日本消化器内視鏡学会雑誌
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38 巻, 9 号
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  • 小林 正彦
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2147-2159
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     膵管内視鏡検査を行なった44例のうち手術例14例(膵癌13例,慢性膵炎1例)に対し術前の膵管各部の内視鏡所見と術後病理組織所見との対比検討を行なった.内視鏡像で,隆起および粘膜の凹凸不整は主膵管上皮を置換して内腔に進展した腫瘍組織を,わずかな陥凹を伴う発赤は主膵管上皮下あるいは上皮に浸潤した腫瘍組織の存在を示すことを明らかとした.さらに,これら粘膜面の変化を示す内視鏡像をより詳細に把握し,より明瞭化させるべく画像処理を応用し検討した.その結果,適応型帯域強調処理は近接像における微細構造および遠景像における輪郭部分の明瞭化に,ペイントアウト処理は遠景の暗い部分の明瞭化に有用であることを明らかにした.また動画像の記録メディアの小型化を目指して,従来のUマチックテープに替わり3.5インチ光磁気ディスクの使用を検討し,連続録画時間を延長し適切な圧縮法を採用することにより十分実用可能であることを明らかにした.
  • ―結節型と非結節型の比較―
    田上 洋一, 多田 修治, 藤本 貴久, 今村 治男, 池田 和隆, 廣田 和彦, Shuichi MIYASE, 瀬上 一誠, 原口 修, ...
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2161-2166_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     腫瘍の丈が低く,従来の表面型腫瘍と比較して,側方への進展を主体とする側方進展型大腸腫瘍47例 (結節型32例,非結節型15例) について,内視鏡所見,病理組織所見を対比し,本腫瘍の臨床病理学的特徴とその治療方針について検討した.結節型と非結節型の分類は内視鏡,実体顕微鏡,および切除標本にて行い,腫瘍表面がIIa様小結節の集簇からなる病変を結節型,結節の集簇を作らない平坦な病変を非結節型とした.両腫瘍とも上記の特徴で判別可能な10mm以上の病変を対象とした.腫瘍径の平均値は結節型が29mmと非結節型18mmよりも有意に大きく,占居部位は結節型で直腸・盲腸に全体の78%が存在したが,非結節型は各部位に分散していた.組織学的には,結節型では腺腫内癌が18例 (56%) と多数を占め,sm癌は5例で,うち3例はsm1への微小浸潤であった.一方,非結節型では腺腫成分の無い純粋癌が9例 (60%) を占め,そのうち4例は大きさ20mmから38mm (平均26.8mm) でsm中層以下への深部浸潤を認めた.以上の成績より,両腫瘍とも側方への発育進展を示すという共通点を有するが,結節型は非結節型に比べ悪性度が低いため,結節型で明らかなsm浸潤を示唆する所見がない場合は内視鏡的治療の適応と考えられた.しかし,非結節型は20mm前後でsm深部浸潤を来す症例があり,本腫瘍の内視鏡的治療にあたっては慎重な対応が必要と思われた.
  • 山雄 健次, 中澤 三郎, 水谷 佐世子, 芳野 純治, 乾 和郎, 印牧 直人, 岩瀬 輝彦, 滝 徳人, 中村 雄太, 堀部 良宗, 今 ...
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2167-2173_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     コンベックス型超音波内視鏡を用いて膵および膵周囲の腫瘤性病変と上部消化管粘膜下腫瘍に対し超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診を27例に試みた.血管病変等を除き25例に穿刺を行い,その標本採取率は80%であった.また,標本採取が可能であった20例を対象とした穿刺吸引細胞診の悪性に対する診断能は感受度67%,特異度100%,陽性適中度100%,陰性適中度67%,正診率80%であり,手技に関連した合併症は1例も認めなかった.本検査法は超音波内視鏡検査で得られる消化管や消化管壁外の小病変に対する質的診断法として極めて安全かつ有用であり,今後さらに内視鏡機能の充実,穿刺針の改良などにより適応疾患の拡大と成績の向上が期待できる.
  • 安田 俊一, 根井 仁一
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2174-2178_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は77歳男性.労作時呼吸困難があり,平成2年10月当科入院.葉酸欠乏性貧血と診断.同入院中に実施した食道胃内視鏡にて逆流性食道炎をみとめた.外来経過観察中胸やけを訴えたため食道胃内視鏡施行,食道下部に直径5mm前後のやや白色調,表面顆粒状の広基性隆起病変の多発を認めた.隆起の一部をポリペクトミーしたが,組織学的には乳頭腫様病変で,経過から肥厚性食道炎の進行例と考えられた.本例のように5カ月という短期間に乳頭腫様の肥厚隆起の形成をみた報告はなく,肥厚性食道炎や乳頭腫の成因を考える上で貴重な症例と思われたので報告した.
  • 濱本 博美, 山本 博, 木村 弥都子, 鈴木 貴博, 島 修司, 松枝 和宏, 脇谷 勇夫, 湯本 英一朗, 麻谷 優子
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2181-2187_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は67歳女性のB型肝硬変例で,近医で食道静脈瘤に対し8回の予防的硬化療法(EIS)を受けたが効果なく,当院を紹介された.内視鏡検査にて胃静脈瘤と連続する巨木型食道静脈瘤(pipe-line varix)を認めた.Vasopressinを滴下しつつイオパミドール入り5%エタノールアミンオレイト(以下EOI)のほか,エタノールも使用して硬化療法を行ったが,血流量が多く効果を認めなかった.そのため胃バルーンと食道バルーンを使用して2点で静脈瘤を圧迫して血流を遅滞させる方法により,再度硬化療法を行った.本法により長時間に渡る硬化剤の停滞と静脈瘤縮小効果が得られた.この方法は通常の処置により効果のみられない巨木型食道静脈瘤症例に対し有効な手技と考えられた.
