日本消化器内視鏡学会雑誌
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44 巻, 12 号
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  • 柏木 秀幸
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2059-2069
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    逆流性食道炎を含め,胃食道逆流症に対する腹腔鏡下噴門形成術は,標準的な外科治療として定着してきた.手術適応の中では,PPI維持療法に対する代替え治療としての位置付けが重要である.開腹手術と同等の治療成績が得られるようになってきているが,噴門形成術としては全周性のNissen法と後壁2/3周のToupet法が多く用いられている.Nissen法が標準的な術式となっているが,短食道症例では,Collis胃形成術の付加が必要であり,腹腔鏡下や胸腔鏡下にCollis胃形成術が行われるようになってきている.噴門形成術の各手技の細かい点についての検討や改良が行われているが,再発や嚥下困難などにより,再手術を必要とする症例が見られている.その原因としては,手術適応や術式選択の問題もあるが,手技の習熟度が関係することが指摘されている.近年話題となる経口的経食道的なラジオ波治療や経口的内視鏡下の噴門縫縮治療は,逆流症状やQOLの改善を示しているが,24時間pHモニタリングによる酸逆流防止効果は弱い.その適応は限られるが,魅力的な治療であり,今後の評価が待たれる.
  • 山本 一仁, 小川 芳雄, 瀧田 雅仁, 坂東 功一, 長澤 重直, 吉田 寛, 田尻 孝
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2070-2076
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性,上腹部痛を主訴に来院.既往として2年前より特発性血小板減少性紫斑病を指摘されていたが,自覚症状無く放置していた.胃内視鏡にて,上部食道から胃食道接合部を越え胃内にまで進展した微量の出血を伴う巨大粘膜下血腫を認め,当日入院となる.入院時血小板数は1.6×10/μlであったが,下血・貧血を認めず.血小板輸血,プレドニゾロンによる加療を開始し,血小板増加は不十分であったが保存的に軽快した.2週間後の内視鏡によって上部食道から食道胃接合部に及ぶ広範囲な浅いびらん面の形成を認めた.2カ月後の内視鏡にて,食道粘膜面は浅い陥凹となり,粘膜の再生を認めた. 特発性血小板減少性紫斑病症例の消化管出血は一般的な主訴であるが,食道の粘膜下血腫を呈する症例はまれであり,さらに粘膜下血腫の治癒過程を経時的に観察しえたので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 織田 正, 北出 俊一
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2077-2082
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.25歳時,食道アカラシアの手術既往がある.べーチェット病,糖尿病にて経過観察中,特に誘因なく心窩部痛と39度の発熱が出現.上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に緊満感を有する粘膜下腫瘤様の病変を認め,中心陥凹部より自色膿性物の流出を認めた.膿性物の細胞診では悪性細胞は認めず,多数の好中球を認め培養ではStreptococcus属を認めた。画像検査とあわせて胃壁膿瘍と診断,抗生物質の投与により腹部症状,炎症所見ともに改善した.初回より50日後の内視鏡検査にて食道胃粘膜接合部直上後壁に直径5mmの開孔を確認,胃体上部後壁の粘膜下腫瘤は瘢痕化しており中心陥凹部と食道開孔部との瘻孔を確認した.約4年間の経過観察にても瘻孔の閉鎖傾向は認められていない.
  • 小林 透, 金 栄浩, 船曳 秀, 笹原 寛, 喜田 洋平, 文野 真樹, 川口 雅功, 石井 望人, 森村 正嗣, 石本 喜和男
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2083-2086
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性.健康診断を目的に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,土十二指腸角に長さ15mrnほどの自色管状物の付着を認めた.それを生検鉗子で把持し,回収した.白色.管状物の先端には頭部と思われる隆起があり,寄生虫の虫体と考えた。検討の結果,鉤頭虫類のうちBolbosOlna属の雄の未成熟虫体と判明した.病歴からは同寄生虫の感染経路も不明であり,無症状であった.穿孔には至っておらず,ごく最近の感染が疑われた.消化管内における同種の寄生虫の内視鏡的な確認例の報告はなく,貴重な症例と考え文献的考察を加えて報告した.
  • 坪内 友, 香山 明一, 川西 輝明, 西森 博幸, 後藤 賢一郎, 美馬 聰昭, 高杉 英郎, 今井 希一, 岩男 泰, 日比 紀文
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2087-2094
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は23歳男性.主訴は大量下血.平成11年2月大量下血を契機に診断された小腸大腸型Crohn病で,その後平成12年6月,および12月にも大量下血を認めたが,いずれも内視鏡的に高張食塩水―エピネフリン液 (HSE) 局注およびクリップを用いて止血し得た.現在,5-aminosalycylic acid (5ASA) 3,000mg/日に6-mercaptopurine (6MP) 30mg/日を併用し緩解を維持している.Crohn病の大量出血に対する治療法として外科手術が選択されることが多いが,累積手術率が極めて高く,できる限り腸切除を回避したい疾患である.輸血を必要とするような大量出血を合併した場合においても,内視鏡検査は診断のみならず,治療においても極めて有用であると思われた.
  • 角谷 慎一, 道傳 研司, 海崎 泰治, 細川 治, 前田 重信, 林 裕之, 服部 昌和, 武田 孝之, 渡辺 国重
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2095-2100
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は21歳女性.イレウスにて入院となり,右卵巣腫瘍を併存していた.イレウスが増悪してきた入院第3病日に緊急開腹手術を施行した.腸管の癒着を剥離し,右卵巣を摘出したが,術中にショック状態となり,術後はDICに陥った.第10病日にsteroid投与後に下血が出現し,大腸内視鏡検査を施行した.直腸粘膜は灰白色調で,全周性の浮腫状肥厚がみられ,糜爛や潰瘍が散在していた.直腸粘膜生検及び右卵巣摘出標本より赤痢アメーバ原虫が検出され,metronid-azoleによる治療で回復した.劇症型アメーバ性大腸炎の診断は非特異的症状で発症するものがあり,内視鏡生検が診断に有用であった.
  • 中牟田 浩治, 松永 圭一郎, 城野 健児, 村田 育夫, 林徳 真吉, 磯本 一, 水田 陽平, 村瀬 邦彦, 河野 茂
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2101-2105
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は,44歳男性で,直腸の隆起性病変の精査目的に当院を紹介された.初回大腸内視鏡施行時に,直腸カルチノイドが疑われた.後日,内視鏡的粘膜切除術施行時に,その近傍に別のカルチノイドを認め,両方ともに内視鏡的摘除術を行った.多発直腸カルチノイドは稀であり,これまでに本邦で20例しか報告されていない.稀ではあるが,多発することもありうることを念頭におき,大腸検.査を施行することが重要であると思われた.
  • 入口 陽介, 細井 董三, 中井 呈子, 中村 尚志, 山村 彰彦, 大浦 通久, 小田 丈二, 水谷 勝, 益満 博, 山田 耕三, 岡田 ...
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2106-2111
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は82歳の男性.4年前にS状結腸のl+lla型早期癌のため外科的.切除術を受けている.その経過観察目的で2年前に行なった内視鏡検査で,横行結腸に約1/3周を占める表面平滑な発赤調の平盤状隆起性病変,いわゆる側方発育型大腸腫瘍(非顆粒型)を認めた.病変中央部の生検では高~中分化腺癌が検出され,深達度Sm1-2と診断し,手術を勧めたが,本人および家族が治療を強く拒否したため経過観察となった.今回,この非顆粒型は2型進行癌に発育進展しており,右半結腸切除術が施行された.切除標本の病理組織検査で,病変は31×22mmの深達度ssの2型進行癌であった.非顆粒型は腫瘍径が20mm以上になるとsm浸潤率が高率となるが,さらにsm癌から約2年の経過で進行猛呼へ発育進展した症例の存在が証明された.
  • 田中 彰一, 大田 剛由, 加地 英輔, 小坂 恒徳
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2112-2115
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    妊娠中に発症した虚血性大腸炎の報告例はほとんどない.今回われわれは妊娠6カ月目に発症した虚血性大腸炎の1例を経験したので報告する.患者は基礎疾患を有しない26歳の妊娠6カ月の女性で,突然の腹痛と血便にて発症した.緊急大腸内視鏡検査にてS状結腸から下行結腸にかけて典型的な縦走潰瘍を認めた.症状は速やかに改善し,5日後に退院となった.妊娠中は虚血性大腸炎の発症にも留意する必要があると考えられた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2002 年 44 巻 12 号 p. 2119-2121
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 44 巻 12 号 p. 2166
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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