日本消化器内視鏡学会雑誌
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41 巻, 6 号
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  • 一之瀬 方紀子, 池上 雅博, 松島 雅人, 鈴木 博昭, 牛込 新一郎
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1163-1174
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸sm癌切除例159病変を用い,リンパ節および肝転移の危険因子について検討した.全病変をリンパ節および肝転移の陽性群と陰性群に分類し,以下の7因子について統計学的に検討した.1.粘膜内増殖態度(PG, NPG) 2.sm浸潤度(sml a, bとsm2, 3)3.癌組織型(高分化型腺癌と中分化型および低分化型腺癌)4.先進部Budding所見5.リンパ管侵襲6.静脈侵襲7.肉眼型(陥凹の有無).これらの多変量解析においてステップワイズ変数選択で,ロジスティックモデルに取り込まれた変数はリンパ管侵襲のみであった.リンパ管侵襲を除いた因子の多変量解析では,組織型とsm浸潤度が有意であり,3因子は各々独立した危険性を有していた.以上の結果より,リンパ管侵襲i陽性,sm浸潤度(特にsm2, 3),中分化型および低分化型腺癌の因子中1因子でも認めた場合には外科的切除の適応と考えられた.
  • 武井 和夫, 篠原 靖, 武田 一弥, 糸井 隆夫, 中村 和人, 真田 淳, 堀部 俊哉, 斎藤 利彦
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1175-1180
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆管粘膜の悪性所見の一つとして拡張血管像があり,様々な検討がなされているが形態の定量化を試みた報告はない.そこで胆道内視鏡で観察された拡張血管像8病変,細血管透見像7領域についてフラクタル解析を試みた。拡張血管像や細血管透見像はフラクタル構造を有し,そのフラクタル次元は拡張血管像1.48±0.05,細血管透見像1.31±0.08であり有意差(p<0.05)を認めた.フラクタル解析は血管像の定量化に有用であり,両者の鑑別が可能であった.胆管血管像のフラクタル次元は内視鏡的に観察される血管像の広狭不整,蛇行,吻合や分岐といった構造の複雑さに対応しているものと考えられた.またフラクタル解析は,画像の拡大率,解像度,撮影角度に規定されず検討可能であり,内視鏡画像の定量化に適した方法と考えられた.
  • 青木 洋, 金子 光男, 門馬 公経, 六角 丘, 多賀谷 信美, 小暮 洋暉, 冨田 茂樹, 藤盛 孝博
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1181-1186
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     透明キャップを用いた内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection usinga cap-fitted panendascope:以下EMRC法)にて切除した食道脂肪腫の1例を経験したので,EMRC法の有用性と稀な食道脂肪腫について報告する.症例は65歳の女性.上部消化管内視鏡検査で下部食道に約10mm大の広基性の粘膜下腫瘍を認めた.EMRC法を施行し,粘膜とともに腫瘍を切除した.病理組織診断は脂肪腫で,本邦報告の38例目であった.
  • 石井 圭太, 松本 豊, 新井 伸康, 三重野 寛喜, 田辺 聡, 三橋 利温, 西元寺 克禮, 三富 弘之
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1187-1192
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は17歳女性.空腹時心窩部痛を主訴に来院.胃内視鏡検査にて穹窿部前壁に4mm大と5mm大の2個の隆起性病変を認めた.同部の生検にて2個の隆起ともにポリープの表層に高分化型腺癌を認めた.粘膜切除術目的に施行した内視鏡検査では,病変は完全に消失しており,生検にて脱落したものと考えられた.以後3カ月ごとに1年間,内視鏡及び生検を施行しているが再発はみられなかった.
  • 森 昭裕, 奥村 昇司, 大橋 憲嗣, 則竹 伸保, 井上 洋
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1193-1197
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は44歳男性.幽門狭窄を伴う3型胃癌(stage IV),治癒切除不能と診断.経口栄養可能とするため食道用ステント(EMS)を側視内視鏡先端に装着し内視鏡そのものでEMSを幽門狭窄部に運び留置した.普通食が摂取可能となりQOLの改善が得られた.幽門狭窄へのEMS留置は有用であるが現状の食道用EMSシステムでは挿入が困難のため工夫が必要である.われわれの方法は簡便容易なので積極的に試みうるものと考える.
  • 児島 謙作, 光藤 章二, 小西 英幸, 棚橋 俊仁, 大野 智之, 酒井 恭子, 澤井 直樹, 時田 和彦, 加嶋 敬, 三沢 あき子, ...
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1198-1202
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は1歳2カ月の女児.吐下血を主訴に来院し,上部消化管内視鏡検査で胃角小彎にA2stageの潰瘍を認めた.生検組織培養,鏡検法,尿素呼気試験,ウレアーゼテストでHelicobacter Pylori(H.Pylori)が陽性であり,父親にもH.Pylori感染が認められ,父子ともにH.Pyloriの除菌療法を行った.基礎疾患や薬剤などの背景因子がなく,H.Pyloriの感染と胃潰瘍の発生との関連が考えられた.患児は父親がかみ砕いた離乳食を摂取しており,父子のH.PyloriがPCR(Polymerase Chain Reaction)-RFLP(Restriction Fragment Length Polyrnorphism)解析で同一パターンを示したことから,父親から患児へのH.Pyloriの口-口感染の可能性が示唆された.
