内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)と内視鏡的硬化療法(EIS)の門脈血行動態に及ぼす影響の違いを明らかにすることを目的に,治療前後の壁外血行路の変化を,超音波内視鏡(EUS)を用いて検討した.EVL,EIS各23例を対象として,食道壁外の側副血行路である傍食道静脈(PEV)と,供血路からの直接の流入部位である胃噴門部小彎の壁外血管(EGV)の血管径,断面積の治療前後の変化を比較検討した.その結果,PEVは両治療後とも有意な変化を認めなかったが,EGVはEVLでほとんど変化がなかったのに対しEISで有意に減少した.すなわちEISは壁内血管のみならず,供血路を含むEGVを有意に減少させるため長期的な治療効果が得られることが示唆された.一方,EVLは食道壁内のみに対する局所的な治療法であり,供血路を含め壁外血行路には.影響を与えないために,早期に再発をきたすものと考えられた。
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