日本消化器内視鏡学会雑誌
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39 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 松崎 浩司, 近藤 栄作, 栗田 俊夫, 米谷 隆, 中野 茂, 北条 祐, 小山 博, 松崎 一江, 蜂矢 朗彦, 西野 執, 成木 行彦 ...
    1997 年 39 巻 3 号 p. 643-649
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれの施設では,食道静脈瘤患者に対して硬化剤を使用せず,O-ringを平均40個用いる撲滅結紮法を施行している.今回,未治療の食道静脈瘤10症例に対し撲滅結紮法を施行し,治療前後に経皮経肝門脈造影検査(PTP)を施行し血行動態の変化を検討した.撲滅結紮法前のPTPでは,左胃静脈単独または左胃静脈および後胃静脈から遠肝性に噴門静脈叢,すだれ血管を経て食道静脈瘤または傍食道静脈が造影された.撲滅結紮法後は,全例Fo,RC(-)に改善した.撲滅結紮法後のPTPでは,噴門部静脈叢は減少し,すだれ血管,食道静脈瘤および傍食道静脈瘤はほとんど造影されなかった.撲滅結紮法後は,食道静脈瘤に門脈からの血流は供血されにくくなり,血行動態の変化からも有効な治療法と考えられた.
  • 菅野 聡, 大井田 正人, 山縣 さゆり, 今泉 弘, 田辺 聡, 小泉 和三郎, 西元寺 克禮
    1997 年 39 巻 3 号 p. 650-658
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    浸潤範囲診断が困難な胃体部小彎の陥凹・平坦型早期癌21例の内視鏡所見,病理組織所見を対比し検討した.電子内視鏡所見による浸潤範囲診断を組織像と対比すると,その正診例は12例(57%),誤診例は9例(43%)であった.正診例12例のうちIIc成分を有するものは9例(67%),IIb成分を有する症例は3例(33%)であった.正診例の内視鏡所見の特徴は褪色調,胃小区模様の変化,明瞭な陥凹境界,血管模様の消失であった.その組織所見の特徴は,組織型に関わらず全層浸潤のものが多かった.一方,誤診例9例のうちIIb成分を有するものは5例(56%)で,IIc成分を有するものより多かった.その内視鏡所見をみると色調は同色で,胃小区模様は不変,血管模様の消失や陥凹境界は明瞭ではなかった.組織所見は癌組織が粘膜内の中層に浸潤しているものが多かった.これらの特徴は,胃カメラやファイバースコープでの報告とほとんど変わらなかった.
  • 山本 智文, 青柳 邦彦, 檜沢 一興, 綾部 俊一郎, 有馬 潤一, 佐藤 裕, 是久 哲郎, 成富 修, 江口 浩一, 八尾 隆史, 藤 ...
    1997 年 39 巻 3 号 p. 659-664
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    38歳,女性.内視鏡検査にて胃体部に多発する小隆起性病変を認め,生検にてカルチノイドと診断された.コンゴーレッド散布法と24時間胃内pH測定で無酸症を確認した.さらに鉄欠乏性貧血と高ガストリン血症,胃壁細胞抗体陽性を認めた.多発性胃カルチノイドの診断で胃全摘術を施行し,病理学的検討にてA型胃炎を背景とし多発するendocrine cell micronest(ECM)と深達度が粘膜下までの約90個のカルチノイド腫瘍を確認した.A型胃炎では背景粘膜の著明な萎縮による小隆起のため,すべての微小カルチノイド腫瘍を肉眼的に同定することは困難と考えられた.
  • 磯本 一, 松永 圭一郎, 大谷 博, 下川 功, 竹島 史直, 大曲 勝久, 水田 陽平, 牧山 和也, 河野 茂
    1997 年 39 巻 3 号 p. 665-670
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    X線検査で石灰化を認める胃癌は稀である.今回,われわれは,腹部単純写真(以下腹単)および腹部CTにて石灰化が顕在化した胃癌の1例を経験したので報告する.症例は88歳男性.検診のMDLで胃の隆起性病変を指摘され,入院となった.胃内視鏡検査では,胃体下部小彎に周囲に陥凹を伴い,厚い白苔に覆われた隆起性病変を認め,生検組織は印環細胞癌であった.入院時には石灰沈着はみられなかった.糖尿病も合併していたため化学療法を施行したが,12カ月後のCTで限局性に肥厚した胃壁の一部に認められた石灰化像が癌の進行とともに増強していった.入院26カ月後には腹単でも石灰化がみられ,28カ月後癌性腹膜炎で死亡した.剖検では,腫瘍割面に石灰沈着がみられ,組織学的にも膠様腺癌組織内に石灰化像が確認された.
  • 宇田 勝弘, 斎藤 康晴, 長井 正樹, 細田 友則, 井上 徹也, 中川 雅夫, 田中 豊彦, 坂本 力, 藤山 佳秀, 馬場 忠雄
    1997 年 39 巻 3 号 p. 671-676
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃動静脈奇形は稀な疾患であり,本邦では自験例を含めて18例の報告しかない.症例は49歳の男性で,吐血を主訴に入院.内視鏡的止血術により大量出血をきたしたため,緊急血管造影を行い,胃動静脈奇形と診断し,塞栓術を施行した.一時止血されたが再出血をきたし,再度塞栓術施行.再々出血をきたし緊急手術となった.病理組織学的に,粘膜下層,固有筋層,壁外脂肪織に拡張,蛇行する動静脈を認め,動静脈奇形と証明された.
