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佐藤 早和子, 森下 耕治, 笹 宏行, 木下 千万子, 大井田 正人
1998 年 40 巻 3 号 p.
543-549
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
細菌が付着した消化管内視鏡を洗浄あるいは消毒後,剥離剤を用いて残留菌を測定することにより,洗浄効果および消毒効果を基礎的あるいは臨床的に検討した.基礎的検討ではPseudomonas aeruginosaあるいはMycobacterium terraeを内視鏡に付着させた後に,外表面,管路,ボタンの各部位ごとに洗浄消毒した.洗浄のみでは,外表面で洗浄前10
5から洗浄後10
0~10
1へ,吸引管路では10
6~10
7から10
3~10
4へ,送気送水管路では10
5~10
6から10
2~10
3へ,ボタンでは10
5~10
6から10
4~10
5へ減少したが,完全に陰性化することはできなかった.さらに消毒を実施することにより,残留菌はほぼ完全に陰性となった.各部位毎に洗浄を行った14症例の臨床的検討では,菌数はボタンを含む外表面では10
5~10
7から10
3~10
5へ,管路では10
6~10
9から10
1~10
3へ減少した.さらに,消毒を実施することによりいずれの機種においてもほぼ完全に陰性となった.以上の実験結果から基礎的および臨床的検討により,内視鏡の洗浄に加えて消毒を実施することによりその効果は充分と考えられた.
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畑 倫明, 藤井 久男, 石川 博文, 森田 敏裕, 小山 文一, 寺内 誠司, 榎本 泰三, 古西 満, 成田 亘啓, 田中 一郎, 吉岡 ...
1998 年 40 巻 3 号 p.
550-555
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって発症する後天性免疫不全症候群(AIDS)は,下部消化管においても多彩な臨床像を呈するが,内視鏡所見の報告例は少ない.症例1は大量下血によるショック症状を呈し,大腸内視鏡像では,大腸全体にわたって散在性に存在する類円形の打ち抜き様の潰瘍性病変を呈した.症例2,3は慢性下痢を呈し,大腸内視鏡像では,粘膜下出血斑,アフタ様びらんやロゼット様発赤斑を認めた.
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木村 敏久, 田中 信治, 春間 賢, 二神 安弘, 北台 靖彦, 吉原 正治, 隅井 浩治, 梶山 梧朗, 隅井 雅晴, 嶋本 文雄
1998 年 40 巻 3 号 p.
556-564
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は57歳,男性.主訴は下痢と腹痛.小腸X線造影検査及び下部消化管内視鏡検査にて,Bauhin弁の変形,偽憩室を認め,回腸末端に全周性区域性狭窄を認めた.腸結核を疑い,抗結核剤の投与を行ったが,明らかな効果は得られず手術を施行した.切除標本の組織所見から虚血性小腸炎と診断したが,術前に採取された病変部の生検材料を用いたPCR法で結核菌の存在が証明され,小腸結核を合併した虚血性小腸炎と診断した.
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家接 健一, 中島 久幸, 小杉 光世, 酒徳 光明, 清原 薫, 片田 正一, 伴登 宏行, 松 智彦, 笠島 史成, 山口 聖次郎, 安 ...
1998 年 40 巻 3 号 p.
565-571
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は72歳の女性.下腹部痛を主訴に入院した.最終診断はS状結腸の腺管絨毛腺腫に起因した逆行性腸重積症であった.注腸では,S状結腸の狭窄と短縮,下行結腸での先細りを認めた.大腸内視鏡では下行結腸の狭窄,変色した粘膜を認め,狭窄口側端には腸重積の先進部に相当する隆起性病変が観察された.これらの検査所見はS状結腸腫瘍に起因した逆行性腸重積症に特徴的であると考えられた.
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青木 秀俊, 北添 健一, 吉田 智則, 星島 康男, 栗永 篤信, 坂東 儀昭, 小笠原 邦夫
1998 年 40 巻 3 号 p.
572-578
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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51歳男性,便潜血陽性で来院.大腸ファイバーにて,回腸末端部に表面粗大穎粒状で生姜の根のようなコブ状の突出を伴った4cm大の有茎性ポリープを認めた.生検時のクッションサインは陰性で腫瘍成分を認めなかった.EUS,CTにて脂肪腫の腸重積と診断し腹腔鏡下に摘出した.病理所見では回腸末端固有筋層から発生した脂肪腫であった.固有筋層由来の脂肪腫は稀で本例の興味ある形態の形成に寄与したことが示唆され報告する.
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高谷 育男, 荒田 慎寿, 林 弘美, 鈴木 秀明, 松岡 幹雄, 北川 正明, 細井 英雄, 大原 毅, 赤羽 久昌
1998 年 40 巻 3 号 p.
