日本消化器内視鏡学会雑誌
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42 巻, 10 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 中村 孝司
    2000 年 42 巻 10 号 p. 1965-1976
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の,日常における内視鏡観察の中から,気にかかったいくつかの点をとりあげ検討するとともに,それらと関連した病態生理にかかわる教室の基礎的検討の成績を紹介した.その内容は,次の通りである.1..1'二指腸潰瘍の瘢痕(S'2)について.2.認識されなくなる胃潰瘍瘢痕.3.潰瘍の大きさと治癒率の関係.4.維持療法と潰瘍再発.5.維持療法とH2RAの耐性.6.NSAIDの関与.7.プロスタグランディン産生における肥満細胞の関与.8.高齢者潰瘍.9.H.pyloriと潰瘍の再1発.10.H.pylori除菌と内視鏡的胃炎像の変化.11.H.pyloriとinterleukin-8.12.interleukin-8の分泌機序.13.潰瘍の自然史について.
  • 八木 一芳, 中村 厚夫, 関根 厚雄, 後藤 俊夫
    2000 年 42 巻 10 号 p. 1977-1987
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年高解像力の内視鏡が開発され,胃体部全体に微細発赤点が整然と配列している症例をしばしば経験し,近接観察にてこれらは粘膜を貫く集合細静脈と推定した.この所見をregular arrangement of colleting venules(以下RAC)とし,胃粘膜の萎縮パターンがClosedの症例242例を用い,前庭部と胃体部より生検し,ウレアーゼ・テストまたは培養および組織学的に検討しRACとH.pylori(以下HP)との相関を検討した.RAC(+)は92例,その内,HP(-)は88例(95.7%)であり,RAC(-)は150例でその内,HP(+)は141例(94%)であった.さらに,RACの微細発赤点が集合細静脈であることを確認するためRAC症例の29例を拡大内視鏡にて観察し,それらが集合細静脈の透見像であること,さらに集合細静脈の周囲には真性毛細血管がネットワークを形成し,その中心にgastricpitsを認める像を観察しえた.以上の結果よりRACはHP陰性正常胃における胃底腺粘膜の・典型的内視鏡像と考えられた.
  • 横井 健二, 村上 望, 平野 誠, 宇野 雄祐, 野澤 寛, 川口 雅彦, 伊藤 祥隆, 橘川 弘勝, 増田 信二
    2000 年 42 巻 10 号 p. 1988-1993
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.進行胃癌に対する根治術後9カ月目に右側舌根部への転移,肝転移および右側頸動脈周囲リンパ節転移を認めた.CDDP+5FUによる全身化学療法を施行し,舌根部の転移に対してはCR,右頸部リンパ節転移に対してはPR,肝転移に対してはNCだった.胃癌の舌への転移は,本邦では1999年までに2例しか報告がなく,極めて稀な症例と考えられたので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 茂森 昌人, 浅井 哲, 東 克己, 光田 憲彦, 西川 浩史, 大谷 由利子, 井上 文彦, 西田 修, 古川 裕夫, 水本 孝
    2000 年 42 巻 10 号 p. 1994-1999
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は79歳女性.感冒症状を主訴に来院.血液検査でHb4.8g/dl,Hct14.3%と高度の貧血を認め,精査加療目的で入院となった.上部内視鏡検査で,胃体部中心にびまん性の血管拡張と同部からの出血を認め,非典型的なDiffuse antral vascular ectasia(DAVE)と診断した.DAVEに対しマイクロ波凝固療法を施行し,輸血をすることなく貧血は著明に改善した.自験例では通常のDAVEと異なり,病変が胃幽門前庭部にはほとんど認められず,胃体部中心に認められた.本症例は,従来言われてきた前庭部病変と関連した発生機序では説明できず,DAVEの発生機序を考えるうえで示唆に富む症例と考えられた.
  • 杉本 直俊, 奥野 優, 柏原 赳
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2000-2005
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    側視鏡が内視鏡的止血治療に有用であった十二指腸憩室出血の2症例を経験したので報告する.症例1は,吐下血を主訴とする70歳男性.脳梗塞の既往がありアスピリンを服用していた.傍乳頭憩室内のびらんからの出血でエピネフリン加高張食塊水(HSE)局注2mlにて止血した.症例2は,吐下血を主訴とする82歳女性.慢性関節リウマチにてNSAID(Loxoprofen Sodium)を服用していた.下十二指腸脚憩室内の露出血管からの出血で,HSE局注4mlにて止血した.十二指腸憩室出血1は部位診断が困難であり,治療の際に直視鏡ではその内腔の視野確保が困難なことが多いが,斜視鏡または側視鏡にて再観察すると十分な視野確保が可能となり,処置がスムーズに行えることがある.斜視鏡または側視鏡を用いた本邦での記載例は本2例を含めても4例と少ない.
