日本消化器内視鏡学会雑誌
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42 巻, 12 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 小川 健治, 成高 義彦, 島川 武, 我妻 美久, 勝部 隆男, 梶原 哲郎
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2241-2248
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術(TIPS)の長期経過観察における留意点や予後について,自験例の成績を中心に概説する.TIPSにより門脈圧は40~50%低下し,静脈瘤出血に対する止血率は95%以上であった.合併症は肝性脳症を除くと10数%程度であるが,血管損傷を伴うものには致死的な場合もある.肝機能への影響は少ないが,高度な肝機能障害例では肝不全に移行する可能性がある.静脈瘤や腹水に対する効果はシャント機能に依存する.経過観察中,シャントの機能不全は40~70%と比較的高率に発生するが,経皮的血管形成術(PTA)で回復が可能で,超音波カラードップラ法(CDUS)などによる早期発見が重要である.長期予後は,最長6年以上の生存例もみられ,生存率は1年70%,3年60%,5年40%前後である.肝移植への移行例は本邦では少ないが,欧米では30%程度である.安全性の向上や適応の確立などの課題は残るが,本治療法は,難治性静脈瘤や難治性腹水の有効な治療手段の一つとして臨床的意義は高いと考えられる.
  • 田村 茂行, 岸 健太郎, 吉田 浩二, 松山 仁, 小林 研二
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2249-2255
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1996年7月より1998年12月に食道癌性狭窄患者13例に対し,Ultraflex stentを使用し有用性と合併症について検討した.全例で目的部位への挿入が可能で,挿入後1週間以上続く疼痛は2例,挿入3日目での発熱は肺炎を合併した1例のみに認められた.食事摂取量と摂取食種は肺炎を合併した2例以外で改善した.ステントの拡張力不足による狭窄が2例,腫瘍のingrowthが1例,食道気管支瘻が1例に認められたがstent in stentで対応した.経過中肺炎は8例に認められ,死因も肺炎が7例と半数を占めた.退院できたのは7例54%で,在宅治療移行率は十分とは言えなかったが,患者の満足が得れなかったのは重篤な合併症の3例のみであった.全症例の挿入後期間は中央値95日(13-428日)であった.QOL改善のためには,挿入時に合併症を起こさないこと,ステントの合併症に対しては迅速に対応すること,原疾患に対する治療を継続することが必要と思われた.
  • 芳金 弘昭, 肥田 野等, 榊原 啓, 綾川 忠男, 滝 徳人, 水野 一明, 内田 博起, 荒川 大吾, 横井 太紀雄
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2256-2262
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は43歳,男性.平成5年に胃粘膜下腫瘍を指摘され,平成11年に生検でカルチノイドと診断された.精査にて腫瘍は胃体中部後壁に位置する径9mm,深達度smの一単発性胃カルチノイドでA型胃炎と関連していた.ガイドチューブ付き透明キャップを用いて内視鏡的吸引粘膜下切除術を施行した.良好に切除され,9カ月後遺残,再発所見を認めていない.A型胃炎に関連した胃カルチノイドは一般に低悪性な腫瘍であり,悪性度に応じた治療が選択されるべきであると考えられた.そしてこの方法は粘膜下層に埋まった径1cm程度の病変の切除に有用であると考えられた.
  • 西野 隆平, 柿木 嘉平太, 竹森 康弘, 野田 八嗣, 小林 弘信, 松木 伸夫
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2263-2267
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は57歳男性.1992年7月と1994年3月に胃体上部後壁の出血性潰瘍を認めている.1994年12月には,潰瘍は疲痕化していたものの,Helicobacter pylori(HP)陽性のため,除菌治療が施行された.潰瘍搬痕部の生検では悪性所見は得られなかった.除菌治療は成功したものの,1996年7月に同部位に潰瘍再発を認めた.その際HPは陰性が持続していた.1998年9月,再び同部位に潰瘍再発を認め,HPは陰性であったが,生検ではgroupIVであった.その後の内視鏡検査再検では,潰瘍は治癒し,広範IIb様早期胃癌を呈していた.癌境界不明のため,1998年10月胃全摘出術が施行された.HP陽性胃潰瘍例では,除菌成功後も,特に潰瘍再発を繰り返す例では胃癌の発現に注意する必要がある思われた.
