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北島 政樹, 大上 正裕, 渡邊 昌彦, 小澤 壯治, 大谷 吉秀, 若林 剛
1997 年 39 巻 12 号 p.
2373-2379
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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Laparoscopic surgery has been developed rapidly in recerlt years all over the world.Its indication has been enlarged with the rapid advancement and development of opticalsystem, disposable devices and other operative instruments. It have brought the revolutionand the conceptual changes xn surgery. Recently, the indication of laparoscopxc surgery hasbeen extended to malignancy such as early gastric cancer and colorectal cancer. However, complicated procedures in laparoscopic surgery which require precise maneuver, suturingor knot tying are still difficult for surgeons, and this fact prevents its further popularizationand the further extension of its indication. In order to overcame this barrier and makelaparoscopic surgery more easier and more surgeon-friendly, we have been introducing ordeveloping several new technologies since 1994, collaborating with the Faculty of Technol-ogy and Science, Keio University and several companies. They are 3-D, head mountdisplay, tele-education system, virtual reality educational system, solo-surgery with voicecontrol robotic system and maser-slave rnanipulator. Some are still under developmentand some are already clinically applied in our institute. with these technologies, laparo-scopic surgery will become easier and safer to perform, and the indication of Iaparoscopicsurgery will extend more widely in future.
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足立 経一, 橋本 朋之, 末次 浩, 石村 典久, 串山 義則, 鍜治 武和, 勝部 知子, 天野 和寿, 石原 俊治, 平川 和也, 天 ...
1997 年 39 巻 12 号 p.
2380-2385
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
早期胃癌,胃腺腫に対して粘膜切除術を施行したHelicobacter pylori(HP)陽性34症例41病変,陰性13症例17病変を対象として,HP感染の潰瘍治癒,粘膜血流に及ぼす影響についての検討を行った.H.P陽性と陰性の比較では粘膜切除後潰瘍の治癒,潰瘍辺縁の経時的粘膜血流の変動には差を認めなかったが,内視鏡的な治癒期においてHP陰性潰瘍の粘膜血流比(潰瘍辺縁血流/背景粘膜血流)がHP陽性潰瘍に比して有意に高い値を示した.πP感染が潰瘍辺縁の局所性因子に影響を与え,治癒期の血流を低下させていると推測された.
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北村 玲子, 富永 静男, 斉藤 紀文, 高邑 裕太郎, 小金井 裕之, 梅沢 正, 大久保 賢治, 高邑 知生, 山内 裕代, 永瀬 肇, ...
1997 年 39 巻 12 号 p.
2386-2396
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
AA型消化管アミロイドーシス8例の上,下部消化管内視鏡像につき,その病理組織所見との対比検討を行った.食道は異常所見に乏しく,胃では発赤やびらん,潰瘍など多彩な所見がみられた.十二指腸では多発する微細顆粒状隆起が主体であった.大腸では発赤,びらんや地図状潰瘍が主体であったが,同一症例でも部位により異なる多彩な所見を示した.生検におけるアミロイド沈着陽性率は,十二指腸・回腸末端および結直腸では全例陽性で,以下胃(前庭部,体部)・食道の順に高率であった.特に十二指腸ではアミロイド蛋白の結節状の沈着が粘膜固有層を中心に著明かつ高頻度に認められ,内視鏡所見での微細顆粒状隆起に対応するものと考えられた.食道,胃,大腸に比べ,十二指腸ことに下行部に多くみられる微細顆粒状隆起は本疾患に特徴的な内視鏡像と考えられ,生検にも適し,本症の診断に有用と考えられた.
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浅野 朗, 國分 茂博, 村上 匡人, 高田 雅博, 西元寺 克禮, 磯部 義憲
1997 年 39 巻 12 号 p.
2397-2403
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は59歳女性.1993年3月全身倦怠感にて当院消化器内科を受診,自己免疫性肝炎と診断された.内視鏡にてF3RC(++)の食道静脈瘤を認め,同年5月に内視鏡的硬化療法(Endoscopic Injection Sclerotherapy:EIS)を目的に入院した.その後,1994年1月と1995年3月に食道静脈瘤の再発を認め,2度のEISを追加施行した.1995年3月7日,EIS施行後,発熱を伴う心窩部痛が出現した.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃噴門部から胃体中部小彎にかけて巨大な潰瘍が形成されていた. Retrospectiveに血管造影及び内視鏡的硬化療法時静脈瘤造影(EVIS)の所見を検討したところ,食道静脈瘤穿刺部より左胃動脈の分枝が描出されていた.描出動脈枝の支配領域は,巨大潰瘍を形成した部位と一致した.潰瘍の原因は,硬化剤が左胃動脈の分枝に注入された結果と考えられた.われわれのEVIS約400例の経験でも動脈枝内注入を確認し得た例はなく,稀な1症例と考え報告する.
