日本消化器内視鏡学会雑誌
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39 巻, 9 号
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  • 高崎 元宏
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1545-1556
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1991年から1992年までに,ブリリアントブルー法(BB法)による色素内視鏡検査を施行した連続728症例(男性342例,女性386例)を対象として胃粘膜状態の診断所見について検討を行なった.まずBB法による色素内視鏡検査を施行し,腸上皮化生をI-0,I-1,I-2,I-3,粘膜萎縮をA-0,A-1,A-2,A-3のそれぞれ4段階に分類し,1とAの和であるIA値(IA)を求めた.さらに,木村・竹本の分類に従って腺境界をC-1,C-2,C-3,O-1,O-2,O-3の6段階で分類した.同時に,血清ペプシノゲン(PG)IおよびPGIIを測定し,血清PGI/PGII比を算出した.IAはPGI/II比および腺境界と高い相関を示し,PGI/II比はIAが大きくなるほど低値を示した.PGI/II比は,IA=0群では,年代の上昇にかかわらずほぼ一定値を示し,IA≧1群では,年代の上昇とともに低値を示した.また各年代におけるPGI/II比は,IA=0群に比してIA≧1群が有意に低値を示した.以上の結果,BB法色素内視鏡検査によって得られるIAを用いた胃粘膜の評価法は,萎縮の程度をよく反映し,さらにPGI/II比の測定に基づく “serologic biopsy” の成績とよく一致することが明らかとなった.本法は,スクリーニングとして施行可能であり,低侵襲でかつ有意義な胃粘膜の評価法となりうるものと思われた.
  • 有馬 秀明, 有馬 美和子, 神津 照雄, 菱川 悦男, 清水 英一郎, 中島 光一, 岡崎 靖史, 小出 義雄, 磯野 可一
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1557-1565
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道粘膜ヨード不染帯を拡大観察し,病理組織所見と比較検討した.食道癌切除標本22例中,3cm以下の不染帯55病変をVideo Macro Scopeで拡大観察し,3つのTypeに分類した.TypeAは,わずかに黒変する染色不良部で,白点状の乳頭パターンが明瞭なもの,TypeBは,乳頭パターンは癒合するが輪郭は識別できるもの,TypeCは,無構造または凹凸不整で全く染まらないものである.病理組織所見は,TypeAは11/12病変,TypeBは13/21病変で異型がなく,TypeCは19/22病変が扁平上皮癌であった.拡大内視鏡はGIF200Zを用いて観察したのち生検した結果,TypeAは45/54病変,TypeBは16/25病変で異型がなく,TypeCは21/35病変が扁平上皮癌であった.拡大観察にてヨード不染帯を乳頭パターンに着目して分類することは良悪性の診断に有効であると考えられた.また,スクリーニング検査と拡大観察を同時に行うために,チューリップ・フードを自作した.
  • 中島 卓利, 安武 晃一, 西崎 朗, 長谷川 博司, 広畑 成也, 堀田 和亜, 佐野 亙
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1566-1572
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    直径10mm以上と定義した結節集簇様大腸病変43病変を,20mm以上の23例,10~20mmの20例にわけ,同様の形態を示す10mm未満の13病変とあわせ,内視鏡所見と病理組織所見を検討した結果,腫瘍径の増大とともに,内視鏡所見上結節均一,平盤状,正色調~褪色調のものから,結節不均一,非平盤状,発赤調のものが増加し(p<0.05),病理組織的には,腺管腺腫から絨毛成分を増し,癌合併例が増加した(p<0.05).以上より,大腸結節集簇様病変は比較的初期の段階で結節の均一な正色調の腫瘍形態をとり,暫時側方方向を中心に増大し,最終的には結節不均一,非平盤状となり,発赤調を伴ってくるものと考えられる.一方,組織学的には腺管腺腫から徐々に絨毛成分を増しつつその異型度が進行し,癌の発生をみるが,比較的長期間粘膜内にとどまりながら水平方向に発育し,その後垂直方向への浸潤が始まり進行癌にいたる発育過程が推測された.
  • 五石 宏和, 田中 信治, 春間 賢, 小池 則道, 木村 敏久, 二神 安弘, 岡原 史朗, 鎌田 智有, 岡本 英一, 隅井 雅晴, 吉 ...
