症例は69歳,女性.主訴は右下腹部不快感.20歳時,急性虫垂炎にて虫垂切除術を施行された.66歳時に受けた大腸内視鏡検査にて盲腸粘膜下腫瘍を指摘された.69歳時に右下腹部下快感に対し大腸内視鏡を施行し,盲腸粘膜下腫瘍の増大を認めた.各柿画像検査ならびに腹腔鏡による観察にて,腫瘍の漿膜外浸潤やリンパ節転移,腹腔内転移などの悪性所見はみられず,腫瘍を破損することなく完全切除が可能と判断し,腹腔鏡下盲腸底切除を施行した.粘液嚢胞腺腫と病理組織診断され,術後経過は順調である.本症に特有の症状はみられないが,腹部不快感,腫瘤触知,腹痛などを生ずることがある.また腸重積の発症や悪性腫瘍,腹膜偽粘液腫発症の報告もあり,一般的に外科手術が推奨されている,症例によっては悪性肺瘍に準じた手術も行われているが,自験例のように腹腔鏡下に完全切除か可能と考えられる症例も存在することか示唆された.
抄録全体を表示