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石田 誠, 稲田 俊雄, 吉永 浩明, 塩見 勝彦, 菅 敬彦, 岩田 康義, 影山 浩, 村岡 篤, 津村 眞, 鶴野 正基, 中島 和雄 ...
1997 年 39 巻 12 号 p.
2404-2408
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
われわれは,病理組織学的に分類不能大腸ポリープと考えられる大腸ポリープの9例を経験し,そのうち6例は内視鏡像の共通性から同一疾患概念に属すると考えられた.内視鏡像の特徴は正常粘膜で覆われた柔らかいポリープで,舌状またはしぼんだ気球のようなしわを伴う形態を示し,組織検査でポリープ表層粘膜には異常がなく,粘膜下組織の浮腫を主体とした毛細血管とリンパ管の拡張を伴う非特異的所見を共通に認めた.この6例の内訳は女性4例,男性2例,年齢は47歳から79歳であった.局在はS状結腸4例,直腸2例,大きさは3~18mmであった.われわれは,これらの6例のポリープについて内視鏡的特徴からmucosal tongueと仮称した.以上,病理学的に前述の組織像から分類不能とされたポリープのなかに特徴的内視鏡像を呈する一群があり,一疾患単位と考えられる.
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冨田 裕, 芹澤 宏, 渡辺 憲明, 浜田 慶城, 高石 官均, 岩渕 直人, 熊谷 直樹, 土本 寛二, 宮川 健, 倉持 茂, 日比 紀 ...
1997 年 39 巻 12 号 p.
2409-2414
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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症例は57歳の男性.昭和62年(50歳時)注腸検査にて下行結腸脾弯曲部に径約1.5cmの隆起性病変を指摘され,大腸鏡検査にて表面平滑な暗青色調の隆起性病変を呈し,大腸血管腫が疑われた.定期的に経過観察されていたが,平成6年6月の大腸鏡検査にて径約3cmに増大し,静脈瘤様の青黒い凹凸調隆起を呈した.血管造影にて中結腸動脈左枝にhypervascular massを認め,出血の可能性を考慮し,大腸部分切除術が施行された.病理組織学的に,拡張性の静脈性血管が集簇する血管腫と診断された.大腸血管腫は稀であり,貧血,下血にて発見され外科的切除されることが多いが,無症状にて長期観察しえた例は報告はなく,本症の発育進展を示す貴重な症例と考えられた。
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田代 充生, 村田 育夫, 芳川 一郎, 大神 吉光, 伊藤 英明, 大槻 眞
1997 年 39 巻 12 号 p.
2415-2420
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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消化性潰瘍手術後の吻合部潰瘍による胃結腸瘻はまれであり,しかもBillroth I法再建術後の発症は極めて少ない.症例は68歳男性.10年前より慢性関節リウマチで他院通院中であったが,十二指腸潰瘍穿孔にて広範囲胃切除術とBiIlroth I法再建術を受けた.術後3カ月より持続する水様性下痢と著しい体重減少があり当科を受診した.大腸内視鏡検査で横行結腸に瘻孔を認め,胃結腸瘻と診断した.
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藤井 久男, 畑 倫明, 石川 博文, 森田 敏裕, 小山 文一, 寺内 誠司, 榎本 泰三, 中野 博重, 西山 利正
1997 年 39 巻 12 号 p.
2421-2426
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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アメーバー性大腸炎amebic colitisの再発の報告は少ない.アメーバ性直腸炎の治療6年後に盲腸に限局して再発したアメーバ性大腸炎1症例を報告した.患者は同性愛者と判明し,再感染の可能性が考えられた.最近,sexually transmitted disease (STD)としてのアメーバ性大腸炎が増してきて:おり,欧米と同様,大都市を中心に赤痢アメーバ症において同性愛者の占める割合は増してきていると推定される.とくに問診の困難性を考慮すると,同性愛者と確認できなかった場合も,再感染の危険性につき十分説明し,治癒後も定期検診を勧めるべきである.
