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佐野 寧, 藤盛 孝博, 日下 利広, 青山 伸郎, 前田 盛
1999 年 41 巻 8 号 p.
1431-1437
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸腫瘍においてアポトーシス関連因子が,形態の異なる腫瘍間で,その発現様式を異にするか,腺腫8症例,早期癌51症例を対象に検討し以下の結論を得た.1)早期大腸癌においてDepressed typeとPolypoid typeとでアポトーシスの出現頻度に差は認められなかった.2)p53蛋白発現とapoptosis-labeling index (ALI)間に負の相関があり,腺腫は早期癌と比較しALIが高率で,正常でみられるp53依存性アポトーシスの経路が関与している可能性がある.3)Depressedtype早期癌のbc1-2蛋白の発現は腺腫,Polypqid type早期癌と比較して有意に低頻度であった.
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小林 朋子, 佃 博, 井上 健, 後藤 清, 西沢 良記, 鈴木 典子, 荒川 哲男, 森井 浩世
1999 年 41 巻 8 号 p.
1438-1444
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
54歳,男性.消化管ポリポーシス,Graves病,皮膚脂肪腫,腎細胞癌にてCowden病と診断.本症はmultiple hamartolna syndrome (MHS)の一つで,顔面の毛根鞘腫と口腔乳頭腫症が特徴とされる.本例は同所見を欠き,上部消化管ポリポーシスの内視鏡所見が診断契機となった.他のMHSとの鑑別診断は治療方針決定上重要であり,生検検体を用いたLOH検索は陰性であったものの,本症診断における消化管内視鏡検査の有用性が認識された.
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田端 晃博, 清水 泰夫, 畑山 充
1999 年 41 巻 8 号 p.
1445-1451
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は84歳,女性.約20年前に食道アカラシアの手術を受け,その後無症状で経過していた.7年前に吐血し,以後食道憩室と逆流性食道炎で当科通院中に次第に嚥下障害が出現し,経口摂取不能となり入院.食道透視で横隔膜直上の憩室内に腫瘤陰影を認め,内視鏡的に摘出した.摘出物は真菌塊であったが菌種同定はできなかった.摘出後は自覚症状が消失し経口摂取可能となった.自験例はカンジダ食道炎などの内視鏡像とは異なり,限局して椎茸状に発育する特異な内視鏡像を呈しており,興味ある症例と思われた.
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田近 正洋, 加藤 則廣, 加藤 昌彦, 永木 正仁, 大西 弘生, 金武 和人, 鬼束 惇義, 下川 邦泰, 野尻 真, 森脇 久隆
1999 年 41 巻 8 号 p.
1452-1459
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
患者は40歳,女性.検診で胃に多発性の隆起性病変を指摘され,精査加療を目的として入院.胃内視鏡像は体部を中心に萎縮が強く,胃底腺領域に一致して発赤を伴う多数:の隆起性病変を認めた.生検組織診でグリメウス染色陽性の多発性カルチノイドと診断した.また,コンゴーレッドによる色素内視鏡検査および24時間胃内pHモニタリング検査により胃の無酸状態を確認したため,内視鏡所見と合わせA型曽炎と診断した.抗胃壁抗体と抗内因子抗体はともに陰性であったが,血中ガストリン値は3,000pg/ml以上と著明に高値を示した.超音波内視鏡にてカルチノイドの一部にsm浸潤を認めたため,胃全摘術およびR
2リンパ節郭清術を施行した.深達度はsm
3,胃部の3カ所にカルチノイドを認め,胃底腺領域には多数のendocrine cell micronest (ECM)を認めた.術後,血中ガストリン値は正常化した.
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佐藤 祐一, 本間 照, 小林 正明, 杉村 一仁, 成澤 林太郎, 朝倉 均, 味岡 洋一, 橋立 英樹, 渡辺 英伸
1999 年 41 巻 8 号 p.
1460-1465
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は70歳女性.胃多発性過形成性ポリープに対し,18年前より経過観察していた.1994年体上部前壁に山田III型8mmのポリープ,体上部大轡に山田IV型15mmの4リープがあり,前者は生検されず,後者は過形成性ポリープと組織診断された.しかし,1997年5月,前者は低分化型進行癌になり,後者は増大し,focal cancerを合併していた.本症例は多発性過形成性ポリープの経過観察,及びその癌化を考える上で示唆に富む症例と考えられた.
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木村 聖路, 鈴木 和夫, 相沢 中, 金沢 洋, 田中 正則
1999 年 41 巻 8 号 p.
