日本消化器内視鏡学会雑誌
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42 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 中島 卓利, 安武 晃一, 西崎 朗, 廣畑 成也, 堀田 和亜, 田村 孝雄, 石井 新, 神田 一, 桃井 美華子, 中江 史朗
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1289-1297
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸腫瘍内視鏡的摘除後3年以内に2回のサーベイランスを施行した273症例を対象に,サーベイランス時に発見した腫瘍性病変の検討を行った.一症例あたり3.88±0.20病変摘除後,初回(平均8.73カ月後)のサーベイランス時に1.05±0.08病変,2回目(平均22,6カ月後)のサーベイランス時には0.58±0.06病変を認め,初回に比べ2回目は有意に減少していた(p<0.001).摘除病変の個数が多数になるほどサーベイランス時に病変が発見される割合が有意に高率となったが,摘除病変の紺織学的異型度,大きさとの問には明らかな関連は認められなかった.摘除病変に比べ,サーベイランス時に発見された病変では,低異型度,5mm未満,表面型,右側結腸の病変が有意に多くみられた.内視鏡的摘除時及び2回のサーベイランスの計3回の内視鏡検査で認めた全病変のうちサーベイランス時に発見した病変を新生・見逃し病変とみなすと,新生・見逃し率は全体で29.4%で,高度異型腺腫・癌または5mm以上の病変では9.0%であった.以上の成績よリ,内視鏡的摘除後のサーベイランスは少なくとも3年以内に行うべきであり,特に多発例では慎重な経過観察が必要であると考えられた.
  • 大下 恭弘, 大津 直山, 大田 将弘, 今村 道雄, 金 宣眞, 政永 敏之, 平野 巨通, 中島 浩一郎
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1298-1303
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.胃集検の二次検査として施行された内視鏡検査で最長2.5cmにわたるBarrett食道部に15mm大の表面小結節状,0-IIa型の隆起性病変を認め,生命でdysplasiaであった.メチレンブルー染色では隆起は淡く染色され,その肛門側は濃染された.内視鏡的粘膜切除術を施行し,組織学的に高分化管状腺癌(低異型)であり,周囲粘膜に腸上皮化生を認めた.Barrett食道の腸上皮化生およびdysplasiaの診断においてメチレンブルー染色が有用と思われ報告する.
  • 飯川 恵, 里村 吉威, 橘 良哉, 米島 博嗣, 荻野 英朗, 鵜浦 雅志, 三輪 淳夫
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1304-1309
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.肝硬変,心不全,大動脈弁狭窄症弁置換術後(ワーファリン内服中)で通院中であった.1997年7月タール便とふらつきを主訴に入院.胃内視鏡検査で胃前庭部小彎側に発赤点があり,同部位より血液の流出を認めた.1998年12月再びタール便とふらつきにて入院.胃内視鏡検査で胃幽門部に数十個のoozingを伴う小発赤点をびまん性に認め,Diffuse Antral Vascular Ectasia (DAVE)と診断した.さらに1999年1月11日小発赤点は胃前庭部に広がり,2月3日には胃前庭部の発赤点は明らかに増加する一方,十二指腸球部にも同様の所見を認めた.本例は発症の初期よりDAVEの進展経過を内視鏡的に追跡しえた貴重な症例であり,示唆に富むと考えられた.
  • 佐藤 秀樹, 渡辺 知明, 加藤 公敏, 金田 伸章, 牛山 寿, 松井 輝日月, 川村 典夫, 岩崎 有良, 荒川 泰行, 根本 則道
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1310-1315
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性.上部消化管検査にて十二指腸球部に山田2型様の直径15mmの隆起を1個と,これに近接して直径3~5mmの山田1型様の小隆起を3個,あわせて4個の隆起性病変を認めた.内視鏡下生検では,このうち直径5mmの小隆起1個からのみカルチノイドの診断を得たが,超音波内視鏡所見等から多発性十二指腸カルチノイドを疑い,十二指腸部分切除を行った.術後病理組織診断にて15mm隆起性病変は深達度sm,5mmの小隆起性病変は深達度mのカルチノイド腫瘍と診断された.また,術前血清ガストリン値は高値を示し,切除組織のGastrin染色は陽性であった.多発性十二指腸カルチノイドの報告は,本邦ではこれまでに自験例を含め6例の報告をみるにすぎず,極めて稀な症例でありここに報告した.