  • 齋藤 哲朗, 渡辺 純夫, 白井 孝之, 牛山 淳, 永田 順子, 斯波 忠彦, 本多 達也, 三輪 剛, 貞廣 荘太郎, 堤 寛, 佐藤 ...
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2006-2011
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.S状結腸に直径3cm大の粘膜下腫瘍を認め,組織学的にmucosa-as-sociated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫と診断された.横行結腸にEMR不可能な早期大腸癌を同時に認め,S状結腸・横行結腸部分切除術にて治療した。鑑別疾患の直腸扁桃とともに大腸MALTリンパ腫の治療について検討した.報告例ではEMRも含め手術的切除が施行されており,今後の長期予後の検討が重要であると考えられた.
  • 稲垣 貴史, 竹下 健也, 谷 能之, 楠神 和男
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2012-2019
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    著者らは,イレウス症状を呈した根治手術可能な2例(直腸狭窄,下行結腸狭窄)と根治手術不能な3例(直腸狭窄,s状結腸狭窄,横行結腸狭窄)の大腸悪性狭窄に対し,大腸内視鏡下に自己拡張型金属ステントを挿入し,全例で合併症なくイレウス症状を解除することができた.根治手術可能な2例は充分な腸管洗浄と口側大腸の検索の後に待機手術をすることができ,根治手術不能な3例は,死亡するまで人工肛門を造設することなく自力排便が可能でありQOLの向上が得られた.ステント療法は悪性大腸狭窄に対し有用な方法で,狭窄解除の第一選択肢になると考えられた.
  • 横田 孝一, 高橋 康雄, 山田 康之, 中村 とき子, 村上 系, 新谷 直昭, 斉藤 忠範, 山城 勝重, 佐々木 宏嘉
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2020-2025
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.平成4年7月,腎細胞癌にて,右摘出術を.施行.インターフェロン療法を受けていたが,平成8年7月肺転移を認め部分切除を施行.平成10年4月頃より心窩部痛が川現し,胃内視鏡検査にて約8mm大の中心陥凹を伴う山田II型のポリープ様病変を認めた.超音波内視鏡にて深達度mであったため,内視鏡的胃粘膜.切除術を施行した.回収標本の病理所見と腎癌の原発巣及び肺.転移巣の病理所見より,腎細胞癌の胃転移と診断した.
  • 戸澤 智浩, 三澤 裕之, 今泉 和臣, 牧野 直彦, 秋山 直, 齋藤 勝, 白幡名 香雄, 本田 悌一朗, 新沢 陽英, 高橋 恒男, ...
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2026-2030
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.急性膵炎のため近医で保存的治療を受けていたが,膵仮性嚢胞が消退せず当科紹介された.膵体尾部の径約70mmの仮性嚢胞に経皮的嚢胞穿刺,吸引を行ったが,その後増人傾向を認めたため内視鏡的経胃的膵嚢胞ドレナージを施行した.膵管との交通があり嚢胞は径30mmより縮小せず,酢酸オクトレオチドを使用したところ速やかに消失した.本症例はドレナージのみで治癒せず,酢酸オクトレオチドの併用が有効であった.
  • 福間 博基, 内田 尚仁, 江崎 徹, 松岡 裕士, 小原 英幹, 西岡 幹夫
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2031-2035
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    合併症を軽減し,胆管への挿管率を向上させる目的で,ガイドワイヤーの使用が可能な新しいプレカット用ナイフを試作した.ナイフは1mmの先端が細くテーパリングされたpull type(ブレード長20mm)で,造影用のルーメンとともに,0.025inchのガイドワイヤーが使用可能なルーメンも有している.通常のERCPで挿管が困難であった治療内視鏡目的の2症例に使用し,プレカットを行いながら適宜造影剤の注入とガイドワイヤー操作を繰り返すことで速やかにdeep cannulationに成功した.従来のものと比較して手技に要する時間を短縮することにより患者の負担や合併症を軽減できると考えられた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 10 号 p. 2041-2050
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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