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1573-1581
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡治療適応外の早期胃癌内視鏡治療症例について,外科的治療症例との比較を含め,局所および生命予後を検討した.対象は,絶対適応(径20mm以下の非潰瘍性分化型m癌)ではない早期胃癌内視鏡治療群69症例70病変と,早期胃癌外科的治i療群68症例75病変である.内視鏡治療群の局所根治率は48.9%(23/47)であった.また,生命予後では内視鏡治療群,外科的治i療群の5生率はそれぞれ37.8%,78.1%で,内視鏡治療群は有意に予後不良であった.胃癌死(術死を含む)のみを死亡例とした場合,内視鏡治療群,外科的治療群の5生率はそれぞれ79.9%,98.5%で有意差を認めなかった.また,内視鏡治療群では,深達度smはmに比べ有意に生命予後不良であったが,各組織型,最大径別では差を認めなかった.以上より,内視鏡治療は高齢や有合併症の内視鏡治療適応外早期胃癌症例(特にm癌症例)に対しても有用であると考えられた.
  • 小池 則道, 田中 信治, 春間 賢, 五石 宏和, 平賀 裕子, 花ノ木 睦巳, 三原 充弘, 後藤 豊子, 北台 靖彦, 吉原 正治, ...
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1582-1590
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    外科的に切除された未分化型早期胃癌118例118病変(m癌70病変,sm癌48病変)を対象に,リンパ節転移を中心に臨床病理学的検討を行った.118病変中6病変(5%)にリンパ節転移を認め,その内訳はm癌1病変,sm癌5病変であった.m癌のリンパ節転移陽性例は70病変中1病変(1.4%)のみであり,径35mm,Ul(+)の病変であった.sm癌のリンパ節転移陽性例はsm21病変,sm34病変でいずれもUl(+)の病変であった.以上,Ul(-)の未分化型胃m癌はリンパ節転移を認めず,一括切除可能な大きさなどの条件を付ければ内視鏡的切除で根治できる可能性が示唆された.
  • 福士 幸彦, 本郷 進一郎, 大村 圭司, 福地 敏彦, 有馬 健, 松本 和則, 佐藤 英章, 森 吉臣, Kazuo KAMII
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1591-1596
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例63歳男性,水様性下痢および下腹部痛を主訴に来院した.入院時,両側頸部に軽度のリンパ節腫脹を,下腹部に圧痛を認めた.消化管造影および内視鏡検査で,胃では粘膜皺襞が肥厚し,また腸管のほぼ全域で,山田1~II型の小隆起性病変が多発していた.胃,大腸からの生検でB細胞型非ホジキン悪性リンパ腫を認め, MLPを呈した悪性リンパ腫と診断した.化学療法を行い,消化管の隆起性病変と頸部リンパ節の腫脹は著明に縮小した.
  • 田中 光司, 西脇 寛, 藤野 一平, 池田 哲也, 三宅 哲也, 片岡 吉貴, 竹代 章, 松本 好市
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1597-1601
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は44歳女性.40歳頃より食思不振,腹部膨満などの消化器症状があったが,1996年4月7日に腹痛,嘔吐,腹部膨満が出現したため来院した.腹部X線検査では大腸イレウス像を呈し,注腸透視にて横行結腸部でbird's beak signを認めたため横行結腸軸捻転と診断した.大腸内視鏡検査にて横行結腸の軸捻転を整復した.翌日再び軸捻転を起こしたため再度内視鏡的整復を行い,大腸前処置後に待期的に横行結腸部分切除術を行った.横行結腸軸捻転症に対し本邦では4例に大腸内視鏡検査が施行されているが,整復成功例は本例が本邦初であり,貴重な症例と思われ報告した.
  • 二神 安弘, 田中 信治, 春間 賢, 畠 二郎, 五石 宏和, 鎌田 智有, 津賀 勝利, 谷 洋, 吹野 陽一, 岡本 英一, 花ノ木 ...
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1602-1607
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.1994年8月から下痢,脱毛,低蛋白血症などが出現し,内視鏡・X線検査により胃から大腸に多発性のポリープを認めた.回盲部ポリープの生検で腸上皮の過形成と間質の浮腫及びリンパ球,好酸球の浸潤を認めCronkhiteCanada症候群と診断した.超音波検査にて横行結腸に腸重積を認め,圧負荷により一時的に整復したが再発を認めた.ステロイドパルス療法を施行したところ症状,ポリープはほぼ消失し,腸重積も改善した.
  • 石黒 義浩, 後藤 秀実, 廣岡 芳樹, 伊藤 彰浩, 瀧 智行, 早川 真也, 渡辺 吉博, 早川 哲夫, 内藤 靖夫, 清水 豊, 林 ...
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1608-1613
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.腹痛と黄疸を主訴に来院した.閉塞性黄疸と診断し,経皮経肝胆道ドレナージ術を施行した.経皮経肝胆道鏡検査にて胆管内に隆起性病変を認め,管腔内超音波検査(IDUS)では胆管内進展を伴う原発性胆嚢管癌と診断した.病理組織学的所見では総胆管内腔に突出する胆嚢管原発の腺癌であり,総胆管壁への浸潤はなく,IDUS所見と一致した. 以上,胆嚢管癌の診断にIDUSが有用であった1例を報告する.
