日本消化器内視鏡学会雑誌
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40 巻, 2 号
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  • 坂口 文秋
    1998 年 40 巻 2 号 p. 139-149
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    バレット食道は癌合併頻度が高く,臨床的には厳重な経過観察を要する疾患であるが,食道粘膜の円柱上皮化が惹起されるまでの期間,その発生部位,さらにバレット食道の生物学的特性などについては未だ不明である.そこで前2者については,ラットを用いて術後逆流性食道炎モデルを作成し,経時的に食道の円柱上皮化を観察した.その結果,実験モデルでは術後4カ月目から点状に,吻合部とは離れて発生していた.後者については,臨床例の材料から細胞核DNA ploidy patternを分析した.結果は,正常粘膜や胃潰瘍の再生上皮には見られないAneuploidyやMosaic patternがバレット食道には認められたが,癌に見られるような頻度ではなく,中間の頻度を示した.以上より,バレット食道は,細胞核DNA量で多倍体化や異数倍体が目立ち,厳重な経過観察が必要であり,その前段階としての逆流性食道炎症例ではバレット食道発生を念頭においた観察が重要である.
  • ―グルカゴンの血糖値とケトン体への影響―
    増永 高晴, 篠崎 公秀, 高山 嘉宏, 竹田 亮祐
    1998 年 40 巻 2 号 p. 150-159
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡検査前処置剤として使用されるグルカゴンの糖尿病患者における安全性を検討する目的で,糖尿病患者33例を対象にグルカゴン投与の血糖値と血中総ケトン体に及ぼす影響および胃蠕動抑制効果について検討した.グルカゴン1mg筋注後血糖値は60から120分で最高血糖値(頂値)に達した.頂値,血糖上昇度は食事療法群(6例),経口血糖降下剤群(19例),インスリン群(8例)の順で高い傾向を示した,頂値の最大は340mg/d1,上昇度の最大は138mg/dlであった.前値150mg/dl以上の症例における血糖上昇率は134%~178%であった.血中総ケトン体は経口血糖降下剤群とインスリン群で低下傾向を示した.グルカゴン1mg筋注10分後の蠕動消失率は約7割であった.以上より,糖尿病患者においても"fair"controlの範囲内であれば,グルカゴン注射によって,高血糖性昏睡等の急性合併症をおこす可能性は少なく,グルカゴンは前処置剤として安全に使用できると思われた.
  • ―大腸粘膜血管病変の検討―
    本山 展隆, 植木 淳一, 関 慶一, 中村 厚夫, 和栗 暢生, 橋立 英樹, 高木 健太郎, 畠山 重秋
    1998 年 40 巻 2 号 p. 160-168
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変症例49例の大腸血管像を対照群50例と比較検討した.肝硬変症例における特徴的な大腸内視鏡所見として,tree-like dilated vessels(Tree),coillike fine vessels(Coil),vascular ectasia-1ike lesions(VE),rectal varices(RV)を認め,これらの出現頻度はそれぞれ,87.8%,34.E%,44,9%,20.4%であり,対照群に比して有意に高かった.VEは,食道静脈瘤の有無および形態,門脈圧亢進症性胃症と有意な関連性を認めた.これらの結果に基づき,Treeを有し,かつCoil,VE,RVのいずれかを有するものを門脈圧亢進症性腸症と定義し,71例の慢性肝疾患症例を対象としてprospectiveに臨床的な検討を行った.71例中35例にこの腸症を認め,食道静脈瘤の有無および形態,門脈圧亢進症性胃症と有意な相関を認めた.われわれの定義したこの腸症は臨床的な門脈圧亢進の程度と相関し,この腸症を門脈圧亢進症性腸症と呼ぶことの妥当性が示された.
  • 天木 秀一, 小峰 文彦, 森山 光彦, 田中 直英, 椿 浩司, 大久保 仁, 石塚 英夫, 荒川 泰行
    1998 年 40 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体ならびにHCV-RNAが陽性の原発性胆汁性肝硬変症(PBC)4例の腹腔鏡所見および臨床的特徴を通常のPBC35例と比較し検討した.4例は全例女性で,平均年齢は62歳であり,HCV陰性例の平均54.6歳と比較し高齢であった.PBCに特徴的な腹腔鏡所見とされる粗大な起伏性変化はHCV陰性例で29%に観察されたが,陽性例では認められず,4例中3例の肝表面はほぼ平滑で,他の1例には結節の形成を認めた.また赤色パッチはHCV陰性例の51%に認められるのに対し,陽性例では観察されなかった.一方赤色紋理の出現頻度はHCV陰性例の14%と比較し,陽性例では4例中2例,50%と高率であった.インターフェロンを投与した1例で,組織学的には胆管障害が増悪した可能性が考えられた.またウルソデオキシコール酸を投与した結節肝症例では肝機能の改善を認めたものの肝細胞癌の併発を認めた.
  • 山下 由美子, 窪田 伸三, 真砂 美佐, 藤田 幹夫, 魚川 裕加, 福井 広一, 三浦 正樹, 小出 亮, 由宇 芳才, 中村 哲也, ...
    1998 年 40 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は77歳男性,62歳時に十二指腸潰瘍で胃部分切除術を施行.1年前より嚥下困難及び摂食時の吐出性嘔吐が出現,肺炎を併発し入院.内視鏡検査では,中下部食道にろう孔開口部を思わせる小孔や線状の亀裂を伴う膜状のrnucosal bridgeを,下部食道には食道内腔を二分するように紐状のmucosal bridgeを形成しており,多彩なmucosal bridgeを認めた.内視鏡的に高周波電流でmucosal bridgeを切離切開したところ嚥下困難は軽快し,固形物の摂取が可能となった.