  • 伊藤 清顕, 平嶋 昇, 榊原 健治, 新海 登, 長谷川 泉, 木村 吉秀, 吉水 俊洋, 糠谷 治彦, 山内 学
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2268-2272
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は88歳,女性.貧血および消化管出血により当科入院.食前には不明であったが,少量の食事を負荷した後の上部消化管内視鏡検査では,胃前庭部毛細血管からの出血を認め,Dif-fuseantralvascularectasia(DAVE)と診断することができた.広範胃切除術を施行し,貧血の改善および消化管出血の消失を認めた.DAVEの診断に食事負荷後の内視鏡検査が有用であり,手術はDAVEの根治的治療と考えられた.
  • 前田 和弘, 小山 泰寛, 西村 宏達, 青柳 邦彦, 瀬尾 充, 岡田 光男, 中山 吉福, 中村 祐一
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2273-2278
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は71歳,男性.下血を主訴として当科へ入院となった.上部消化管X線内視鏡検査にて十二指腸球部に有茎性の隆起病変を認め,頭部に数カ所の浅い潰瘍を認めた.超音波内視鏡検査(EUS)では腫瘍は第3層に連続しやや高エコーレベルの充実性腫瘍で内部に嚢胞性変化を伴っていた.内視鏡的にポリペクトミー施行した.回収した腫瘍の大きは30×28×20mmで,異型のないBrunner腺よりなり内部に拡張した腺管を認めBrunner腺過形成と診断した.自験例で認めたEUS像は(充実性腫瘤とその内部の嚢胞性変化)はBrunner腺過形成に特徴的所見と考えられた.
  • 館花 明彦, 福田 直人, 酒井 滋, 山川 達郎, 永山 淳造, 吉良 邦彦, 鶴谷 孝, 脇坂 季繁, 秋山 竹松
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2279-2283
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は58歳,女性.大量下血と貧血にて入院した.小腸出血と診断し,手術を施行した.術中内視鏡にて,Bauhin弁から約60cm口側の回腸に潰瘍を認め,小腸部分切除を行った.病変部潰瘍は単発で5×3mmの楕円型,UI-IIで細胞浸潤は軽度,感染症はなく,特異的な疾患,Crohn病,Behcet病なども除外されたことから,非特異性単純性小腸潰瘍と診断した.非特異性単純性小腸潰瘍は稀な疾患で,現在のところ原因は不明である.今回,病変部の確認および切除範囲の決定に際して術中内視鏡が有用であった本疾患の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
  • 馬場 洋一郎, 本山 展隆, 本間 照, 小林 正明, 五十嵐 正人, 馬場 靖幸, 田代 和徳, 鈴木 裕, 杉村 一仁, 成澤 林太郎, ...
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2284-2288
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は75歳女性.C型肝硬変の経過観察中,便潜血持続陽性と徐々に進行する鉄欠乏性貧血(Hb5.5g/dl)が出現した.上下部消化管内視鏡,小腸造影,小腸内視鏡,出血シンチにより,回盲部付近に多発するvascular ectasia(VE)が出血源として最も疑われた.VEに対し内視鏡的粘膜切除術を施行し,貧血の改善を認めた.肝硬変患者では門脈圧亢進症性腸症も出血源の1つとして考慮すべきと考えられた.
  • 柿原 瑞穂, 光藤 章二, 若林 直樹, 児島 謙作, 中村 斉, 山下 靖英, 古志谷 達也, 加藤 啓明, 今村 陽一, 木村 修, 岩 ...
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2289-2293
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は5歳の男児.遺伝性球状赤血球症にて経過観察中に右季肋部痛と黄疸が出現し,血液検査上血清ビリルビン値と肝胆道系酵素の上昇がみられ,腹部CT,超音波検査にて胆嚢結石と総胆管結石を認めた.溶血性貧血に伴う胆嚢結石とその総胆管内への落下と考え,乳頭機能温存の立場から内視鏡的乳頭バルーン拡張術(Endoscopic Papillary Balloon Dilatation:以下EPBD)下に総胆管結石除去術を施行した.それにより,腹腔鏡下に胆嚢摘出術及び脾臓摘出術を施行することができ,侵襲を比較的小さくすることが可能であった.小児の総胆管結石の治療として,EPBD下の内視鏡的結石除去術は手術侵襲を小さくする上でも乳頭機能温存の意味でも有用と考えられた.
  • 金子 栄蔵, 小越 和栄, 明石 隆吉, 赤松 泰次, 池田 靖洋, 乾 和郎, 大井 至, 大橋 計彦, 須賀 俊博, 中島 正継, 早川 ...
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2294-2301
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 12 号 p. 2305-2308
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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