
288-293_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
孤立性胃静脈瘤に対しバルーン下逆行性経静脈的静脈瘤塞栓術(B-RTO)または経頚静脈的逆行性静脈瘤塞栓術(TJO)により治療し,治療前後に細経超音波プロープ(UMP)を用いた内視鏡下超音波と,脱気水充満法による体外性超音波のBモード法とカラードプラ法にて静脈瘤部位を観察した.治療前の胃静脈瘤はいずれの症例もUMP像では無エコー管腔像を呈した.体外性超音波のBモードでは,F3の1例で胃内腔へ突出した静脈瘤と考えられるechogenic areaを認めたが,他の4例(F3が1例,F2が3例)では静脈瘤部位は描出されなかった.体外性カラードプラでは,4例(F3が2例,F2が2例)で静脈瘤と考えられる部位に血流が描出されたが,F2の1例では血流は描出されなかった.治療直後のUMP像では,無エコー管腔像全体に点状高エコーが出現した.治療直後の体外性超音波のBモードでは,静脈瘤部位がはっきりと描出できず,内部エコーの変化は全く観察できなかった.カラードプラでは,治療直後より胃静脈瘤部位において血流は消失した.UMPおよびカラードプラは胃静脈瘤に対するS-RTOおよびTJO治療の効果判定に有用であると考えられた.
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五石 宏和, 田中 信治, 春間 賢, 平賀 裕子, 國弘 真己, 大津 直也, 濱田 雅典, 神安 敏樹, 河本 邦彦, 河口 弘行, 吹 ...
1996 年 38 巻 2 号 p.
294-300_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
早期胃癌(m癌)内視鏡治療症例について,内視鏡的粘膜切除術(EMR)を中心に分割切除やレーザー照射併用療法の局所遺残・再発および生命予後を検討した.対象は当科で根治的に内視鏡治療を試みた胃m癌63例65病変(分化型,Ul(-),ly0,v0)で,今回は径2cmを越える病変も対象とした.一括切除25病変では,遺残,再発とも認めなかった,分割切除10病変では遺残1病変(追加手術施行)で,他の9病変は再発を認めなかった.レーザー照射併用30病変では,遺残2病変(追加手術施行)で,経過観察した28病変中1病変に術後21カ月目に再発を認めたが,内視鏡治療を追加し以後再発を認めていない.径2cmを越える病変(12病変)にも再発はなく,また,死亡例はすべて他因死だった.以上,分割切除やレーザー照射併用は,早期胃癌の根治治療法として,一括切除と同等の効果が得られるものと考えられた.さらに,径2cmを越える病変でも技術的に困難な部位を除けば根治可能であることが示唆された.
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千野 修, 幕内 博康, 町村 貴郎, 水谷 郷一, 島田 英雄, 菅野 公司, 西 隆之, 田仲 曜, 大芝 玄, 佐々木 哲二, 田島 ...
1996 年 38 巻 2 号 p.
303-309_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
気管分岐部憩室と横隔膜上憩室に合併した食道表在癌の2例を報告する.症例1は54歳女性でIm右壁の気管分岐部憩室肛門側にO-IIa型病巣を認め,右開胸開腹胸部食道全摘術と補助化学療法を施行した.腫瘍は1.0×0.6cm,深達度m3であった.症例2は74歳女性で以前にEi横隔膜上憩室内のO-I型病巣に放射線照射を受け,今回O-IIc型病巣の再発で左開胸開腹下部食道噴門切除術を施行した.腫瘍は0.8×0cm,深達度m2であった.食道憩室内癌は稀であり,その内視鏡診断と治療における問題点につき報告した.
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友藤 喜信, 黒田 信稔, 藤澤 貴史, 萩野 晴彦, 阪本 哲一, 坂下 正典, 前田 光雄, 松野 寧子
1996 年 38 巻 2 号 p.
310-315_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃過形成性ポリープの癌化例2例を経験した.症例1;前庭部の約1cm大の亜有茎性ポリープは,6年後には表面の一部が隆起し,同部より高分化型腺癌が認められた.症例2;数個の過形成性ポリープのうち,前庭部の1個は,9年後に無茎性から亜有茎性に変化し,大きさも6mm大と増大し,表面に高分化型腺癌が認められた.癌化の過程を追えた報告例は少なく,特に1cm以下の小さなポリープ例は極めて稀であり,報告した.
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中島 進, 西山 潔, 神谷 紀之, 細井 英雄, 山崎 安信, 赤羽 久昌
1996 年 38 巻 2 号 p.
316-322_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃glomus腫瘍は稀な疾患であるが,著者らは集団検診で胃体下部後壁の粘膜下腫瘍として発見され約10年間経過観察された後切除された本症 (60歳女性) を経験した.以前は定型的な胃切除が行われていたが,本症の悪性度が低いことから近年は局所切除される症例が増えており,本例も局所切除を行った.若干の文献的考察を加えて報告した.
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末川 清康, 松元 淳, 大納 伸人, 石塚 賢治, 有馬 暉勝, 前田 正彦, 石部 良平, 草野 健, 渋江 正, 田中 貞夫
1996 年 38 巻 2 号 p.
325-330_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は65歳,女性.胃の集団検診にて精査を勧められ内視鏡を施行した.胃角部に境界不明瞭な発赤した粘膜の顆粒状変化を認めた.肉眼所見では,表層型の胃悪性リンパ腫または反応性リンパ細網増生症に類似の形態と思われた.末梢血および骨髄像には異常なく,生検の結果形質細胞腫と診断され,手術を施行した.病理組織診断は胃形質細胞腫で,免疫組織学的にはIgA/λ型であった.深達度は一部粘膜下層に達していたが所属リンパ節には異常所見を認めなかった.
