[目的]今回内視鏡診断時から内視鏡的分割摘除術を計画した,腫瘍径が30mm以上の大腸粘膜内癌(m癌)の治療成績に基づき,大腸粘膜内癌の内視鏡的分割摘除術の有用性を検討してみた.[方法]1995年から2000年までの腫瘍径30mm以上で計画的内視鏡的粘膜分割摘除術を行った大腸m癌41例を対象に治療成績を検討した.[結果]占居部位は直腸14例,S状結腸14例,下行結腸2例,横行結腸2例,上行結腸7例,盲腸3例,肉眼形態は,いわゆるviilous tumorが26例,いわゆる結節集簇様病変が9例,両者の混合(混合型)が3例,Ipが2例,llaが1例であった.41例中36例に一期的摘除,5例に多期的摘除が行われ,術後合併症は4例に出血を認めた.39例は内視鏡摘除のみで完全摘除と判定し,腫瘍の遺残を9例,再発例を1例認めた.遺残・再発例を含め,完全摘除と判定された39例は全例内視鏡摘除で根治を得た.不完全摘除におわった2例は外科切除が追加された.[結論]内視鏡摘除直後の完全摘除の判定は必ずしも正確ではないが,再発は1例で術後瘢痕部に残存腫瘍を認めなければ,内視鏡的根治の可能性は高く,遺残・再発例もそのほとんどは内視鏡摘除で根治が可能であった.
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