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秋山 昌希, 葛西 雅治, 須藤 智行, 太田 昌徳, 中嶋 均, 棟方 昭博
1997 年 39 巻 12 号 p.
2427-2432
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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胃隆起性病変に対する内視鏡的ポリペクトミー施行時に伴う出血予防として内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を応用した胃ポリペクトミーを考案した.本法を6例7病変(肉眼形態:有茎性病変6病変,亜有茎性病変1病変;病理組織:過形成性ポリープ6病変,胃腺腫1病変)に施行した.有茎性病変6病変中2病変で径10mm以上の茎を有していた.全例,容易かつ確実にポリペクトミー後の出血を予防でき,またポリープの茎部の遺残,および再発を認めなかった.本法は胃の有茎性・亜有茎性病変のポリペクトミーにおいて安全かつ容易に施行できる方法と考えられた.
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―多方向からの内視鏡的食道静脈瘤造影の検討―
近森 文夫, 栄枝 弘司, 渋谷 進, 高瀬 靖広
1997 年 39 巻 12 号 p.
2433-2439
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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食道静脈瘤8例を対象に,多方向からの撮影が可能なデジタル血管撮影装置を用いて内視鏡的硬化療法(EIS)を試みたのでその有用性について報告する.撮影可能方向については,正面と第1斜位像は全例で,第2斜位と側面像は3例で得られた.供血路として噴門静脈叢は88%,左胃静脈噴門枝は100%,後胃静脈は38%,短胃静脈胃底枝は38%に認めた.一方,食道外の排血路として傍食道静脈は50%,縦隔静脈は25%と高率に認め,これらの静脈を認めた時点で硬化剤注入を中止した.血管内硬化剤(5%EOI)総注入量は7~33mlで安全域内であった.治療前後での肝機能検査値や門脈血行動態に大きな変化は認めなかった.EISにおけるデジタル血管撮影装置の使用は,体位変換することなく多方向からの硬化剤注入血管の同定を可能とし,硬化剤注入量を精密にコントロールできることから,肝機能や門脈血行動態への影響を極力抑えることができるものと思われた.
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丸野 要, 福田 直人, 山川 達郎
1997 年 39 巻 12 号 p.
2440-2445
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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私共が経験した腹腔鏡補助下幽門側胃切除術施行症例は早期胃癌5例,術前悪性も否定しえなかった過形成ポリープ1例,平滑筋肉腫1例である.腹腔鏡下にリンパ節郭清(D1+No.7)施行後,endostaplerにて胃を切離し,次いで上腹部を約6cm開腹し腹腔外で十二指腸を切離した後,胃十二指腸を自動吻合器を用いてB-1にて吻合した.平均手術時間は4時間40分,平均出血量は140mlであった.6例の悪性疾患例はともに最長13カ月の観察で再発を認めていない.深達度mの早期胃癌,内視鏡下粘膜切除術や腹腔鏡下胃局所切除術では根治性が不確実な病変は,本法の適応と考える.
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古屋 直行, 武川 建二, 前島 信也, 越知 泰英, 堀内 朗, 新倉 則和, 藤森 一也, 前山 浩信, 松林 潔, 清澤 研道, 赤松 ...
1997 年 39 巻 12 号 p.
2446-2453
発行日: 1997/12/20
公開日: 2011/05/09
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当科では胃切除後BillrothII法再建例(B-II例)のERCPにおいて,スコープ挿入時の送気制限や用手圧迫の併用,曲がりくせのないカニューレの使用やガイドワイヤーを併用したカニュレーションといった工夫を行っている.今回,最近8年間に経験したB-II例118例に対するERCPおよび関連手技164回の成績を検討した.十二指腸乳頭までスコープを挿入し得たのは118例中92例(78.0%),164回中134回(81.7%)で,目的別造影成績は乳頭部までスコープ挿入可能例に限るとERC91.6%,ERP96.3%であった.総胆管結石症例は40例で25例にESTを,2例に乳頭バルーン拡張術を施行し結石除去を行った.悪性胆道狭窄症例は16例で造影が可能であった10例にドレナージ術を施行し得た.様々な工夫によりB-II例のERCPおよび関連手技の成績は向上するが,通常のERCPと比較し偶発症の多い傾向があり,偶発症に対する配慮が重要と考えられた.
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