  • 福田 康弘, 山崎 和文, 梶山 浩史, 山澤 紀子, 竹島 史直, 牧山 和也, 林 徳眞吉, 大曲 勝久, 水田 陽平, 河野 茂
    1998 年 40 巻 2 号 p. 181-186
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.発熱,咽頭痛などの感冒様症状のあとに強い胸骨後部痛が出現し,当院に紹介された.食道内視鏡検査で食道の中部から下部にかけて白色の水泡様の所見と,打ち抜き様の潰瘍が見られた.生検組織では,Cowdry type Aの封入体を散見した.ヘルペス食道炎と診断し,対症療法によって,症状および内視鏡所見とも改善した.健康成人に発症したヘルペス食道炎の本邦報告例は本例を入れて4例のみであった.
  • 遠藤 一夫, 山崎 雅彦, 加藤 丈博, 隅田 英典, 深尾 俊一, 横田 広子, 中野 貞生
    1998 年 40 巻 2 号 p. 187-194
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    特発性食道粘膜下血腫の2症例を経験したので報告する.症例1は67歳の女性.心窩部痛と吐血を主訴に来院.食道後壁のほぼ全域にわたり血腫を認めた.症例2は49歳の女性.吐血を主訴に来院.上部食道右側壁に血腫が観察された.両症例共に血腫は決壊して潰瘍となったが,保存的治療で完全に治癒した.治癒後の食道の狭窄も認めなかった.本邦では過去7例が報告されているのみで,極めて報告例が少ない.
  • 林 繁和, 篠邉 泉, 神部 隆吉, 原田 公, 加藤 徹哉, 竹内 淳史
    1998 年 40 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は男性で28歳より関節リウマチ罹患,63歳時より下血にて入退院を繰り返し,67歳時に大腸内視鏡検査で終末回腸に多発する不整形小潰瘍を認めた.3年前より消炎鎮痛坐薬Diclofenacが投与されていたが,中止後潰瘍は縮小,消失した.73歳時,発熱,水様下痢あり,大腸内視鏡検査で直腸に小偽膜,S状結腸周辺に紅量を伴った斑状のアフタ様病変を多発して認めた.5年前より総量3730rngの金製剤(Gold sodium thiomalate)が投与されていたが,投与中止し,VCM投与5日後より症状消失,2週後には病変も消失した.
  • 大川 清孝, 追矢 秀人, 中井 隆志, 佐野 弘治, 大庭 宏子, 青木 哲哉, 針原 重義, 井上 健, 北野 厚生, 黒木 哲夫
    1998 年 40 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性であり,便潜血反応を契機に内視鏡検査を行い,上行結腸から盲腸に小びらんがびまん性にみられ,他部位には生検も含めて異常を認めなかったため,右側大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断した.本例により,無症候性潰瘍性大腸炎の存在が明らかとなったが,その頻度,自然史,潰瘍性大腸炎の中での位置づけなどは今後の課題である.
  • 井上 雄志, 鈴木 茂, 村田 洋子, 鈴木 衛, 飯塚 文瑛, 光永 篤, 吉田 勝俊, 戸田 潤子, 田中 美紀, 手塚 徹, 梁取 絵 ...
    1998 年 40 巻 2 号 p. 205-209
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸癌77例に対して大腸内視鏡施行時粘膜下に20%ぶどう糖液を注入し,病変の挙上した症例(以下陽性群)の壁深達度はSM'1以浅,病変の挙上しない症例(以下陰性群)の壁深達度はSM'-massive以深とし,その病理組織学的壁深達度と対比し,その正診率を検討した.大きさ別および形態別で成績に差はなく,陽性群は68例中62例(91.2%)がsm1以浅であった.sm2以深であった6例中4例はIspで,隆起型は局注するとあたかも挙上しているように観察され,疑陽性となることがあり注意が必要と思われた.陰性群は9例中9例(100%)がsm-massive以深であった.注入による病変挙上の壁深達度診断のSensitivityは100%,Specificityは91.2%,Overall Accuracyは92.2%と良好な成績が得られた.このことから局注による病変挙上の有無の壁深達度診断は,治療にも直結していることも考慮し実践的かつ有用な方法と思われた.
  • 森山 裕煕, 大野 聡, 森下 紀夫, 豊田 昌弘, 川渕 義治, 佐藤 嘉高
    1998 年 40 巻 2 号 p. 210-214
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は43歳男性で,胆嚢結石にて紹介となった.DIC-CTにて総胆管末端にも結石が認められ,ERCPを施行した.乳頭部は発赤腫脹し嵌頓が疑われたが総胆管へのカニュレーションは抵抗無く行われた.総胆管結石は指摘しえず検査を終了したが,直後より突然激痛を訴えた.XP上膵管内へ嵌頓していたため,ESTを施行し,結石を摘出した.以後順調に軽快し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行.結石は胆嚢・総胆管とも同じコレステロール結石であった.
  • 中川 昭彦, 黒川 良望, 阿呆 昌樹, 上野 達之, 里見 進
    1998 年 40 巻 2 号 p. 215-218
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道表在癌に対する細径超音波プローブを用いた超音波内視鏡検査法として,右側臥位法を考案した.本法は,内視鏡に食道静脈瘤硬化療法用のバルーンを装着し,適宜,右側臥位に体位変換を行うことにより,脱気水の貯留を得る方法である,現在までに44例,45病変の食道表在癌に対して本法を施行し,良好な画像を得ることができた.本法は簡便であり,有用な方法と考えたので報告する.
  • 1998 年 40 巻 2 号 p. 219
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 40 巻 2 号 p. 220-227
    発行日: 1998/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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