日本消化器内視鏡学会雑誌
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42 巻, 7 号
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  • 中村 常哉, 中村 栄男
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1163-1176
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    消化管MALTリンパ腫の内視鏡像と病理診断の現状について,胃・大腸のMALTリンパ腫を中心に解説した.胃MALTリンパ腫の内視鏡像は多彩であり,多発潰瘍・びらん・cobblestone粘膜・褪色調粘膜・早期癌類似病変・粘膜下腫瘤様隆起・皺襞肥厚などを呈し,複数の所見を有することも多い.それらはH.pylori除菌療法に反応して萎縮粘膜所見を呈するが,半胡莫下腫瘤様隆起は反応しがたい.大腸MALTリンパ腫の内視鏡所見は隆起型が主体であり,腫瘍の主たる増殖の部位は粘膜下層以下にある.胃MALTリンパ腫に対するH.pylori除菌療法の組織学的な効果判定の問題はGrade3の解釈にあり,判定基準の統一が望まれる.MALTリンパ腫という診断名は低悪性度病変に限られるべきである.胃の表層性MALT型リンパ増殖性病変に対しては,まずH.pylori除菌療法に対する反応性を見た上で,その後の治療法の選択がなされるべきである.
  • 鷲尾 和則, 井熊 仁, 斉藤 圭治, 和田 亮一, 水野 健彦, 水野 英雄, 光島 徹, 加納 宣康
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1177-1184
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過去15年間の全大腸内視鏡による検診で発見された大腸癌142症例を,経年発見癌と初回発見癌とに分けて比較検討した.経年発見癌は初回発見癌に比べて近位大腸に多く存在し,企大腸の観察が重要であることが確認された.また,より小さく早期の癌の割合が高いことから,内視鏡的粘膜切除術で完全切除可能な症例が多く,より小さい侵襲で根治が得られた.また,sm3以深浸潤のため外科手術が行われた経年発見癌8例(24.2%)のうち5例は表面型腫瘍,2例は肝彎曲および脾彎曲部の進行癌で,これらの中には注腸X線によって初めて診断できた病巣も存在した.この事実は,大腸内視鏡を行う際,表面型腫瘍の存在に特に注意すること,内視鏡の盲点となる屈曲部に隠れた病巣を見落とさないよう注意すること,検診初回の便潜血陽性者には注腸X線を併用するか,少なくとも逐年で内視鏡を行うことが,偽陰性率の減少に重要であることを示唆している.
  • 毛利 靖彦, 松本 好市, 木村 光政, 梅枝 覚, 北川 達士, 寺島 秀樹, 入山 拓平
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1185-1189
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍を合併した柿胃石の1例に対し,電気水圧衝撃波を用いた内視鏡的破砕術を施行した.胃石が破砕されるとともに併存した胃潰瘍を治癒させることができた症例を経験したので報告する.症例は,57歳女性で上部消化管内視鏡検査,および上部消化管造影検査にて,5.0×8.2cm大の胃石と胃角部にA2胃潰瘍を認めた.鉗子あるいはレーザーを用いて胃石破砕を試みたが,硬い外郭のため,破砕できなかった.そこで,電気水圧衝撃波を用いたところ,容易に破砕することができた.胃潰瘍は砕石終了後,約4週間でS2となった.電気水圧衝撃波による胃石破砕の報告は過去3例のみであるが,胃石の内視鏡的治療において,特に硬い外殻をもつ柿胃石に対しては極めて有効な方法であると考えられた.
  • 西野 隆平, 竹森 康弘, 野田 八嗣
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1190-1197
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は,糖尿病の70歳女性で,1年前の上部消化管内視鏡で異常なく,その後1年の経過で誘因はなく食欲不振,体重減少,脱毛,爪甲萎縮,皮膚色素沈着が出現し入院した.入院時血清総蛋白は5.7g/dlと低下,上部・下部消化管内視鏡検査にて広範な炎症性ポリープの多発をみ,Cronkhite-Canada症候群と診断した.ステロイド及び抗プラスミン剤の投与にて,上記所見はいずれも約5カ月以内に著明に改善した.
  • 野島 啓子, 田利 晶, 麻奥 英毅, 刈屋 憲次, 山岡 義文, 古川 善也, 野川 靖二, 山本 昌弘, 松本 能里, 木戸 晶孔, 藤 ...