  • 天野 祐二, 末次 浩, 藤代 浩史, 高下 成明, 佐藤 勝, 今岡 友紀, 鍜治 武和, 串山 義則, 石原 俊治, 福本 四郎
    1997 年 39 巻 3 号 p. 677-684
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    これまでに経験した3例の十二指腸乳頭部Gangliocytic paragangliomaを中心に本腫瘍の臨床的検討を行った.本腫瘍は極めてまれな腫瘍であるが,十二指腸乳頭部近傍に好発する独特の形態を示す腫瘍である点,粘膜下腫瘍のわりに表面に凹凸不整,結節・顆粒状を呈し,ビランおよび潰瘍をともなうことが多いなどの点から比較的容易に診断可能と思われる.また,本腫瘍は出血,膵炎および閉塞性黄疸,さらにはリンパ節転移を認める症例が存在することより,早期に適切な外科的処置をすべきと考える.
  • 館花 明彦, 大瀧 修司, 山川 達郎, 大瀧 隆子
    1997 年 39 巻 3 号 p. 685-690
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     カルチノイドは全消化管に発生し得るが,結腸での発生は比較的稀である.今回われわれは,横行結腸の同一病変内に腺腫,腺腫内腺癌およびカルチノイドが共存した極めて稀な症例を経験した. 症例は62歳,男性.症状は特にない。健康診断で便潜血反応陽性を指摘され,精査のため当院外科を受診した.大腸内視鏡検査にて,横行結腸に直径約2cm大のIIa+IIc様病変を認め,生検にて高分化型腺癌と病理診断された.横行結腸切除術を施行し摘出標本の組織像をみると,同一病変内に多彩な組織像を持ち,腺腫,腺腫内腺癌およびカルチノイドの共存と診断された.
  • 藤澤 貴史, 友藤 喜信, 黒田 信稔, 萩野 晴彦, 阪本 哲一, 坂下 正典, 前田 光雄, 西上 隆之
    1997 年 39 巻 3 号 p. 691-695
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は63歳女性で,便秘の精査目的にて行った大腸透視および大腸内視鏡検査で直腸に白色調で表面平滑な亜有茎性ポリープを認め,ポリペクトミーを施行した.組織学的検索では血管・平滑筋・脂肪組織が混在増生した粘膜下腫瘍で,大腸Angiomyolipomaと診断した.Angiomyolipomaは通常腎に多く発生する過誤腫の一種で,高率に結節性硬化症に合併することが知られているが,孤立性に大腸に発生する例は極めて稀で,国内外で検索した結果,自験例が5例目である.大腸Angiomyolipoma報告例の臨床病理学的検討を加え報告した.
  • 大川 清孝, 佐野 弘治, 大庭 宏子, 青木 哲哉, 森吉 靖子, 根引 浩子, 山田 英明, 針原 重義, 北野 厚生, 小林 絢三
    1997 年 39 巻 3 号 p. 696-699
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性で元来便秘気味であった.腹痛,下痢があり当院へ入院し,下行結腸の一過性型虚血性大腸炎と診断された.その8カ月後に同様の症状があり他院へ入院し,同様の診断がなされた.その1カ月後にも同様の症状があり,当院の内視鏡検査にて同様の診断をされた.以後,緩下剤投与にて便通を調整し2年間再発を認めていない.再々発した虚血性大腸炎の報告は本例を含めて僅か5例のみで貴重な症例と考え報告した.
  • 中瀬 栄之, 山田 幸則, 木村 新, 山口 由美子, 野田 勝久, 新井 由美, 榎本 憲博, 新井 敬一, 増田 栄治, 鈴木 都男, ...
    1997 年 39 巻 3 号 p. 700-705
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は51歳女性,呼吸困難,下痢,腹部膨満感にて入院.imipenem/cilastatin,ceftazidime等の抗生剤の投与にもかかわらず,下痢,発熱が持続し,腹部CTで腹水を認めると共に胸部X線写真上右側胸水を認めた.S状結腸鏡で直腸に黄白色半球状の偽膜が多発しており,さらに,便培養でclostridium difficile毒素陽性であったため,偽膜性大腸炎と診断した.vancomycin (VCM)の投与で速やかに諸症状は改善し,右側胸水も消失した.胸水を合併した偽膜性大腸炎は極めて稀で貴重な症例と考え報告した.
  • 村島 直哉, 荒瀬 康司, 小林 正宏, 鯉田 勲, 坪田 昭人, 鈴木 義之, 斎藤 聡, 茶山 一彰, 池田 健次, 熊田 博光
    1997 年 39 巻 3 号 p. 706-710
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤急性出血例に結紮術(以下EVL)を施行した後,治療部位からの再出血をきたした2症例に,octreotideを使用したところ,出血のコントロールが可能となった.octreotideの効果は一時的であったが,臨床的に有用であると考えられた上に,副作用がなかったため報告した.
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