日本消化器内視鏡学会雑誌
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44 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 折居 正之, 千葉 俊美, 猪股 正秋, 鈴木 一幸
    2002 年 44 巻 3 号 p. 651-655
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    31施設における,5年間の消化器内視鏡関連偶発症について調査した.総検査件数は,397,876件(上部消化管283,489件,下部消化管92,685件,胆・膵15,725件,超音波内視鏡5,586件,腹腔鏡391件)であった.各検査別偶発症発生率(%)は,上部消化管0.0098,下部消化管0.0582,胆・膵0.25,超音波内視鏡0,腹腔鏡0.25であり,前処置による偶発症は0.0017であった.死亡例は8例(0.002%)で,その平均年齢は67.1歳であった.われわれの調査では,胆・膵内視鏡検査・処置による膵炎の頻度が高く,また,下部消化管内視鏡検査における穿孔が比較的多くみられた.偶発症の対策としては,各検査・処置および高齢者の特徴を十分に理解した上で行う必要があり,さらに内視鏡に固執せず他の検査法も選択すべきと考えられる.
  • 八木 一芳, 中村 厚夫, 関根 厚雄
    2002 年 44 巻 3 号 p. 656-660
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性,27歳女性であり,1例目は近医で内視鏡検査を施行した数日後にAGMLを発生したが,2例目は感染源は不明であった.2例とも内視鏡施行時,前庭部にはAGMLの所見を認めたが,胃体部全体に集合細静脈より形成される,微細発赤点が規則的に配列している所見を認め,H.pylori非感染症例の初感染によるAGMLと内視鏡施行時に診断した.2例とも培養にてH.pylori陽性を認め,抗H.pylori IgG抗体は陰性であったが,2カ月後には弱陽性となっていた.
  • 松本 力雄, 黒田 徹, 徳島 秀次, 村川 満佐也
    2002 年 44 巻 3 号 p. 661-666
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性.2年前に十二指腸潰瘍の診断.腹部膨満感・嘔吐・下痢を主訴に来院.腹部単純X線検査で,右側腹部・下腹部に蜂巣状ガス像を認めた.注腸造影検査,大腸内視鏡検査で,右側結腸に多発性嚢胞性気腫性病変を認めた.胃造影検査は幽門狭窄を呈し,十二指腸潰瘍よる幽門狭窄,腸管嚢腫様気腫症と診断.術前一週間の酸素療法を行い,胃切除術施行.術中所見で,腸管気腫は消失しており,術後再発を認めていない.
  • 岩根 弘明, 小市 勝之
    2002 年 44 巻 3 号 p. 667-672
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性.いかの刺身を摂取後の上腹部痛を主訴として当科受診した.腹部超音波検査,腹部単純X線検査,腹部CTにて小腸イレウスと診断し,イレウス管にて保存的に軽快した.大腸内視鏡検査を施行し,回腸末端部に隆起性病変を認め同部位からの生検にて著しい好酸球の浸潤を認めた.2週間後の大腸内視鏡検査では隆起性病変は縮小し2カ月後の大腸内視鏡検査では隆起性病変は消失していた.特異的IgEアニサキス抗体は高値を示し,小腸アニサキス症による回腸末端部のvanishing tumorと思われた.
  • 青木 哲哉, 大川 清孝, 追矢 秀人, 川崎 靖子, 倉井 修, 根引 浩子, 福長 洋介, 東野 正幸, 佃 博, 井上 健
    2002 年 44 巻 3 号 p. 673-678
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    短期間に形態変化をきたした有茎型大腸sm癌の2例を経験した.(症例1)43歳,男性.当科で施行された大腸内視鏡検査でS状結腸に分葉傾向のある約20mm大のIp様ポリープを認めた.約1カ月後の内視鏡検査では頭部は球状に縮小し,茎部は発赤を伴い太くなっているのが観察された.内視鏡的切除が施行された.粘膜下層に浸潤する中分化腺癌であった.(症例2)39歳,男性.検診で施行された注腸検査でS状結腸に約25mm大の分葉傾向のあるポリープを指摘された.約1カ月後に当科で大腸内視鏡検査が施行された.ポリープは約15mm大で,頭部が球状で太い茎部を有していた.さらに約1カ月後の内視鏡検査では頭部は表面が脱落し傘状に変化していた.内視鏡的切除が施行された.粘膜下層に浸潤する中分化腺癌であった.いずれの症例もIp様ポリープが癌化,粘膜下浸潤した結果,短期間におこった形態変化であったと思われた.
  • 山本 章二朗, 宮田 義史, 井戸 章雄, 竹島 弘, 南 寛之, 森内 昭博, 蓮池 悟, 永田 賢治, 堀 剛, 弘野 修一, 林 克裕 ...
    2002 年 44 巻 3 号 p. 679-683
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.10年前より原因不明の貧血を指摘されていた.2000年,貧血の精査のための大腸鏡検査で盲腸から上行結腸にvascular ectasiaを数個認め,同部の超音波内視鏡では粘膜層内に拡張した血管がみられた.このvascular ectasiaが繰り返す貧血の原因と考え,病変部にアルゴンプラズマ凝固法による内視鏡的治療を施行した.治療3カ月後の大腸鏡検査では凝固部は潰瘍瘢痕化しており,超音波内視鏡にても血管拡張は認められなかった.
  • 長嶋 雄一, 飯田 三雄, 平川 克哉, 杉生 訓昭, 清水 香代子, 田中 理香, 藤田 穣, 本多 俊裕, 古賀 秀樹, 武田 昌治, ...
    2002 年 44 巻 3 号 p. 684-689
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    サイトメガロウイルス(CMV)腸炎3例を経験したので報告する.症例1は71歳女性で,硬膜外腫瘍術後に下痢と間歇熱で発症し,下部直腸に全周性の潰瘍とその口側に偽膜様病変を認めた.症例2は51歳男性で,皮膚筋炎の消化管スクリーニングで全大腸に白苔を伴う多発性潰瘍を認め,盲腸では偽膜様病変を呈した.症例3は44歳女性で,悪性リンパ腫の化学療法後に体重減少と下痢で発症し,回腸末端から全大腸にわたる多発性の不整形潰瘍を認めた.全例ともCMV抗原血症陽性で,生検でCMV核内封入体が検出され,ガンシクロビル投与で腸病変が改善した.免疫不全状態では種々の日和見感染症を発症するが,提示症例のような多彩な腸病変を認めた場合はCMV腸炎を念頭に置くべきと考えられた.
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