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武内 力, 成宮 徳親, 丸山 達志, 宮島 浩人, 鶴田 由美, 常喜 真理, 佐藤 博光, 岩崎 仁彦, 小田切 理純, 杉本 泉, 田 ...
1997 年 39 巻 4 号 p.
771-778
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
赤外線画像で描出される胃,大腸血管の全体像を明らかにするため,成犬8頭を用い実験的検討を行った.動静脈から別色のバリウムゼラチンを注入した脈管の透徹標本を作成し,赤外線画像と標本を対比し検討した. 赤外線画像で描出される血管は粘膜表面から約2mmの深さにある200μm以上の粘膜下層静脈であり,筋層貫通部から粘膜筋板貫通部の間を表し,その画像は実際の粘膜下層静脈の走行,形状を忠実に表していた.粘膜,粘膜筋板,筋層,漿膜の静脈は描出されなかった.赤外線画像で描出される粘膜下層静脈の近傍には動脈が伴走しており,胃では赤外線画像上の血管径の約19%が,伴走する動脈径と推測された.大腸でも同様に赤外線画像の血管像は粘膜下層静脈を表しており,近傍を動脈が伴走していた.本検討において赤外線画像で描出でき得る静脈の範囲が明らかになり,また赤外線画像では粘膜下層動脈の走行位置,径の情報も得られることが確認された.
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大塚 誉子, 長廻 紘, 佐野 寧, 藤盛 孝博, 林 直諒
1997 年 39 巻 4 号 p.
779-785
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
20mm以下の大腸進行癌粘膜内増殖様式およびK-ras点突然変異率とP53の免疫組織学的検討結果から大腸癌の発育進展を考察した.対象は,外科的に切除された最大径20mm以下の進行大腸癌31例で,粘膜内増殖はpolypoid growth(PG)とnon-polypoid growth(NPG)および中間型(INT:intermediate)に分類した. 症例の平均年齢は60歳であった.部位は,上行結腸1例,横行結腸4例,下行結腸7例,S状結腸15例,直腸4例,組織学的にはいずれも高分化腺癌で,うち2例は浸潤部で一部低分化腺癌を伴っていた.深達度はmp:19例,それ以下は12例であった.20mm以下の進行癌ではras遺伝子異常陰性,P53陽性の早期癌からの移行が多いと考えられ,しかもその傾向はより小さい病巣で顕著であることが分かった.
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―リーマー法の開発と点墨剤の検討―
平尾 雅紀, 山崎 左雪, 高梨 節二, 石後岡 正弘, 内沢 政英, 高平 敏一, 草間 敬司
1997 年 39 巻 4 号 p.
786-790
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
外科的胃切除および内視鏡的粘膜切除の際に病変の浸潤範囲を同定し,切除線決定のために粘膜内に点墨することは意味のあることである.そこで,粘膜面に滲みのない明瞭な点墨法について検討した. 局注針法:局注針を使用した.点墨剤はカーボンブラック15g,ポリビニールピロリドン(PVP)2g,これに無水エタノールを加えて100mlとした.24例45カ所に行い,良好な点墨は39カ所86.7%に得られた. リーマー法:局注針法の欠点を改良するために内視鏡用リーマーを作成した.点墨剤としてカーボンブラック20g,PVP2g,それに無水エタノールを加えて100mlとした.20例33カ所に施行し,30カ所(90.9%)に滲みのない明瞭な点墨を得ることができた. 結論:点墨器具としてリーマーが,点墨剤として20W/V%カーボンブラック(無水エタノールに溶解)が優れている.
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北内 信太郎, 大畑 博, 黒田 留未, 川口 素世, 上岡 卓也, 広瀬 誠弥, 阪口 昭, 西 彰平, 西岡 新吾
1997 年 39 巻 4 号 p.
791-796
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
1988年4月から1994年9月までの6年5カ月間に当科でマイクロウエーブ止血処置を行った出血性胃潰瘍44例について,同法の効果を評価し,止血処置後の再出血のリスクファクターを検討した.マイクロウエーブ止血処置後に8例の再出血例を認めたが,最終的に42例(95%)に永久止血が得られた.マイクロウエーブ止血術は動脈性出血に対する効果が優れており,基礎疾患合併例でも再出血が少なかった.症例を基礎疾患の有無で分け,止血処置後の再出血のリスクファクターを検討した.基礎疾患のない例では,処置後早期の内視鏡所見が潰瘍内の小暗赤点・ヘマチン様斑などに変化したかどうかが重要なリスクファクターであり,また基礎疾患のある例では入院時プロトロンビン時間値が重要であると考えられた.これら再出血のリスクファクターの的確な評価が再出血の防止に重要と考えられた.
