日本消化器内視鏡学会雑誌
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44 巻, 11 号
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  • 安井 弥, 北台 靖彦, 中山 宏文
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1923-1929
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    消化管腫瘍に対する内視鏡的切除が一般化した現在,その適応の決定および切除後の治療の選択をする上で,生検組織における悪性度診断は極めて重要である.悪性度の指標としては,様々な細胞周期調節因子,増殖因子・血管新生因子・サイトカイン,細胞運動制御因子などが有用であり,ピストンの低アセチル化状態も,多くの遺伝子発現制御を介して癌の増殖・進展に関わる新しい悪性度マーカーと言える.既知の分f..遺伝子を指標とした分子病理診断システムは,癌の悪性度診断,多発癌の推定について多大な貢献をしてきた.さらに,ゲノム科学の時代では,遺伝子多型と癌の発生・進展の関連解析やSAGE法などの網羅的遺伝子発現解析による新規特異発現遺伝了・の同定が進み,消化管癌の真の悪性度の分子機構に迫り,治療・予防に直結する個人およびそれぞれの癌の遺伝子の個性に基づいた悪性度診断をすることが可能である.
  • 川浦 幸光, 龍沢 泰彦, 寺田 卓郎, 石田 善敬, 清水 淳三, 若林 時夫, 池田 直樹, 松田 尚登, 水野 秀城, 今井 美和
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1930-1936
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性,心窩部痛を主訴に来院した.内視鏡検査では胸部中部食道後壁を中心に,軽度の隆起を伴う不整形の病変を認めた.さらに,胸部中部食道前壁に平皿状の隆起性病変を認めた.いずれも表在癌と診断した.後壁の病変に対して,3度の内視鏡的粘膜切除(EMR)を行ったが,その周囲から再び,扁平上皮癌が検出され,外科的切除とした.前壁の病変はmild-moderate dysplasiaと診断されたため,EMRを行わなかった.切除標本では胸部中部食道後壁に28×18mmのO-lla型病変,前壁に12×10mmのO-lla型病変,および腹部食道付近の後壁にも15×6mmの0-lla型病変を認めた.組織学的検査では,それぞれの深達度はpTis,pTis,pTlaであった.その他,2-5mmの多数のdysplasiaを認めた.食道内に3個の多発隆起型表在癌を認めるのは稀と思われた.
  • 永井 敬之, 大河原 均, 松井 照一郎, 内田 明宏, 阿部 寿徳, 溝口 博本, 中嶋 宏, 鳥島 竜太郎, 佐藤 竜吾, 村上 和成, ...
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1937-1942
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性.胸部異和感あり精査.食道X線造影で,胸部中部食道に4cm大の半球状の辺縁平滑な隆起性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では,切歯列より31cmに食道内に隆起したcushionsign(鉗子で押して弾力があり,柔らかい)陽性の腫瘤を認めた.CT値は-104 H.U.のfatty density massで,超音波内視鏡では,粘膜下に発育した内部が均一な高エコー腫瘤であった.以上より食道脂肪腫と診断した.広基性であり,EEMR-tube (Endoscopic esophageal mucosal resection tube)法にて内視鏡的粘膜切除術を行った.切除標本は,4×2.5×1.5cmで,病理組織学的には良性の脂肪腫であった.食道脂肪腫が広基性または無茎性の場合はEEMRtube法が有効な内視鏡的切除法であると考えられた.
  • 川崎 優子, 増田 勝紀
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1943-1948
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.糖尿病性腎症に対し人工血液透析導入目的にて入院となった.内視鏡検査で中部食道に打ち抜き様の円形および楕円形の潰瘍を認めた.病理組織所見ではFull型封入体を認め,免疫組織化学的染色にて抗単純ヘルペスウイルス2型に対して陽性を示した.2週間後,対症療法により食道炎は改善した.典型的な内視鏡所見を呈し,病理組織学的検査から診断し得た単純ヘルペスウイルス2型食道炎を経験した.
  • 菊池 由宣, 萩澤 良美, 高橋 敬二, 日毛 和夫, 三浦 富宏, 瓜田 純久, 蜂矢 朗彦, 飯田 和成, 三木 一正, 長谷川 千花子 ...
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1949-1954
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は26歳男性.下血と腰痛を主訴に当院を紹介され入院した.大腸内視鏡所見および注腸造影所見ではS状結腸に狭窄を認めた.生検組織より,低分化型腺癌と診断された.骨シンチ,骨髄生検および血液検査所見より骨髄癌症による播種性並且管内凝固症候群(DIC)と診断した.癌化学療法(CPT-11+CDDP療法およびMTX+5-FUsequential療法)を施行するも効果が得られず,入院第84病日に死亡した.
  • 平山 一久, 木俣 博之, 中村 利夫, 深沢 貴子, 大端 考, 砂山 健一, 柏原 秀史, 丸山 敬二, 今野 弘之, 中村 達
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1955-1959
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性,低位前方切除術,J型結腸嚢直腸吻合術後2時問目に新鮮な下血を認め,緊急下部内視鏡検査を施行した.吻合部からの動脈性出血を確認し,内視鏡的に止血した.止血後の経過は良好で,縫合不全や狭窄を認めなかった.低位前方切除術後に止血処置を要する吻合部出血はまれで,本合併症に対する治療例の報告は極めて少ない.しかし,大量出血例を看過すれば重篤な合併症となる.術直後であっても治療時期を失わず,迅速に対応できるなら,消化管術後吻合部出血に対して低侵襲の内視鏡的止血術はまず試みるべき処置であり,組織傷害の少ないクリップ法による止血が望ましい.
  • 知久 毅, 佐野 渉, 新村 兼康, 田代 亜彦
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1960-1964
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    直腸癌に対する肛門括約筋温存手術症例において生じる吻合部狭窄は,時に治療に難渋し,術後QOLを損ねる症例も散見される.われわれは,内視鏡的に高周波パピロトームを用いて狭窄部を切開した後,バルーンによる拡張を併用する方法を3例に対し施行した.3例とも再狭窄は認められず,良好なQOLが得られている.この方法は手技的に比較的容易であり,術後出血,穿孔等の合併症も見られず,有用であると考えられた.
  • 井上 雄志, 手塚 徹, 西川 俊郎, 大井 至, 高崎 健
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1965-1971
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     [目的]今回内視鏡診断時から内視鏡的分割摘除術を計画した,腫瘍径が30mm以上の大腸粘膜内癌(m癌)の治療成績に基づき,大腸粘膜内癌の内視鏡的分割摘除術の有用性を検討してみた.[方法]1995年から2000年までの腫瘍径30mm以上で計画的内視鏡的粘膜分割摘除術を行った大腸m癌41例を対象に治療成績を検討した.[結果]占居部位は直腸14例,S状結腸14例,下行結腸2例,横行結腸2例,上行結腸7例,盲腸3例,肉眼形態は,いわゆるviilous tumorが26例,いわゆる結節集簇様病変が9例,両者の混合(混合型)が3例,Ipが2例,llaが1例であった.41例中36例に一期的摘除,5例に多期的摘除が行われ,術後合併症は4例に出血を認めた.39例は内視鏡摘除のみで完全摘除と判定し,腫瘍の遺残を9例,再発例を1例認めた.遺残・再発例を含め,完全摘除と判定された39例は全例内視鏡摘除で根治を得た.不完全摘除におわった2例は外科切除が追加された.[結論]内視鏡摘除直後の完全摘除の判定は必ずしも正確ではないが,再発は1例で術後瘢痕部に残存腫瘍を認めなければ,内視鏡的根治の可能性は高く,遺残・再発例もそのほとんどは内視鏡摘除で根治が可能であった.
  • 小林 拓, 岡村 正造, 大橋 信治, 浦野 文博, 金森 信一, 細井 努, 内藤 岳人, 加古 訓之, 倉橋 正明, 瀬川 昂生
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1972-1976
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    〈背景〉 近年新たな治療法の開発に伴い潰瘍性大腸炎(以下UC)の長期予後が変化しつつあると推察される. 〈方法〉 当科受診歴のあるUC患者全246症例の長期経過について検討した. 〈結果〉 手術例は23例で,内科的治療困難例8例,癌合併7例の順に多かった.手術時経過年数は平均7.1年,癌合併例以外では4.6年であった.癌合併例は8例にみられた.死亡例は8例で平均55.3歳,7年以上経過した4例が他病死であった.10年以上経過例では,全体の71.7%が緩解状態にあった.また若年発症,病変の口側進展例で予後不良の傾向がみられた. 〈結論〉 UCは長期経過に伴い活動性が低下する傾向にあり,罹病期間の短い時期の手術・死亡が多いことかちも大腸癌のsurveillanceとともに病初期の管理の重要性が示唆された.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1982-1989
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    2002 年 44 巻 11 号 p. 1990-1996
    発行日: 2002/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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