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1198-1201
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性.健診胃透視で異常指摘.近医の内視鏡検査で胃体中部から前庭部のびらんを認め,生検診断にてmalignant lymphomaが疑われた.転居の為,当科紹介受診.胃角部前壁の褪色調の凹凸顆粒状粘膜からの生検にて, signet-ring cell carcinomaと診断し,幽門側胃切除術施行した.病理組織学的検索の結果,最終的にはSignet-ring cel1様変化を伴ったlymphoe-pithelial lesion(LEL)の形成を示す胃MALTリンパ腫と診断された.このような胃MALTリンパ腫は臨床病理学的に診断上示唆に富む重要な症例と考え報告した.
  • 青木 哲哉, 大川 清孝, 追矢 秀人, 佐野 弘治, 根引 浩子, 針原 重義, 佃 博, 井上 健, 藤本 泰久, 松本 誉之
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1202-1206
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.人腸ポリープ精査加療目的にて当院を紹介された.大腸内視鏡検査が約1カ月ごとに計3回施行され,表面平滑な約4mm大のIs型ポリープの不整な変形,ポリープ周囲の発赤を伴った膨隆が観察された.粘膜切除を施行したところ粘膜内に表層に中分化をまじえた低分化腺癌を認めた.腫瘍は粘膜筋板を越えていなかったが,粘膜下にリンパ管侵襲像を認めたため追加手術が施行された.脈管侵襲像は周囲脂肪組織のリンパ管内におよんでいた.最終診断は,Poorly differentiated adenocarcinoma, ss, ly(3), v(1), N3 (StageIIIb)であった.
  • 岩井 啓一郎, 松本 主之, 廣田 千治, 今永 至信, 坂田 則行, 八尾 隆史, 藤島 正敏, 飯野 耕三
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1207-1212
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は91歳,.女性.腹痛,下血を主訴に緊急入院となった.大腸内視鏡検査でS状結腸から盲腸に至るまで全周性で壊死物質に覆われた浮腫状粘膜を認めたため,虚血性腸病変を考え保存的に治療したが第11病日に死亡した.剖検所見では,回腸と全大腸に虚血性病変に合致する所見が認められ,加えて下腸間膜動脈が欠損していたことが判明した.以上より上腸間膜動脈の血流低下が広範な虚血性病変を来たしたと推測された.
  • 中沢 和之, 谷口 友志, 中江 遵義, 勘野 貴之, 向林 知津, 生馬 和樹, 熊本 光孝, 岡 陽子, 石原 靖士, 清水 達也, 土 ...
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1213-1217
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.下腹部痛,血性下痢便を主訴として受診.下行結腸からS状結腸にかけて浮腫を伴う縦走性の発赤所見が認められ,虚血性大腸炎と診断した.その10カ月後と16カ月後に同様の症状があり,内視鏡検査で,同様の診断が下された.本例は過敏性腸症候群の病歴があり,さらに下部消化管造影検査にて多発性左側結腸憩室を指摘されており,蠕動運動や腸管内圧の異常亢進が潜在し,短期間における2度の再発に腸管側因子の関与の口可能性が考えられた.短期間に3回の再発はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
  • 亀水 忠, 宗本 義則, 藤沢 克憲, 笠原 善郎, 三井 毅, 浅田 康行, 飯田 善郎, 三浦 将司, 藤沢 正清, 月岡 照晴
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1218-1222
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.1998年8月の大腸集団検診で便潜血腸性を指摘され,近医を受診した.全大腸内視鏡検査で,回盲弁対側に直径20×15mmのIps型のポリープを認め,生検で中分化腺癌と診断された.1カ月後,手術目的に当院に転院し,注腸検査を施行したところ,同部位のIP病変は,集中および周辺隆起を伴うIIa+IIc病変に変化していた.全大腸内視鏡検査では同部位に1cm大の粘膜集中を伴う陥凹性病変を認めた.腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した結果,病変に腫瘍組織は残存せず肉芽組織のみを認めた.本例は早期大腸癌が術前に何らかの理由で消失した極めて稀な症例と考えられる.
  • 糸井 隆夫, 篠原 靖, 武田 一弥, 中村 和人, 武井 和夫, 清水 雅文, 真田 淳, 齋藤 利彦
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1223-1229
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.発熱,黄疽にて当科を受診.腹部USで総胆管拡張と結石像を認め,加療目的にて入院となった.PTCDルートから結石を除去した後も,胆道造影では造影剤の著しい排泄遅延が認められ,胆道シンチの所見とあわせて乳頭機能不全が疑われた.また経皮経肝胆道スコープ(PTCS)にて総胆管末端部を観察したところ,蠕動に伴い乳頭部が総胆管内に嵌人する像を認めた。悪性所見は認めないものの,病態改善のためPTCS下に乳頭切開術を施行した.術後は造影剤の十二指腸への流出は良好となり症状も改善した.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1234-1252
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 7 号 p. 1253
    発行日: 2000/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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