EVL後の長期非再発例の血行動態を明らかにすることを目的に,EVL後2年以上経過した22例を対象として,傍食道静脈(PEV),胃噴門部小彎の壁外血管(EGV),食道壁貫通血管(EPV)の超音波内視鏡(EUS)所見と再発率の関連を検討した.治療前のEUS所見において,EGVが高度なほど有意に再発率が高率であったのに対し,PEVの程度と再発率には相関は認めなかった.また,治療前にEPVを認めない群は,認める群と比較し有意に再発率が低く,また治療後にPEVがイ億に増強した.EGVが高度でなくEPVを認めない症例では,2年以上再発を認めなかった.以上より,治療前のEUS所見からEVL後の長期予後が推測可能と考えられた.すなわち治療前,EGVの発達が高度でなく,EPVを認めないものでは,治療後PEVがdrainage veinとして長期の非再発に効果的に作用するように血行改変が生じ,局所治療のみでの長期予後が期待できると考えられた.
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