上部消化管内視鏡検査施行351症例について,迅速ウレアーゼ試験(RUT),病理組織学的方法により, Helicobacter pylori (H.pylori)の検出効率の相関について検討した.RUT陽性率は,44.2%(155/351)であり,その陽性例で,H.E.染色,Giemsa染色におけるH.pylori検出率は,それぞれ92.3%(143/155),99.4%(154/155)であった.さらに,RUT陽性例中,中間色を呈した28例について,Warthin-Starry法,免疫染色を追加して行った.H.E.染色,Giemsa染色で,その検出率は,いずれも100%(28/28)であったのに対し,Warthin-Starry法,免疫染色ではそれぞれ47.8%(11/28),78.6%(22/28)と低かった.RUTは,迅速性,簡便性,経済性に優れ,非常に有用であるが,菌量が少ない場合や中間色の判定などに問題がある.よって,通常の生検診断において,H.E.染色,Giemsa染色を併用することにより,H.pylori同定が可能であり,除菌療法後の判定という点からも,組織学的検査は不可欠と考えられた.
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