日本消化器内視鏡学会雑誌
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41 巻, 9 号
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  • 仲 紘嗣, 杉山 敏郎, 加藤 元嗣, 浅香 正博
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2035-2043
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    上部消化管内視鏡検査後の急性胃粘膜病変(PE-AGML)は日本において1973年頃から指摘されていた.このPE-AGMLの原因は当初,一般のAGMLと同一と思われており偶然にその発症前後を観察したと考えられていた.その後,内視鏡検査によるストレス説,内視鏡挿入・空気注入に伴う胃の過伸展による血流障害説などが主に推測され検討されてきた. 1989年からPE-AGMLとHelicobacter pylori(H.pylori)との関連が検討されはじめ,その発症には主にH.pyloriが関与している多くの研究結果が報告されてきた.加えて,内視鏡機器の洗浄・消毒法の検討もおこなわれ,事実上,PE-AGMLは十分な内視鏡の消毒により激減してきた.したがって今日では,PE-AGMLは内視鏡機器の不十分な消毒によって介在される微生物感染が主因であり,その中でH,pylori感染が中心をなしているのではないかと考えられるようになってきた.
  • 道伝 研司, 白崎 信二, 武田 孝之, 高山 英之, 北島 竜美, 林 裕之, 細川 治, 渡辺 国重, 津田 昇志
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2044-2050
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    右側結腸の手術既往のない227例を対象とし,通常内視鏡観察では発見できない上行結腸の病変がどの程度存在するのか棚した.盲腸から肝弯曲部までを通常観察した後,盲腸で内視鏡スコープ(PCF)を反転させ,そのまま引き抜きながら肝弯曲部まで観察した.通常観察で発見された病変は64病変であった.一方.通常観察では発見されずに反転引き抜き観察で初めて発見された病変は病変あつた.8病変のほとんどが5mm以下の病変であったが,10mmの亜有茎性ポリープが1病変,6mmの平坦隆起が1病変,通常観察で見逃されていた.すなわち,通常の内視鏡検査では上行結腸の腫瘍の11.1%が見逃されていた.
  • 堀本 満智子, 国崎 主税, 滝本 篤, 渡会 伸治, 山岡 博之, 嶋田 紘, 中谷 行雄
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2051-2057
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    今回いわゆる癌肉腫の1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.嚥下困難を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査で食道ImEi左側壁に隆起性腫瘤を認め,生検でcarcinosarcomaと診断された.右開胸開腹胸部食道切除術,胸骨縦切開による3領域郭清術を施行した.組織像は,扁平上皮癌,巨細胞,肉腫細胞などが混在し,癌腫から肉腫成分への移行像がみとめられたごとより,いわゆる癌肉腫であると診断した.
  • 伊藤 高広, 松尾 祥弘, 山田 麗子, 平井 都始子, 岩井 智郎, 應田 義雄, 佐々木 義明, 高橋 仁志, 大石 元, 打田 日出夫
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2058-2063
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    40歳の女性.人間ドックで胃ポリープを指摘され,上部消化管内視鏡検査を施行.十二指腸球部前壁に発赤と緊満感を有する小隆起性病変を認め,生検でカルチノイドと診断された.内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行し,表層のごく一部にカルチノイドの所見を認め,局所切除し得たと考えられた.腫瘍径は2×2mm大であった.十二指腸球部に発赤と緊満感を有する病変を認めた場合はカルチノイドを疑い積極的に生検を行い,小病変ではEMRをも考慮すべきことが示唆された.
  • 引地 拓人, 大久保 義光, 江尻 豊, 大山 仁, 本田 秀和, 麦倉 正敏, 成田 竜一, 落合 浩暢, 中野 重一, 小原 勝敏, 粕 ...
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2064-2068
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の女性.主訴は腹痛,食欲低下.上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部の発赤・腫大が認められ,生検にて悪性リンパ腫とくにMALTリンパ腫が強く疑われた.超音波内視鏡では第3層に主座を有する均一の低エコー腫瘤として認められ,Gaシンチでも同部位に集積像がみられ,画像上も悪性リンパ腫として矛盾しないものであった. 十二指腸原発MALTリンパ腫は本邦で3例の報告があるが,乳頭部原発の報告例はなく,欧米でもVentrucciらが報告しているのみであり,きわめて稀な症例と考えられた.
