食道粘膜を拡大観察し,病理組織所見と比較検討した.切除標本を200倍で観察して初めて認められた微細な血管は,連続切片にて検討した結果,粘膜固有層の血管網から上皮下乳頭内へ立ち上がる毛細血管であることが明らかになった.その乳頭内血管を,細いtype1,らせん状のtype2,不規則に蛇行するtype3,錯綜するtype4に分類した.type1,2は正常粘膜,type3,4は癌であることが高率であった.また,主にsm層を走る深部血管が透見される(+)群は正常もしくは1pmまでの癌であったが,(-)は正常からsm癌まで様々であった.ヨード不染帯を拡大観察により,乳頭パターンが明瞭なTypeA,癒合したTypeB,認められないTypeCに分類した.TypeAには異型がほとんどなかったが,TypeBには異型を認めるものが含まれ,TypeCは癌であることが多かった.拡大内視鏡検査では,血管パターン,ヨード不染帯パターンとも,同様の結果が得られ,臨床診断に有用であると考えられた.
抄録全体を表示