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岡村 正造, 瀬川 昂生, 大橋 信治, 三竹 正弘, 浦野 文博, 下平 雅哉, 金森 信一, 竹田 力, 山本 義樹, 浅井 俊夫
1997 年 39 巻 5 号 p.
911-917
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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NPG型大腸sm癌42例(sm1:10例,sm2:21例,sm3:11例)の臨床病理学的および内視鏡所見の検討を試みた.その結果,病変部位はR14例,S17例,D5例,T3例,AC3例で,肉眼型はII型31例,Is型9例,Ip型2例,大きさ(平均±SE)はsm1:11.6±1.6mm,sm2:11.9±0.8mm,sm3:21.7±1.7mmであった.割面像ではsm2の21例中7例は癌露出部がドーム状に盛り上がっているのが特徴的であった.内視鏡的には67.5%の症例で立ち上がり部に健常粘膜を認め,白苔はsm1とsm2では30%台に認められたのに対し,sm3では66.7%に認められた.また,sm2の病変では71.4%に癌露出粘膜の表面に異常な毛細血管透見像を認め,これはsm浸潤度診断において重要な内視鏡所見と考えられた. 大腸癌のsm浸潤度の診断には,病変の大きさと以上に述べた内視鏡所見を総合して評価することが重要と考える.
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山雄 健次, 中村 雄太, 中澤 三郎, 芳野 純治, 山近 仁, 印牧 直人, 奥嶋 一武, 岩瀬 輝彦, 滝 徳人, 杉山 和久, 寺本 ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
918-925
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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膵管内乳頭腫瘍の質的診断を目的に切除23例に対し体外式超音波検査(US),腹部コンピューター断層検査(CT),超音波内視鏡検査(EUS),および膵管内超音波検査(IDUS)を行い,その診断能を比較検討した.この際,膵管内乳頭腫瘍切除28例を病理組織学的に検討し,嚢胞壁あるいは膵管壁の肥厚なし,壁在結節なし→過形成,3mm未満の壁肥厚か壁在結節あり→腺腫,3mm以上の壁肥厚か壁在結節,または嚢胞内に充満する腫瘤像あり→非浸潤癌,充実性腫瘤像,または膵管壁の断裂像あり→浸潤癌,とした判定基準を用いた.この判定基準による各検査法の質的診断能は,腫瘍・非腫瘍,悪性・良性,浸潤癌・非浸潤癌の各れの鑑別においてもUSとCTは特異度は高いが感受度が不十分であった.一方,EUSとIDUSは腫瘍・非腫瘍の鑑別診断に優れ,また良悪性と浸潤・非浸潤の鑑別診断においても比較的高い診断能を有し,本腫瘍の治療方針の決定に寄与するものと考えられた.
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佐藤 隆啓, 山崎 克, 豊田 成司, 狩野 吉康, 大村 卓味, 須賀 俊博
1997 年 39 巻 5 号 p.
926-930
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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食道静脈瘤10例,胃静脈瘤9例を対象とし,超音波内視鏡下にPower Doppler法を用い,静脈瘤の血流信号の観察を行い,カラードプラ所見と比較検討した.Power Dopplerで観察することにより,静脈瘤の血流表示の程度や血管走行の描出は向上した.カラードプラ法では同一画面で血流速度の異なる脈管の描出は困難である.しかし,Power Dopplerを用いることにより,静脈瘤の血管走行や位置関係の描出は良好となった.一方,Power Dopplerでは静脈瘤や貫通血管の血流方向の評価は不可能であった.食道・胃静脈瘤の観察に際し,カラードプラに加えPower Dopplerで観察することでより詳細な血行動態の検討が可能であった.
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川埼 真澄, 興梠 憲男, 岡田 安浩, 吉開 友則, 横溝 雄, 八尾 隆史, 飯田 三雄, 檜沢 一興, 末兼 浩史, 青柳 邦彦, 藤 ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
931-936
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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42歳女性.35歳時より胃巨大皺襞症と診断されていたが,今回著明な貧血(血中ヘモグロビン1.9g/d1)と低蛋白血症(血清総蛋白3.5g/dl)を生じ入院となった.消化管X線・内視鏡検査にて胃巨大皺襞を認め,超音波内視鏡検査,99mTc-DTPA-HSAシンチグラム,および内視鏡的粘膜切除術による組織学的評価を行い,Menetrier病と診断した.ファモチジン投与にて貧血と蛋白漏出症は改善したが,X線・内視鏡および超音波内視鏡検査上,巨大皺襞に変化はなかった.
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大塚 健, 児玉 正, 大西 恭子, 金政 秀俊, 棚橋 俊仁, 澤井 直樹, 中島 誠, 西村 眞人, 加嶋 敬, 吉村 学
1997 年 39 巻 5 号 p.
937-941
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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内視鏡的胃粘膜切除術(ER)後に心臓自律神経機能に強い変化を認め,胸痛発作を認めた症例を2例を経験したので報告する.症例1:80歳男性.狭心症の既往あり.早期胃癌に対しER施行,術後4日目早朝に狭心発作が出現した.ホルター心電図法における心臓自律神経機能の指標であるRR間隔の標準偏差値(SDNN)はER後に著しい低下を認めた.症例2:58歳男性.肥大型心筋症あり.胃腺腫に対しER施行,術後4日目朝狭心痛を自覚.SDNNはER後基礎値の67%に低下しており,経時的な血中ノルエピネフリン測定では術後4日目にピークを認めた.心臓自律神経機能の指標であるSDNNの変化が強い事から,ER後の急性潰瘍が心臓交感神経機能を亢進させ冠攣縮を誘発したものと思われた.
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森岡 健, 牧野 博
1997 年 39 巻 5 号 p.
942-948
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は25歳女性.主訴は心窩部痛.血液検査では低蛋白血症,胃内視鏡では体部中心に粘膜ひだの腫大と発赤が認められ,その上に白苔で覆われた結節性病変が多発していた.蛋白漏出性胃症を合併した内視鏡的にはdiffuse varioliform gastritis(以下DVG),病理学的にはhypertrophic lymphocytic gastritis(以下HLG)と診断した.培養法でHelicobacter pylori(以下HP)が検出されたため除菌治療を行った結果,内視鏡および組織所見は治癒し血清蛋白も正常化した.
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三上 健一郎, 小松 眞史, 小野 剛, 星野 孝男, 石井 透, 藤井 公生, 大嶋 重敏, 正宗 研
1997 年 39 巻 5 号 p.
949-953
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断されている51歳の女性,黒色便と吐血を主訴に受診.内視鏡検査で十二指腸下行脚に出血源と思われるフィブリン栓を伴う静脈瘤を認めた.Histoacry1による内視鏡的硬化療法(EIS)を2回施行して止血し,その後再出血や合併症の出現を認めなかった.十二指腸静脈瘤出血に対しHistoacry1を用いたEISは有効な治療法の一つであると考えられた.
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澤田 康史, 大西 国夫, 福永 健, 小坂 正, 江頭 明盛, 井澤 浩明, 植手 玄洋, 近野 真嗣, 横田 芳郎, 中村 好廣, 山村 ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
954-959
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は22歳の女性.腹痛,血性下痢,発熱があり近医で初発全大腸炎型重症潰瘍性大腸炎と診断.ステロイド治療を拒否され,患者自身が白血球除去療法を希望され当院転院となった.前医でのIVH栄養は続け,本治療無効時はステロイド治療に移行する了解のもと,本治療単独で治療を開始した.治療1回後より腹痛,発熱は消失し,3回後よりほぼ1日1回の泥状便となった.7回後,内視鏡的にも緩解となり退院された.本治療は単独であっても本重症患者の病状改善に有効であった.
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福嶋 龍二, 大川 清孝, 金 鎬俊, 清水 泰夫, 宮城 邦栄, 堀 哲也, 大森 国雄, 波多 信, 石黒 信吾, 北野 厚生, 鈴木 ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
960-966
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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症例は59歳,女性.9カ月間右側腹部痛と下痢の繰り返しがあり当院を受診した.腹部単純X線検査にて右半結腸に一致して石灰化像,大腸内視鏡検査では右半結腸を中心に暗青紫色の粘膜と不整形の潰瘍,腹部血管造影検査では右結腸静脈領域での還流障害を認めた.以上より静脈硬化症を主因とした虚血性腸病変と診断し,大腸亜全摘術を施行.病理組織学的にも同様の診断であった.本例は本邦報告9例目であり若干の文献的考察を加え報告した.
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今武 和弘, 板倉 浩子, 松野 万希子, 斉藤 貴秀, 渡辺 知明, 星野 尚久, 金田 伸章, 加藤 公敏, 川村 洋, 松井 輝明, ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
967-971
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は82歳の男性.健診にて便潜血反応陽性を指摘され大腸内視鏡検査を施行した.回盲部到達後,下行結腸観察中に突然縦走性に粘膜面が白色に変化し,発泡を認め,同部位に粟粒大の白色の小隆起が多数出現し,その後白色の粘膜は赤色調に変化した.第3病日の内視鏡検査で縦走性にびらんを呈し生検組織所見を含めて急性期の虚血性大腸炎と思われた.大腸内視鏡検査施行中に発症した虚血性大腸炎は本邦ではこれまで報告が少ない.今回われわれは大腸内視鏡検査施行中に白色から赤色へと急激な粘膜色調変化をきたした1症例を経験し貴重な1症例と考え報告する.
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飯野 弥, 横山 章, 宮坂 芳明, 藤井 秀樹, 関川 敬義, 松本 由朗
1997 年 39 巻 5 号 p.
972-976
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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症例は13歳,女性.大量の肛門出血を主訴に入院,大腸内視鏡にて直腸に凝血の付着した3mm大の丘状隆起を認め,9日後には5mm大の全体に発赤した隆起性病変へと変化した.内視鏡的切除術を施行し,直腸動静脈奇形と診断した.若年者の大腸動静脈奇形は稀な疾患であり,本邦では本例を含めて7例の報告をみるのみであるが,5例は直腸発生例であった.若年者の下部消化管出血の原因として直腸動静脈奇形を考慮する必要があると思われた.
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岡庭 信司, 高松 正人, 小山 恒男, 清水 高弘, 宮田 佳典, 中村 陽子, 山田 繁, 夏川 周介, 大井 悦弥, 加藤 剛, 塩澤 ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
977-983
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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症例は53歳女性,腹部USにて胆嚢隆起性病変を指摘され入院.初診時のUS・EUSでは胆嚢体部に結節状の表面構造を呈する有茎性病変を認めた.ERCPでは分葉状の表面構造を呈する欠損像を認め,圧迫操作時にその一部が遊離・離脱した.翌日のUSでは,病変の周囲に同一のエコーレベルを呈する小病変が散在しており,手術時に胆嚢壁より遊離した腫瘍片を数個認めた.病理組織学的には軽度の異型を伴う管状腺腫であった.
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豊永 高史, 広岡 大司, 大地 宏昭, 片岡 伸一, 北村 儀雄, 土細工 利夫, 星野 誠一郎, 山内 靖, 太田 善夫, 大川 清孝, ...
1997 年 39 巻 5 号 p.
984-989
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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生検による粘膜下層の繊維化のために内視鏡的粘膜切除術(EMR)施行困難となった表面型大腸腫瘍5病変を検討した.5病変の形態分類はIIa,IIa+IIc,1aterallyspreadingtumor(LST)で,発見当日数カ所の生検を施行し,待機的EMRを試みたところ,初回には認められなかったfoldの集中や陥凹の形態変化を来していた.いずれもnon-1iftingsign陽性で,1例は外科的切除を,4例はEMRを施行した.EMRを施行した4例とも筋層切除となり,うち1例に穿孔を認めた.組織学的に5例とも粘膜内病変であったが(粘膜内癌1例,腺腫4例)粘膜下層に強い線維化を来していた.生検後の治癒機転が粘膜下層に及び線維化を来たしたものと考えられた.粘膜内病変と考えられる表面型大腸腫瘍には安易な生検は避け,当初からEMRを施行するべきである.
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佐藤 秀樹, 児玉 正, 上平 博司, 今村 陽一, 加藤 啓明, 丸山 恭平, 光藤 章二, 加嶋 敬
1997 年 39 巻 5 号 p.
990-993
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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膵癌の診断に関しては,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)時に生検,ブラッシング細胞診の併用が行われてきている.われわれは極細径ファイバーによる膵管鏡検査にひき続き膵管鏡抜去後,外套シース(膵管鏡カニューレ)に細胞診ブラシを挿入し,より確実に病変部位に一致したブラッシングが行える試作ブラシを製作し,その有用性について検討した.膵癌症例15例での陽性率は,生検43%(3/7),通常ブラシ60%(6/10),試作ブラシは80%(4/5)と,試作ブラシで陽性率が高かった.試作ブラシでは膵管鏡とX線透視の両方で病変を確認した後,外套シースを用いることによってより確実なブラッシングが可能となり,膵癌の診断において有用と考えられた.
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1997 年 39 巻 5 号 p.
994-998
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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1997 年 39 巻 5 号 p.
999-1003
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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嶋尾 仁, 比企 能樹, 増田 勝紀, 鈴木 博昭
1997 年 39 巻 5 号 p.
1004-1007
発行日: 1997/05/20
公開日: 2011/05/09
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