579-584
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は48歳,女性.下血を主訴として来院.大腸内視鏡検査を施行したところ回腸終末部に粘膜下腫瘍を疑う病変を認め,びらん面からの生検を施行し,悪性リンパ腫(Non-Hodgkin malignant lymphoma, diffuse, large cell type)の組織診断を得た.回腸悪性リンパ腫は腸重積などの急性腹症を起こし発見されることが多い.術前に組織診断が得られた報告例は少なく,特に腫瘤を触知せず下血を契機として大腸内視鏡下の生検で確定診断に至った本症例は極めて稀である.
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中村 俊文, 北川 陸生, 竹平 安則, 玉腰 勝敏, 山田 正美, 川村 欣也, 高木 正博, 住吉 信一, 岩岡 泰志, 室久 敏三郎
1998 年 40 巻 3 号 p.
585-589
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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患者は84歳,女性で,便秘を主訴として来院した.下部消化管造影で直腸S状部から下部直腸にかけてapple core signを認め,大腸内視鏡下生検で高分化型腺癌と診断した.画像検査にて,周囲臓器への直接浸潤,腹腔内リンパ節転移を認めた.開腹手術を拒否されたため,本人および家族の同意を得て直腸狭窄の改善を目的として,食道用ステント(Ultraflex)を内視鏡下に挿入した.ステントは留置直後よりほぼ完全に拡張し,3カ月たった現在も良好な排便コントロールが保たれており,外来にて経過観察中である. 高齢や手術困難な進行癌症例に対し,人工肛門増設術の代わりにステントによる内痩化をはかることは,低侵襲であり,QOLの面からも有用である.
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藤澤 貴史, 黒田 信稔, 萩野 晴彦, 阪本 哲一, 前田 哲男, 中原 貴子, 三田 正樹, 前田 光雄, 清田 清史, 田野 伸雄, ...
1998 年 40 巻 3 号 p.
590-595
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
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症例1;76歳,女性.免疫学的便潜血反応陽性にて大腸内視鏡検査を施行,直腸S状結腸曲に5cmの有茎性ポリープを認めた.ポリープは正常粘膜に被われ,極めて柔らかく,可動性に富んでいた.色素散布では正常の無名溝が観察され,拡大内視鏡では正常pitが観察された.症例2;69歳,男性.便秘・麻痺性イレウスの精査目的にて大腸内視鏡検査を施行,下行結腸に3cmの細長い茎を有するポリープを認めた.2例ともポリペクトミーを施行した.ポリープは正常の粘膜と粘膜下層より形成され,粘膜下層は静脈とリンパ管の拡張を伴う浮腫状の疎性結合組織で構成されていた.真武らが提唱したcolonic muco-submucosal elongated polyp(CMSEP)に一致した所見である.CMSEPの本邦報告11例の臨床病理学的検討および文献的考察を加えて報告した.
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松崎 圭祐, 川野 豊一, 三浦 修, 戸田 智博, 南園 義一, 長崎 進, 柳井 秀雄
1998 年 40 巻 3 号 p.
596-601
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
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症例は71歳男性.便秘を主訴に受診.直腸鏡,注腸検査などより最大径8.5cmの直腸Villous tumorと診断し,長期にわたる副腎皮質ホルモンの内服,糖尿病の合併,全身状態などより内視鏡的治療を選択した.1年10カ月間に計17回の内視鏡的切除ならびに粘膜焼灼をおこない,adenocarcinoma in villous adenomaの病理診断を得た.最終治療後3年経た現在再発を認めず,Villous tumorでは明らかな浸潤癌の所見がなければ腫瘍径にかかわらず内視鏡的治療の選択が可能と考えられた.
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沖野 秀宣, 山口 幸二, 松永 浩明, 横畑 和紀, 千々岩 一夫, 高嶋 雅樹, Takashi UEKI, 田中 雅夫
1998 年 40 巻 3 号 p.
602-606
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
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今回,ERCP及びERCP下のbiopsyが,膵管内の微小隆起性病変の発見及び術前診断に有効であった膵管内乳頭腺腫の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は84歳の女性.近医にて,肝機能の悪化を認めたため精査加療目的にて当科紹介入院となった.超音波検査,CT,MRではいずれも膵に病変を認めず,ERCP及びMRCPにて膵頭部の主膵管内に微小隆起性病変を認めた.ERCP下のbiopsyにて,膵管内乳頭腺腫と診断され,十二指腸温存膵頭部切除術を施行した.切除標本では主膵管内に0.8×0.7cmの「イクラ状」の隆起性病変を認めた.最終病理診断は膵管内乳頭腺腫であった.
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1998 年 40 巻 3 号 p.
607-613
発行日: 1998/03/20
公開日: 2011/05/09
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1998 年 40 巻 3 号 p.
633a
発行日: 1998年
公開日: 2011/05/09
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1998 年 40 巻 3 号 p.
633b
発行日: 1998年
公開日: 2011/05/09
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1998 年 40 巻 3 号 p.
633c
発行日: 1998年
公開日: 2011/05/09
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