  • 伊藤 大, 蘆田 潔, 高橋 元, 川股 聖二, 永松 良介, 藤井 壽仁, 上田 恵
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1203-1208
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は60歳,女性.主訴は吐下血.内視鏡検査およびX線検査にて十二指腸球部に1cmの基部を有する巨大ポリープがみられた.一括切除では組織回収が不可能であり,分割切除を計画した.基部に留置スネアを掛けた後に腫瘍の2/3を切除した.組織学的にはブルンネル腺腫であった.1週間後には残存腫瘍は消失していた.出血などの偶発症はなかった.十二指腸巨大ポリープに対し留置スネアを用いた分割切除は有効かつ安全な治療法である.
  • 青木 秀, 岡村 正造, 大橋 信治, 三竹 正弘, 浦野 文博, 下平 雅哉, 金森 信一, 原 和生, 岡田 直人, 大山 格, 瀬川 ...
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1209-1213
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳,男性.便潜血陽性のため大腸X線検査を受け,S状結腸の隆起性病変を指摘された.大腸内視鏡検査にて,頂部に浅い小陥凹を有する長径10mmの粘膜下腫瘍(submucosal tumor;以下SMT)様病変を認め,内視鏡的粘膜切除術を行った.病理組織診断は低分化型腺癌,切除断端陽性のため外科的追加切除を行った.切除標本では長径5mmの遺残病変を認め病理組織診断は低分化型腺癌,深達度はmp1,1y(―),v(―),n(―)であった.本症例はnonpoIypoid growth(以下NPG)癌であり,粘膜下層以深の発育のためにSMT様の形態を呈したものである.SMT様に発育した大腸癌は少なく,また低分化型腺癌で深達度がrnp以浅の症例も少ないことから,本症例はNPG癌および大腸の低分化型腺癌の発育経過を知る上で貴重な症例と考えられる.
  • 河原 正樹, 倉本 秋, 島田 正, 小林 薫, 照屋 正則, 浅倉 禮治, 荒木 駿二, 北條 慶一
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1214-1218
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は57歳男性で,腹痛,悪心,嘔吐を主訴に緊急入院した.来院時すでにショック状態にあり,著明な代謝性アシドーシスと脱水,さらに吐下血を認めた.腸管虚血を疑い緊急手術を施行した.手術所見より非閉塞性腸管梗塞症(NOMI)と診断し,壊死腸管の切除を行った.切除範囲を決定するにあたって,術中内視鏡による腸管粘膜の観察が,腸管のviabilityの評価に有用であった.現在までNOMIにおける腸管切除範囲の決定のために術中内視鏡を施行した報告例は,検索し得た範囲では皆無であった.
  • 小島 明, 松井 正之, 三村 直子, 水出 雅文, 蘇原 直人, 砂長 千雪, 仁平 聡, 千島 丈一, 大野 順弘, 高木 均, 森 昌 ...
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1219-1222
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は70歳,男性.主訴は吐血.内視鏡検査にて胃ポリープよりの出血と判明した.内視鏡的ポリペクトミーに際しても出血したが,病理組織にてポリープ内に比較的径の太い動脈が認められ,また肝硬変を併存しており血液凝固能が低下していたことが大量出血を来す要因となったものと思われる.上部消化管出血の原因として胃ポリープは稀ではあるが,特に肝硬変等を併存している症例では念頭に置くべきものと思われた.
  • 小林 剛, 野田 裕, 木村 克巳, 八子 章生, 境 吉孝, 吉田 雅義, 大久保 恭子, 大石 千明, 藤田 直孝
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1223-1229
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     切除不能な膵頭部癌の閉塞性黄疸2症例に対し,コイル型expandablemetallic stent(以下,EndoCoil)を使用し長期の減黄効果が得られた.EndoCoi1の挿入時から死亡時までの期間はそれぞれ,9カ月,11カ月であり,この間,ステントの機能不全はみられなかった.EndoCoi1は展開時にはコイル状を呈して24Fの大口径となる.特徴としてはメタリックステントの欠点とされるtumor ingrowthをコイルの形状で防ぐこと,また,内視鏡的に抜去可能な点があげられる.短所としてはdelivery systemの挿入し難さ,十分に展開しないときのtumoringrowthなどが報告されている.自験例ではEndoCoilの挿入前に予め2本のプラスチックステントを留置したことで,狭窄部の十分な拡張が計れた.これにより挿入は容易となり,また,ステントの十分な短縮,拡張が早期に得られたことでステントの機能が長期に渡って保たれたと考えられた.
  • 水村 泰夫, 中山 大寿, 山田 昌彦, 二木 修司, 三輪 一彦, 堀部 俊哉, 新戸 禎哲, 関 知之, 斎藤 利彦, 柳澤 昭夫
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1230-1236
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は63歳,女性.耐糖能異常の加療目的で入院となり,USで膵体部に嚢胞性病変を認め当科紹介となった.ERPで主膵管のびまん性拡張と体部に片側の欠損像がみられ,EUSでは体部主膵管に径15mmの高エコーの腫瘤像と同部位の分枝の嚢胞状拡張がみられた.膵管鏡にて主膵管の腫瘤を観察するとポリープ状の腫瘍が主膵管を塞ぐように発育し,その表面には発赤が伴っていた.そのため,膵管内乳頭腫瘍と診断し,特にポリープ部は癌を疑い牌合併膵体尾部切除術を行なった.病理組織診断はポリープ部は管状腺腫で,その周囲の膵管上皮から嚢胞部にかけて乳頭腺腫を認めた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1240-1242
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1243-1247
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1248-1253
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 6 号 p. 1254-1261
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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