症例は39歳,男性.平成11年6月上腹部痛のため入院し,慢性膵炎,膵仮性嚢胞と診断された.以後,禁酒と内服治療で症状なく経過していたが,平成12年1月30日上腹部痛のため再入院した.慢性膵炎の急性増悪と診断し,保存的治療により一時症状は軽快した.しかし,高アミラーゼ血症が遷延し,再度腹痛も増強した.嚢胞ドレナージの目的でERCPを施行したところ,乳頭開口部より出血が認められた.膵管造影では膵頭部に主膵管と交通する嚢胞が造影され,嚢胞内からも血液が吸引された.径6Frのpig tail型ドレナージチューブを,経乳頭的に嚢胞内に留置し持続吸引するとともに,ソマトスタチン誘導体300μg/dayの皮下注投与を行った.症状は速やかに改善し,嚢胞の縮小を確認後,ドレナージチューブを抜去した.退院後も症状の再燃はなく経過観察中である.
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