日本消化器内視鏡学会雑誌
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41 巻, 4 号
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  • 田尻 久雄, 吉田 茂昭
    1999 年 41 巻 4 号 p. 915-922
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     消化器内視鏡における画像処理,画像解析の研究内容を概説した.色の定量化については,筆者らの行っている内視鏡的分光測定装置によるカラー画像診断を中心にその現状を紹介した.適応型構造強調処理,IHb色彩強調,赤外線電子内視鏡については具体的な有用性を述べた.拡大電子内視鏡による粘膜表面微細構造の画像解析,赤外蛍光内視鏡,蛍光内視鏡,三次元計測に関しては,機器開発を含めて未だ研究過程のものであり,それらの臨床的評価にはさらなる検討が必要である.画像処理,画像解析に関する研究は,電子内視鏡に最も期待される事項であり,内視鏡診断の精度向上とともに客観的・定量的診断を実現させていくうえで発展させていくべき重要な課題である.
  • 木本 賀之, 宮原 透, 岩井 淳浩, 川口 淳, 永尾 重昭, 伊藤 和郎, 三浦 総一郎
    1999 年 41 巻 4 号 p. 923-932
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは電子内視鏡による内視鏡拡大観察に画像解析を加えた,胃粘膜表面の微細構造計測法を開発し,その臨床的有用性を報告してきた.今回,その計測法のうち「フード・キャリブレーション法」を用いて,胃潰瘍辺縁の個々の再生粘膜模様を計測し,再生粘膜模様の面積・最大長・最大幅が胃潰瘍治癒過程でのいかなる現象を反映しているかを,定量的に検討した.治癒期における面積が大きな柵状再生粘膜模様・紡錘状再生粘膜模様の出現が,胃潰瘍の治癒速度に関係している可能性が示唆された.潰瘍治癒が速い場合は,治癒期での紡錘状再生粘膜模様の面積より最大長の方が,胃潰瘍治癒速度とより関連している可能性も示唆された.治癒期においてより最大長の長い再生粘膜模様が出現しているか否かが,胃潰瘍再発予測に役立つ可能性も示唆された.本検討により,生理的条件下で胃潰瘍治癒過程が定量的に解析できた.
  • 田村 智, 宮崎 純一, 矢野 哲也, 上田 祐二, 中城 一男, 大川内 孝治, 森田 智子, 大崎 純子, 横山 雄一, 宮本 敬子, ...
    1999 年 41 巻 4 号 p. 933-940
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸sm癌164病変を対象に,浸潤度分類(相対的と絶対値分類の比較)および先進部浸潤様式(膨張性発育型と浸潤性増殖型の比較)を検討した.浸潤度別内訳はsm1:31.7%,sm2:45.1%,sm3:23.2%であった.脈管侵襲はsm1bより認めた.リンパ節転移はsm2より認め,sm癌手術例全体では4.5%(5/112)であった.sm1の粘膜下浸潤値は,96.1%が1000μm以下であった.sm2では700μm以上-8000μm以下に,srn3では1000μm以上-8000μm以下に分布した.srn1c群とsm2群,sm2群とsm3群の平均粘膜下浸潤値には有意差を認めた.膨張性発育型と浸潤性増殖型における脈管侵襲陽性率はそれぞれ7%,54.7%で,リンパ節転移率は0%,8.3%であった.以上,相対分類と絶対値分類は統計学的に有意な関係があった.大腸sm癌の内視鏡的治療の適応は,浸潤様式まで考慮するとsm2の一部にも適応を拡大できる可能性が示唆された.