  • 木村 聖路, 鈴木 和夫, 相沢 中, 金沢 洋, 田中 正則
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2069-2075
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は32歳女性.昭和59年から十二指腸潰瘍を指摘されている.昭和63年に不全型ベーチェット病と診断され,平成6年には回腸末端に数個の類円形小潰瘍が認められた.平成5年4月から平成6年9月までに十二指腸潰瘍(球部下壁の地図状不整潰瘍)からの吐血が計4回あり,入院を繰り返した.いずれもプロトンポンプ阻害剤で止血されたが,8年間にわたる抗潰瘍剤投与にもかかわらず難治性であった.随伴して認められた胃前庭部多発アフタも出没を繰り返した.組織像は胃,十二指腸とも慢性活動性炎症所見のみでHelicobacter pyloriは陰性だった.ステロイド,NSAIDsの服用歴もないことから,べーチェット病の胃・十二指腸病変を呈した稀な症例と考えられた.
  • 鈴木 誠祐, 砂山 敬之, 佐々木 高, 木曽 尊彦, 高木 慎二郎, 立古 浩雅, 三好 健司, 水野 元夫, 辻 孝夫
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2076-2080
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.1987年に大腸内視鏡で肝彎曲部付近に粘膜下腫瘍を指摘された.この腫瘍は8年の経過観察中畔球状から広基性を経て亜有茎性へと形態の変化をきたした.著者らはこの変化の過程を内視鏡的に観察し,内視鏡的に切除することができた.病理組織所見は大腸脂肪腫であった.この形態変化は粘膜下層に発生した腫瘤が腸管運動により内腔へ押し出され,偽茎を形成する過程をとらえたものと考えられた.
  • 小倉 真美, 久保田 佳嗣, 高岡 亮, 中橋 佳嗣, 金 英幸, 山本 伸, 辻 和之, 柴谷 伸行, 水野 孝子, 井上 恭一
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2081-2085
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    80歳女性,黄疸の精査加療目的にて入院.腹部超音波及び腹部CT検査にて胆管閉塞を疑われERCPを施行したところ,下部胆管に嵌頓した巨大結石が観察された.結石の上流側より造影剤注入を行ったが,上部胆管の走行は不明であった.胆嚢頸部でバルーンカテーテルを拡張させて行ったバルーン閉塞性胆管造影により,胆嚢頸部から総肝管が描出され,さらに左右肝管及び肝内胆管が描出された.この所見より,胆嚢肝管と称される稀な胆道奇形と診断された.
  • 池田 房雄, 山本 和秀, 藤岡 真一, 岡本 良一, 氏家 浩三, 三宅 正展, 藪下 和久, 宮下 真奈備, 島田 典明, 河野 博行, ...
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2086-2090
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    39歳女性.関節痛で近医受診時,ALT異常を指摘された.HBs抗原陽性,組織学的に慢性肝炎の所見を認めたため,B型慢性肝炎懸疑われ加療されるも,ALT異常が続いた.抗核抗体320倍陽性で自己免疫性肝炎の合併を疑い,腹腔鏡検査を施行.粗大起伏と広範陥凹を認めた.特徴的な腹腔鏡像より自己免疫性肝炎と診断し,ステロイド治療を開始したところ,ALTは正常化した.腹腔鏡検査がB型慢性肝炎との鑑別に有用であった.
  • 藤森 芳史, 石田 公孝, 藤森 千恵, 宮城 彰, 武川 建二
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2091-2096
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.平成8年9月3日心窩部痛を主訴に当院へ入院した.肝胆道系酵素と膵酵素の上昇があり,またUS, CT上著明な胆管拡張と軽度の膵腫大を認めた. ERCPでは膵胆管合流異常がみられ,拡張した共通管内には結石と思われる透亮像を認めた.分流手術の同意が得られず経過観察したところ,半年間に2度の急性膵炎発作を繰り返したため,内視鏡的に乳頭を拡張後,膵石を除去した.術後は膵炎発作はなく,経過良好である.
  • 志村 純一, 菅野 聡, 須田 浩晃, 浮田 雄生, 石黒 淳, 小川 聡, 佐藤 正弘, 前谷 容, 五十嵐 良典, 酒井 義浩
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2097-2103
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性.右側腹部痛,褐色尿,黄疸があり来院.CTで膵頭部と膵胆管の共通管に結石があり,主膵管と総胆管の拡張を伴っていた.膵石の乳頭部嵌頓による閉塞性黄疸と診断した.内視鏡的に乳頭膨大部切開術を施行し,最大径10mmの白色結石(炭酸カルシウム結石)を除去した.除去後のERCP所見上,総胆管内に結石像はなかった.残存した膵石に対しESWLを行い,完全截石が得られた.術後経過良好であり,嵌頓膵石による閉塞性黄疸にも積極的に内視鏡治療を行うべきと考えた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1999 年 41 巻 9 号 p. 2107-2110
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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