近年高解像力の内視鏡が開発され,胃体部全体に微細発赤点が整然と配列している症例をしばしば経験し,近接観察にてこれらは粘膜を貫く集合細静脈と推定した.この所見をregular arrangement of colleting venules(以下RAC)とし,胃粘膜の萎縮パターンがClosedの症例242例を用い,前庭部と胃体部より生検し,ウレアーゼ・テストまたは培養および組織学的に検討しRACとH.pylori(以下HP)との相関を検討した.RAC(+)は92例,その内,HP(-)は88例(95.7%)であり,RAC(-)は150例でその内,HP(+)は141例(94%)であった.さらに,RACの微細発赤点が集合細静脈であることを確認するためRAC症例の29例を拡大内視鏡にて観察し,それらが集合細静脈の透見像であること,さらに集合細静脈の周囲には真性毛細血管がネットワークを形成し,その中心にgastricpitsを認める像を観察しえた.以上の結果よりRACはHP陰性正常胃における胃底腺粘膜の・典型的内視鏡像と考えられた.
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