  • 神澤 輝実, 荒川 丈夫, 石井 太郎, 江川 直人, 榊 信廣, 石渡 淳一
    1999 年 41 巻 4 号 p. 941-945
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     副膵管の走行形態を,主膵管開口部から副膵管合流部までの主膵管の長さにより,long typeと,short typeに分類した.各々の副膵管から派生する長い下頭枝(長さ20mm以上で主膵管を越す)と短い下頭枝(長さ10~19mm)の数と派生部位を測定した.long typeの副膵管からは,長い下頭枝を118例中88例(74.6%)に103本,短い下頭枝を61例に79本認めた.short typeの副膵管からは,長い下頭枝を43例中13例(30.2%)に13本,短い下頭枝を26例に33本認めた.下頭枝の派生部位に差はなかった.上流背側膵管と直線化をなし胎生期の背側膵原基の主導管が残存したと思われるlong typeの副膵管に比べて,主膵管開口部近傍で主膵管と合流するshort typeの副膵管では,下頭枝の派生が極めて少ないことより,この副膵管の一部が発生学的に背側膵原基の主導管の下頭枝であった可能性が推察された.
  • 菅原 光宏, 佐藤 邦夫, 折居 正之, 加藤 博巳, 中舘 一郎, 石田 弥, 藤原 隆雄, 橋本 康冬, 野呂 明弘, 加藤 智惠子, ...
    1999 年 41 巻 4 号 p. 946-951
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は58歳男性.マムシ咬傷でショック症状を呈して受診.咬傷部の腫脹は軽度であったが,上部消化管出血を認めたため,第2病日に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,大小の血まめ様の食道病変,赤色調で点状出血を伴う胃粘膜病変および十二指腸潰瘍を認めた.マムシ咬傷に伴う急性期の消化管病変を内視鏡的に経過観察し得た稀な症例と思われ,考察を加えて報告した.
  • 鈴木 厚人, 大橋 計彦, 山雄 健次, 古川 剛, 松浦 昭, 栗本 組子, 中村 常哉, 鈴木 隆史, Akiko KIMOTO, Ta ...
    1999 年 41 巻 4 号 p. 952-956
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は48歳,女性.胆石精査のための腹部超音波検査にて膵頭部近傍に腫瘤を指摘,超音波内視鏡検査の結果,胃粘膜下腫瘍と診断され精査目的で当科に入院した。胃X線および内視鏡検査にて胃前庭部大弯に経約3cmの粘膜下主要を認めた。超音波内視鏡所見では第4層ないに境界明瞭で内部エコーが不均一な高エコーの腫瘤を認め,その内部には斑状の低エコー域を認めた。胃平滑筋腫または肉腫を疑ったが、超音波内視鏡下穿刺による生検結果で胃グロームス腫瘍と診断された。腫瘍核出術を実施,摘出標本の病理組織学的検査では拡張した血管周囲に異型性のない腫瘍細胞の敷石状の増生を認めた。超音波内視鏡下穿刺は粘膜下腫瘍の質的診断に有用な検査法と考えられた.
  • 山崎 和文, 梶山 浩史, 神崎 真一郎, 伊東 昭郎, 田浦 幸一, 磯本 一, 竹島 史直, 水田 陽平, 村瀬 邦彦, 河野 茂
    1999 年 41 巻 4 号 p. 957-961
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は73歳男性.右上腹部痛にて入院.画像診断上,胆石胆嚢炎の診断にて抗菌薬による治療を開始した.しかし,第5病日になり突然黒色便と呼吸困難がみられたため,上部消化管内視鏡検査を行った.十二指腸球部に薬剤包装用PTPの嵌頓を認め,同部から第2部にかけて広範な潰瘍形成をみた.同時に,大腸内視鏡用スライディングチューブを外套として用い,PTP摘出を行った.摘出後は臨床所見の速やかな軽快をみた.PTP誤嚥診断の難しさを示す教訓的で,稀な症例と思われた.
  • 深田 雅之, 井上 冬彦, 杉坂 宏明, 成宮 徳親, 永山 和男, 田中 照二, 鈴木 克契
    1999 年 41 巻 4 号 p. 962-968
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は76歳男性.CEA高値を指摘され,精査のために大腸内視鏡検査を施行.盲腸から上行結腸にびまん性に拡がる顆粒状粘膜を認め,組織学的および分子生物学的にmucosa-associated lymphoid tissue(以下MALT)リンパ腫と診断した.自験例を含む過去の大腸MALTリンパ腫本邦報告例の肉眼形態を5つのTypeに分類し検討したが,顆粒状粘膜は大腸MALTリンパ腫の重要な所見と思われた.