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渡辺 文利, 本田 聡, 及川 哲郎, 窪田 裕幸, 吉井 重人, 樋口 良太, 花井 洋行, 金子 栄蔵
1997 年 39 巻 4 号 p.
797-801
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は68歳の男性で30年前に胃切除の既往があり腹痛,嘔吐を主訴に来院.黄疸を認め,腹部超音波およびCT検査にて肝内胆管の拡張と輸入脚である二十指腸の著明な拡張を認め,輸入脚閉塞症とそれに伴う閉塞性黄疸と診断.内視鏡先端に透明キャップを装着し輸入脚への挿入を可能とし,腸内容物の内視鏡下吸引とカテーテルによる体外へのドレナージにて治療しえた.治療後8カ月経過するが現在も再発は認めていない.
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松田 知己, 鈴木 潤一, 野村 昭嘉, 増谷 学, 定岡 邦昌, 道鎮 明晴, 北浜 秀一, 関 英幸, 金井 哲伸, 濱本 浩英, 足立 ...
1997 年 39 巻 4 号 p.
802-807
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は39歳,男性.内視鏡検査で左側結腸型の潰瘍性大腸炎と診断.その口側は正常粘膜であったが,虫垂開口部に,渦巻き様の軽度の浮腫を認めた.SASP投与により左側結腸の所見は改善したが,虫垂病変は悪化したため,悪性腫瘍の可能性も否定できず手術を施行.手術所見は虫垂に高度のびらんを認め,潰瘍性大腸炎のSkip lesionと矛盾ない所見であった.いわゆるulcerative appendicitisと考えられたので,文献的考察を加え報告した.
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黒崎 哲也, 小林 徹也, 藤川 亨, 池内 健二, 穴沢 貞夫, 山崎 洋次, 藤崎 順子, 鈴木 博昭
1997 年 39 巻 4 号 p.
808-812
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
46歳男性.便潜血精査のための大腸内視鏡で,Rbに結節集簇型の腫瘍を認めた.超音波内視鏡(EUS)で腫瘍の大部分は粘膜内に限局していると考えられたが粘膜下層にも円形の低エコーを認めた.低エコー部分はリンパ濾胞と判断し,m癌の診断で内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理所見でも粘膜内にリンパ濾胞を伴うm癌であった.粘膜下のリンパ濾胞と癌の粘膜下浸潤は鑑別困難だが,鑑別可能な症例もあることを示した.
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保原 怜子, 高濱 和也, 渡邊 真, 徳田 敦, 野村 知抄, 中嶋 秀麿, 村居 譲, 大橋 儒郁, 神谷 雅人, 鈴木 理恵, 伴 雅 ...
1997 年 39 巻 4 号 p.
813-817
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は20歳,女性.下痢,腹痛,下血,発熱を主訴に来院.便培養で腸管出血性大腸菌(O157)が証明された.大腸内視鏡検査では大腸の出血,浮腫,潰瘍,びらんが特徴的で,これらの所見は部位,区域によりびまん性ではなく,むらがみられた.注腸X線検査では右側結腸が浮腫状でびらんやthumb printing像が認められ,抗生剤起因性出血性腸炎の所見と類似していたが,潰瘍,びらんはより激しい腸炎の所見を呈していた.
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藤井 億秀, 王 恒治, 岡田 光男, 瀬尾 充, 奥村 恂, 村山 寛
1997 年 39 巻 4 号 p.
818-824
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例40歳男性,主訴は,血便.従来より便秘傾向が強かったが,今回10日間の便秘後,突然血便が出現.大腸内視鏡検査で,S状結腸に剥離した粘膜とともに境界明瞭な不整形の潰瘍性病変を認め,生検で糞便成分と思われる異物を粘膜内に認めた.以上より宿便性潰瘍と診断.便通のコントロールと中心静脈栄養を行い,約3週後には潰瘍は瘢痕化した.本邦では,宿便性潰瘍は自験例を含め38例しか報告されていないが,内視鏡検査の普及により増加する可能性が示唆された.
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豊川 達也, 池田 宣聖, 水野 元夫, 貴志 文俊, 岡田 裕之, 友田 純, 辻 孝夫
1997 年 39 巻 4 号 p.