  • 上田 博一郎, 占園 己俊, 松元 淳, 有馬 暉勝
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1316-1322
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性.急性扁桃炎の診断で抗生と非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)を投与中,下血した.緊急大腸内視鏡では全結腸に多発潰瘍を認め、盲腸の潰瘍より活動性出血がみられたためクリッピングと純エタノール局注にて止血した.原因としてNSAIDsが疑われた.NSNIDs投与中止後,病変は速やかに改善した.下部消化管出血においても緊急内視鏡は有用であり,原区としてNSAIDsも念頭におくべもと思われせた.
  • 木村 聖路, 鈴木 和夫, 相沢 中, 遠藤 哲, 金沢 洋, 棟方 昭博, 田中 正則
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1323-1331
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.平成10年10月24日に下血のため当科受診.大腸内視鏡検査では片側性の縦走潰瘍と共に肛門輪から40cmにピンホールサイズの高度狭窄があり,それ以上挿入困難だった.生検所見では典型的な虚血性変化を認めた.1カ月後の注腸造影にてS状結腸・下行結腸移行部に内径8mmの狭窄があり,狭窄型虚血性大腸炎と診断した.約2カ月間の保存的治療後も狭窄所見は改善しないため,平成11年1月11日に外科転科した.転科後IVH管理としprostaglandin E180μg/日×5週間の静脈内投与を行ったところ,1カ月後には狭窄所見が改善しスコープ通過可能となったため退院した.平成11年7月12日の注腸造影では内径23mmまで拡張しており,狭窄は治癒していた. prostaglandin E1投与は狭窄型虚血性大腸炎において,検討する価値のある保存的治療の一つと考えられた.
  • 久保川 賢, 久保 宏明, 丸岡 彰, 廣重 嘉一郎, 渡邊 昭博, 松井 謙明, 八尾 隆史, 原川 直彦, 名和 田新
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1332-1337
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.大腸内視鏡検査で,S状結腸に約1cm大の頂部に不整形の陥凹を有するイソギンチャク様の有茎性隆起性病変を認め,早期大腸癌の診断でS状結腸部分切除術を施行した.病理組織学的には深達度sm,ly1,v0の中-低分化型腺癌で,non-polypoid growth型の増殖様式と考えられた.特異的な発育形態を呈した陥凹型由来と考えられる有茎性大腸sm癌の1例を若干の文献的考察を加え報告した.
  • 井上 雄志, 鈴木 茂, 手塚 徹, 山岸 直子, 高崎 健
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1338-1343
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    直腸癌局所切除後の呼発腫瘍に対して透明キャップを川いて内視鏡切除し得た3例を経験したので報告する.症例1は,直腸Rbに約2cmの結節集簇様病変を認め,内視鏡的分割的粘膜切除術を行い,高分化腺癌,壁深達度sm,massiveの診断であった.16カ月後再発腫瘍を認め,透明キャップを用い,2度の吸引切除によって切除し得た,症例2は.直腸Rbに約8cmの結節集簇様病変を認め,経肛門的腫瘍切除術を行いう高分化腺癌.壁深達度mであった.16カ月後再発腫瘍を認め,透明キャップを用い,吸引切除によって内視鏡切除し得た.症例3は,直腸Rbに約5Cmの結節集簇様病変を認め,経仙骨的腫瘍切除術を行い,高分化腺癌,壁深達度sm2,ly1,v0であった.切除後5年後再発腫瘍を認め,透明キャップを用い,吸引切除によって8回の分割切除によって内視鏡切除し得た.3例とも切除.した腫瘍は,高分化腺癌,壁深達度mであった.
  • 高島 東伸, 中澤 三郎, 芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 小林 隆, 中村 雄太, 鵜飼 宏司
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1344-1348
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胆嚢摘出術後の合併症である外胆汁瘻に対する治療処置として実施した経鼻肌管ドレナージ(Endoscopic Nasobiliary Draillage:ENBD)の有川性について報告した.胆嚢摘出術後に生じた外胆汁瘻7例に対してENBDを実施して,腹腔ドレーンの胆汁排出最の減少とENBDチューブの胆汁排出量の増加からENBDの有用性を検討した.7例中6例(85.7%)においてENBDチューブ留置が可能であり,腹腔ドレーンからの胆汁排出が消失した.1例はENBDチューブ留置が困難な症例で再手術となった.治癒した6例において腹腔ドレーンの胆汁排出が消失したのはENBD実施後平均9.0日であった.ENBDの有効性はチューブ留置後2日以内に腹腔ドレーンからの胆汁排出量が減少し,ENBDチューブからの排液量が増加することから確認できる.また,ENBDチューブの先端を漏出部より肝側胆管に置くことが有効と考えられた.胆嚢摘出後合併症としての外胆汁瘻に対して,ENBDは非侵襲的で効果的な処置であることから第一選択と考えられる.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 8 号 p. 1352-1355
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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