1466-1473
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は68歳女性,主訴はタール便.消化管出血のため入院したが,著しい血小板減少とそれに伴う全身の出血症状があり,諸検査にてITPの診断を得た.大量の消化管出血のため頻回の輸血を要したが,ステロイド投与により血小板数は漸増し,出血症状も消失したので退院した.入院時の内視鏡検査にて胃隆部から胃体部に散在する点状,斑状出血斑と,胃角部に2カ所の微小潰瘍による活動性出血源が指摘された.14日目には止血が得られ,28日目にはびまん性の出血斑も軽快したが,代わって胃体部を中心に数条の櫛状,帯状出血が全周にわたり縦走しているのが確認された.2カ所の出血源は56日目には赤色瘢痕,84日目には白色瘢痕に治癒したばかりでなく,胃内の出血性病変もすべて完治した.消化管出血はITPの出血症状として稀ではないが,本例ではITPに伴う上部消化管の出血性病変とその治癒過程を内視鏡的に経過観察できた.
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田中 洋一, 宮崎 修一, 福田 保, 鎌村 真子, 辻上 幸司, 井上 徹, 山崎 柳一
1999 年 41 巻 8 号 p.
1474-1477
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は56歳,男性.主訴は上腹部痛,発熱で,白血球数増加,CRP高値などの炎症所見を認めたが診断不確定.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,前庭部の胃壁に垂直に刺入した魚骨様の異物を認め,魚骨による胃壁穿通と診断.内視鏡下に魚骨を摘出後,臨床症状の改善を得た.魚骨胃壁穿通の本邦報告はこれまでに11例あり,ほとんどの症例が開腹手術を施行されていたが,内視鏡下の処置にて治癒した自験例は本邦第2例目であった.
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細川 治, 海崎 泰治, 津田 昇志, 渡辺 国重, 谷川 裕, 武田 孝之, 白崎 信二, 道傳 研司, 林 裕之
1999 年 41 巻 8 号 p.
1478-1483
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は63歳男性.35歳時(29年前)に胃潰瘍にて胃切除,BillrothII法再建術を受けている.上部消化管内視鏡検査にて残胃吻合部の大彎を中心に隆起性病変を見出し,生検にて腺窩上皮の過形成と腺の嚢胞状拡張を認めた.Gastritis cystica polyposa:GCPと診断し,その後8年7カ月間内視鏡的追跡を行い,吻合部大彎を中心にしたIIc型胃癌を見出した.切除標本の検索では癌組織に浸食され,GCPの所見はわずかとなっていた.
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深澤 啓子, 佐藤 貴一, 木平 健, 熊倉 泰久, 関 優, 川田 浩, 徳丸 健吉, 川上 訓, 木村 健, 菅野 健太郎, 澁澤 公行 ...
1999 年 41 巻 8 号 p.
1484-1489
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は54歳女性.十二指腸下行部に限局するMucosa-associated lyrnphoid tissue(以下MALT)リンパ腫が認められた.これまで,十二指腸,唾液腺,直腸のMALTリンパ腫がHelicobacter pylori (H. pylori)の除菌治療により消失したとの報告があり,本症例もH. pylori陽性のため,その除菌治療を行ったが,除菌後5カ月間の経過観察で内視鏡所見,病理所見ともに改善が認められず,十二指腸亜全摘術が施行された.
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滝川 崇弘, 近藤 仁, 横田 敏弘, 斉藤 豊, 菅野 康吉, 白尾 国昭, 藤田 伸, 飯沼 元, 下田 忠和, 加藤 茂治
1999 年 41 巻 8 号 p.
1490-1495
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は73歳男性.体重減少(7kg/6カ月)に対する精査により,右肺に扁平上皮癌(Stage 1)およびS状結腸ポリープが指摘され,肺病変は右肺中下葉切除術により根治的に手術が施行された.大腸病変は有茎性ポリープの茎上に陥凹性病変が連続して存在する形態を呈しており,IIc型+Ip型早期大腸癌と診断した.切除後診断は深達度sm 2の高分化型腺癌であった. 大腸早期癌におけるIIc型とポリープ型の複合型の報告はこれまで3例のみで,大腸癌の発育進展を考える上で興味深いと考えられた.
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滝澤 英昭, 鈴木 康史, 山田 明, 阿部 要一, 青柳 豊, 朝倉 均
1999 年 41 巻 8 号 p.
1496-1499
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
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潰瘍性大腸炎の非連続性病変は稀と考えられていたが,最近では虫垂開口部に高率に合併することが認識されてきた.49歳の男性が虫垂切除術1カ月後に水様便を訴え,左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された.内視鏡的に正常粘膜を介して虫垂切除をした断端遺残粘膜に非連続性病変を合併していた.疫学的には虫垂切除後の潰瘍性大腸炎発症率は低いが,虫垂切除後であっても遺残虫垂粘膜に非連続性病変を合併する可能性がある.
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日本消化器内視鏡学会
1999 年 41 巻 8 号 p.
1503-1510
発行日: 1999年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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