825-830
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は85歳,男性.粘液貯留による閉塞性黄疸と診断し,乳頭切開のみで5年間外来通院していた.今回,胆道鏡にて肝内胆管に腫瘍性病変を認め,生検にて粘液産生胆管癌と診断した.本症例は,粘液産生胆管癌が遅発成長である事を考え,胆道鏡下にレーザー治療を試み,良好な結果を得た.治療後約2年5カ月の現在まで著変なく経過しており,本治療法は,ハイリスク患者の治療法として有用と考えられた.
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井上 哲也, 小西 孝司, 江嵐 充治, 木村 寛伸, 前田 基一, 薮下 和久, 里村 吉威
1997 年 39 巻 4 号 p.
831-835
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は46歳男性.肝門部原発の悪性リンパ腫に対し,胆嚢を含めた腫瘤の摘除術を行ったが,胆管右後枝への浸潤部の剥離の際に同部を損傷した.術後,ドレーンから多量の胆汁漏を認め,改善を認めないため,術後13日目にERCにて胆管右後枝分岐皮部からの造影剤漏出を確認し,その部を越えてENBDチューブを挿入し留置した.これにより腹部ドレーンからの胆汁漏出は急速に減少し,1週間で胆汁漏出部の閉鎖を認めた.
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山雄 健次, 中澤 三郎, 芳野 純治, 山近 仁, 印牧 直人, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 三好 広尚, 岩瀬 輝彦, 滝 徳人, 中村 ...
1997 年 39 巻 4 号 p.
836-844
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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膵頭部主膵管に狭窄を有する有症状の慢性膵炎の3例に狭窄部をバルーンカテーテルにて拡張後に金属ステントを留置した.2症例は6カ月と1年2カ月の経過観察期間中に腹痛は消失および軽減した.残りの1例は5カ月後に腹痛が出現したが,バルーンカテーテルにてステントを再拡張し症状は消失した.主膵管狭窄を有する慢性膵炎の症例に対する金属ステントの留置はより長期的な臨床症状の改善に有効と考えられた.
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比佐 純孝, 横木 和弘, 伊藤 昌幸, 宍戸 英夫, 安島 裕之, 菅野 則夫, 藤井 功衛, 江尻 友三, 望月 衛, 藤井 邦彦, 小 ...
1997 年 39 巻 4 号 p.
845-852
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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極めて稀なPancreatic Polypeptide単独産生膵腫瘍(pure PP-oma)の1例を報告した.症例は56歳の女性.主訴は心窩部痛,背部痛.体外式超音波検査(以下,US)で,膵頭部に境界明瞭な低エコー腫瘤像が認められ,精査を行った.種々の画像診断で膵島細胞腫と診断し,膵頭十二指腸切除術を行ったが,術前診断に最も有用であった検査は超音波内視鏡検査(以下,EUS)であった.腫瘍は約30mm大で周囲の正常膵組織とは薄い被膜で境界され,浸潤性の増殖は認めなかった.免疫染色では, PP, synaptophysin, chromogranin A, NSEが陽性, insulin, glucagon, gastrin, somatostatin, VIP, p-53, CEAが陰性であった.最終診断はpure PP-omaであった.術後10カ月経過したが再発の徴候はなく,健在である.
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多田 秀樹, 戸田 勝典, 有坂 好史, 福本 信介, 安住 治彦, 百瀬 哲也, 本合 泰, 柏木 元実, 勝 健一
1997 年 39 巻 4 号 p.
853-858
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
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endoscopic naso-biliary drainage(以下ENBD)tubeの留置に苦慮した症例では,減黄後にESTやstent留置などの経乳頭的内視鏡処置を行う際にも難渋することが予想される.そこで,留置したENBD tubeを利用して胆道にアプローチする方法を試みた. 対象はENBD tubeの留置に苦慮した閉塞性黄疸症例で,ENBDによる減黄後に内視鏡的処置が必要と考えられた32症例である. 方法は,まず留置してあるENBD tubeを患者の鼻腔から口腔へ出す.次に,このENBD tubeをfiberscope先端の鉗子口から挿入し,scope挿入のガイドとする.以後は通常のERCP施行時とほぼ同様であるが,咽頭部から必ずレントゲンモニター下に監視し,fiberscopeの先端がENBD tubeを巻き込まないように,scopeの先進に合わせENBD tubeを引いてstretchすることが重要である.本法を32症例に試み,30例に成功した.乳頭に到達し胆道ヘアプローチできるまでの所用時間は,全例5分以内であった. 経乳頭的内視鏡処置が困難なことが予想される症例において,本法は成功率を高め,また処置時間も短縮できる実践的な方法と考えられる.
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1997 年 39 巻 4 号 p.
859-860
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
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1997 年 39 巻 4 号 p.
861-879
発行日: 1997/04/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー