日本消化器内視鏡学会雑誌
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39 巻, 7 号
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  • 舛本 俊一, 二宮 常之, 山内 雄介, 阿部 雅則, 有馬 祥子, 大蔵 いずみ, 道堯 浩二郎, 堀池 典生, 恩地 森一
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1183-1188
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     抗ミトコンドリア抗体陰性,抗核抗体陽性の原発性胆汁性肝硬変(PBC)に対して自己免疫性胆管炎(AIC)の疾患概念が提唱されているが,その腹腔鏡所見に関してまとめた報告はない.今回,AIC7例とそれ以外のPBC(通常PBC)40例の腹腔鏡所見を比較検討した.AICではPBCに特徴的な肝表面所見である,なだらかな起状性変化,赤色パッチ,豹紋状所見(淡い輪郭の白色紋理)のいずれか1つを認めた.赤色紋理を7例中4例(57%)に認め,その出現頻度は通常PBC40例中6例(15%)と比較して有意(p<0.05)に高かった.赤色紋理を認めた4例の肝組織で明かな肝炎像を認め,3例で架橋性壊死を伴った.血中胆道系酵素値に差異は認めなかったが,トランスアミナーゼ値は通常PBCと比較してAICで有意(p<0.05)に上昇した.以上より,AICは形態的にはPBCの一亜型であるが,肝炎の病像を伴っていることが腹腔鏡所見から考えられた.
  • 竹内 雅春, 中井 謙之, 車 清悟, 安井 智明, 中村 清昭, 黒田 暢一, 植木 孝浩, 北村 謙介, 岡本 英三, 朱 明義, 桑原 ...
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1189-1195
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)での高率な静脈瘤の早期再発の要因は,結紮後の正常食道粘膜の残存と遺残細静脈にあり,われわれは早期再発の予防を目的として地固め法に準じた硬化療法を併用するCombined EVL and EIS therapy(Combined療法)を施行してきた.Combined療法40例中全周性粘膜脱落(UL(+))が得られた16例(40%)は3年間無再発であったが,食道狭窄が11例(68.9%)と高率に認められた.判定時の内視鏡所見でF0RC(-)UL(-)症例では3年累積再発率は,55.0%であり,F1RC(-)症例では92.8%とEVL単独治療例と同様の高い再発率であった.再発はFIRC(-)症例で1年以内,F0RC(-)UL(-)症例で2年前後に生じる傾向が見られる.以上の結果からCombined療法では,初回治療目標は全周性粘膜脱落を含めたF0RC(-)とし,粘膜や静脈瘤遺残例に対しては,再発率が高いのでRCの出現前,すなわち増悪傾向が見られた時点で予防的追加治療を施行すべきである.
  • 松崎 浩司, 近藤 栄作, 栗田 俊夫, 米谷 隆, 中野 茂, 小山 博, 松崎 一江, 蜂矢 朗彦, 西野 執, 成木 行彦, 大塚 幸 ...
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1196-1202
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれの施設では,食道静脈瘤に対し硬化剤を使用せず,O-ringを平均40個用いる撲滅結紮法を施行している.今回,未治療の食道静脈瘤15症例に対し撲滅結紮法を施行し,内視鏡像でのF因子,RC因子,PTPでのLGV,PGV,噴門静脈叢,すだれ血管,esophageal varices or paraesophageal vein,EUSでのesophageal varices,paraesophageal veinの治療前後の変化の程度を比較し,撲滅結紮療法による治療がどの程度影響を及ぼしているかを検討した.内視鏡像でのF因子(p<0.01),RC因子(p<0.01),およびPTPでのLGV(p<0.01),噴門静脈叢(p<0.01),すだれ血管(p<0.01),食道静脈瘤または傍食道静脈(p<0.01),およびEUSでの食道静脈瘤(p<0.01)は統計学的に有意な影響を受けていた.PTPでのPGVおよびEUSでの傍食道静脈は統計学的に有意な影響を受けていなかった.撲滅結紮法は,食道静脈瘤から供血路である噴門静脈叢,すだれ血管,左胃静脈までの血行に変化を及ぼしていた.
  • 大井田 正人, 菅野 聰, 山縣 さゆり, 西元寺 克禮, 羽石 秀昭, 加藤 知孝, 三宅 洋一
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1203-1209
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     光切断法に基づいた電子内視鏡による立体三次元計測システムを開発した.陥凹モデルの測定誤差率の平均は,正面視では大きさと深さ共に2%以下,斜め方向でも同様に4%以下であった.ボールを用いた隆起モデルの高さの誤差率は,正面視と斜め方向ともに5%以下であったが,レーザー光が十分に照射できない高さの測定では約20%と高率であった.本システムの臨床応用は十分可能であるが,精度と操作性の更なる向上のためには,計測専用の内視鏡機器の開発が望まれる.
  • 原田 公, 中澤 三郎, 芳野 純治, 乾 和郎, 山近 仁, 印牧 直人, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 渡辺 真也, 林 繁和
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1210-1218
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     超音波三次元走査プローブシステムによる体積計測を検討した.プローブの超音波周波数は12MHz及び20MHzで,メカニカルスパイラル走査方式である.本機種はリニア走査範囲(8mm,20mm,40mm)で40枚のラジアル画像を得ることができる.既知の体積のヒトの脾臓18切片を対象とし,水浸下で本システムにより体積を計測した.その結果,対象を三次元的に評価し,体積を測定することが可能となった.測定値は実際より平均115.4%(108.8~121.2%)の大きさに計測された.形態が著明に不整形のものに大きな誤差が認められた.体積の小さいものはスライス巾を小さくすることで,より正確に測定することが可能であった.周波数20MHzによる測定は12MHzによる測定に比べて誤差が少なかった.体積測定の精度をさらに改善するためには,撮像時間の短縮とスライス回数を増やす必要性が示唆された.
  • 榊原 年宏, 小田切 春洋, 内海 邦輔, 田中 昇, 坂本 隆, 藤巻 雅夫, 田中 三千雄
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1219-1224
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡像ならびに組織像の特徴が異なるブルンネル腺由来の十二指腸腫瘍を2例報告した.症例1は1cm大の山田III 型隆起で,周辺粘膜と同一の色調をした粘膜下腫瘍様の内視鏡的形態を呈していた.鉗子で押すと比較的柔らかい腫瘤であった.組織像には萎縮した十二指腸粘膜に被われたブルンネル腺の過形成を認め,各腺房間は互いに密着していた.症例2はやや褪色調の1.5cm大の隆起で,山田III 型の粘膜下腫瘍様の内視鏡的形態を呈していた.また隆起の一部は陥凹し,その中央にピンホール状の孔を認めた.鉗子で押すと大変に硬い腫瘍であった.組織像にはブルンネル腺の結節性増生を認め,腺房間には線維性結合織が入り込んでいた.またブルンネル腺上皮による不完全な導管形成がみられ,この導管が内視鏡で観察された陥凹部へ開口していることが示唆された.以上のことより,本例は過誤腫と考えられた.内視鏡検査時に腫瘍部の硬さの程度と導管の開口部様所見の有無を把握することによって,ブルンネル腺の過形成と過誤腫の両者は鑑別できる可能性が示唆された.
  • 山本 智文, 桑野 恭行, 青柳 邦彦, 江口 浩一, 八尾 隆史, 田丸 正明
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1225-1229
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     59歳,女性.1990年にバセドウ病を発症し,1995年4月に放射線ヨード治療を受けた際に,初めて鉄欠乏性貧血を指摘された.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部の点状発赤を認めたため,精査加療目的にて1995年8月当科紹介入院となった.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に放射状に縦走する点状発赤を認め,同部位からの生検にてGAVEと診断された.計3回のヒートプローブ療法で点状発赤は減少し,貧血も改善した.
  • 西崎 泰弘, 渡辺 勲史, 中野 敦史, 稙田 充, 岡崎 有博, 長田 成彦, 川添 一哉, 高清水 眞二, 細井 克美, 内山 順造, ...
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1230-1238
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     53歳男性,吐血にて来院,緊急内視鏡上胃角小彎部にA1期の胃潰瘍と,体上部から幽門部にDiffuse antral vascular ectasia (DAVE)が観察された.A2-H1期にDAVEの数と部位の増大が,またS1,S2期では縮小が認められた.組織化学的にDAVEに一致して好銀細胞とmyeloperoxidase陽性細胞の増加がみられ,病態形成にECL細胞あるいは白血球系細胞由来の脈管作動性物質の関与が示唆された.
  • 杉本 健, 岩崎 央彦, 樋口 良太, 吉井 重人, 窪田 裕幸, 本田 聡, 渡辺 文利, 花井 洋行, 金子 栄藏
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1239-1243
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は70歳男性.タール便を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査にて体下部から体上部にかけて広範囲出血性びらんが存在し,胃体上部小彎にはInucosal bridgeを認めた.なお1年前の検診による胃内視鏡検査で同部位に病変は認めていない.本邦においてAGMLに合併したmucosal bridgeの報告例はなく,きわめて稀思われたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 海野 潤, 吉村 ともえ, 藤井 絵理子, 清水 健吾, 横山 喜恵, 荒井 咲子, 奥山 尚, 林田 憲正, 清水 利夫, 田所 昌夫
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1244-1248
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は77歳女性.以前から原因不明の上部消化管出血を反復し,今回も吐下血にて入院となった.下血が続くため上部消化管内視鏡検査を繰り返し行ったところ,十二指腸水平脚の巨大憩室内の露出血管から出血していることが確認された.エタノール局注にて―時止血されたが再出血したため,開腹し同血管を縫縮し止血した.本邦ではこれまでに44例の十二指腸憩室出血例が報告されており,なかには自験例同様,長期間出血を反復しながら診断が困難であった女性症例が散見される.これらは十二指腸遠位部に憩室を有していることが多かったが,水平脚部の憩室はパンエンドスコピーでも診断可能であった.
  • 銭谷 明, 三梨 桂子, 小田嶋 傑, 高橋 廣巳, 大久保 俊治, 正宗 研
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1249-1253
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は79歳,男性.14カ月前に両側総腸骨動脈瘤に対しY字型人工血管置換術を施行.平成8年5月5日から下血,吐血が出現し,ショック状態となり入院.内視鏡にて十二指腸水平部に周囲が隆起した潰瘍を認め,内部に縫合糸が観察されたため,大動脈十二指腸瘻と診断した.その際,病変部口側にクリッピングを施行した.その後施行した腹部CT,大動脈造影で,人工血管中枢側吻門部腹側にクリップを認め,人工血管との瘻孔部位を同定し,手術を施行した.
  • 磯本 一, 松永 圭一郎, 下川 功, 竹島 史直, 大曲 勝久, 水田 陽平, 吉田 彰, 河野 茂
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1254-1259
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は73歳,男性.肺癌肉腫(腺癌成分と線維肉腫成分から構成)に対し右上葉切除術を施行したが,9カ月後に下血を認めた.小腸造影で空腸に淡いバリウム斑を伴った隆起性病変を認めたため,開腹術が施行された.術中小腸内視鏡にて腫瘤型の腫瘍からの出血を確認し,空腸部分切除術を行った.空腸腫瘍組織は肺癌肉腫の腺癌成分と類似していた.術後66日目に脳出血で死亡した. 小腸転移をきたした肺癌肉腫は文献上5例のみであり,貴重な症例と考え報告した.
  • 外江 由希子, 東 克彦, 山根 広志, 岡田 和久, 中村 嘉典, 雑賀 明宏, 谷本 聡, 辻内 和司, 高辻 幹雄, 岡 久渡, 伊藤 ...
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1260-1264
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例,61歳,男性.平成5年11月海外渡航,2週間後下痢粘血便,発熱が出現し,12月17日入院した.血液では炎症反応強陽性,大腸内視鏡検査で直腸,S状結腸に平皿状の厚い白苔を伴う隆起性病変即ちアメーバ性肉芽腫(Ameborna)を認めた.採取した組織より栄養型アメーバを検出し,赤痢アメーバ症と確診した.メトロニダゾールの投与により潰瘍性病変は治癒し,ジロキサニドフロエイトの投与によりシストは陰性化した.
  • 東 克己, 中川 隆弘, 中村 泰之, 皿井 伸明, 辻 將公, 西川 浩史, 波田 重英, 堀井 充, 大野 辰治, 杉山 健生, 瀬古 ...
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1265-1269
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     早期大腸癌との鑑別が困難であった,大腸MALTリンパ腫の症例を報告する.72歳男性.S状結腸に僅かに出血するやや境界が不明瞭で直径10mm中心やや陥凹を示す扁平隆起性病変を認めIIa+IIc'と診断,粘膜切除術を施行した.病理組織学的,免疫組織学的にsm深層まで浸潤した早期大腸MALTリンパ腫(B細胞性)と診断した.外科的追加切除を行い,S状結腸他部位に同様のsm深層まで浸潤した病変を認め,n0,stage Iであった.
  • 寺本 佐世子, 山雄 健次, 中澤 三郎, 芳野 純治, 乾 和郎, 山近 仁, 印牧 直人, 若林 貴夫, 小林 隆, 杉山 和久, 西尾 ...
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1270-1279
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管粘膜下腫瘍の組織診断法には有効な手段が少なく,確実な組織採取法の確立が望まれている.今回,コンベックス型超音波内視鏡下の穿刺吸引細胞診の粘膜下腫瘍に対する有用性を検討した.対象は上部消化管粘膜下腫瘍14例(切除7例,非切除7例)である.本検査の検体採取率は86%で,穿刺システムの改良(専用アダプターの採用)により採取率は67%から88%に向上した.また良好な検体の採取された12例における本検査の感受度83%,特異度100%,陽性的中度100%,陰性的中度83%で,正診率は91%であった.本検査法は手技が容易で侵襲度も低く,粘膜下腫瘍の質的診断,特に筋原性腫瘍の良悪性の鑑別に有効であった.粘膜下腫瘍の診断および治療方針の決定に,今後積極的に組み込まれるべき検査法と思われた.
  • 1997 年 39 巻 7 号 p. 1280-1288
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 39 巻 7 号 p. 1289-1295
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 幕内 博康, 竹腰 隆男
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1296-1298
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 竹腰 隆男, 多田 正弘, 芦田 潔
    1997 年 39 巻 7 号 p. 1299-1303
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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