  • 柳川 伸幸, 真口 宏介, 長川 達哉, 宮川 宏之, 藤永 明, 須賀 俊博
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1614-1621
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性.前医にてMirizzi症候群に対し,内視鏡的胆管stentingが施行されたが,閉塞を繰り返すため精査加療目的に当科入院となった.経皮経肝的胆管ドレナージを実施し,三管合流部に位置した3cm大の結石を経皮経肝胆管鏡(PTCS)直視下に電気水圧式破砕法にて破石した.PTCSによる観察で総胆管と胆嚢管にBiliobiliary fistulaを認めた.また,その近傍に小ポリープを認め,これを内視鏡的に切除した.組織学的診断は炎症性ポリープであった.
  • 蘆田 潔, 東郷 杏一, 深井 真澄, 加納 学
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1622-1629
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は68歳,男性で,主訴は心窩部痛であった.内視鏡的には主乳頭口の著明開大と粘稠な粘液の排出,ERPでは主膵管および下頭枝の著明拡張がみられ,粘液産生膵腫瘍と診断した.3D-CTPでは鮮明な膵管割面像ならびに立体構築像が得られたが,組織学的に膵管上皮を置換するように進展する腫瘍の壁内進展は描出できなかった.3D-CTPはその診断能に限界はあるが,周囲臓器を含め立体的構築ができる点は優れている.
  • 平井 雅道, 登谷 大修, 橘 良哉, 福岡 賢一, 田中 延善, 三井 毅, 浅田 康行, 飯田 善郎, 三浦 将司, 藤沢 正清
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1630-1633
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori (HP) 陽性の胃十二指腸潰瘍患者117名にプロトンポンプ阻害剤 (オメプラゾールまたはランソプラゾール) ,抗生物質2剤 (クラリスロマイシン,メトロニダゾールまたはアモキシシリン) ,エカベトナトリウム (またはパラプレジンク) にて除菌療法を行い,HP感染治癒後,新たに有症状の逆流性食道炎の発生を3症例に認めた (発生率2.6%) .2症例は十二指腸潰瘍で1症例は胃潰瘍であった.3症例とも除菌療法前後はH2受容体阻害剤を投与されていた.このように酸分泌を抑制しているにもかかわらずHP除菌後に逆流性食道炎の発生をみることがあり,注意が必要と考えられた.
  • 岩瀬 豪, 時田 和彦, 石川 博己, 光藤 章二, 児玉 正, 加嶋 敬, 辰己 嘉英, 加藤 正人, 辻 俊三, 赤坂 裕三
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1634-1638
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,従来診断困難であった小腸疾患の簡便な検査方法を考案した.症例は24歳の男性.腹痛のため当科を受診し,イレウスと診断され入院となった.イレウス管からの二度の造影では下部小腸は造影できず,注腸検査では大腸に病変は認めなかった.そこで大腸内視鏡検査時に,内視鏡先端外部に食道静脈瘤硬化療法用カフを装着し,バウヒン弁口側にて拡張することで造影剤の結腸への逆流を防ぎ,逆行性小腸造影を行った.同法により下部回腸の狭窄部位を明らかにし得たので小腸切除術を施行し,組織学的にCrohn病と診断した. 本法は小腸造影を大腸内視鏡検査と同時に施行でき,簡便かつ有益な方法と考えられた.
  • 内田 尚仁, 江崎 徹, 平林 修子, 三並 敦, 福間 博基, 黒河内 和貴, 松岡 裕士, 松岡 美穂, 谷内田 美景, 児島 一博, ...
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1639-1643
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ERCPにおいて,従来の造影カニューレで胆管造影が得られなかった症例に対して,胆管造影用に開発したサイドホール型メタルチップカニューレを使用し,その有用性について検討した.本カニューレはオリンパス社製のPR-4Qの先端に直径2mmの球形のメタルチップがはめ込まれている.この球形チップにおける造影剤流出口は先端ではなく,先端との角度が60.の位置に作成した径0.6mmの側孔となっている.従来型のカニューレで胆管造影が得られなかった10例に本カニューレでERCPを施行し,8例に胆管造影が得られた.ERCP.での胆管造影の成功率は,従来のカニューレでは93.0%にとどまっていたが,本カニューレの使用により98.6%に向上した.なお,本カニューレの使用による合併症はみとめられず,安全で有用なカニューレと考えられた.
  • 中澤 三郎, 浅香 正博, 小越 和栄, 神津 照雄, 遠藤 光夫, 藤田 力也, 比企 能樹, 乾 和郎, 奥田 茂, 伊東 進, 田中 ...
    1997 年 39 巻 9 号 p. 1644-1649
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 39 巻 9 号 p. 1650-1654
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 39 巻 9 号 p. 1655-1669
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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