  • 平名 浩史, 渥美 正英, 澤井 直樹, 石丸 寿美子, 上平 博司, 坂本 雅史, 細田 正則, 加知 一友, 中川 義弘
    1999 年 41 巻 4 号 p. 969-973
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は22歳,女性.20歳時より潰瘍性大腸炎にて通院中であったが,出産後に頻回の粘血便を認めるようになり入院となった.ステロイド強力静注療法およびステロイドパルス療法にて改善傾向を示していたが,プレドニン漸減中に再び悪化し,大量下血を来してショック状態に陥った.緊急大腸内視鏡検査にて上行結腸に露出血管より拍動性出血を伴う潰瘍を認め,純エタノールおよび1%Polidocanol局注にて内視鏡的に止血し得た.その後再出血はなく緩解導入に成功し,4年6カ月間緩解を維持している.内視鏡的止血術にて緊急手術を回避し,緩解導入し得た大量出血を伴う潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告した.
  • 遠藤 幹也, 佐久間 和弘, 鈴木 保永, 石田 基雄, 島田 忠人, 平石 秀幸, 菅谷 仁, 寺野 彰, 北 順二, 藤盛 孝博
    1999 年 41 巻 4 号 p. 974-978
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は50歳の女性.昭和49年より潰瘍性大腸炎の診断にて当院通院中,昭和63年の大腸内視鏡検査にて直腸に扁平な隆起性病変を認め,生検にて腺管絨毛腺腫の診断を得た.平成9年3月,同病変の腫瘍径の増大があり,経肛門的腫瘍切除術を施行し,dysplasiaと診断した.潰瘍性大腸炎は大腸癌のハイリスク群でdysplasiaが発癌に関与しているとされている.10年間経過観察し得たdysplasiaはまれであり示唆に富む症例と思われ報告する.
  • 那須 真示, 穴井 秀明, 首藤 能弘, 木村 茂, 松尾 隆, 須藤 尚子, 石松 俊之, 室 豊吉
    1999 年 41 巻 4 号 p. 979-985
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は74歳男性.大腸癌検診にて便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を行い,右側結腸にIIa+IIc病変と1型進行癌を認めた.右半結腸切除術を施行し,IIa+IIc病変は14×7mm,低分化腺癌,深達度sm2,1型進行癌病変は12×10mm,中分化腺癌を含む粘液癌,深達度mpであった.組織の分子生物学的検索にて,p53とK-ras遺伝子の異常は認められなかったが,片対立遺伝子の欠失(loss of heterozygosity:LOH)とDNAの複製エラー(replication error:RER)を解析すると,2p,3p,17p,18qにおいて2病変間には異なった異常が認められた.
  • 原口 要
    1999 年 41 巻 4 号 p. 986-993
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管病変の見逃しを少なくするためには,前方視鏡と側視鏡の同時併用が望ましい.しかし,両鏡同時併用が日常的に行われるためには,被検者に苦痛を与えないで,容易・迅速・安全に行える胃内視鏡挿入手技の確立が必要で,著者はこのような手技として被検者の体位は左側臥位とし,頭頸部強前屈の後,下顎を前方に突き出させる体位で,内視鏡挿入部を直線になるよう保持し,左右・上下両アングルノブを固定したまま挿入する手技を考案した.そしてその理論的根拠と妥当性を,X線像とMRI画像を用いて明らかにした.本法によればスコープは,咽頭麻酔やジアゼパム投与などの前処置なしでも,被検者に苦痛を与えることなく3~5秒でスムーズに食道に挿入可能である.無麻酔・鎮静剤を使用しない50名100回挿入のアンケート調査で,挿入時何ともなかったと答えたものは92%であった.本法に準拠した5万4千余回で事故は一回も経験しなかった.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 4 号 p. 997-1008
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 4 号 p. 1009-1019
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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