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曽根 辰巳, 遠藤 徹, 新井 哲郎, 斉藤 潤, 中澤 京子, 清水 香, 佐野 文明, 草刈 幸次, 石田 尚志, 森田 幹太, 小泉 ...
1996 年 38 巻 2 号 p.
331-334_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は25歳,男性.1971年に血友病Aにより輸血の既往あり.1994年にカリニ肺炎併発し,後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断.水様性の下痢が約3カ月間持続し入院.十二指腸下行脚に多数の白色小結節をみた.同部生検組織像では,組織球の集簇を認め,抗酸菌染色では,組織球に多数の抗酸菌が証明された.さら7生検組織を用いたPCR法により,抗酸菌種がMycobacteriun aviun-intracellulare(MAI)であることが判明した.本邦では消化管生検による精査から,その特徴的内視鏡所見とともにMAIを確定診断した報告は未だなく報告する.
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大石 温子, 日比 紀文, 芹澤 宏, 渡辺 守, 高石 官均, 細田 泰雄, 濱田 慶城, 三浦 総一郎, 土屋 雅春, 石井 裕正
1996 年 38 巻 2 号 p.
337-341_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は62歳,女性.55歳時より橋本病,SLE,肺線維症にて加療中であった.平成3年6月,SLEの増悪で入院.PSLの増量にて症状は軽快したが9月14日吐下血が出現,著明な貧血と共にショック状態となった.上部消化管内視鏡にて十二指腸下行脚に巨大憩室を認め,内部に露出血管を伴う潰瘍を認めた.エタノール局注にて止血しその後潰瘍は治癒し再発は認めていない.十二指腸憩室出血の報告例は,本邦においては34例あるが内視鏡治療報告例は5例にすぎず,今後試みられるべき方法と考えられた.
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北内 信太郎, 黒田 留未, 川口 素世, 児玉 尚伸, 上岡 卓也, 阪口 昭, 西 彰平, 西岡 新吾
1996 年 38 巻 2 号 p.
342-347
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例,58歳女性.主訴,全身倦怠感.平成6年2月15日入院.便潜血陽性,RBC250×104/mm3,Hb4.1g/dl,Ht14.1%.上部消化管に異常なく,大腸内視鏡検査にて盲腸に直径約10mmおよび7mm大のvascular ectasiaがあり,同部より少量の出血を認めた.肛門側の病変はわずかに隆起していた.病変の粘膜下にエピネフリン加生食を約10ml注入し,熱量を20Jに設定したヒータープロープにて焼灼した.治療後病変は瘢痕化し,便潜血反応も陰性化した.本症は高齢者や心肺疾患を合併する例が多く,侵襲の少ない内視鏡下治療の必要性が高い.本症例では合併症の発生を予防する目的で,ヒータープローブ法にエピネフリン加生食水の粘膜下注入を併用した.
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市場 誠, 西川 正博, 今井 康陽, 中務 光人, 黒川 正典, 米沢 毅
1996 年 38 巻 2 号 p.
348-352_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は50歳,男性,大酒家.禁酒のため1990年6月よりcyanamide150mg/dayを約6カ月間,計27g服用した.cyanamide中止後も禁酒を続けていたがGOT,GPTの上昇を認めたため1992年6月腹腔鏡下肝生検を施行した.腹腔鏡では表面に小陥凹が散在し色調は黄白色調であった.肝生検では典型的なground glass appear-anceを呈し,cyanamideによる薬剤性肝障害と診断した.無治療にて経過観察し,1993年11月GOT,GPTが正常化し再度肝生検を行いground glass appearanceの著明な改善を認めた.
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宮田 義史, 南 寛之, 中村 勇一, 下野 健治, 宇留島 一郎, 山筋 忠, 前之原 茂穂, 白尾 一定, 寺田 芳一, 島岡 俊治, ...
1996 年 38 巻 2 号 p.
353-358_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は13歳,女性.1989年母親がPeutz-Jeghers症候群(以下P-J症候群)で腫瘍死したため精査を受け,PJ症候群と診断された.1992年8月下行結腸の約2cmのポリープを内視鏡的に切除した.7カ月後,ほぼ同部位に約1cmのポリープが出現し.その12カ月後に約4cmと急速に増大したため,1994年4月結腸部分切除術を行った.組織診断は過誤腫で,Collinsの式で算出したdoubling tirneは110.3日であった.
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足立 靖, 山野 泰穂, 遠藤 高夫, 前田 聡, 伊藤 英人, 川原 田仁, 河上 純彦, 仲川 尚明, 青木 繁雄, 斉藤 丹羽子, 伴 ...
1996 年 38 巻 2 号 p.
361-367_1
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
われわれはポリペクトミー施行に際して,出血予防を目的に19例21病変に対して隆起スネアを使用し,血小板減少と出血傾向を有する白血病患者1例を含む計17例19病変で出血を予防できた.さらに,ポリペクトミー後出血に対して止血を目的として留置スネアを使用した3例3病変では,全例速やかな止血が可能であった.留置スネアは,ポリペクトミー後の出血予防ならびに止血目的など,その臨床応用意義は大きく,今後さらに普及していく処置器具のひとつと考えられた.
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1996 年 38 巻 2 号 p.
368-433
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1996 年 38 巻 2 号 p.
434-499
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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浅木 茂
1996 年 38 巻 2 号 p.
500-503
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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上野 文昭, 嶋尾 仁
1996 年 38 巻 2 号 p.
504-508
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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―その成果と反省点からみた将来への提言―
佐藤 薫隆
1996 年 38 巻 2 号 p.
511-513
発行日: 1996/02/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー