日本消化器内視鏡学会雑誌
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44 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 佐竹 信祐, 伊舎堂 用大, 村瀬 雅美, 里中 和廣
    2002 年 44 巻 5 号 p. 857-863
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当院における75例の経皮内視鏡的胃瘻造設術(Percutaneous endoscopic gastrostomy,以下PEG)施行症例の合併症の検討を行った.挿人は全例pull法にて行った.術後1カ月以内死亡は3例(4%)で,PEG直接関連死はなかった.術後合併症は,術後1カ月以内の早期には創感染13例(17%),胃内容の創部への漏れ12例(16%),術後1カ月以上経過した遠隔期には胃食道逆流8例(11%),カテーテルの逸脱4例(5%),肉芽形成2例(3%)などであった.重症合併症としては腹膜炎が2例(3%),術翌日のカテーテルの逸脱が1例(1%)であったが,腹膜炎のうち1例はカテーテル交換時の誤挿入による重篤な汎発性腹膜炎であった.以後は交換後にカテーテルより胃瘻造影を行って確認するようになった.PEG施行にあたっては術後早期のみならず遠隔期においても種々の合併症の可能性を念頭において注意を払うことが重要と考えられた.
  • 柏倉 浩一, 岩崎 良三, 大川 昭光, 飯島 克順, 大高 恵一, 太田 一樹, 三輪 洋人, 卜部 元道, 平井 周, 大高 貞男, 佐 ...
    2002 年 44 巻 5 号 p. 864-872
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は65歳,女性.主訴は心窩部痛,胃内視鏡検査にて,胃MALTリンパ腫(Helicobacter pylori陽性)と診断された.Helicobacter pylori(以下H. pylori)除菌療法施行にて,病変の縮小,消失,H.pylori陰性化が得られたが,除菌治療終了10カ月後に他部位に新たなMALTリンパ腫が出現したため,外科的切除術を行った.胃MALTリンパ腫は除菌療法成功後でも再発することが報告されているが,本例はH. pylori陰性化後に他部位に新たな病変が出現し,胃MALTリンパ腫の発生を論ずる上で興味深い1例である.
  • 森脇 義弘, 吉田 謙一, 長谷川 聡, 北村 剛彦, 荒田 慎寿, 山本 俊郎, 杉山 貢
    2002 年 44 巻 5 号 p. 873-878
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     糖尿病性腎症で透析導入直後の45歳の男性.下血,ショックで緊急内視鏡施行,十二指腸下行脚に多発潰瘍を認めた.高張エピネフリン食塩水(HSE)局注で再出血を繰り返したため転院搬送された.2回の経動脈的塞栓術(TAE)で血流を制御し,引き続く内視鏡下HSE局注とクリッピングで緊急一時止血に成功した.透析患者の十二指腸潰瘍出血は,内視鏡的止血困難例が多い.このような例では緊急手術も危険で,TAEによる血流低下を併用した集学的止血法が有用と思われた.
  • 花田 健治, 下屋 正則, 藤岡 高弘, 峯 雅文, 東納 重隆, 清家 英二, 小林 正彦, 白濱 龍興, 早川 和雄, 福地 創太郎
    2002 年 44 巻 5 号 p. 879-885
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は32歳女性.28歳時,回盲部潰瘍穿孔を機に腸管べーチェット病と診断された.この時点ではPCIの発生は認めなかった.外来にて経過観察中,発熱,下痢を主訴に入院.腹部単純X線で上行結腸に線状透亮像を認め,大腸内視鏡検査にて,同部位に多発する表面平滑,弾性軟の半球状隆起及び小潰瘍を認めた.腸管べーチェット病再燃に合併した上行結腸腸管嚢腫様気腫症(PCI)と診断し,サラゾピリンによる治療を行った.腹部症状の改善に伴いX線及び内視鏡的にPCIの所見は消退し,その関連性が示唆された.腸管べーチェット病にPCIを合併したとする報告は国内外を通じて初の症例であり,報告した.
  • 横山 義信, 榊原 年宏, 桑名 謙治, 塚田 一博, 田中 三千雄
    2002 年 44 巻 5 号 p. 886-892
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     直腸のDieulafoy潰瘍から出血した2症例に対し,内視鏡的静脈瘤結紮法(EVL)で使用しているligating deviceを用いて止血を施行した.症例は73歳と83歳の男性で,共に大量下血を主訴に入院した.直腸Dieulafoy潰瘍からの出血と診断し,EVLに準じた方法によって止血を行った.2症例共に1回の操作で永久止血効果が得られ,本止血法に伴う合併症は認めなかった.本止血エ法は直腸Dieulafoy潰瘍からの出血に対しては確実な止血.効果があり,手技も簡単であることもあって有効であると考えられた.大腸のDieulafoy潰瘍に対するEVLによる止血成功例の報告は,これが初めてのものであると思われる.
  • 姫野 秀一, 野口 剛, 松本 興三, 菊池 隆一, 久保 宣博, 内田 雄三
    2002 年 44 巻 5 号 p. 893-897
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     60歳男性.主訴は上腹部痛,発熱.胆嚢結石による急性胆嚢炎の診断で入院.術前大腸内視鏡検査で肝彎曲部に周堤様隆起を伴う瘻孔を認めた.胆嚢結腸瘻を疑い,経皮経肝的胆嚢造影を施行し,胆嚢から結腸への造影剤流出を確認.胆嚢結石による胆嚢結腸瘻と診断し,胆嚢摘出術・結腸楔状切除術・総胆管ドレナージ術を施行した.急性胆嚢炎を伴う胆石症の術前大腸内視鏡検査では,胆嚢結腸瘻も考え,施行するべきと思われた.
  • 手塚 徹, 井上 雄志, 太田 岳洋, 吉利 賢治, 高崎 健
    2002 年 44 巻 5 号 p. 898-903
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆嚢結腸瘻は,特発性内胆汁瘻の中でも比較的稀な疾患である.今回,術前大腸内視鏡検査にて観察しえた胆嚢結腸瘻の1切除例を経験したので報告する.症例は68歳男性,39℃台の発熱,右李肋部痛,腹部膨満,胆汁性嘔吐を主訴に来院した.既往歴に主訴出現4カ月前,狭心症で冠動脈バイパス術を受けており,その術後無石性胆嚢炎を併発したが,保存的に軽快していた.腹部超音波では胆泥,胆嚢壁との一部境界不明瞭化を認め,CTでは胆嚢体部で結腸との交通を認めた.大腸内視鏡では同部位に大腸癌2'型様病変を認めた.胆嚢結腸瘻の診断で,胆嚢摘出術および結腸部分切除術を施行した.病理組織学的には炎症所見のみで悪性所見は認めなかった.
  • 小山内 学, 真口 宏介, 潟沼 朗生, 河上 洋, 網塚 久人, 伊藤 英人, 高橋 邦幸, 小泉 一也, 三井 慎也, 泉 信一, 渡辺 ...
    2002 年 44 巻 5 号 p. 904-911
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は46歳,男性.アルコール性慢性膵炎の急性増悪後に仮性嚢胞内の感染をきたし当科紹介入院.複数の仮性嚢胞が存在したため全身状態の改善に経十二指腸的嚢胞ドレナージおよび経皮的嚢胞ドレナージ術が必要であった.その後のERCPにより膵頭部に複数の狭窄を認め仮性嚢胞形成の一因と考えられたため,内視鏡的膵管ステンティングを施行した.嚢胞の再増大もなく,経皮的ドレナージチューブの抜去が可能となり退院となった.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2002 年 44 巻 5 号 p. 915-929
    発行日: 2002/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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