  • 林 重仁, 岡村 誠介, 六車 直樹, 松永 裕子, 筒井 朱美, 福田 保, 安田 貢, 横井 孝文, 岡久 稔也, 柴田 啓志, 伊東 ...
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2188-2194_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は58歳,男性.2カ月前より嚥下困難が出現し当科紹介された.食道X線検査で中部から下部食道に巨大な紡錘形隆起性病変を認め,内視鏡検査では食道内腔を閉塞する,表面に壊死性物質の付着した腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査ではほぼ均一な低エコー域として観察された.生検所見から癌肉腫を疑い食道亜全摘術を施行した.摘出標本は17.8×7.5×4cmで病理学所見および免疫組織化学反応よりいわゆる癌肉腫と診断した.
  • 林部 章, 田中 肇, 鬼頭 秀樹, 阪本 一次, 樽谷 英二, 中上 健, 柳 善佑, 十倉 寛治, 浅田 健蔵, 竹林 淳
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2195-2198_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は,71歳,女性,30年前に十二指腸潰瘍で広範囲胃切除術を施行されており,術後の上部消化管精査の目的で当科を受診した.外来にて上部消化管造影を施行したところ,胃空腸吻合部近傍に陰影欠損像を認めた.内視鏡検査では,吻合部近傍空腸側に表面平滑で全体に黄色調,約1.5cm大の山田IV型ポリープを認め,平成7年2月23日内視鏡的切除術を施行した.術後の組織学的検索で,空腸粘膜下層より発生した脂肪腫と診断しえた.本邦においてわれわれの検索しえた範囲では内視鏡的に切除された空腸脂肪腫は本症例を含めて3例であった.
  • 古川 剛, 大橋 計彦, 栗本 組子, 中村 常哉, 戸田 信正, 鈴木 隆史, 新田 康夫, 日比野 清富, 伊藤 彰浩, 内藤 靖夫, ...
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2201-2207
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は50歳,男性.スクリーニングの十二指腸内視鏡検査で主乳頭に一致した大小不揃いの顆粒状隆起性病変が発見され,生検では高度異型を伴う腺腫と診断された.ERPで主膵管に,PTCで胆管に異常は認めなかった.EUSでは亜有茎性の高エコー腫瘍として描出され,十二指腸,膵および主膵管,胆管への進展は認めなかった.IDUSでも胆膵管への進展および膵実質浸潤を認めず,十二指腸主乳頭部腺腫と診断した.内視鏡的切除術を施行し,病理組織学的に,一部に高度異型を伴う腺腫と診断した.術後,貧血をきたしたが輸血にて対応可能であった.
  • 風見 明, 中村 常哉, 小林 世美, 谷田部 恭, 中村 栄男
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2209-2213_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は47歳男性L主訴は血便.注腸X線検査で直腸Rbに隆起性病変を,大腸内視鏡検査では肛門輪より8cmに表面に浅い陥凹を有する扁平隆起を認め,IIa+IIc型早期癌を疑ったが生検所見は著明なリンパ球浸潤であった.経肛門的局所切除術を施行.病変の大きさは7×7×4mm,病理組織所見は粘膜下層に反応性リンパ濾胞を伴う小一中型異型リンパ球系細胞増殖であり諸々の検索により粘膜関連リンパ組織型低悪性度B細胞性リンパ腫(MALTリンパ腫)と診断された.
  • 西川 秀司, 若浜 理, 松永 崇, 樋口 晶文, 小池 章之, 佐野 秀一, 中西 昌美
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2214-2218_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は71歳男性.慢性腎不全のため透析中であったが,黄疸が出現.腹部超音波,CT検査にて胆石を認め,内視鏡的胆管造影検査(ERC)において中部胆管に約10mmの陰影欠損を認めた.超音波内視鏡検査では内部エコーほぼ均一な胆管内隆起性病変が認められた.内視鏡的に生検を施行するも確定診断に至らず,腫瘍性病変を否定できなかったため開腹手術とした.総胆管切開のうえ部分切除を施行し,病理組織学的には好酸球を主体とした炎症細胞浸潤を伴った肉芽腫であった.
  • 草野 史彦, 山本 力, 前田 学, 佐久間 郁行, 前川 伸哉, 酒井 義法, 田沢 潤一, 佐藤 千史
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2219-2222_1
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性胆道狭窄に対する姑息的治療として,各種チューブステントや金属ステントが使用されているが,ステントの閉塞が問題となっている.近年Gillesらが,肝内胆管と胃を非開腹的に経皮経肝的に内瘻化する経皮経肝胆道胃内瘻術を考案し,良好な成績を報告している.われわれは悪性胆道狭窄の2例に対して本邦で初めてこの方法を施行し,良好な結果を得た.本法は症例によっては有用な方法の1つになり得ると考えられた.
  • 1996 年 38 巻 9 号 p. 2225-2300
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 内視鏡学会内視鏡治療効果判定委員会胆膵ワーキンググループ小委員会
    藤田 力也, 山川 達郎, 小越 和栄, 藤田 直孝, 須賀 俊博, 今 陽一, 乾 和郎, 中島 正継, 池田 靖洋, 五十嵐 良典, 大 ...
    1996 年 38 巻 9 号 p. 2301-2312
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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